JPS6119176Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 この考案はリング精紡機、撚糸機等の紡機の自
動管換機に装備され、玉揚げされた管糸を底側か
ら順次押し上げて収納するように構成されたコツ
プマガジンから、収納された管糸を他の管糸箱に
移し替えるためのコツプマガジンの管糸取り出し
装置に関するものである。

従来技術 従来、紡機の自動管換機には玉揚げした管糸を
収納するためマガジン装置が利用されている。そ
して、管糸崩れや糸端からみを防止し、後工程で
の管糸取り扱いを容易にするために、管糸を整然
と配置するための特殊のセパレータ等が装備され
たコツプマガジンが主に使用されている。例えば
特公昭37−12733号公報に記載のコツプマガジン
は、上下に連なつた管糸収納溝を有し、同溝の下
部には逆止爪が設けられて管糸が下方から逆止爪
を押し退けて押し上げられ、コツプマガジン内に
順次収納されるように構成されている。

そして、このコツプマガジンは管糸が収納され
ると、管糸箱として利用し管糸を収納したまま自
動管換機から取り外し、運搬車に４個ぐらい並列
積載して後工程のワインダ室に運び、自動ワイン
ダ等の管糸供給手段におけるホツパーとして利用
されていた。しかし、このコツプマガジンは大型
であるため、運搬車の操作が困難であるばかりで
なく、保管場所の確保が困難であつた。又、この
コツプマガジンは製作精度が要求されしかも構造
が複雑であるため、積卸、運搬中の衝撃で損傷さ
れ易く、しかも高価であるために維持費が大きく
なる。そして、コツプマガジンを管糸箱として利
用するためにはコツプマガジンを多数用意してお
く必要があるため、維持費が増々大きくなるとい
う欠点があつた。

そこで、自動管換機に装備されるコツプマガジ
ンを自動管換機の管糸収納貯留マガジン装置とし
てのみ利用し、整然と収納された管糸を通常の管
糸箱に移し替え、しかもできるだけ整列したまま
で管糸箱に投入する装置が提案された。例えば特
開昭53−98427記載の装置では、第１図に示すよ
うに自動管換機１にコツプマガジン２が同コツプ
マガジン２に固着されたレール３を介して摺動自
在に装備されている。前記レール３は自動管換機
１の外側に設けられた支持腕４，５及び支持部
６，７により支持されている。支持腕４及び支持
部６には案内溝が設けられ、支持腕５及び支持部
７には案内ローラが設けられている。そしてコツ
プマガジン２が第１図に実線で示すように自動管
換機１上にセツトされた状態で管糸８が収納され
る。すなわち、玉揚げされた管糸８はドツフイン
グ装置９の下部に配設された搬送装置１０に収ま
り、この搬送装置１０は収まつた管糸８を整列し
たまま或は適当にピツチを縮めて第１図の右方向
へ移行させる。移行された管糸８はコツプマガジ
ン２の下方に配設された押上機構１１によりコツ
プマガジン２に形成された案内溝に沿つて押し上
げられ、管糸８の落下を阻止するように構成され
た逆止爪を押し退けて順次下部から押し込まれて
コツプマガジン２内に収納保持される。そして満
量になつたコツプマガジン２は把手１２を持つて
自動管換機１から引き出され、第１図の鎖線で示
される位置に移動される。次にコツプマガジン２
の下方に管糸箱１３を配置し、逆止爪開放レバー
１４を操作することにより前記逆止爪が一斉に開
放され収納管糸８が自重で管糸箱１３内に落下す
るように構成されている。

ところで、自動管換機１に装備されるコツプマ
ガジン２は一般にリング精紡機等の片側全錘分の
管糸８を収納するように形成され、収納される管
糸８の数は200本前後である。これに対し、一般
の管糸箱１３はその取り扱い面から収納される管
糸８の数は最多でもほぼ100本程度である。従つ
て、コツプマガジン２に収納された管糸８を２分
割して管糸箱１３に投入する必要がある。分割投
入にはコツプマガジン２の下半分に収容された管
糸８のみをまず管糸箱１３に投入し、管糸箱１３
を交換した後残りの上半分を投入する上下分割方
式と、コツプマガジン２の収納溝列数を２分割し
て左右いずれか一方をまず管糸箱１３に投入し、
次いで他方列を投入する左右分割方式とがある。
このうち上下分割方式は、上部半分の管糸８を残
置させる手段が面倒なうえ、上半分が投入される
時管糸箱１３内で管糸８が乱雑になり、管糸８の
収容量を減少させるとともに管糸８の取り扱いを
不便にする。一方左右分割方式では管糸箱１３に
投入される管糸８は互いに接触し合つて収納溝を
降下し管糸箱１３内に整列した状態で収容される
ので、一般に左右分割方式が採用されている。

