JPS6124726Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関の主軸受装置に関する。

従来の構造を第１〜第３図に示す。第１図に於
てクランク軸１の主軸部に２本のボルト２により
装着した上部主軸受胴３と下部主軸受胴４は、シ
リンダブロツク５の隔壁６に設けた支持孔７内に
嵌合し、位置決めボルト８により第２図の如く固
定されている。第２図中９はボルト８よりやや大
径のボルト挿通孔、１０はボルト８が螺合するね
じ穴、１１は連接棒、１２はピストン、１３はシ
リンダライナである。シリンダブロツク５の肉厚
内に設けたメインギヤラリー１４（第１図）は、
一端が潤滑油ポンプの吐出口（図示せず）に接続
し、クランク軸１と平行に延び、隣接気筒間の隔
壁６内の注油孔１５（第３図）と下部主軸受胴４
内の注油孔１６と、主軸受メタル１８の孔２４を
へて、クランク軸１と主軸受メタル１７，１８間
の摺動部に開口している。第３図中１９は合せ
面、２０は合せ面１９と平行に上部主軸受胴３を
切欠いて形成しした受座、２２１，２２は合せ面
１９と直角に設けたボルト挿通孔とねじ穴、２３
は位置決めピンである。

ところが第１〜第３図の従来の構造によると、
(1)下部主軸受胴４内の注油孔１６と締付ボルトね
じ穴２２との干渉を避けるべく、取付けの傾き角
α_１が大きくなるので、上下メタル１７，１８の
合せ面が中央、即ちライナ軸線O₁に近くなり、
爆発時の荷重を確実に受けることが困難になる。
(2)主軸受メタルへの注油孔２４が下部メタル１８
の内面に開口する形になり、下部メタル１８の内
面に円周方向に延びる油溝を設けなければなら
ず、爆発時の荷重を受ける面積が減少し、面圧が
実質的に高くなる。このためメタル１８の寸法
（幅）を増す必要が生じ、主軸受装置が嵩張る不
具合が生ずる。(3)矢印Ａで示すライナ側に向う慣
性荷重を受けるためのライナ側の当り寸法L₁が
小さくなり、これも主軸受装置が嵩張る原因とな
る。

本考案は上記問題の解決を目的としており、第
４〜第７図に一例を示す。図中第１〜第３図中の
符号と同一符号は対応部分である。第４図に於て
合せ面９の傾き角α_２は第３図のα_１より小さ
く、しかも傾き上部主軸受胴は逆となつており、
隔壁６内の注油孔１５に連通する注油孔２６は上
部主軸受胴３内に、合せ面１９と平行に設けてあ
る。従つて注油孔２７は上部メタル１７に開口す
る。注油孔２６はボルト挿通孔２１と交差してお
り、ボルト２８の軸部２９は第３図中のボルト２
の軸部よりやや細くしてあるため、ボルト挿通孔
２１とボルト軸部２９の間に形成される環状断面
の通路３０（第５図）はその両側の注油孔２６を
連通し、通路３０部分が通路２６と同等以上の有
効断面積を与える。勿論ボルト２８の代りに第３
図中のボルト２と同仕様のボルトを採用し、注油
孔２６と交差する部分のボルト挿通孔２１の内面
に環状溝を形成して、その両側の注油孔２６と接
続してもよい。要するにボルト挿通孔２１とボル
ト軸部２９の寸法又は形状を適当に選ぶことによ
り、孔２１と注油孔２６の交差部分で潤滑油の流
通に支障が生じないように各部の寸法形状を定め
る。

第６、７図に示す如く、上部メタル３２の内面
には油溝３３を設け、下部メタル３４の内面には
円周方向両端部に両端へ向うにつれて深くなる油
溝３５を設けるだけで、その中央部には油溝を全
く設けない。

ポンプで加圧された潤滑油はメインギヤラリー
１４から注油孔１５，２６，２７をへて上部メタ
ル３２の内面の油溝３３に入り、上下メタル３
２，３４の内面とクランク軸１間の摺動部を潤滑
する。

以上説明ししたように本考案によると、(1)主軸
受メタルの下部メタル３４はライナ軸線O₁に対
しその中央部が直角に近く、上下メタル３２，３
４の合せ面は可及的に中央付近から遠ざけてある
ため、爆発時の荷重を極力有効に受けることがで
きる。(2)又主軸受メタルへの注油孔２７は上部メ
タル３２に明けてあるため、下部メタル３４の内
面には油溝を設ける必要がなくなり、前項と同様
に爆発時の荷重を有効に受けることができる。

(3)ライナ側Ａの当り寸法L₂を大きくとること
ができるため、無圧縮時のライナ側Ａに向う慣性
荷重を極力有効に受けることができる。

(4)注油孔２７を上部メタル３２の内面に開口さ
せたため、油溝３３を上部メタル３２の内面のみ
に設けることがき、即ち下部メタル３４は油溝な
しとすることが可能となるため、面圧が低下し、
その分メタルの寸法を減してコンパクトな主軸受
装置にまとめることができる。(5)本考案において
は、注油孔２６を上部主軸受胴３のボルト挿通孔
２１と交差するように設けたので、上部主軸受胴
３が爆発工程における荷重に対し負荷が少ないこ
とと相俟つて、上部主軸受胴３の軸方向幅を最少
に保つことができ、クランク軸も短くなり、全体
がコンパクトにまとまるのである。

本考案は第８図の如く合せ面１９を水平に配置
し、注油孔２３６を傾斜した注油孔１５′を介し
てメインギヤラリー１４に接続するか、又は水平
な注油孔１５″を介して、位置に変更を加えたメ
インギヤラリー１４′に接続することもできる。
なお本考案は主軸受胴方式の主軸受を有する内燃
機関、特に分割型の主軸受胴を使用する内燃機関
に好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の構造を示すクランク軸と直角な
垂直断面図、第２図は第１図の−断面図、第
３図は第２図の−断面図、第４図は本考案に
よる構造を示す第３図に対応する図面、第５図は
第４図の−断面図、第６図は第４図の−
断面拡大図、第７図は第６図の−断面図、第
８図は別の実施例を示すための第４図に対応する
図面である。 ３，４……上部と下部の主軸受胴、５……シリ
ンダブロツク、７……支持孔、１４……メインギ
ヤラリー、２０……受座、２１……ボルト挿通
孔、２２……ねじ穴、２６，２７……注油孔、２
８……ボルト、O₁……ライナ軸線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 二つ割の上部と下部の主軸受胴を合せ面がライ
   ナ軸線に対し直角に近い角度又は直角となる姿勢
   でシリンダブロツクの支持孔に固定し、上部主軸
   受胴の合せ面上方の周縁部を切欠いて受座を形成
   し、上部主軸受胴側の合せ面に直角にボルト挿通
   孔を、又下部主軸受胴側の合せ面に直角にねじ穴
   をそれぞれ設け、ボルト挿通孔を通してねじ穴に
   螺合したボルトの頭部を受座に締着し、上部主軸
   受胴にボルト挿通孔と交差する注油孔を明け、注
   油孔の一端を上部主軸受メタルの注油孔に、又他
   端をシリンダブロツク内のメインギヤラリーに接
   続すると共に、ボルトにより注油孔が閉塞しない
   ようにボルトとボルト挿通孔の間に油通路を設け
   たことを特徴とする内燃機関の主軸受装置。