JPS6123653Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、デイーゼルエンジンの燃料供給装置
に関し、更に詳細には燃料タンクと燃料噴射ポン
プ間の燃料通路に、フイルター装置および空気抜
き用手動ポンプを配設してなるデイーゼルエンジ
ンの燃料供給装置に関する。

従来、デイーゼルエンジンにおいては、燃料通
路にセジメンタおよびフイルター装置もしくはセ
ジメンタ機構を備えたフイルター装置を設けると
ともに、水抜き作業時、もしくはフイルター交換
時、燃料通路内およびセジメンタ・フイルター装
置内のエア抜きを行なうために手動ポンプを設け
ている。該空気抜き用手動ポンプは、チエツクバ
ルブである吸入バルブと吐出バルブ、およびダイ
ヤフラム等を利用した手動ポンプ部からなつてお
り、通常は上記フイルター装置と一体に形成され
ている。この構造においては、燃料通路中の空気
を手動ポンプを用いて抜いた後、すなわち通常運
転時にも、燃料が手動ポンプを流れるので、燃料
はこのポンプを流れる際に吸入バルブと吐出バル
ブの抵抗を受け、従つて燃料の圧力損失が増大す
るという欠点および、燃料圧力により燃料噴射時
期を制御する噴射時期制御機構を備えた噴射ポン
プでは吸入バルブおよび吐出バルブによる燃料中
の気泡の発生により、噴射時期がくるつてくると
いう欠点があつた。そこで、実開昭55−52551号
においては、手動ポンプ付き燃料フイルターに、
手動ポンプ部を迂回してフイルター部へ燃料を導
くバイパス通路と、このバイパス通路を開閉する
バルブとを設けて、空気抜き以外のときは、手動
ポンプの吸入バルブが吐出バルブを介することな
く、燃料を直接フイルター部へ導びくようにし
て、燃料の圧力損失を減少させるようにしてい
る。しかし、この提案された配置では、手動ポン
プがフイルターより上流側にあり、完全に水抜き
されない燃料に接する恐れがあるため、低温時、
燃料中の水分によりポンプに氷結を生じることが
ある。

本考案は、通常運転時における燃料の圧力損失
が減少された、上記実開昭55−52551号とは異な
りポンプ氷結の問題を解決できる型式のデイーゼ
ルエンジンの燃料供給装置を提供することを目的
とするものである。

本考案によるデイーゼルエンジンの燃料供給装
置は、フイルター手段と燃料噴射ポンプの間に、
並列された第１および第２通路を設け、これらの
第１および第２通路のいずれか一方の通路に空気
抜き用手動ポンプを配するとともに、前記第１通
路と第２通路とを選択的に切り替えて、いずれか
の通路によつてフイルター手段と燃料噴射ポンプ
の間を連通させる切替え装置を備えたことを特徴
とするものである。

本考案のデイーゼルエンジンの燃料供給装置に
おいては、手動ポンプがフイルター装置と燃料噴
射ポンプの間、すなわちフイルター装置の下流側
に設けられているので、この手動ポンプにはフイ
ルター装置でほぼ完全に水が分離された燃料が供
給されるので、ポンプが寒冷時において凍結する
ことがない。また、本考案の燃料供給装置は、上
述のようにフイルター手段と燃料噴射ポンプの間
に、第１および第２通路を並列に設け、この第１
および第２通路のいずれかに空気抜き用手段ポン
プを配するとともに、この第１通路と第２通路と
を切り替える切替え装置とを備えているので、空
気抜き後の通常運転時において、燃料が手動ポン
プの吸入および吐出バルブを通ることがなく、従
つてこのバルブ通過時の燃料の圧力損失が減少す
るとともに、このバルブによる発泡が防止され、
この結果噴射ポンプにおける燃料噴射タイミング
がより正確なものとなる。

