JPS6121989Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は殺虫剤液を加熱蒸散せしめて殺虫を行
う殺虫器に関し、詳しくは吸上芯を用いて殺虫剤
液を連続的に加熱体に供給し、殺虫剤液を蒸散せ
しめる吸芯式の殺虫器に関する。

従来、加熱蒸散殺虫方法による電熱式殺虫器と
しては、電気蚊取器の様にパルプ板に殺虫剤原液
を含浸させたマツトを発熱板上に置き、マツトを
加熱して有効成分を蒸散させる方式のものが汎用
されている。しかしこの方式のものはマツトを毎
日取り換える必要があつて面倒であり、また有効
成分の揮散量が経時的に減少していくという欠点
がある。

前記マツト使用による殺虫器の欠点を解消する
ものとして、吸上芯を用いて殺虫剤液を連続的に
加熱体上に供給し、殺虫剤液を加熱蒸散させる毛
細管現象を利用した吸芯式の電熱式殺虫器が提案
されている。この方式のものは殺虫剤液の補充を
ひんぱんに行う必要がなく、補充なしに長時間に
わたつて使用し得る上、有効成分の揮散量が経時
的に変化することがない等の利点がある。

しかし、この吸上芯式加熱蒸散方式の殺虫器と
して従来より種々の型の殺虫器が提案されている
が、いずれも殺虫器本体に固定された加熱体に吸
上芯の上部を当接又は固定してあるもので、これ
は殺虫剤液がなくなつた場合、その殺虫剤液の容
器を交換する方式であり、吸上芯の上部は直接加
熱体に接触しているので、長期間使用すると殺虫
剤液中の不純物や熱分解物のために吸上芯や加熱
体が汚れてきたり、吸上芯が加熱体に固着して取
れなくなるといつた欠点があつた。また、これを
解消するために加熱体と吸上芯との間に隙間を設
け、空気を介して吸上芯に熱を伝えることにより
有効成分を揮散させる方式のもの（実公昭44−
8361、同45−14913）もあるが、これらも長期間
使用すると吸上芯が汚れてくるといつた問題があ
り、また熱効率の点でも問題がある。

本考案は上記事情を改善するためなされたもの
で、吸上芯を耐熱性樹脂等の耐熱性材料で被覆す
ると共に、吸上芯を容器本体に着脱可能に装着
し、かつ吸上芯に金属製当接部材を装着し、これ
を介して加熱体の熱を吸上芯に伝導させて有効成
分を蒸散させることにより、前記従来の欠点を解
消した吸芯式殺虫器を提供するものである。

以下、図示した実施例に基づき本考案の詳細を
説明する。

第１図は本考案の好適な一実施例を示すもの
で、図中１は交換部材装着部２を有する殺虫器本
体である。３はこの装着部２に着脱可能に装着さ
れた交換部材で、この交換部材３は上端が開口し
た四角箱体４を仕切板５にて仕切り、この仕切板
５と上記箱体４の一方の側板６との間を殺虫剤液
容器７として構成すると共に、上記仕切板５と上
記箱体４の他方の側板８との間に吸上芯９を配設
した構成とされており、また仕切板５の下部に開
口部１０が形成されて、吸上芯９の下部が上記容
器７内と連通しており、容器７内殺虫剤液１１が
開口部１０を通つて吸上芯９の毛細管現象で吸上
げられるようになつている。更に、上記箱体４の
底面は一方の側板６から他方の側板８に向つて下
向傾斜して形成され、これにより殺虫剤液１１が
確実に吸上芯９の方向に流れて容器７内に殺虫剤
液１１が残らないようになつていると共に、上記
容器７の上端開口部は仕切体５と一方の側板６と
の間に配設された覆板１２によつて閉塞され、こ
れにより殺虫剤液１１の自然的な揮散が防止され
ている。

