JPS6120766Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、改良された圧接形半導体装置に関
するものである。

従来、圧接形半導体装置はその容器内において
半導体基板と電極とを皿バネを介して加圧保持
し、上記半導体基板と上記電極との電気的及び熱
的伝導を行なうようにしたものであり、加圧力の
保持はねじ等によつて行なつていた。

第１図はこのような従来の圧接形半導体装置を
示す断面図である。

１は半導体基板であり、この半導体基板１は
pn接合を有し、その一主面には、これを補強す
るモリブデン製の支持板からなる陽極がアルミニ
ウムによつてろう付けされ、また、半導体基板１
の他の主面にはアルミニウムが蒸着されることに
より陰極が形成されている。２ａは第１の端面に
半導体基板１の陽極が加圧接触され、第２の端面
には取り付けボルトが設けられた銅製のスタツ
ド、２ｂは半導体基板１を囲繞すると共に、一方
の端部がスタツド２ａのスタツド２ａの周縁部に
ろう付けされ、他方の端部の内壁にネジ部ａが設
けられた筒状体、２は上記銅製スタツド２ａと上
記筒状体２ｂとから構成された陽極導電体、３は
その一方の端部に設けられ半導体基板１の陰極に
加圧接触される円板部３ａと、該円板部３ａの中
央から突出するように形成され、その先端部が外
部に導出される棒状導出部とから構成された陰極
導電体、４はバネ用合金鋼からなり、陰極導電体
３の円板部３ａを半導体基板１の陰極に加圧接触
させるため３個のリング状の皿バネ、５は陰極導
電体３の円板部３ａ上に載置されて、陰極導電体
３と皿バネ４、即ち陰極導電体３と陽極導電体２
とを絶縁するためのリング状のアルミナセラミツ
ク製絶縁板、６は陽極導電体２のネジ部ａにねじ
込まれるネジが設けられたリング状の鉄製の止め
ネジである。

上記１〜６は、以下に示すように組立てられ
る。即ち、半導体基板１、陰極導電体３、絶縁板
５、及び皿バネ４を陽極導電体２の筒状体２ｂに
順に挿入し、その後、図示しない加圧装置によつ
て半導体基板１が陽極導電体２と陰極導電体３に
接触するように皿バネ４を圧縮変形させ、陽極導
電体２の筒状体２ｂに設けられたネジ部ａに止め
ネジ６をねじ込み、圧縮変形した皿バネ４をその
状態で保持するように組立てられる。

ところで、このような従来の圧接形半導体装置
は、次のような問題がある。即ち大電力用圧接形
半導体装置、例えば外径30mm以上の半導体基板１
を有するものでは、これに加えるべき加圧力は
700Kg以上にする必要があるが、中小電力用圧接
形半導体装置、例えば外径12mm以下の半導体基板
１を有するものでは、これに加えるべき加圧力は
110Kg以下で良く、第１図に示す従来の圧接形半
導体装置では、過剰な高品質となり、不経済であ
るという問題点があつた。

この考案は上記のような従来のものの問題点を
除去するためになされたもので、押圧部材の筒状
体との接触表面に筒状体の内壁にくい込みこれと
結合する目切り加工又はローレツト加工による複
数の凸部を設けることにより、安価な圧接形半導
体装置を得ることを目的としている。

以下本考案の実施例を図について説明する。

第３図は本考案の第１の実施例の圧接形半導体
装置を示す側面図、第２図ａはこの実施例に使用
される押圧部材を示す斜視図である。

図において、１〜５，２ａ，２ｂ，３ａは第１
図と同一のもので、１０は環状の鋼製の押圧部材
であり、この押圧部材１０の外壁下側にはテーパ
ー部１１が設けられ、外壁上側には、第２図ａに
示すその先端部が上部方向に向くヤスリの表面に
形成されるものと同様の複数の目切り加工による
凸部１２が加工されている。

以下、この目切り加工された押圧部材の詳細に
ついて述べる。押圧部材１０の孔は、該押圧部材
１０と陰極導電体３の棒状導電体のすきまが該両
者の耐電圧によつて決められる規定の寸法になる
ように形成されている。またテーパー部１１の最
小外径は、陽極導電体２の筒状体２ｂの内径より
小さくなつており、筒状体２ｂへ押圧部材１０を
容易に挿入できるように配慮されている。また、
目切り加工による凸部１２部分の外径は筒状体２
ｂの内径よりわずかに大きくなつており、筒状体
２ｂへの押圧部材１０を圧入して嵌合できるとと
もに、目切り凸部１２を筒状体２ｂの内壁にくい
込ませ、これにより皿バネ４の圧縮変形による弾
性圧力を保持できるように設計されている。

