JPS6127076B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は内底部中央に回転自在にパルセータを
配した脱水兼洗濯槽を備える脱水兼用洗濯機に関
するもので、詳しくは、脱水兼洗濯槽の改良によ
り、衣類全体を傷みを生じることなく均一に洗濯
できる複雑な水流を作り出すものである。

従来、脱水兼洗濯槽の周側壁あるいは底部、さ
らには周壁部から底部に至つて１個もしくは複数
個の邪魔板からなる部材を設けたものが知られて
いる。この部材は、パルセータの回転力によつて
回転する洗濯物に転動作用を与えたりあるいは上
下位置の入れ代わりを行つたりするものであつ
て、これによつて洗濯物全体を万辺なく洗濯しよ
うとするものであつた。

しかしながら、実状は、上記邪魔板を設けたに
もかかわらず、パルセータの回転力によつて洗濯
物がパルセータ上面の中央寄りにだんご状に集ま
つてしまい、邪魔板の本来の機能を十分に発揮で
きないものであつた。このような現象は洗濯物の
量が少ない場合に特に顕著である。そこで、上記
邪魔板の突出度合を大きくすることが考えられる
が、単に突出度合を大きくしたのではパルセータ
による回転水流を弱めるにすぎず、洗浄性能を低
下させることになる。

また、邪魔板を設けた場合には、設けない場合
に比し、水流が多少複雑化し洗濯物の転動等を促
すことができるが、洗濯物がだんご状になるのを
阻止することはできず、洗濯物の内方部分は十分
に洗浄されないものであつた。

また、従来パルセータの周縁部近傍から放射状
に邪魔板を形成したものが提案されたが、この構
成によれば、特に多量の洗濯物を洗う際に底部の
邪魔板上に洗濯物が乗つてしまい、パルセータに
洗濯物が触れ難くなるために、十分な洗浄性能を
得ることができないものであつた。

本発明は上記従来の問題に鑑み成されたもので
あり、以下、その実施例を添付図面を参照して説
明する。図において、１は外筐、２は外筐１内に
ロツド３等を介し防振可能に吊り下げ支持した外
槽、４は外槽２内に脱水回転可能に装備した脱水
兼洗濯槽で、内底部中央には回転自在にパルセー
タ５を配している。６は外槽２の外底部に固着し
た脱水・洗濯切換装置で、モータ７の回転力をベ
ルト８およびプーリ９を介して受け、この回転力
を脱水兼洗濯槽４またはパルセータ５に選択的に
伝達させる。１０は外槽２の底部に形成した排水
口で、排水コツク（図示せず）を介して機外に連
通している。

次に、上記脱水兼洗濯槽４の具体構成について
述べる。脱水兼洗濯槽４の底部と脱水・洗濯切換
装置６とは脱水軸を介して周知の方法により結合
されており、パルセータ５と脱水・洗濯切換装置
６とは洗濯軸を介し周知の方法によつて結合され
ている。

１１は脱水兼洗濯槽４の内底部に設けたパルセ
ータ５収容用の凹状部、１２は凹状部１１の周縁
近傍、即ち、パルセータ５の周縁近傍において略
環状に設けた平面部、１３は平面部１２の外周縁
から脱水兼洗濯槽４の周側壁下部に向つて斜めに
形成した傾斜面部、１４はこの傾斜面部１３上の
略全周において周方向に複数個形成してなる突起
である。

上記突起１４は高さ方向の断面形状が略山形状
をなしており、かつ、突起１４相互間には下端側
が平面部１２に同一面にて連らなり上端側に向う
に従つて次第にその幅が狭くなつた案内面１５を
形成している。

この案内面１５が上記した傾斜面部１３の一部
であることは言うまでもない。

１６は案内面１５の上端側に下端側が連らなり
上端側が脱水兼洗濯槽４の上端側に伸びた縦溝
で、脱水兼洗濯槽４の周側壁内面に複数本適当間
隔を介して形成している。１７はこの縦溝１６の
底部およびこの縦溝１６を除く周側壁部分に穿設
した水抜き孔である。

ここで、上記案内面１５はその幅が上端側の向
うに従つて狭くなつていることは上述した通りで
あるが、上端においては若干幅広くなつている。

１８は脱水兼洗濯槽４の上方開口端に設けたバ
ランサーで、脱水回転時におけるアンバランスを
修正する。

以上が脱水兼洗濯槽４に係る具体構成である
が、上記脱水兼洗濯槽４は平面部１２、突起１４
とともに樹脂により一体形成してあるが、突起１
４は別途成形し、傾斜面部１３に接着等によつて
固定しても良い。

