JPS6120426B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、金属製キヤツプシエル内にライニン
グ素材を分配し型押成形するための装置に関す
る。 近時、瓶又は缶の如き容器の開口部を密封閉塞
するためのキヤツプとして、ブリキ又はテインフ
リースチールの如き鋼板或いはアルミニウム基礎
合金板等の適宜の金属板から形成された金属製キ
ヤツプシエルの天面内側に、ポリエチレン又はポ
リプロピレンの如きポリオレフイン系樹脂或いは
塩化ビニール等の適宜の合成樹脂材料製のライニ
ング材を施した形態のキヤツプが広く実用に供さ
れている。 而して、金属製キヤツプシエルの天面内側にラ
イニング材を施す装置としては、特公昭42―
20759号公報、特開昭52―99186号公報或いは本出
願人の出願に係る特願昭53―82888号明細書及び
図面に記載されている通り、キヤツプシエル供給
位置からライニング素材分配位置を介してキヤツ
プシエル移送位置まで所定の搬送路を通してキヤ
ツプシエルを所定の速度で搬送するための搬送機
構と、該キヤツプシエル供給位置にて該搬送機構
にキヤツプシエルを供給するための供給機構と、
該キヤツプシエル供給位置と該ライニング素材分
配位置との間にて該搬送路に沿つて配設された加
熱器と、該ライニング素材分配位置にてキヤツプ
シエル内に所定量のライニング素材を分配するた
めのライニング素材分配機構と、該キヤツプシエ
ル移送位置にて該搬送機構からキヤツプシエルを
受取り、キヤツプシエル内のライニング素材を所
定の形状に型押成形するための型押機構から構成
された装置が好適に使用されている。 かような装置においては、上記加熱器によつて
キヤツプシエル（特にその天面）が所定の温度ま
で加熱され、しかる後にキヤツプシエル内にライ
ニング素材が分配され型押成形される。一般に、
キヤツプシエルの内側面には、例えばエポキシフ
エノール系塗料に酸化ポリエチレン又は無水マレ
イン酸変性ポリエチレンを分散せしめた接着プラ
イマーが塗布及び焼付されており、上記加熱器に
よつてキヤツプシエルが加熱されると、接着プラ
イマーも加熱される。そして、接着プライマーが
高温状態にある間に、ライニング素材が型押成形
される故に、型押成形されたライニング材は接着
プライマーの作用によつてキヤツプシエルの天面
内側に接合される。 しかるに、キヤツプシエルとライニング材との
接合強度並びにこれに関するキヤツプシエルの加
熱について鋭意研究及び実験の結果、次の通りの
事実が判明した。即ち上述した通りの従来の装置
においては、キヤツプシエルは、キヤツプシエル
供給位置とライニング素材分配位置との間でしか
加熱されず、ライニング素材分配位置から下流に
ては加熱されない。一方、キヤツプシエル内に分
配されたライニング素材を型押成形するために
は、ライニング素材が分配されたキヤツプシエル
を型押機構に搬入することが必要であるが、かく
するには、キヤツプシエルの搬送に関する機械的
な要請からして、ライニング素材分配位置から型
押機構までの間にて所要の長さの搬送路を通して
キヤツプシエルを搬送することが必要である。そ
れ故に、上述した通りの従来の装置においては、
特にキヤツプシエルがアルミニウム基礎合金の如
き熱伝導率が高い金属材料から形成されている場
合、ライニング素材分配位置から型押機構にキヤ
ツプシエルを搬入する間に放熱によりキヤツプシ
エルの温度が相当降下し、これに起因してキヤツ
プシエルと型押成形されたライニング材との接合
力が不充分なものになつてしまう傾向があること
が判明した。他方、キヤツプシエルをライニング
素材分配位置から型押機構に搬入する間のキヤツ
プシエルの温度降下を考慮して、キヤツプシエル
がライニング素材分配位置へ到るまでの間に、キ
ヤツプシエルを充分に高い温度まで加熱せんとす
ると、キヤツプシエルがキヤツプシエル供給位置
からライニング素材分配位置まで搬送される間に
キヤツプシエルを急速に加熱することが必要であ
り、かくする場合、キヤツプシエルの天面を均一
に加熱することが極めて困難であり、キヤツプシ