このような本実施例装置の組み立ては、まず陽
極導電体２の筒状体２ｂ内へ半導体基板１をその
陽極が下向きになるように挿入し、次に陰極導電
体３、絶縁板５、３個の皿バネ４を順次挿入す
る。次に、押圧部材１０を、そのテーパー部１１
が筒状体２ｂの上端部内壁に接するように載置す
る。

そして、図示しない加圧装置の加圧台に陽極導
電体２を載置して、加圧治具によつて押圧部材１
０を上部から押され、押圧部材１０が皿バネ４を
ほぼ平坦になるまで圧縮変形させるように、規定
の寸法または圧力になるまで押圧部材１０を筒状
体２ｂの内壁に圧入する。その後、加圧治具の圧
力を解放すると、押圧部材１０はその目切り凸部
１２が筒状体２ｂの内壁にくい込むことによつて
これに固定され、圧縮変形した皿バネ４は押圧部
材１０によつて保持される。

このように本実施例では、押圧部材の表面に、
目切り加工によつて複数の凸部を横方向に並ぶよ
うに形成したので、これが筒状体の内壁と強く結
合して下方からの圧力によつても押圧部材が抜け
ることはなく、上記従来の圧接形半導体装置のよ
うに、筒状体２ｂや止めネジ６のネジ加工が不要
になり、従つて中小電力用圧接形半導体装置を低
廉化することができる。

第２図ｂは本考案の第２の実施例の圧接形半導
体装置に用いられる押圧部材を示し、該実施例の
全体構成は第３図と同じである。この押圧部材２
０の外周にはローレツト加工が施されて、ローレ
ツト目１３が形成されており、１３ａは該ローレ
ツト目１３の凸部、１３ｂは該ローレツト目１３
の凹部である。

この押圧部材２０の孔の寸法及びそのテーパー
部２１の最小外径は、上記第１の実施例の押圧部
材１０と同一寸法であり、またローレツト目の凸
部１３ｂの外径は上記目切り凸部１２の外径と同
一寸法である。

またこの第２実施例装置は目切り凸部１２がロ
ーレツト目の凸部１３ａである点を除き、上記第
１の実施例と同様にして組立てられる。

このような第２の実施例においても加工が容易
で廉価になるという上記実施例と同様な効果が得
られる。

以上説明したようにこの考案によれば、押圧部
材の筒状体との接触表面に目切り加工又はローレ
ツト加工による複数の凸部を横方向に並べて設け
たので、押圧部材が上方に抜けるようなことなく
その加工を簡単にすることができ、安価な圧接形
半導体装置を得ることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の圧接形半導体装置の断面図、第
２図ａ，ｂは本考案の第１，第２の実施例の圧接
形半導体装置に使用される押圧部材を示す斜視
図、第３図は本考案の第１，第２の実施例の圧接
形半導体装置の全体構成を示す断面図である。 １は半導体基板、２は陽極導電体、２ｂは筒状
体、３は陰極導電体、４は皿バネ、５は絶縁板、
１０，２０は押圧部材、１１，２１はテーパー
部、１２は目切り部、１３はローレツト目、１３
ａはローレツト目の凸部、１３ｂはローレツト目
の凹部である。なお図中同一符号は同一又は相当
部分を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 一方の電極となる放熱体と、 この放熱体上に載置された筒状体と、 該筒状体で囲まれ上記放熱体上に載置された半
   導体基板と、 上記筒状体で囲まれ上記半導体基板の上記放熱
   体と反対側の主面に接して設けられた電極と、 上記筒状体で囲まれ上記電極の上記半導体基板
   と反対側の主面側に絶縁板を介して設けられた弾
   性部材と、 その上記筒状体との接触面に上記筒状体の内壁
   にくい込みこれと結合する目切り加工またはロー
   レツト加工による複数の凸部がその円周方向に並
   んで配設されてなり、上記弾性部材を押圧してこ
   れを変形させるように上記筒状体に嵌入される押
   圧部材とを備えたことを特徴とする圧接形半導体
   装置。