JP3043381U - 焦電型赤外線センサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 周囲の環境温度に対する信頼性を向上させる為に、補償
シングル型の赤外線センサの主エレメントと補償エレメ
ントの形状，並びにサイズを同一にする。 【課題】従来の補償シングル型の赤外線センサは、周囲
の温度が急激に変化した場合、主エレメントと補償エレ
メントの吸熱，放熱のバランスが崩れ、誤報信号出力が
発生する可能性を持っていた。 【解決手段】補償シングル型の焦電型赤外線センサに於
いて、正負の異なる極性を持つエレメントの形状，並び
にサイズを同一とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、人体，炎等より発せられる赤外線を検知する焦電型赤外線センサの 構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、屋内の天井並びに自動ドア等の人体の移動方向に左右されない無方向検 知の赤外線検知装置に搭載される焦電型赤外線センサは、図２に示す様な補償シ ングル型が多く用いられる。 この補償シングル型の焦電型赤外線センサの構造図の詳細を以下に示す。 印刷等の技術により、回路が配線してある配線基板に支持点、その上に導電性の 接着剤を塗布し焦電体が実装される。この焦電体上の中央には、人体，炎等より 発せられる赤外線を検知する受光主エレメントと周囲の温度変化をモニターし、 温度変化に対する補正の役割を持つ温度補償用エレメントが蒸着等の技術により 構成される。この２つのエレメントの形状並びにサイズは異なり、それぞれのエ レメント面積比は受光主エレメント１に対し温度補償用エレメント１．２の割合 で構成される。この形状並びにサイズによるエレメント面積の比の違いは、各エ レメントとこの焦電体を支持する支持点との距離の違いによる温度変化時の信号 出力差を補正する為で、この１：１．２の比により周囲の温度変化に対するバラ ンスを確保している。 焦電体を実装した配線基板の反対側の面には、この焦電体より得られた信号を出 力信号へと変換するＦＥＴと抵抗等の部品をチップ部品自動実装機により実装さ れる。これら各部品が実装された配線基板は、ステムのリードに半田付等の技術 により電気的に接続並び機械的に支持固定される。この様にして組み立てられた 製品は、受光主エレメントのみに赤外線が入光する様に設けられたＣＡＮの窓部 に人体，炎等より発せられる赤外線を透過させるシリコン等のフィルターを接着 し、ＣＡＮとかん合，接着されて気密にかつ固定されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の補償シングル型の焦電型赤外線センサは、周囲の環境温度の変化に対し 温度補償用エレメントで温度補正し、焦電型赤外線センサとしてのバランスを確 保していた。これは、主エレメントと補償エレメントの熱位置関係により吸熱， 放熱が各エレメントで異なる為、エレメントの形状，サイズを同一にすることな く、ある比率を持たせ熱平衡を取っていた。しかし周囲の温度変化が急激に変動 した場合（例えば２℃／ｍｉｎの温度勾配があった場合）は、主エレメントと補 償エレメントの吸熱，放熱のバランスが崩れ、誤報信号出力が発生すると同時に ソース電圧の変動が大きくなり、急激な温度変化に追随出来ないという問題があ る。 又、補償シングル型の焦電型赤外線センサのフィルターはＣＡＮの形状が円形の 為フィルターも円状の物が必要となるが、円状のフィルターはその作製加工上の 高度な技術を要求されフィルター自身の単価が高価となる。その対策として円形 状の窓部全体がカバー出来るだけの四角形のフィルターを接着していたが、それ でも赤外線透過には無関係な余部分がありこの手法でもフィルターの部品単価が 高くなっていた。