エルの天面の温度分布が不均一なものになつてし
まう。特にキヤツプシエルの搬送が高速で遂行さ
れる装置においては、キヤツプシエルの天面の温
度分布が著しく不均一なものになつてしまう。 従来の装置に存在するかような問題を解決する
ために、キヤツプシエル供給位置とライニング素
材分配位置との間にてキヤツプシエルを加熱する
ことに代えて、ライニング素材分配位置とキヤツ
プシエル移送位置との間、即ちライニング素材分
配位置から型押機構へキヤツプシエルを搬入する
までの間にてキヤツプシエルを加熱することが考
えられる。しかしながら、かようにすると、ライ
ニング素材分配機構が押出器から押出された合成
樹脂をキヤツプシエルの天面内側の所定の位置に
分配する際に、ライニング素材分配位置にてはキ
ヤツプシエルが加熱されておらずに低温であるこ
とに起因して、キヤツプシエルの天面内側に分配
されたライニング素材が慣性によつてキヤツプシ
エルに対して移動し、キヤツプシエルの天面内側
の所定の位置に適切に保持されないと言う別個の
重大な問題が生ずる。また、ライニング素材分配
位置とキヤツプシエル移送位置との間にてキヤツ
プシエルを充分均一に且つ所要の高温度まで加熱
するには、上記２つの位置間の搬送路を必要以上
に長くしなければならない。 本発明は上記の事実に鑑みてなされたものであ
り、その主目的は、金属製キヤツプシエル内のラ
イニング素材を分配し型押成形するための装置で
あつて、上述した通りの別個の問題を生ぜしめる
ことなく、型押成形されたライニング素材がキヤ
ツプシエルに充分な強度で確実に接合されるよう
になすことができる改良された装置を提供するこ
とである。 本発明者等は、鋭意研究及び実験の結果、先ず
第１に、ライニング素材を分配する際のキヤツプ
シエルの温度と分配されたライニング素材を型押
成形する際のキヤツプシエルの温度の双方を夫々
適切なものにするためには、搬送機構によつて搬
送されるキヤツプシエルを、キヤツプシエル供給
位置とライニング素材分配位置との間にて加熱す
ると共に、ライニング素材分配位置とキヤツプシ
エル移送位置との間（即ちキヤツプシエルがライ
ニング素材分配位置から搬送されて型押機構に搬
入されるまでの間）にても加熱することが重要で
あることを見出した。 第２に、キヤツプシエルを加熱するための加熱
器としては、加熱空気をキヤツプシエルに送給す
る形態の加熱器等の種々の加熱器が考えられる
が、高速で搬送されるキヤツプシエルを比較的短
時間のうちに所要の通りに加熱するためには、高
周波誘導電流を利用して加熱を遂行する高周波誘
導加熱器を用いることが重要であることを見出し
た。而して、本発明者等の発明に関する特願昭53
―62304号明細書及び図面並びに特願昭53―87079
号明細書及び図面に記載されている如く、特にキ
ヤツプシエルがアルミニウム基礎合金の如き非磁
性体から形成されている場合には、単に、キヤツ
プシエルの搬送路に沿つて且つこの搬送路を通し
て搬送されるキヤツプシエルの天面に対向して延
びる加熱コイルを配設し、かかる加熱コイルに高
周波電流を供給してキヤツプシエルを高周波誘導
加熱せんとしても、キヤツプシエルに生成される
誘導電流による磁界と加熱コイルを流れる高周波
電流による磁界との反発作用に起因してキヤツプ
シエルが浮上跳飛してしまい、キヤツプシエルの
加熱と共にその搬送も不可能になつてしまう。然
るに、本発明者等が先に提案し上記特願昭53―
62304号明細書及び図面及び特願昭53―87079号明
細書及び図面に開示した如く、キヤツプシエルの
搬送路に沿つて且つこの搬送路を通して搬送され
るキヤツプシエルのスカート端縁に対向して延
び、キヤツプシエルの上記浮上跳飛を防止する案
内板を備えた高周波誘導加熱器を用いれば、キヤ
ツプシエルの搬送を阻害することなくキヤツプシ
エルを所要の通りに加熱することが可能になる。 本発明は、本発明者等が鋭意研究及び実験の結
果として見出した上記の見識に基くものであり、
本発明によれば、キヤツプシエル供給位置からラ
イニング素材分配位置を介してキヤツプシエル移
送位置まで所定の搬送路を通してキヤツプシエル
