JPS6118430Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、物体表面から絶体温度の４乗に比例
して放射される赤外線エネルギーを検出すること
により、その表面温度を非接触で測定する焦電形
感温素子を提供するものである。

調理機器における食品の非接触温度測定、また
音成合成システムを応用したトーキングベンダ用
来客検知、侵入警報器など家電機器や産業機器に
広く用いられる非接触温度センサーにおいて高性
能、高信頼性、量産性にすぐれ、かつ低価格のも
のが望まれている。

まず従来のこの種の焦電形感温素子について説
明する。

従来例 １ 第１図に示すようにステム１上に絶縁体の基板
２を設け、その上に焦電体３を接着剤で固定した
もで、外装には赤外線入射窓４を設けたシールド
ケース５を用いたものである。６はリード端子で
ある。

第１図に示す感温素子は焦電体３全面が基板２
に接触するため、構造的に堅牢であるが焦電体３
が受けた赤外線エネルギー、即ち微少な熱が熱伝
導で基板２ステム１を通じて放散され易すく、出
力感度が低下する欠点がある。またステム１側に
密着しているため窓４との距離が大きく視野角が
狭くなる。機械的振動についても焦電体３とステ
ム１の間に緩衝材がなく外部の振動を直接受けて
焦電体３が雑音を発生し易いなどの欠点を有して
いる。

従来例 ２ 第２図に示すようにステム１上に支柱７を設
け、その上に焦電体３を接着剤で固定した基板２
を設け、外装には赤外線入射窓４を設けたシール
ドケース５を用いたものである。

この従来例は焦電体３が支柱７により浮かせて
あるため、熱伝導が少なく焦電体３が受けた赤外
線エネルギー、即ち微力な熱が放散し難く、従つ
て出力感度が大きくなる利点がある。また焦電体
３と窓４の距離が近くなつているため視野角が広
くなる。しかしステム１上に支柱７を設け基板２
を固定する工程や結線などが困難で量産性に乏し
く、また構造的に不安定で外部からの機械的衝撃
に弱く、長期的な信頼性においても不安定であ
る。

本考案は上記従来の欠点を除去するものであ
り、以下本考案の一実施例について第３図ととも
に説明する。

第３図において、１はリード端子６が植設され
たステムであり、このステム１には、赤外線入射
窓４が形成されたシールドケース５が固定されて
いる。８はシールドケース５内に収納された筒状
の絶縁体であり、この絶縁体８の孔内には、上部
より、環状のスペーサ９、焦電体３、バネ、ゴム
等の環状の緩衝材１０、環状のスペーサ１１が収
納されている。上記筒状の絶縁体８は内部回路と
シールドケース５との電気的絶縁を得るためのも
のである。

上記実施例において、焦電体３を適度な圧力で
支持し、また部品公差を吸収し、外部からの振動
に対して衝撃を吸収させるための緩衝材（バネ、
ゴム）１０は金属または導電性ゴムを使用して電
気回路として使用し組立を容易にしているもので
ある。また、スペーサ９，１１の厚みを焦電体３
の前部、後部とも0.1〜10mmに設定し焦電体前後
に空間を設け、焦電体３と赤外線入射窓４また焦
電体３と後部の部品との密着を避け、焦電体３が
吸収した赤外線エネルギー、即ち微少な熱を逃げ
難くし、出力感度を向上させているものである。

第４図は本考案素子および従来例１、従来例２
の初期出力感度を示しており、本考案によれば、
焦電体３が吸収した赤外線エネルギー、即ち微少
な熱が逃げにくいため、初期出力感度が高いもの
である。

第５図は本考案素子Ａおよび従来例１Ｂ、従来
例２Ｃの素子を周波数30Hz、振幅1.5mmで振動さ
せた直後の出力感度の初期値に対する変化率を示
した図であり、本考案素子は振動に対する信頼性
に優れているものである。

第６図は本考案素子における焦電体３の前部の
空間を10mmに設定し、後部の空間距離と出力感度
の関係を示したものであり、後部の空間距離が
0.1〜10mmにおいて高い出力が得られるものであ
る。なお焦電体３の前部の空間距離と出力感度と
の関係も第６図と同様の傾向となるものである。

本考案は上記のような構成であり、感度が高く
信頼性に優れ、かつ量産に適した焦電形感温素子
が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図はそれぞれ従来の焦電形感温素
子の断面図、第３図は本考案の一実施例における
焦電形感温素子の断面図、第４図は本考案および
従来の焦電形感温素子の初期出力感度を示す図、
第５図は本考案および従来の焦電形感温素子の振
動試験結果を示す図、第６図は本考案の焦電形感
温素子の後部空間距離と出力感度との関係を示す
図である。 １……ステム、３……焦電体、４……赤外線入
射窓、５……シールドケース、６…リード端子、
８……絶縁体、９……スペーサ、１０……緩衝
材、１１……スペーサ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 赤外線入射窓が形成されたシールドケースを
   ステムに固定し、上記シールドケース内に焦電
   体を収納する焦電形感温素子において、上記シ
   ールドケース内部の上記赤外線入射窓と上記ス
   テムとの間に、上記焦電体と環状の緩衝体とを
   重ねるとともに、上記焦電体と緩衝体とを環状
   のスペーサで直接挾持して微少な熱を逃げ難く
   し、かつ外部からの衝撃を吸収するように形成
   してなる焦電形感温素子。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項記載の焦電形
   感温素子において、焦電体の前部，後部にそれ
   ぞれ距離0.1〜10mmの空間を設けた焦電形感温
   素子。