JPS6124110Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、座板が弾性に抗して後傾動するよう
に構成した椅子の改良に関するものである。

このように座板が後傾動するように構成した椅
子においては、脚体に対する座板の枢着部は座板
の前端より可成り後方に位置し、換言すると座板
の前端が当該座板の枢着部よりも可成り前方に位
置しているため、座板を後傾動させたときに当該
座板の前端が大きく上昇動することになるが、座
板の高さは通常の姿勢を基準にして設定されてい
るため、上昇した座板前端部によつて座つた人の
大腿部を突き上げ、大腿部に圧迫感を与える不具
合があつた。

そこで先行技術としての実開昭53−64010号公
報は、座板を前部座板と後部座板とに分割し、そ
のうち後部座板を傾動装置を介して脚体に取り付
ける一方、前部座板をリンク機構を介して脚体に
取付けると共に、該前部座板と後部座板とを屈曲
自在に連結することにより、後部座板の後傾動に
伴つて前部座板が略水平のままの状態で上下動す
るように構成することを提案している。この先行
技術の場合、前部座板を水平状態に保持できるの
で前部座板の先端部で大腿部を局部的に突き上げ
るような不都合は回避できるが、前部座板は後部
座板の後傾動に連動して上昇動するものであるか
ら、大腿部を全体として持ち上げるような状態に
なり、座つた人の大腿部に対する圧迫感を完全に
除くことはできず、後傾した姿勢で長時間座ると
疲労が蓄積してくるという欠点があつた。

本考案はこの欠点を解消することを目的とする
ものである。すなわち、前後に分割した座板のう
ち後部座板のみを後傾動可能にし、前部座板を、
後部座板の後傾動にかかわり無く一定の高さ位置
に保持せしめることによつて、前部座板による大
腿部の持ち上げ現象を防止し、以て長時間座つて
も大腿部に対する圧迫感を殆ど感じさせない椅子
を提供することを可能ならしめたものである。

以下本考案を実施例図面に基づいて説明する
と、図において１は本考案にかかる椅子で、該椅
子１は、下端に床面に対するキヤスタ２を備えた
脚体３と、該脚体３の上端に傾動装置５を介して
取付けた後部座板４ｂと、該後部座板４ｂの前方
に配置した前部座板４ａと、該前後両座板４ａ，
４ｂの上面に配設した座面クツシヨン２７等にて
構成されており、前記後部座板４ｂには背もたれ
部１０を一体的に取り付けている。

このうち前部座板４ａは、脚体３に対して固着
した断面下向きコ字状の座板支持部材６の前部上
面に固着されており、脚体３に対して上下動及び
前後傾動不能に構成されている。また、前記座板
支持部材６を脚体３に固着するに当つては、当該
座板支持部材６の後端部に支持ブラケツト９を固
着し、該支持ブラケツト９に穿設した孔に脚体３
の上端部を嵌着するようにしている。

一方、前記傾動装置５は、前記座板支持部材６
の外側に配設した左右一対の座板支持体７ａ，７
ｂと、該両座板支持体７ａ，bbを貫通して水平
横向きに配設しトーシヨンバー８等にて構成され
ており、両座板支持体７ａ，７ｂをトーシヨンバ
ー８のねじり弾性力に抗して後傾動自在に構成す
ることによつて、当該両座板支持体７ａ，７ｂの
上面に固着した後部座板４ｂが弾性に抗して後傾
動可能になるようにしている。

すなわち、前記両座板支持体７ａ，７ｂをその
後部において一体的に連結する一方、該両座板支
持体７ａ，７ｂのうち一方の座板支持体７ｂの外
側面に、前記脚体３の軸心から適宜寸法ｌ前側に
ずれた位置に、水平横向きに延びる円筒状の支持
部材１１を外向きに突出するように固着する。そ
して、該円筒状支持部材１１内に挿入したトーシ
ヨンバー８の一端を、金具１２を介して当該円筒
状支持部材１１の先端部に回動不能に係止すると
共に、該円筒状支持部材１１の基部には、前記ト
ーシヨンバー８に被嵌するようにした合成樹脂製
のフランジ付きブツシユ１３を嵌挿し、該ブツシ
ユ１３のフランジを円筒状支持部材１１と座板時
事部材６の一方の側板６ｂとの間に介挿する。

更に、前記座板支持部材６の左右両側板６ａ，
６ｂ及び他方の座板支持体７ａには、前記トーシ
ヨンバーが挿通するようにした丸孔を穿設し、該
各丸孔に合成樹脂製等の円筒状軸受１４，１５，
１６を嵌着すると共に、これら各軸受１４，１
５，１６内部には、トーシヨンバー８に被嵌する
ようにして合成樹脂製のブツシユ１７，１８，１
９を嵌挿しており、これによつて、両座板支持体
７ａ，７ｂひいては後部座板４ｂが、トーシヨン
バー８を中心にして回動できるように構成する。