を所定の速度で搬送するための搬送機構と、該キ
ヤツプシエル供給位置にて該搬送機構にキヤツプ
シエルを供給するための供給機構と、該ライニン
グ素材分配位置にてキヤツプシエル内に所定量の
ライニング素材を分配するためのライニング素材
分配機構と、該キヤツプシエル移送位置にて該搬
送機構からキヤツプシエルを受取り、キヤツプシ
エル内のライニング素材を所定の形状に型押成形
するための型押機構を具備する、金属製キヤツプ
シエル内にライニング素材を分配し型押成形する
ための装置において、該搬送機構によつて搬送さ
れるキヤツプシエルを、該キヤツプシエル供給位
置と該ライニング素材分配位置との間及び該ライ
ニング素材分配位置と該キヤツプシエル移送位置
との間にて加熱する高周波誘導加熱器が設けられ
ており、この高周波誘導加熱器は、該キヤツプシ
エル供給位置と該ライニング素材分配位置との間
及び該ライニング素材分配位置と該キヤツプシエ
ル移送位置との間を該搬送路に沿つて且つ該搬送
路を通して搬送されるキヤツプシエルの天面に対
向して延びる加熱コイルと、該加熱コイルに高周
波電流を供給するための高周波発振器と、該キヤ
ツプシエル供給位置と該ライニング素材分配位置
との間及び該ライニング素材分配位置と該キヤツ
プシエル移送位置との間を該搬送路に沿つて且つ
該搬送路を通して搬送されるキヤツプシエルのス
カート端縁に対向して延びる案内板とから構成さ
れていることを特徴とする装置が提供される。 本発明の好適実施態様においては、該案内板は
透明耐熱強化ガラス製であり、そして該加熱コイ
ルは該キヤツプシエル供給位置と該ライニング素
材分配位置との間及び該ライニング素材分配位置
と該キヤツプシエル移送位置との間の大部分にお
いて、該キヤツプシエルの天面の直径より小さい
間隔を置いて位置し且つ電流の流れが相互に逆方
向である対になつた部分を有する。 以下、本発明の装置の具体例を示している添付
図面を参照して、更に詳細に説明する。 本発明に従う装置の全体の構成を平面図にて簡
略に図示している第１図を参照して説明すると、
図示の装置は、キヤツプシエルを所定の速度で搬
送するための搬送機構２と、この搬送機構２にキ
ヤツプシエルを供給するための供給機構４と、上
記搬送機構２によつて搬送されるキヤツプシエル
内に所定量のライニング素材を分配するためのラ
イニング素材分配機構６と、上記搬送機構２から
キヤツプシエルを受取つてキヤツプシエル内のラ
イニング素材を所定の形状に型押成形するための
型押機構８を具備している。 搬送機構２は、周縁に略半円形状の複数個の切
欠部１０が形成されている回転盤１２から構成さ
れている。回転盤１２は駆動源（図示していな
い）に駆動連結されていて、矢印１４で示す方向
に連続的に回転駆動せしめられる。供給機構４
は、回転盤１２の周縁部に近接する位置まで延び
ている送給シユート１６を有しており、符号Ａで
示すキヤツプシエル供給位置にて、回転盤１２の
複数個の切欠部１０の各々に順次に、倒立状態即
ち天面が下方に位置しスカートが上方に延びる状
態（第２図参照）でキヤツプシエル１８を供給す
る。回転盤１２のまわりには、回転盤１２の周縁
に対して半径方向外側に所定の間隔を置いて延び
ている円弧状の案内壁２０（第２図も参照された
い）が配設されている。また、回転盤１２の周縁
の下方には、後に詳細に説明する加熱器の部分を
除いて、適宜の支持板（図示していない）が配設
されている。上記供給機構４によつて回転盤１２
の切欠部１０に供給されたキヤツプシエル１８
は、その天面が上記支持板上に位置しその側面が
上記案内壁２０によつて拘束されることによつて
切欠部１０内に保持され、回転盤１２の回転に応
じて所定の速度で搬送される。 ライニング素材分配機構６は、符号Ｂで示すラ
イニング素材分配位置にて、上記搬送機構２によ
つて搬送されているキヤツプシエル１８内に、更
に詳しくはキヤツプシエル１８の天面内側の所定
の位置に、所定量のライニング素材を分配する。
かようなライニング素材分配機構６は、例えば、
上記ライニング素材分配位置Ｂの上方に位置する