上記吸上芯９には、ステンレススチール、アル
ミニウム、クヨムメツキしたスチール等の金属板
よりなる当接部材１３の一端側が吸上芯９の上側
部に当接した状態で取り付けられていると共に、
この当接部材１３の他端側は他方の側板８を貫通
してこの側板８の外側に露呈され、この当接部材
１３の露呈部１４の上記殺虫器本体１に配設され
た加熱体１５が当接しており、この加熱体１５と
接続する電源コード１６を所定の電源（図示せ
ず）に接続することにより加熱体１５が通電され
て発熱し、この熱が上記金属製当接部材１０に伝
導されて吸上芯９の上部が加熱されるようになつ
ている。なお、図中１７は加熱体１５が通電され
ていることを表示する表示ランプである。

上記構成において、四角箱体４、特に他方の側
板８と仕切板５はナイロン樹脂、ポリエステル樹
脂、フツ素樹脂等の約100゜Ｃ以上、とりわけ約
150゜Ｃ以上の温度に長時間耐え得る耐熱性樹
脂、その他の耐熱性材料で形成され、吸上芯９が
耐熱性材料で被覆された構成とされている。また
吸上芯９は毛細管現象を利用して殺虫剤液を流通
させ得るものであればいずれのものでも使用でき
るが、特に約100゜Ｃ以上の耐熱性を有するフエ
ルト、不織布、グラスフアイバー、磁器多孔質等
が好適に用いられる。更に、加熱体は抵抗電熱
体、PTCサーミスタ、特公昭52−10527号に記載
されている如きセラミツクヒーター等、適宜なも
のが使用し得る。

第１図に示した殺虫器は、以上のような構成で
あるから、殺虫剤液容器７内の殺虫剤液がなくな
つた場合、交換部材３を殺虫器本体１から取りは
ずし、新しい交換部材３と交換することにより、
殺虫剤容器７、吸上芯９と同時に金属製当接部材
１３も一諸に交換し得、従つて使用により吸上芯
９、金属製当接部材１３が汚れてもこれを一挙に
交換できて、吸上芯９、金属製当接部材１３が新
しい状態で使用できるものである。

またこの場合、本件１内に配設された加熱体１
５に吸上芯９に装着された金属製当接部材１３が
当接しているので、加熱体１５が殺虫剤液の不純
物や加熱分解物で汚れることがなく、また吸上芯
９や当接部材１３が加熱体１５に固着されてとれ
なくなるような不都合は生ぜず、加熱体１５が常
にきれいな状態に保持され、かつ交換部材３の取
りはずしが容易に行なわれる。しかも、加熱体１
５からの熱が熱伝導性の良好な金属製当接部材１
３を介して吸上芯９に伝えられるもので、熱が輻
射でなく、伝熱によつて伝えられるものである
上、吸上芯９のまわりを耐熱性樹脂等の耐熱性材
料で囲んであることにより非常に熱効率が良く、
加熱体１５を小さく形成できるものであり、市販
電気蚊取器に用いられているような大きな加熱体
を用いる必要がない。しかもこのように耐熱性樹
脂で被覆してあるため、殺虫器本体１より取りは
ずす場合に吸上芯９に手を触れなくてもよく、従
つて殺虫剤液で手が汚れないため便利であると共
に、殺虫器本体１の壁などに殺虫剤液が付着し
て、これを汚すこともないものである。また、上
記実施例の殺虫器は、上述したように箱体４の底
面が一方の側板６から他方の側板８に向けて下向
傾斜しているため、殺虫剤液１１が最後まで吸上
芯９に確実に流れて吸上げられると共に、殺虫剤
液容器７は覆板１２に閉塞され、大気と連通して
いないため殺虫剤液１１が無駄に揮散することが
なく、殺虫剤液１１を無駄なく使用し得るもので
ある。