また、他方の座板支持体７ａの外側方に左右横
長の筒状部材２０を配設し、該筒状部材２０に前
記一方の座板支持体７ｂから外向きに突出したト
ーシヨンバー８を挿入し、該トーシヨンバー８の
先端を金具２１を介して筒状部材２０の先端に回
動不能に係着する。そして、前記筒状部材２０の
基端部には、前記他方の座板支持部材７ａの外側
面に沿つて延びるアーム２２の基端を固着し、該
アーム２２の先端には、ハンドル付きねじ杆２３
を螺合する一方、前記座板支持部材６の側板６ａ
に固着したＬ型ブラケツト２５の先端に凹所２６
を形成し、前記ねじ杆２３の先端部２４を該凹所
２６に係合させることにより、後部座板４ｂの後
傾動に対してトーシヨンバー８のねじり弾性力を
付与するように構成している。

前記座面クツシヨン２７は、前部座板４ａに対
する前部座面クツシヨン２７ａと後部座板４ｂに
対する後部座面クツシヨン２７ｂとに分離し、そ
れぞれ各座板４ａ，４ｂに対して固着している。
この場合、前部座面クツシヨン２７ａと後部座面
クツシヨン２７ｂとは、その上端部において伸縮
及び屈曲自在なひだ布（図示せず）にて連結する
のが好ましい。

以上の構成において、椅子１に座つた人が上半
身を後傾動させると、後部座板４ｂはトーシヨン
バー８を回転の中心として当該トーシヨンバー８
のねじり弾性力に抗して後方に回動するが、前部
座板４ａは脚体３に対して相対動不能であるか
ら、後部座板４ｂの後傾動にかかわりなく一定の
姿勢と高さを保つことになる。この場合、後傾動
する後部座板４ｂの前端からトーシヨンバー８ま
での距離は、座板を前後に分割したことにより座
板を一体的に形成した場合よりも短くなるから、
この後部座板４ｂの後傾動によつて当該後部座板
４ｂの前端が上昇する高さが低くなる一方、前部
座板４ａは上昇動及び傾斜動することがないか
ら、前部座板４ａによつて座つた人の大腿部が全
体的に持ち上げられるような現象は生じないので
ある。

また、後部座板４ｂが後傾動することによつて
座面クツシヨン２７は後方に引つ張られるが、当
該座面クツシヨン２７は前後に分離しているか
ら、後部座板４ｂの動きが前部座板４ａを固定し
たことによつて阻害されることはない。

なお、前記第１図は、椅子における背もたれ部
１０を後部座板４ｂと一体的に形成した場合を示
したが、この背もたれ部１０は前記後部座板４ｂ
に対する座板支持体７ａ，７ｂに取付けても良
い。また、後部座板４ｂの後傾動に抗して弾性を
付与する手段としては実施例のようにトーシヨン
バー８に限らず、コイルばね又は板ばねでも良い
のである。

以上の通り本考案によると、後部座板が後傾動
しても前部座板は上下動及び傾斜動することがな
く、座つた人の大腿部が前部座板によつて全体的
に持ち上げられる現象を防止できるから、大腿部
に対する圧迫感のない、長時間座つても疲れない
座り心地の良い椅子を提供できる効果を有する。
しかも、座面クツシヨンを前部座板用のものと後
部座板用のものとに分離したから、後部座板のみ
を後傾動させることによつて座面クツシヨンに無
理な引つ張り力が作用するのを防止でき、その耐
久性を向上できると共に後部座板の後傾動を阻害
することもない。

また、構成も前部座板を座板支持部材に対して
固定するのみで良いから、頭記した先行技術のよ
うにリンク機構を使用するのに比べて構造が格段
に簡素化され、優れた座り心地を提供できるもの
でありながら安価に製造できる効果も有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は椅子全
体の側面図、第２図は傾動装置の側面図、第３図
は第２図の平面図、第４図は第２図の−視断
面図、第５図は座面クツシヨンと座板との関係を
示す断面図である。 １……椅子、３……脚体、４ａ……前部座板、
４ｂ……後部座板、５……傾動装置、６……座板
支持部材、７ａ，７ｂ……座板支持体、８……ト
ーシヨンバー、２７……座面クツシヨン、２７ａ
……前部座面クツシヨン、２７ｂ……後部座面ク
ツシヨン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 脚体の上方に配設した座板を前部座板と後部座
   板とに分割し、前記後部座板を、弾性に抗して後
   傾動し得るよう傾動装置を介して脚体に装着する
   一方、前記前部座板及び後部座板の上面には座面
   クツシヨンを配設して成る椅子おいて、前記前部
   座板を、脚体に固着した座板支持部材に対して上
   下動及び前後傾動不能に取り付ける一方、前記座
   面クツシヨンを、前部座板用の座面クツシヨンと
   後部座板用の座面クツシヨンとに分離したことを
   特徴とする椅子。