押出口を有し、ポリエチレン又はポリプロピレン
の如きポリオレフイン系樹脂或いは塩化ビニール
等の適宜の合成樹脂でよいライニング素材を加熱
軟化状態にせしめて上記押出口から押出す押出器
２２と、駆動源（図示していない）によつて回転
駆動される回転軸２４に支持されていて、上記押
出口を横切るように回転され、押出口から押出さ
れたライニング素材を切断してキヤツプシエル１
８内へ運ぶ回転切断刃２６から構成することがで
きる。 型押機構８は、適宜の駆動源によつて矢印２８
の方向に回転駆動され、かかる回転の際に、符号
Ｃで示すキヤツプシエル移送位置にて搬送機構２
からキヤツプシエル１８を受取り、キヤツプシエ
ル１８内のライニング素材を所定の形状に型押成
形する所謂回転型の型押器から構成することがで
きる。 図示の装置の上述した機構、即ち搬送機構２、
分配機構４、ライニング素材分配機構６及び型押
機構８は、本発明に従う装置の新規な特徴を構成
するものではなく、上記特公昭42―20759号公
報、特開昭52―99186号公報或いは特願昭53―
82888号明細書及び図面に開示されている装置に
用いられている機構と同様のものでよい。従つ
て、これらの機構の構成及び作用効果の詳細につ
いての説明は上記公報或いは明細書及び図面に委
ね、本発明書においては省略する。 而して、上記の装置においては、既に説明した
通り、キヤツプシエル１８の天面内側の所定の位
置にライニング素材を確実に分配するために、そ
してまた型押成形したライニング素材をキヤツプ
シエル１８の天面内側に充分強固に接合するため
に、ライニング素材分配機構６によつてライニン
グ素材が分配される際、従つてライニング素材分
配位置Ｂでのキヤツプシエル１８の温度、並びに
型押機構８によつて型押される際、従つて型押機
構８に移送された後のキヤツプシエル１８の温度
が所要の値であることが重要である。上記温度は
キヤツプシエル１８の材料及び使用されるライニ
ング素材によつて幾分変化するが、例えばキヤツ
プシエル１８がアルミニウム基礎合金製で且つ内
側面にはエポキシフエノール系塗料に酸化ポリエ
チレン又は無水マレイン酸変性ポリエチレンを分
散せしめた接着プライマー（かかる接着プライマ
ーについては、特公昭54―9632号公報及び特公昭
54―11836号公報を参照されたい）が塗布及び焼
付されたものであり、ライニング素材がポリエチ
レン又はポリプロピレンの如きポリオレフイン系
樹脂である場合には、ライニング素材分配位置で
のキヤツプシエル１８の温度は、約120乃至210
度、特に約140乃至160度、であるのが好ましく、
型押機構８に移送された後のキヤツプシエル１８
の温度は、約110乃至200度、特に約120乃至150
度、であるのが好ましい。 かような事実に鑑み、本発明に従う装置におい
ては、更に、搬送機構２によつてキヤツプシエル
供給位置Ａからライニング素材分配位置Ｂを通し
てキヤツプシエル移送位置Ｃに搬送されるキヤツ
プシエル１８を、キヤツプシエル供給位置Ａとラ
イニング素材分配位置Ｂとの間にて加熱すると共
にライニング素材分配位置Ｂとキヤツプシエル移
送位置Ｃとの間にても加熱する、全体を番号30で
示す独特な構成の高周波誘導加熱器が設けられて
いる。 第１図と共に第２図を参照して説明すると、高
周波誘導加熱器３０は、加熱コイル３２とこの加
熱コイル３２に高周波電流を供給するための高周
波発振器３４を備えている。図示の具体例におけ
る加熱コイル３２は、第１図に符号Ｄで示す位置
から符号Ｅで示す位置まで、上記ライニング素材
位置Ｂの近傍を除いて、上記回転盤１２の周縁の
下方を延び、従つて搬送機構２によつて搬送され
るキヤツプシエル１８の搬送路に沿つて且つこの
搬送路を通して搬送されるキヤツプシエル１８の
天面に対向して延びるように配設されている。か
かる加熱コイル３２は、キヤツプシエル１８を効
果的に誘導加熱することができるように、上記特
願昭53―62304号明細書及び図面並びに特願昭53
―87079号明細書及び図面に記載されている如
く、キヤツプシエル１８の天面の直径より小さい
間隔を置いて位置し且つ電流の流れが相互に逆方
