JPS6122393Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は内部損失が大きく曲げ剛性の優れたス
ピーカ用振動板に関するものである。 従来のスピーカ用振動板としては、第１図、第
２図に示すように天然パルプ繊維１を抄造して構
成されていた。この振動板２は非常に軽量で内部
損失が大きく安価であるため最も多量に使用され
ているが、耐湿性が悪く剛性に乏しいといつた欠
点があつた。 本考案は以上のような天然パルプ繊維の振動板
の利点を生かし、しかも欠点を克服したスピーカ
用振動板を提供しようとするものである。 以下、本考案の実施例を図面第３図、第４図に
より説明する。 すなわち、３は天然パルプ繊維を主体とした抄
造よりなる基体層で、この基体層３の両面にはエ
ポキシ系、アクリル系、ポリエステル系などの光
硬化型樹脂層４，５が形成されてスピーカ用振動
板を構成している。 上記基体層３は天然パルプ繊維を主体とし、こ
れに炭素繊維、ガラス繊維などの高剛性繊維を混
抄したものを用いる。もちろん、天然パルプ繊維
のみであつてもよい。 しかも抄造時にポリビニールアルコール、ロジ
ンをそれぞれ２〜３％添加して抄造成形によつて
得られる振動板の基体層３のサイズ度をKBB法
で80〜90secし、光硬化型樹脂が内部に浸透しな
いようにする。 また、光硬化型樹脂層４，５は無溶剤型エポキ
シアクリレート系光硬化型樹脂を吹付け、コーテ
イングによつて基体層３上に樹脂層を設け、この
樹脂には増感剤としてベンゾフエノン系25％にジ
メチルアミノエタノール２％を含有したもので、
粘度は200〜300cpsの低粘度で均一な塗膜を形成
する。そして、60W／cm〜80W／cmの高圧水銀灯
にて紫外線を照射し硬化させたものであり、この
硬化時間１〜２秒で硬化し、膜厚は50〜60μであ
る。 本考案で用いる光硬化型樹脂を化学式で示すと
以下の通りである。 これは反応基で単独および共重合可能であり、
光照射によつてこの基が共重合し硬化する。 このように構成した本考案と従来の天然パルプ
繊維よりなるスピーカ用振動板を比較すると以下
のようになる。 〔物 性〕

〔耐湿性〕

55℃、95％RHの雰囲気中に24時間放置後の吸
湿性を比較した（実験前後の重量比較）。 本考案 0.8％（重量up） 従来例 18.0％（ 〃 ） 以上のように本考案のスピーカ用振動板は構成
されるため、天然パルプ繊維を主体とした基体層
により十分な内部損失が確保でき、表面の光硬化
型樹脂層は基体層にまで含侵されずにすべて硬化
されるので十分な剛性が付与でき、しかも全体と
して軽量となり、光硬化型樹脂層として無溶剤樹
脂を用いているので安全性も高く、耐湿性向上も
計れ、実用的価値の大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のスピーカ用振動板の半断面図、
第２図は同要部の拡大断面図、第３図は本考案の
スピーカ用振動板の一実施例を示す半断面図、第
４図は同要部の拡大断面図である。 ３……基体層、４，５……光硬化型樹脂層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 天然パルプ繊維を主体とし、ポリビニールアル
   コール、ロジンを添加して抄造成形によつて得ら
   れ、サイズ度がKBB法80〜90secである基体層に
   光硬化型樹脂層を形成してなるスピーカ用振動
   板。