【０００４】

【課題を解決する為の手段】

補償シングル型の焦電型赤外線センサにおいて正負の異なる極性を持つエレメ ントの形状並びにサイズを同一にする。

【０００５】

【考案の実施の形態】

図１に本考案の実施の形態を示す。 印刷等の技術により、回路が配線してある配線基板に支持点その上に導電性の接 着剤を塗布し焦電体が実装される。この焦電体上には一般に汎用される正・負の 異なる極性を持ち、それぞれのエレメントの形状並びにサイズが正負同一となる 様に蒸着等の技術により構成される。この際、各受光エレメントと最寄の支持点 との距離は正・負の受光エレメントとも均等な位置で実装される。焦電体を実装 した配線基板の反対の面には、補償シングル型の焦電型赤外線センサの構造並び に技術と同様にＦＥＴと抵抗等の部品が実装される。これら各部品が実装された 配線基板は、ステムのリードに半田付等の技術により電気的に接続並びに機械的 に支持・固定される。この様にして組み立てられた製品に、かん合するＣＡＮの 窓部は、補償シングル型の焦電型赤外線センサのＣＡＮの窓部が受光エレメント のみに赤外線が入射する様に設計されている承知の技術と同様に受光エレメント の正あるいは負の受光エレメント側のみ赤外線が入射する様図１のＣＡＮ窓部の 様に開いている。この窓部へ必要サイズの赤外線透過フィルターを接着する。

【０００６】

【実施例】

考案の実施の形態で組み立てられた焦電型赤外線センサと従来の補償シングル 型の焦電型赤外線センサの２Ｔｙｐｅを準備し、周囲の温度を変化させた際の雑 音出力並びにソース電圧の変動の確認を行なった実施例を図３に示す。 周囲の温度変化は、最低温度−１５℃，最高温度＋５０℃とし、温度勾配はまず ０．５℃／ｍｉｎで温度変化させ次に２℃／ｍｉｎの温度変化を与えた。又、焦 電型赤外線センサは、前記２Ｔｙｐｅを準備し印加電圧５Ｖ，ソース抵抗４７Ｋ Ωの７２．５ｄＢ増幅アンプにて駆動させアンプ増幅後の雑音出力とソース電圧 を測定モニターしその特性をグラフへプロットした。この確認の結果、従来の補 償シングル型の焦電型赤外線センサは温度変化に関係した雑音出力の増減並びに ソース電圧の大小の変動を繰り返している事が分かる。この様な挙動は実際の赤 外線検知装置に搭載された場合、その装置の検知判断レベル（スレッシュホール ド）まで達し、誤発の原因になる恐れを含んでいる。 これに対し本考案の技術を用いた焦電型赤外線センサは、従来の補償シングル型 の焦電型赤外線センサに対し、雑音出力並びにソース電圧の特性が極めて安定し 、赤外線検出装置への搭載に際し優れた品質安定性を得る事が出来た。 又、実使用上に最も重要な赤外線検知特性についても確認した結果、補償シング ル型として要求される信号出力並びに無方向検知特性共に従来の補償シングル型 の焦電型赤外線センサと同等の特性を得た。

【０００７】

【考案の効果】 本考案により、周囲の温度変化に対する特性安定性が著しく向上し、焦電型赤 外線センサ自身の価格に於いても赤外線透過用のシリコンフィルターを必要最低 限の大きさとする事で安価な焦電型赤外線センサを提供する事が出来る。

【図面の簡単な説明】

図１：本考案の焦電型赤外線センサの分解図 図２：従来の補償シングル型の焦電型赤外線センサの分
解図 図３：本考案の焦電型赤外線センサと従来の補償シング
ル型の焦電型赤外線センサの周囲温度変化に対する雑音
出力とソース電圧特性の比較データ

【符号の説明】 １：窓部 ２：ＣＡＮ ３：赤外線透過フィルター ４：温度補償用エレメント ５：焦電体 ６：受光主エレメント ７：支持点 ８：配線基板 ９：ＦＥＴ １０：ステム １１：抵抗 １２：ステムリード

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】補償シングル型の焦電型赤外線センサにお
   いて、正負の異なる極性を持つエレメントの形状並びに
   サイズを同一にした事を特徴とする焦電型赤外線セン
   サ。