向である対になつた部分３２ａ及び３２ｂを有す
るのが好ましい。加熱コイル３２自体は中空体か
ら構成し、加熱コイル３２の内部空間に水の如き
冷却流体を循環せしめて加熱コイル３２を冷却す
るのが好ましい。加熱コイル３２はキヤツプシエ
ル１８の天面にできるだけ近接せしめて所定の通
りに配設することが重要であるが、加熱コイル３
２の配設は例えば次の通りにして遂行することが
できる。即ち、ベークライトの如き絶縁性合成樹
脂材料又はフエライトの如き高透磁性絶縁材料製
の円弧状加熱コイル支持板３６の上面に溝を形成
し、かかる溝内に加熱コイル３２を配置してエポ
キシ樹脂の如き接着剤４０によつて固着し、そし
て支持板３６の上面外周縁部を上記案内壁２０の
下面に固定し、かくして加熱コイル３２を所定の
位置に配設することができる。 高周波発振器３４は任意の形態のものでよく、
当業者には周知の真空管方式又はトランジスタ方
式等の高周波発振器を用いることができる。 上記高周波誘導加熱器３０において、高周波発
振器３４から加熱コイル３２に高周波電流を供給
すると、キヤツプシエル１８に誘導電流が生成さ
れ、かくしてキヤツプシエル１８がジユール熱に
よつて加熱される。しかしながら、上記特願昭53
―62304号明細書及び図面並びに特願昭53―87079
号明細書及び図面に記載されている通り、特にキ
ヤツプシエルがアルミニウム基礎合金の如き非磁
性体から形成されている場合には、キヤツプシエ
ル１８に生成される誘導電流による磁界と加熱コ
イル３２を流れる高周波電流による磁界との反発
作用に起因してキヤツプシエル１８が浮上跳飛し
てしまい、キヤツプシエル１８の加熱と共にその
搬送も不可能になつてしまう。かような事態の発
生を防止するために、本発明に従う装置に用いら
れる高周波誘導加熱器３０は、更に、キヤツプシ
エル１８の上記浮上跳飛を防止するための案内板
４２を備えている。かかる案内板４２は、上記加
熱コイル３２を流れる高周波電流がキヤツプシエ
ル１８に作用する領域、従つて図示の具体例にお
いては第１図に符号Ｄで示す位置の近傍から符号
Ｅで示す位置の近傍まで、上記ライニング素材分
配位置Ｂの近傍を除いて、搬送機構２によつて搬
送されるキヤツプシエル１８の搬送路に沿つて且
つこの搬送路を通して搬送されるキヤツプシエル
１８のスカート端縁に対向して延びていることが
重要である。図示の具体例においては、２枚の円
弧状の案内板４２ａ及び４２ｂの外周縁部が上記
案内壁２０の上面に固定されていて、かかる案内
板４２ａ及び４２ｂの内周部がキヤツプシエル１
８の上記搬送路に沿つて且つこの搬送路を通して
搬送されるキヤツプシエル１８のスカート端縁に
対向して延びるようにせしめられている。かよう
な案内板４２ａ及び４２ｂは、キヤツプシエル１
８のスカート端縁に接触してキヤツプシエル１８
の浮上跳飛を防止し、かくしてキヤツプシエル１
８は搬送機構２によつて確実に搬送されると共に
誘導加熱によつて所要の通りに加熱される。案内
板４２ａ及び４２ｂは適宜の材料から形成するこ
とができるが、キヤツプシエル１８のスカート端
縁が案内板４２ａ及び４２ｂの下面に係合しなが
ら案内板４２ａ及び４２ｂに対して滑動すること
に鑑み、その下面は充分に滑らかであることが重
要である。かような点からして、案内板４２ａ及
び４２ｂはセラミツク材料製の板、特に厚さが約
５乃至10mmの透明耐熱強化ガラス板から作成され
ているのが好ましい。案内板４２ａ及び４２ｂを
透明なガラス板から作成すると、案内板４２ａ及
び４２ｂを通してキヤツプシエル１８を監視する
ことができる。 而して、上記ライニング素材分配位置Ｂにおい
ては、キヤツプシエル１８にライニング素材を分
配することが必要であり、従つてキヤツプシエル
１８の内部は上記案内板４２ａ及び４２ｂによつ
て覆われることなく上方に向つて解放されている
ことが必要である。それ故に、図示の具体例にお
いては、ライニング素材分配位置Ｂの所にて案内
板４２ａの端部と案内板４２ｂの端部とは所定の
距離だけ離されており、ライニング素材分配位置
Ｂにおいては両案内板４２ａ及び４２ｂ間の間隔
