JPS6120220Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 本考案は、閉鎖状態のときに、外障子の召し合
わせ框の端部を室内側に引き寄せ、召し合わせ部
分の密封を確保するための装置に関する。

考案の背景 通常、引き違いの内外障子は、召し合わせ框に
クレセントなどの鎖錠装置を備えている。その鎖
錠装置は、一般に内外障子の閉鎖施錠時に、両障
子を互いに異なる方向に移動させるため引き分け
力を発生し、同時に両障子の召し合わせ框を引き
寄せて、両召し合わせ框を密着させる。これらの
引き分け機能および引き寄せ機能は、引き違いサ
ツシの密閉性能を高める上で不可欠である。

従来技術 ところが従来、鎖錠装置が召し合わせ框のほぼ
中間の高さに設けられているめ、引き寄せ機能
は、召し合わせ框の上方および下方の端部位置で
充分に作用せず、このためややもすると召し合わ
せ框の上方および下方での密閉性能は低下しがち
である。この密閉性能の低下は、特に長期の使用
後に顕在化する。

一方、くさび状の斜面や偏心カムによつて、障
子を引き寄せることが知られているが、それらの
手段によると、障子が斜面や偏心カムの摩擦的な
くい込み状態により、閉鎖と同時に室内側へ引き
寄せられ、開放時に速やかに外障子が室内側へ移
行せず、その後の障子の円滑な開放が因難とな
る。

考案の目的 ここに本考案の目的は、召し合わせ框の端部で
も確実な引き寄せ機能を得ることによつて、従来
の密閉性能の低下を確実に防止するとともに、閉
鎖状態から障子開放時の操作を円滑にする点にあ
る。

考案の解決手段 上記目的のもとに、本考案は、引き違い型式の
障子の召し合わせ框の端部に設けたてこ機構によ
り引き寄せ力を発生し、これを召し合わせ框の端
部に作用させるようにしている。

実施例の構成 以下、本考案の一施例を図面にもとづいて具体
的に説明する。

まず、第１図は、窓枠１に一例として２枚建の
引き違い型式の障子２，３を収めた状態を示して
いる。窓枠１は、左右の竪枠４，５の上下端にそ
れぞれ横枠つまり上枠６および下枠７を全体とし
て方形状に組み合わせて構成されている。上枠６
および下枠７は第２図および第３図に示すよう
に、竪枠４，５の外側からそれぞれ取付ねじ８に
より固定されている。そして、上記上枠６は、断
面ほぼＨ状で、下面中央位置に長手方向の固定溝
９を形成し、かつ固定溝９の両側縁部分に下方に
延びる案内レール１０，１１を備えている。固定
溝９は、その内部で対外障子密閉用上補助枠１２
をはめ込んで固定しており、その上補助枠１２は
ほぼＴ字状で中央部分に上枠６の半分の長さの垂
下板１３を有している。

この垂下板１３は、障子２，３の閉鎖時に、外
側の障子２と対向しており、召し合わせ位置の端
面が６８が後述の回動体との係合当接部を形成し
ている。この垂下板１３および上記案内レール１
１は、ともに室外側面の装着溝１４，１５で気密
材１６，１７をそれぞれ保持している。また下枠
７は、ほぼ階段状に形成されていて、上記の案内
レール１０，１１に対応する位置で段違いの内外
障子走行用レール１８，１９を有し、これらの間
に対外障子密閉用下補助枠２２が設けられる。こ
の下補助枠２２は、断面ほぼＬ字形で、その係止
片２３，２４の部分で内外障子走行用レール１
８，１９の間に形成された下向きの取付溝２０，
２１にはまり合つていて、室外側の装着溝２５に
より対外障子用気密材１６を保持している。この
下補助枠２２の取付位置は、第４図のように、閉
鎖状態での外側の障子２と対応しており、したが
つてその長さは、下枠７のほぼ半分であり、その
召し合わせ位置側の端面は、第６図のように、キ
ヤツプ２６により閉塞されているので、当該キヤ
ツプ２６が後述の回動体との係合当接部を成す。
また下枠７は、室内側立ち上り部分の外側の面に
形成された装着溝３０で下枠半分の長さの対内障
子用気密材３１を保持している。