従つて、前記従来装置においては、レール３に
より重量の大きなコツプマガジン２を自動管換機
１の外側で摺動自在に支持する必要があるので、
自動管換機１及びコツプマガジン２の構造が複雑
化する。その上、左右分割方式で管糸８を投入す
るためには、前記コツプマガジン２の収容溝に設
けられた逆止爪を２組に分けて構成し、しかもこ
れらはコツプマガジン２を投入位置に摺動させて
から個々に作動させる必要がある。従つて、コツ
プマガジン２の構造がより複雑化する欠点があ
る。

目 的 この考案は前記従来の欠陥を解消するためにな
されたものであつて、その目的は自動管換機やコ
ツプマガジンに複雑な機構を設けることなく、コ
ツプマガジン内に収納された管糸を運搬車に配置
された管糸箱内に分割投入することができるコツ
プマガジンの管糸取り出し装置を提供することに
ある。

実施例 以下、この考案を具体化した一実施例を第２〜
７図に従つて説明する。自動管換機２１の前部に
はコツプマガジン２２の載置部２３が設けられて
いる。前記載置部２３はコツプマガジン２２の長
さより長く形成され、その上面両側にはコツプマ
ガジン２２の移動を案内する一対のガイド２４が
その内側にはコロ２５がそれぞれ配設されてい
る。コツプマガジン２２の下部両外側には自動管
換機２１に装備された押上機構（図示しない）に
よりコツプマガジン２２の底部から順次押し上げ
られる管糸２６の逆止装置２７が設けられてい
る。コツプマガジン２２の内部には管糸２６を整
然と収納するための隔壁２８が形成され、外部に
は把手２９が設けられている。

逆止装置２７の下部にはコツプマガジン２２の
長手方向に延びる回動軸３０が配設され、同回動
軸３０には第５図に示すようにコツプマガジン２
２に収容された管糸２６の両端を支持するために
逆止片３１が固着されている。回動軸３０の中央
部にはレバー３２が溶接され、その端部は上方に
設けられたロツド３３にリンク３４及びロツド３
３に形成された長孔３３ａ内に摺動可能に挿通さ
れたピン３５を介して連結されている。ロツド３
３は逆止装置２７の上部に設けられた筒体３６に
その上端及び下端が突出した状態で貫挿され、筒
体３６内に装備されたばね３７により常に上方へ
付勢されている。ロツド３３の上部突出端にはコ
ロ３８が設けられ、下部には前記リンク３４の上
端に係合する係合リング３９が摺動自在に嵌挿さ
れるとともに、同リング３９と前記筒体３６の下
面との間には前記ばね３７より弾性力が弱いばね
４０が介装され前記リング３９が下方へ付勢され
ている。ばね３７の弾性力がばね４０の弾性力よ
りも強いため、外力が作用しない状態ではロツド
３３は第３図に示すように上方に移動した状態で
保持され、前記逆止片３１もコツプマガジン２２
の内部から退避した状態で保持される。