以下添付図面を参照して本考案の好ましい実施
例によるデイーゼルエンジンの燃料供給装置につ
いて説明する。

第１ないし３図は、本考案の第１の実施例によ
るデイーゼルエンジンの燃料供給装置の系統図、
およびその主要部の拡大図である。

この図において、符号１は燃料タンク、符号２
は燃料噴射ポンプとそれぞれ示す。この燃料タン
ク１と燃料噴射ポンプ２の間には、燃料通路３が
形成されている。この燃料通路３には、燃料から
主に水を分離するためのセジメンタ４およびフイ
ルター５が配設されており、更にこのフイルター
５の下流側にバイパス通路６が形成されている。
なお、セジメンタ４は従来のようにフイルター５
と一体の構成にしてもよい。このバイパス通路６
には、燃料通路３、特にフイルター５中の空気抜
きのための手動ポンプ７が設置されている。この
バイパス通路６によつてバイパスされた燃料通路
３′には、この燃料通路３′と上記バイパス通路６
とを切り替えて、このいずれかの通路３′または
６によつてフイルター５と燃料噴射装置２の間を
連通させる切替えバルブ８が設けられている。上
記手動ポンプ７が設けられたバイパス通路６と、
切替えバルブ８が設けられた燃料通路３′とは、
第２図に示したように一つのユニツトＵとして形
成し、フイルター装置とは別体によると構造が簡
単であり、製造や交換・補修も容易である。な
お、手動ポンプ７は、チエツクバルブである吸入
バルブ７ａおよび吐出バルブ７ｂと、これらのバ
ルブ７ａと７ｂの間に設けられた手動のポンプ部
７ｃとから構成されている。この手動ポンプ７の
構造は、従来の空気抜き用手動ポンプの構造と同
一であつてよいので、これ以上の説明は省略す
る。

本考案の燃料供給装置の作動にあたつては、ま
ず切替えバルブ８をを閉じ、手動ポンプ７を作動
させてバイパス通路６に燃料を流して燃料通路３
中、特にフイルター５中の空気抜きを行なう。こ
の空気抜きが完了した後、切替えバルブ８を開い
て燃料通路３′を開放し、通常運転を行なう。

第１乃至３図に示された実施例においては、燃
料通路３′にバルブ８を、バイパス通路６に手動
ポンプ７を配設した例について説明したが、この
配置は第４図に示すように逆であつてもよい。

次に第５乃至７図を参照して、本考案の第２の
実施例による燃料供給装置の主要部について説明
する。

この第５乃至７図に示された実施例において
は、第２図に示されたユニツトＵを変形したユニ
ツU′を備えている。このユニツトU′は、横断面
形状がほぼ半円形のケーシング１０を有してい
る。第５図には示されていないが、このケーシン
グ１０には入口開口１１および出口開口１２が設
けられており、これらの開口によつて燃料通路３
と連通している。上記ケーシング１０内には、図
示されているように横断面形状が扇形の切替え部
材１３が枢軸１４のまわりに回動できるように収
容されている。この切替え部材１３の内部には、
第２図の通路３′に対応する通路１５と、バイパ
ス通路６に対応する通路１６が平行に形成されて
いる。このバイパス通路６に対応する通路１６に
は、手動ポンプ７と同様の構造の手動ポンプ１７
が介装されている。この手動ポンプ１７は、ケー
シング１０に形成された長溝１８を通つてこのケ
ーシング１０から突出している。

切替え部材１３は、第５図に実線で示す通常運
転状態位置と、鎖線で示す空気抜き位置の２つの
位置のいずれかに手動で選択的に配されるように
なつている。ケーシング１０から突出するポンプ
１７は、この切替えの際の把持部材としても作用
する。切替え部材１３が通常運転状態位置に配置
されているとき、第６図に示すように、ポンプ１
７が設けられていない通路１５が燃料通路と連通
しており、一方切替え部材１３が空気抜き位置に
配されているとき、第７図に示すようにポンプ１
７が設けられている通路１６が燃料通路３と連通
している。切替え部材１３がこの空気抜き位置に
あるとき、手動ポンプ１７を作動させて、燃料通
路３中、特にフイルター５中の空気抜きを行な
い、この後切替え部材１３を通常運転状態位置に
切替え通常運転を行なう。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の第１の実施例によるデイー
ゼルエンジンの燃料供給装置の系統図、第２図
は、第１図に示した燃料供給装置の主要部を示す
部分拡大図、第３図は、第２図の線−に沿う
断面図、第４図は、第２図に示した燃料供給装置
の主要部の変形例を示す部分拡大図、第５図は、
本考案の第２の実施例による燃料供給装置の主要
部を示す横断面図、第６図は、切替え部材が通常
運転状態位置に配置された状態を示す第５図の線
−に沿う断面図、第７図は、切替え部材が空
気抜き位置に配置された状態を示す第５図の線
−に沿う断面図である。 １……燃料タンク、２……燃料噴射ポンプ、
３，３′……燃料通路、５……セジメンタ、６…
…バイパス通路、７……手動ポンプ、８……切替
えバルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンクからの燃料をフイルター手段を介し
   て燃料噴射ポンプに供給するデイーゼルエンジン
   の燃料供給装置において、前記フイルター手段と
   燃料噴射ポンプの間に、並列された第１および第
   ２通路を設け、これらの第１および第２通路のい
   ずれか一方の通路に空気抜き用手動ポンプを配す
   るとともに、前記第１通路と第２通路とを選択的
   に切り替えて、いずれかの通路によつて前記フイ
   ルター手段と前記燃料噴射ポンプの間を連通させ
   る切替え手段を備えたことを特徴とするデイーゼ
   ルエンジンの燃料供給装置。