また、竪枠４，５は、第４図にみられるよう
に、断面ほぼＥ字状で、左側の竪枠４はその中央
部分の外側の装着溝２７により前記気密材１６を
保持し、また右側の竪枠５は室内側の位置の外側
面の装着溝２８により気密材２９を保持してい
る。この気密材２９は、変形により障子３に密着
しなくなるのを防止するために変形防止用の肉厚
部２９ａを有している。

そして引き違い型式の障子２，３は、それぞれ
竪框３２，３３と召し合わせ框３４，３５との間
に上框３６，３７、中框３８，３９、および下框
４０，４１を取付ねじ４２により連結し、それら
の間でガラス板４３，４４をバツキン４５，４６
により保持している。召し合わせ框３４，３５
は、対向面の位置にけむり返し４７，４８を形成
しており、これらのけむり返し４７，４８は、閉
鎖状態においてそれぞれ対応の気密部材４９，５
０に当接する。また室内側の召し合わせ框３５
は、外側面で装着溝５１を形成しており、その部
分の気密部材５２で対向の召し合わせ框３４に密
着するようになつている。

上記の障子２，３は、閉鎖時において鎖錠装置
としてのクレセント５３により鎖錠状態になる。
もちろんこのクレセント５３は、両障子２，３を
引き分ける機能のほか、好ましくは両召し合わせ
框３４，３５を引き寄せる機能を有するものでな
ければならない。また、このクレセント５３の回
転運動は、公知の連動手段により、召し合わせ框
３５の下端にある気密部材５４を上下動させる。
この気密部材５４は、室内側の障子３の召し合わ
せ框３５の内部に収められていてクレセント５３
の施錠時に下降し、下枠７および下補助枠２２の
上面空間を閉じる。なおこの気密部材５４と外側
の障子２の召し合わせ框３４の空間部分は、気密
部材５２に付設された別の補助気密材５５により
閉じられる。

これらの両障子２，３は、窓枠１に対してけん
どん方式のもとに入られ、戸車５６，５７で内外
障子走行用レール１８，１９の上に乗り、かつ上
方の案内溝５８，５９で案内レール１０，１１に
よつて案内される。なお戸当り部分の三角形状の
案内板６０，６１は、それぞれ障子２，３の竪框
３２，３３を気密部材１６，２９，１７，３１に
圧接させるためのものである。

そして本考案は、第４図ないし第６図に示すよ
うに外側の障子２の召し合わせ框３４の上下の端
部に、それぞれほぼＴ字状の引き寄せ用の回動体
６２，６３を垂直方向の支軸６４，６５により回
転自在に支持している。この回動体６２，６３
は、ほぼ中心位置の支軸６４，６５を支点とし、
その室内側に位置する当接部６６，６７は外障子
召し合わせ框の端部から室内側へ突出状態とする
とともに、力点として、それぞれ前述のキヤツプ
２６、端面６８に係合当接可能とし、かつ室外側
に位置する押圧部６９，７０を作用点としてそれ
ぞれ受体７１，７２としての外障子案内用レール
１０，１８の室内側面に係合当接可能となつてい
る。上記の支軸６４，６５は、それぞれ取付金具
７３，７４および取付ねじ７５，７６により召し
合わせ框３４の内壁面に取り付けられていて、Ｅ
リング７７，７８で係止され、かつ例えばコイル
状のスプリワング７９，８０により、上方からみ
て時計方向、つまり押圧部６９，７０をレール１
０，１８から離間させる方向に付勢されている。
これらの回動体６２，６３はそれぞれ支軸６４，
６５に固定してあるから、上記付勢力を常時受け
ていることになる。なお、既述のとおり端面６８
は、垂下板１３の端部により形成されており、当
接部６６，６７は、上下の切欠部８１，８２から
室内側の障子３の側に突出している。

実施例の作用 つぎに動作を説明する。

閉鎖状態において、クレセント５３が障子２，
３を施錠状態にすると、外側の召し合わせ框３４
は、クレセント５３の引き寄せ力によつて気密部
材５２に密着すべく室内側へ引き寄せられる。ま
たクレセント５３の引き分け力は、両障子２，３
を竪枠４，５の戸当り面に押し当てるため、案内
板６０，６１は、その斜面による室内側方向の分
力により、それぞれの竪框４，５を気密材１６，
１７，２９，３１に密着させる。