コツプマガジン２２は第２図に示すように前記
載置部２３のガイド２４に突設された一対の押圧
ガイド４１によりコロ３８を介してロツド３３が
ばね３７の力に抗して下方に押し下げられた状態
で自動管換機２１の管糸収納位置に載置される。
従つて、この状態ではリンク３４が自重と、ばね
４０の付勢力により下方へ押し下げられ、レバー
３２を介して回動軸３０が第３図の時計方向に回
動され、逆止片３１は第４図に実線で示すように
コツプマガジン２２の内部に水平状態に突出保持
される。そして、玉揚げされた管糸２６がコツプ
マガジン２２の下方に位置する押上機構により上
方へ押し上げられると管糸２６の両端部が逆止片
３１の下面に当接し第４図のＡで示す状態とな
る。この状態で押上機構により管糸２６に対しさ
らに上方向への力が加えられると、逆止片３１が
ばね４０の力に抗して第４図の反時計方向へ回動
され、同時にロツド３３とリンク３４とを連結し
ているピン３５は長孔３３ａ内を上方へ摺動す
る。管糸２６が第４図のＢで示す位置まで押し上
げられると、逆止片３１が管糸２６から外れ、ば
ね４０の力により時計方向に回動され再び水平に
突出した状態にもどる。従つて、押上機構が下が
つても管糸２６は第４図Ｃで示すように逆止片３
１の上面に係合した状態で保持されるようになつ
ている。

前記コツプマガジン２２の載置部２３の前端寄
りには、前記コツプマガジン２２内に収納された
最下端の管糸２６を第４図のＢで示す位置まで押
し上げるため斜面部４２ａを有する押上凸部４２
が第２図に示すように、その前端が載置部２３の
前端より突出した状態に配設されている。

コツプマガジン２２内に収納された管糸２６を
分割収納する管糸箱４３を運搬する運搬車４４は
第２図に示すように管糸箱４３を積載するための
棚４５が２段に配設されている。上段の棚４５は
前記載置部２３上面とほぼ同じ高さに配設され、
そのほぼ中央部にはガイド壁４６と、複数のコロ
４７とが設けられた一対の支持部４８が運搬車４
４の幅方向に架設され、マガジン載置部４９を構
成している。又、運搬車４４の下端部にはケース
５６と係止ピン５４及び同ピンを上下動する操作
棒５５とからなる係止装置５０が固定されてい
る。そして、操作棒５５をケース５６の最上段の
係止溝５６ａに係止した状態では係止ピン５４が
大まかな位置調節を行うために床面に刻設したガ
イド溝５８から抜け出した状態に保持され、第二
段目の係止溝５６ｂに係止された状態では係止ピ
ン５４が前記ガイド溝５８に進入し、さらに、操
作棒５５が最下位置にあるときには係止ピン５４
がガイド溝５８内に設けた位置決め用の係止穴５
１に係止されるようになつている。

前記のように構成されたコツプマガジンの管糸
取り出し装置について、次に作用を説明する。自
動管換機２１が玉揚げ動作を繰り返し、コツプマ
ガジン２２内の管糸２６が満量に達したら、運搬
車４４を第２，６図に示すようにマガジン載置部
４９と自動管換機２１の載置部２３の前端とが対
応する位置に固定する。この際床面に設けられた
係止穴５１に前記係止装置５０を係止させれば運
搬車４４を定位置に固定するのが容易となる。こ
の状態でコツプマガジン２２の把手２９を持つて
手前に引くと、コツプマガジン２２はガイド２４
に案内されてコロ２５の上を移動する。コツプマ
ガジン２２内の管糸２６は押上凸部４２の斜面部
４２ａに沿つて順次上方へ押し上げられ、第７図
に示すようにコツプマガジン２２が押上凸部４２
の上方位置まで移動すると、総ての管糸２６が前
記逆止片３１との係合が解除される位置まで押し
上げられる。そして、この位置では逆止装置２７
のロツド３３先端のコロ３８と押圧ガイド４１と
の係合が解除されているので、逆止片３１は第３
図に示すように退避位置に保持される。この状態
からさらにコツプマガジン２２を手前に引きコツ
プマガジン２２の一部が運搬車４４のマガジン載
置部４９上に移動すると押上凸部４２の上面で支
持されていた管糸２６は斜面部４２ａを通つて順
次管糸箱４３内に放出される。コツプマガジン２
２をマガジン載置部４９のほぼ中央部まで引き出
した状態で止めると、コツプマガジン２２内に収
納された管糸２６の半分が放出され管糸箱４３が
満量となる。管糸箱４３を空のものと取り替えた
後、コツプマガジン２２を手前に引いてマガジン
載置部４９上に完全に移動させると、コツプマガ
ジン２２内の残りの半分の管糸箱４３内に放出さ
れる。そして、コツプマガジン２２を自動管換機
２１のもとの位置に押し戻せば、管糸２６の取り
出し作業が終了する。こうして所定数の管糸箱４
３が満量した後、運搬車４４は後工程に移動され
る。