を介してキヤツプシエル１８の内部が上方に向つ
て解放されている。一方、ライニング素材分配位
置Ｂにおいてはキヤツプシエル１８が案内板４２
ａ及び４２ｂによつて覆われていない故に、ライ
ニング素材分配位置Ｂにおいても加熱コイル３２
を流れる高周波電流がキヤツプシエル１８に作用
してキヤツプシエル１８に誘導電流が生成される
と、キヤツプシエル１８が浮上跳飛してしまう。
従つて、ライニング素材分配位置Ｂにおいては、
加熱コイル３２を流れる高周波電流がキヤツプシ
エル１８に作用しないようにせしめることが必要
である。かくするには、例えば、ライニング素材
分配位置Ｂにおいては、加熱コイル３２の部分３
２ａ及び３２ｂが、第１図及び第３―Ａ図に示す
如くキヤツプシエル１８の径路から脱れてその両
側を通つて、又は第３―Ｂ図に示す如くキヤツプ
シエル１８の径路から脱れてその片側を通つて、
或いは第３―Ｃ図に示す如くキヤツプシエル１８
の径路の下方ではあるがキヤツプシエル１８から
充分な距離だけ下方に離れた位置を通つて延びる
ようにすればよい。 また、ライニング素材分配位置Ｂにおいては、
回転盤１２の切欠部１０にキヤツプシエル１８が
存在していないときにライニング素材分配機構６
の回転切断刃２６の作用によつて分配されたライ
ニング素材が加熱コイル支持板３６上に滞積しキ
ヤツプシエル８の搬送を阻害することを防止する
ために、加熱コイル支持板３６に貫通孔４４を形
成し、回転盤１２の切欠部１０にキヤツプシエル
１８が存在しないときには回転切断刃２６の作用
によつて分配されたライニング素材が上記貫通孔
４４を通つて加熱コイル支持板３６の下方に落下
し適宜の容器（図示していない）に収集されるよ
うになすことが好ましい。 尚、図示の具体例においては、案内板４２を２
枚の案内板４２ａ及び４２ｂから構成している
が、所望ならば３枚又はそれ以上の案内板から構
成することもできるし、上記ライニング素材分配
位置Ｂに開口又は切欠部を有する単一の案内板か
ら構成することもできる。また、案内板４２を鉛
直方向に移動自在に装着すると共に案内板４２を
下方に偏倚するばね手段を設け、案内板４２をキ
ヤツプシエル１８のスカート端縁に弾性的に押付
けることもできる。 上記高周波誘導加熱器３０によれば、搬送機構
２によつてキヤツプシエル１８がキヤツプシエル
供給位置Ａからライニング素材分配位置Ｂに搬送
される間にキヤツプシエル１８を効果的に誘導加
熱することができ、ライニング素材分配位置Ｂに
おけるキヤツプシエル１８の温度を例えば約150
度の如き所要の温度にせしめることができる。ま
た、キヤツプシエル１８がライニング素材分配位
置Ｂからキヤツプシエル移送位置Ｃに搬送される
間にもキヤツプシエル１８を効果的に誘導加熱す
ることができる。キヤツプシエル１８が型押機構
８内に移送されると、キヤツプシエル１８がアン
ビル（図示していない）等に接触することに起因
してキヤツプシエル１８の温度が幾分低下する
が、ライニング素材分配位置Ｂとキヤツプシエル
移送位置Ｃとの間にてもキヤツプシエル１８を誘
導加熱すると、型押機構８内に移送された後のキ
ヤツプシエル１８の温度を例えば約125度の如き
所要の温度にせしめることができる。 実施例 厚さ0.25mmのアルミニウム基礎合金製で内面に
はエポキシフエノール系塗料に酸化ポリエチレン
を分散せしめた接着プライマーが塗布焼付され
た、天面内径が38mmで高さが18mmのキヤツプシエ
ルを10個作成した。そして、かかるキヤツプシエ
ルを第１図、第２図及び第３―Ａ図に図示する通
りの形態の装置によつて処理し、各キヤツプシエ
ル内にライニング素材として700mgの溶融軟化状
態のポリエチレンを分配し型押成形した。使用し
た装置における回転盤によるキヤツプシエル搬送
路の直径は750mmで、キヤツプシエルの搬送速度
は70cm／秒で、キヤツプシエル供給位置からライ
ニング素材分配位置までのキヤツプシエル搬送時
間は1.4秒で、ライニング素材分配位置からキヤ
ツプシエル移送位置までのキヤツプシエル搬送時
間は0.6秒であつた。高周波誘導加熱器において