上記脱水兼洗濯槽４は次の如きリントフイルタ
ー装置を備える。即ち、１９は脱水兼洗濯槽４の
周側壁内面に沿い縦方向にて形成した通水路で、
開口側は爪２０と孔２１との係合にて着脱自在な
カバー２２によつて覆われており、前記通水路１
９の上端開口側にはリント収集用のネツト２３が
取付けてあり、また、下端開口側は凹状部１１に
連通している。そして、パルセータ５の回転によ
つて生じた吐出圧にて、洗濯液は通水路１９内を
上昇し、ネツト２３を通過して脱水兼洗濯槽４内
に戻る。この洗濯液の動きは継続してなされ、洗
濯液中に含まれたリント等のごみはネツト２３内
に収集される。

ここで、上記カバー２２は平板状をなすため
に、脱水兼洗濯槽４に取付けられた状態にあつて
は脱水兼洗濯槽４の周側壁よりも内方に若干突出
する。この突出度合は極端なものではないが、そ
の幅は、突起１４の幅よりもかなり広い。また、
カバー２２は下端側が略Ｌ字状に屈曲しており、
その屈曲部２２ａは突起１４と並んで位置するも
のであり、かつ、その内面部には上下方向に長い
リブ２２ｂを複数本一体に並設している。

上記構成において次に動作を説明する。今、プ
ログラムタイマー（図示せず）をセツトし始動ス
イツチ（図示せず）をオンすると、周知の通り、
給水から始まつて洗濯、すすぎ、脱水等の一連の
行程が自動的に遂行される。

ここで、洗濯、すすぎの行程においては、パル
セータ５の第５図矢印ａ方向への回転により、脱
水兼洗濯槽４内の水が洗濯物とともに矢印ａ方向
に回転することになる。この回転は主として略環
状の平面部１２上近傍にてなされ易い。そして、
この回転力を受けた水は複数個の突起１４間の案
内面１５に沿つて矢印ｂ方向に移動し、ついには
矢印ｃ方向の上昇水流へと変化する。

従つて、水は矢印ａ方向の動きと矢印ｃ方向へ
の動きを伴うものであつて、洗濯物はパルセータ
５から離れだんご状にならず分散されて洗濯され
ることになる。そのため、洗濯物の傷みが少な
く、しかも、洗濯物全体がほぼ均一に洗浄され
る。

ここで、平面部１２が存在することにより、洗
濯物をパルセータ５にできるだけ近接させること
ができ、洗濯物には強力な撹拌力が作用して洗浄
性能を向上させることができる。仮りに平面部が
なくこの部分に突起らしきものが存在している
と、パルセータ周縁には洗濯物が落ち込み難く洗
濯槽上部のみ洗濯物が集中してしまい、特に大容
量の洗濯物に際しては、上部に多量の洗濯物が集
中してしまいパルセータの撹拌力が作用し難くな
るとともに、洗濯物が突起の方にのつてしまうた
めパルセータに接触し難くなり、洗浄性能を低下
させてしまう。このような問題を解決するために
平面部１２が設けられている。

この平面部１２には、パルセータ５により形成
された矢印ａ方向の水流、すなわち、うず巻き水
流の接線方向の水流、すなわち矢印ｂ方向の水流
が生じる。この矢印ｂ方向の水流は突起に対して
斜め方向から流入するため、突起のみでは十分に
上向き水流に変化させることができないため、傾
斜面部である案内面１５を設け、パルセータ５の
水流を確実に上向き水流に変えている。そのた
め、平面部１２が設けられていても十分なる強さ
の上向き水流を形成でき、上向き水流と水平方向
のうず水流が存在する複雑な水流を作り得るもの
である。なお、この傾斜面部１３なるものは、所
定の曲率半径をもつ弧状面部をも技術的に含むも
のであり、要するに水流の移動を円滑ならしめる
ものであれば良い。ただし、上記曲率半径があま
りに小さくなると、その隅の部分が液のよどみが
生じる恐れがあるため、曲率半径は大きければ大
きいほど好ましい。