第２図乃至第６図はそれぞれ吸上芯９に対する
金属製当接部材１３の装着状態の種々の変形例を
示すもので、吸上芯９に当接部材１３を装着する
場合、例えば第３図に示すように当接部材１３の
露呈部１４を他方の側板８と離間させて配置して
もよく、また第５図に示すように他方の側板８に
窓孔１７を穿設し、この窓孔１７に対応して他方
の側板８内面に当接部材１３を配設するようにし
てもよく、更に第６図に示したように当接部材１
３の一端側を吸上芯９に完全に埋設するようにし
てもよく、金属製当接部材１３の装着態様は種々
変更可能である。なお、当接部材１３は必らずし
も板状のものに限られず、所望の形状に形成し得
る。

第７図は三角形状の吸上芯９の例を示すもので
あり、吸上芯９の形状も図示のものに限定され
ず、種々変更することができる。

なお、上記実施例では吸上芯９と殺虫剤液容器
７とを一体に構成したが、吸上芯９と容器７とを
別体に構成し、それぞれを別個に殺虫器本体１か
ら着脱可能に装着し、或いは容器７を殺虫器本体
１に固定し、吸上芯９のみを着脱可能に装着する
ようにしてもよい。なお、殺虫器本体１に容器７
を固定た場合、覆板１２に開口部を設けると共
に、この開口部に蓋体を着脱可能に取り付け、殺
虫剤液がなくなつた場合にこの開口部から殺虫剤
液を補充するようにすることもできる。なおま
た、その他の構成についても本考案の要旨を逸脱
しない範囲で種々変更して差支えない。

以上説明したように、本考案は殺虫剤液容器内
の殺虫剤液を吸上芯で吸上げ、この吸上芯の上部
を加熱することにより殺虫剤液を加熱蒸散せしめ
る吸芯式の殺虫器において、殺虫器本体に外周部
を耐熱性材料で被覆した吸上芯を着脱可能に装着
し、この吸上芯に金属製当接部材を装着すると共
に、上記殺虫器本体に配設された加熱体に上記当
設部材を当接し、かつ上記吸上芯の下部を殺虫剤
液容器内と連通させてこの容器内の殺虫剤液を上
記吸上芯に供給するように構成したことにより、
吸上芯が殺虫剤液中の不純物や熱分解物のため汚
れても、これを新しい吸上芯と簡単に交換し得、
このため常に安定した殺虫剤液の加熱蒸散効果を
達成することができる上、加熱体に当接部材を介
して吸上芯が接触しているので、加熱体が殺虫剤
液の不純物や熱分解物で汚れることが全くないも
のである。しかも、加熱体からの熱は金属製当接
部材の伝熱により吸上芯に伝えられる上、吸上芯
は耐熱性材料により被覆されているので非常に熱
効率が良いと共に、吸上芯を交換するような場合
に手が殺虫剤液で汚れるようなこともなく、非常
に使用し易い簡便なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、第２
図乃至第６図はそれぞれ本考案の別の実施例に係
る吸上芯及び当接部材の断面図、第７図は更に別
の実施例に係る吸上芯及び当接部材の斜視図であ
る。 １……殺虫器本体、２……交換部材装着部、３
……交換部材、７……殺虫剤液容器、９……吸上
芯、１０……金属製当接部材、１１……開口部、
１５……加熱体、１６……電源コード。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 殺虫剤液容器内の殺虫剤液を吸上芯で吸上
   げ、この吸上芯の上部を加熱することにより殺
   虫剤液を加熱蒸散せしめる吸芯式の殺虫器にお
   いて、殺虫器本体に外周部を耐熱性材料で被覆
   した吸上芯を着脱可能に装着し、この吸上芯に
   金属製当接部材を装着すると共に、上記殺虫器
   本体に配設された加熱体に上記当接部材を当接
   し、かつ上記吸上芯の下部を殺虫剤液容器内と
   連結させて、この容器内の殺虫剤液を上記吸上
   芯に供給するよう構成したことを特徴とする殺
   虫器。 ２ 吸上芯と殺虫剤液容器を一体に連結して、吸
   上芯及び容器を一体に交換可能とした実用新案
   登録請求の範囲第１項記載の殺虫器。