は、トランジスタ方式の高周波発振器を使用して
加熱コイルに周波数25KHzで6KV、1.8Aの高周
波電流を供給した。参考のためにライニング素材
分配位置でのキヤツプシエルの温度を測定したと
ころ約150度であつた。 以上の通りの条件で処理したキヤツプシエルに
おける、型押成形されたライニング材とキヤツプ
シエルの接合強度を測定したところ、キヤツプシ
エルからライニング材を分離するのに要する力は
下記第１表に示す通りであつた。 比較例 比較のために、ライニング素材分配位置とキヤ
ツプシエル移送位置との間においては加熱コイル
を設けず、従つてライニング素材分配位置とキヤ
ツプシエル移送位置との間ではキヤツプシエルを
加熱しなかつたことを除けば、実施例と全く同一
の条件で10個のキヤツプシエルを処理した。 かかるキヤツプシエルにおける、型押成形され
たライニング材とキヤツプシエルの接合強度を測
定したところ、キヤツプシエルからライニング材
を分離するのに要する力は下記第１表に示す通り
であつた。 【表】

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に従う装置の一具体例を示す
簡略平面図。第２図は、第１図の線―におけ
る拡大断面図。第３―Ａ図乃至第３―Ｃ図は、ラ
イニング素材分配位置における加熱コイル及び加
熱コイル支持板の種々の形態を例示する拡大断面
図。 ２…搬送機構、４…供給機構、６…ライニング
素材分配機構、８…型押機構、１８…キヤツプシ
エル、３０…高周波誘導加熱器、３２…加熱コイ
ル、３４…高周波発振器、４２…案内板、Ａ…キ
ヤツプシエル供給位置、Ｂ…ライニング素材分配
位置、Ｃ…キヤツプシエル移送位置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ キヤツプシエル供給位置からライニング素材
   分配位置を介してキヤツプシエル移送位置まで所
   定の搬送路を通してキヤツプシエルを所定の速度
   で搬送するための搬送機構と、該キヤツプシエル
   供給位置にて該搬送機構にキヤツプシエルを供給
   するための供給機構と、該ライニング素材分配位
   置にてキヤツプシエル内に所定量のライニング素
   材を分配するためのライニング素材分配機構と、
   該キヤツプシエル移送位置にて該搬送機構からキ
   ヤツプシエルを受取り、キヤツプシエル内のライ
   ニング素材を所定の形状に型押成形するための型
   押機構を具備する、金属製キヤツプシエル内にラ
   イニング素材を分配し型押成形するための装置に
   おいて、該搬送機構によつて搬送されるキヤツプ
   シエルを、該キヤツプシエル供給位置と該ライニ
   ング素材分配位置との間及び該ライニング素材分
   配位置と該キヤツプシエル移送位置との間にて加
   熱する高周波誘導加熱器が設けられており、この
   高周波誘導加熱器は、該キヤツプシエル供給位置
   と該ライニング素材分配位置との間及び該ライニ
   ング素材分配位置と該キヤツプシエル移送位置と
   の間を該搬送路に沿つて且つ該搬送路を通して搬
   送されるキヤツプシエルの天面に対向して延びる
   加熱コイルと、該加熱コイルに高周波電流を供給
   するための高周波発振器と、該キヤツプシエル供
   給位置と該ライニング素材分配位置との間及び該
   ライニング素材分配位置と該キヤツプシエル移送
   位置との間を該搬送路に沿つて且つ該搬送路を通
   して搬送されるキヤツプシエルのスカート端縁に
   対向して延びる案内板とから構成されていること
   を特徴とする装置。 ２ 該案内板は透明耐熱強化ガラス製である特許
   請求の範囲第１項記載の装置。 ３ 該加熱コイルは該キヤツプシエル供給位置と
   該ライニング素材分配位置との間及び該ライニン
   グ素材分配位置と該キヤツプシエル移送位置との
   間の大部分において、該キヤツプシエルの天面の
   直径より小さい間隔を置いて位置し且つ電流の流
   れが相互に逆方向である対になつた部分を有する
   特許請求の範囲第１項又は第２項記載の装置。