なお、上記液のよどみを無視すれば、傾斜面部
１３なるものがない場合でも矢印ｂ，ｃ方向の水
流を形成することは可能であり、上記した平面部
１２および突起１４による作用効果は期待でき
る。特に平面部１２の径方向の幅ｌと突起１４の
径方向の幅l′との寸法関係がｌ＝l′＝１：１〜２
であれば、上記した通りの効果を期待できる。

また、上記した案内面１５は、平面部１２の外
周縁に連らなる下端側から上端側に向うに従つて
幅が狭くなつているために、上記矢印ｂ方向の水
流は幅が狭くなるにつれて流速を速め、これによ
つて上昇水流が強力になり、矢印ｃ方向への流れ
が確実に形成できる。

また、上記突起１４は高さ方向の断面形状が略
台形状をなすために、その頂部が鋭角につき出た
従来の邪魔板に比し、洗濯物の回遊動作を妨げ
ず、十分な洗浄効果を維持できる。また突起１４
と案内面１５との連接をなめらかに行うことがで
きる。

さらに、通水路１９を覆うカバー２２は、その
下部の屈曲部２２ａが突起１４と並んで設けられ
ているが、カバー２２は全体的に脱水兼洗濯槽４
内方に突出しており、しかもその幅は突起１４の
それよりも広いものであり、要するに大突起なる
ものを構成する。

このカバー２２は上記矢印ａ方向に回転する洗
濯物を引掛けて大きく回動させる役目をなし、こ
れによつて洗濯物の動きに大きな変化を与え、上
記突起１４の作用と相まつて洗濯物の洗浄性能を
より向上させることができる。また、カバー２２
にリブ２２ｂよりなる複数の係止突起を設けるこ
とにより、上記洗濯物の引掛け作用がより顕著と
なる。

また、上記した大突起なるものが通水路１９を
構成するカバー２２にて構成してあることによ
り、大突起形成のための金型上の配慮を脱水兼洗
濯槽４成形時に行う必要がなく、小さいカバー２
２の成形によつて大突起が得られるために、組立
が容易であるとともに安価に得られ、しかもリブ
２２ｂの形成によりカバー２２自身の補強作用を
得ることができるために、水圧による変形等を防
止できる。また、カバー２２を取付けるだけで大
突起が形成でき、その突出度合は従来の邪魔板の
如き大なるものではなく、洗濯物の回遊を阻止す
ることはない。

なお、本発明を実施するに際しては、実施例に
て示す構造を適宜設計時の配慮等によつて変更し
ても良く、何ら実施例の構成に限定されものでは
ない。

以上のように本発明によれば、平面部を設けて
洗濯物をパルセータのところまで沈ませるととも
に、この洗濯物をパルセータに接触可能とさせ洗
浄効果を高めている。また、傾斜面部およびこの
傾斜面部に連らなつて周方向に複数個設けた突起
とによる上向き水流とパルセータの回転による水
平方向のうず巻き水流の相乗り効果によつて洗濯
物に複雑な動きを与えることができ、特にパルセ
ータ上の洗濯物の集中化が防げるとともに洗濯物
がだんご状になるのを阻止でき、洗濯物全体をほ
ぼ均一にかつ良好に洗浄できるようにし、洗浄効
果を向上させるとともに均一洗浄を可能としたも
のであつて、その工業的価値はきわめて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例における脱水兼用洗濯
機の縦断面図、第２図はその脱水兼洗濯槽の水平
断面図、第３図は同縦断面斜視図、第４図は同要
部の拡大斜視図、第５図は同要部の水流の動きを
説明するための斜視図である。 ４……脱水兼洗濯槽、５……パルセータ、１２
……平面部、１３……傾斜面部、１４……突起、
１５……案内面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 脱水回転可能な脱水兼洗濯槽と、この脱水兼
   洗濯槽の内底部中央に回転自在に配したパルセー
   ターとを備え、前記脱水兼洗濯槽の内底部には前
   記パルセーターの周縁を囲むように略環状の平面
   部を形成し、かつ、この平面部の外周縁と脱水兼
   洗濯槽の内周側壁下部とを連設した傾斜面部を形
   成し、この傾斜面部に複数の突起を設け、この突
   起の相互間には、平面部の外周縁に連らなり、か
   つ、前記突起の上端側に向うに従つて幅が狭くな
   る案内面を形成した脱水兼用洗濯機。 ２ 複数の突起が、その高さ方向に沿う断面形状
   が略台形状をなす特許請求の範囲第１項記載の脱
   水兼用洗濯機。