なお、この考案は前記実施例に限定されるもの
ではなく、例えば第８図に示すように運搬車４４
のマガジン載置部４９に止着した断面Ω状のスラ
イダ５３を運搬車４４の上部枠５２に対してスラ
イドして位置決め可能にかつ取り外し可能に嵌合
してもよい。又、第９図に示すように係止装置５
０の係止ピン５４を上下動する操作棒５５とケー
ス５６の上板との間に圧縮スプリング５７を介装
して係止ピン５４を係止穴５１側へ付勢してもよ
く、あるいは押上凸部４２を運搬車４４側に設け
るなどこの考案の趣旨を逸脱しない範囲において
各部の形状、構成等を任意に変更することも可能
である。

効 果 以上詳述したようにこの考案は自動管換機には
コツプマガジンの長さより長くコツプマガジンの
移動が可能な載置部を形成し、運搬車には前記載
置部からコツプマガジンを移行させるため、コツ
プマガジンの両側底部に係合する一対の支持部か
ら成るマガジン載置部を形成するとともに同マガ
ジン載置部の下方には管糸箱の積載棚を配設し、
自動管換機のマガジン設置位置と運搬車のマガジ
ン載置部との間に前記逆止片と管糸との係合を解
除させるための押上凸部を配置したことにより、
従来と異なり自動管換機やコツプマガジンに複雑
な機構を設けることなく、コツプマガジン内に収
納された管糸を運搬車に配置された管糸箱内に分
割投入することができるので、大型マガジンを直
接運搬しなくともよく従来のように運搬時の衝撃
により損傷を受けるおそれがなくなり、運搬車へ
の管糸箱の積卸の作業が容易となる。さらに既存
の運搬車を簡単に改造できるため製作費も低廉と
なるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動管換機を示す正面図、第２
図はこの考案を具体化した一実施例を示す斜視
図、第３図は逆止装置の縦断面図、第４図はコツ
プマガジンが管糸収納位置に載置された状態にお
ける逆止装置の状態を示す従断面図、第５図はコ
ツプマガジンの部分平面図、第６図は管糸取り出
し時における運搬車と自動管換機の載置部との関
係示す部分平面図、第７図は同じく一部破断正面
図、第８図は変更例のマガジン載置部を示す斜視
図、第９図は係止装置の別例を示す縦断面図であ
る。 自動管換機２１、コツプマガジン２２、載置部
２３、管糸２６、逆止装置２７、逆止片３１、押
上凸部４２、管糸箱４３、運搬車４４、支持部４
８、マガジン載置部４９。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 玉揚げされ、押上機構によりコツプマガジン
   の底部から順次押し上げられた管糸の落下を阻
   止するため、コツプマガジンが管糸収納位置に
   載置された状態ではコツプマガジンの管糸収納
   部内に突出するようにばねにより付勢され、そ
   れ以外の状態では前記管糸収納部から退避した
   状態で保持されるように構成された逆止片を有
   する逆止装置を備えたコツプマガジンが装備さ
   れた自動管換機において、 自動管換機にはコツプマガジンの長さより長
   くコツプマガジンの移動が可能な載置部を形成
   し、前記自動管換機に接続し管糸箱を積載する
   運搬車には前記載置部からコツプマガジンを移
   行させるため、コツプマガジンの両側底部に係
   合する一対の支持部から成るマガジン載置部を
   形成するとともに、同マガジン載置部の下方に
   は管糸箱の積載棚を配設し、 自動管換機のマガジン設置位置と運搬車のマ
   ガジン載置部との間に前記逆止片と管糸との係
   合を解除させるための押上凸部を配設したこと
   を特徴とするコツプマガジンの管糸取り出し装
   置。 ２ 前記載置部及び支持部にはコツプマガジンの
   移動を案内するためのガイド及びコロが設けら
   れていることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項に記載のコツプマガジンの管糸取り
   出し装置。