一方、障子２，３が引き分け力によつて互いに
閉鎖方向に移動するとき、回動体６２，６３の当
接部６６，６７は、係合当接部としてのキヤツプ
２６や、端面６８につきあたる。この結果、回動
体６２，６３は、それぞれスプリング７９，８０
に抗して、上方からみて反時計方向に回転し、そ
の押圧部６９，７０で外障子レール１０，１８の
室内側７１，７２に当り、それを室外側の方向に
押し出そうとする。上記レール１０，１８は、も
ともと固定であるから、上記押圧力の反作用によ
つて支軸６４，６５はともに室内側に押され、室
内側の方向に引き寄せられる。このようにして室
外側の召し合わせ框３４は、その上端および下端
の部分においても、室内側の召し合わせ框３５に
引き寄せられ、気密部材５２に確実に密着するこ
とになる。

考案の変形例 なお、上記実施例は、引き寄せ用の回動体６
２，６３を上下に設けているが、それは上方端の
み、または下方端のみに設けてもよい。また、回
動体６２，６３は竪框３２，３３の内部に設けて
おいてもよい。

考案の効果 本考案では、施錠装置によらず、手の力で引き
分けができるから、回動体の軸支部をはさんで室
内側に位置する当接部を対外障子密閉用補助枠に
当て、このときの回動体の回転力で回動体の軸支
部をはさんで室外側に位置する押圧部を外障子用
レールに押し付け、その反作用によつて外障子召
し合わせ框の端部を室内側へ引き寄せるようにな
つており、常時はスプリング力の作用により押圧
部がレール室内側面から離間状態を保持してい
る。したがつて、単なる閉鎖状態ではスプリング
の作用により引き寄せ作用が働いておらず、開閉
操作を連続的に行う場合、円滑かつ軽快に行うこ
とができる。また鎖錠装置を解除した場合にも回
動体がスプリングによりただちに元の状態に復帰
するため、外障子の召し合わせ框は速やかに室外
側へ移行することになり、その後の障子の開閉操
作に支障がない。

これに対し従来技術のように、くさび状の斜面
や、偏心カムによる引き寄せでは、施錠しない単
なる閉鎖状態でも、摩擦的なくい込み状態となる
ため、連続的な開閉操作の支障となり、また鎖錠
状態の解除後もただちに障子が室外側へ移行せ
ず、その後の障子の円滑な開放操作が困難とな
る。

しかし、本考案ではすでに述べたように、回動
体はその回転中心を挟んで一端の力点側当接部が
ストツパ−に当たり、他端の作用点側押圧部でレ
ールの室内面に当接して押圧するため、従来例の
ような摩擦的なくい込み作用がなく、したがつ
て、閉鎖状態においてはスプリングの作用により
常時正規の開閉走行位置にあり、また鎖錠装置の
解除後においても、障子はただちに室外側へ移行
し、その後の開放を軽い力で行うことのできる効
果を有している。また、召し合わせ框端部での引
き寄せにより確実な密封ができるという効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る引き違い障子の引き寄せ
装置を有する窓枠および内外障子の正面図、第２
図は第１図の−線での断面図、第３図は第１
図の−線での断面図、第４図は第１図−
線での断面図、第５図は第１図の−線での断
面図、第６図は第１図の−での断面図であ
る。 １……窓枠、２，３……障子、１２……上補助
枠、２２……下補助枠、２６……キヤツプ、３
２，３３……竪框、３４，３５……召し合わせ
框、５２……気密部材、６２，６３……回動体、
６４，６５……支軸、６６，６７……当接部、６
８……端面、６９，７０……押圧部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内外障子用レール間に横枠のほぼ半分の長さの
   対外障子密閉用の補助枠を取付けるとともに、外
   障子の召し合わせ框の端部に、上記補助枠の召し
   合わせ框の端部に、上記補助枠の召し合わせ側端
   部に係合当接する当接部、外障子用レールの室内
   側面に係合当接する押圧部を軸支部をはさんで、
   室内外に備えた回動体を、支軸により回動自在に
   支持しかつ、上記押圧部をレールの室内面から離
   間させる方向にスプリングにより付勢するととも
   に、当該押圧部を外障子の端部室内側に突出状態
   としてなることを特徴とする引き違障子の引き寄
   せ装置。