JPS6117739B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動ワインダにおける切断糸端の端面
落ち防止装置に関する。

自動ワインダにおいては、精紡機上りの管糸か
ら引出される糸はスラブ、ネツプ等の糸欠陥部を
除去したりワキシングを施すと共に後工程に適し
た巻形状、糸長、品質を整えてパツケージに巻取
ることが行われている。

チーズ、コーン状のパツケージに巻取る自動ワ
インダとしてRTワインダの如く駆動回転する綾
振ドラムにパツケージを表面接触させて回転さ
せ、ドラムに刻設した綾振溝によつて糸を左右に
トラバースしながら巻取る形式の自動ワインダに
おいては、前述のスラブ、ネツプ等の欠陥をスラ
ブキヤツチヤが検出すると電気的、機械的方法に
よつて糸切断される。また他の事故によつても糸
切れが発生することがある。

このような糸切断が生じた場合、管糸側の糸端
処理は管糸自体が静止しているため、糸端吸引管
で吸引保持しておくことにより容易に行うことが
できるが、一方のパツケージ側糸端については糸
切断後の綾振ドラムの回転により、トラバース端
部方向へ向う場合、糸端は慣性のためトラバース
端部から外れ、パツケージの端面より落ち、芯管
に巻付くことがある。特に円錘状のコーンパツケ
ージでは糸層が傾斜しているためさらに端面落ち
が発生し易い。

上記端面落ちしたパツケージからサクシヨンノ
ズルで引出した糸は、パツケージから引出される
糸と芯管から引出される糸の二重糸となり、この
場合ノツタへ導入しても異常糸として再び切断さ
れ、再度パツケージから糸端が引出される。正常
な糸結びが完了して巻取りが再開されたとしても
上記二重糸のうち芯管から引出された糸端はノツ
タへ導入される際、パツケージ中央寄りへ位置し
ており切断された芯管側糸端はパツケージの糸層
表面へ付着し、該付着した糸の上へ新たな糸が巻
取られることにより所定量の糸が巻上つたパツケ
ージの端面に芯管に巻付いた糸の糸端がくい込ん
だ状態が表われ、パツケージの品質を低下させる
原因となつていた。

本発明は上記欠点を解消するためになされたも
ので、通常の巻取中は糸走行に支障を与えず、糸
切断の時にはパツケージ側糸端をトラバース中央
に向かうような湾曲ガイド縁を形成したガイドを
綾振ドラム近傍に設けたものである。即ち上記ガ
イドは糸走行方向に対しては前後ガイド板の隙間
が漸次拡大し、トラバース方向に対しては中央部
より両端に向つて水平面内における前後ガイド板
間の隙間が漸次減少すると共に前後ガイド板の糸
入側即ち下部には糸端に接触しパツケージ中央付
近へガイドさせる湾曲したガイド縁が形成された
ものである。

以下本発明装置の実施例を図面に従つて説明す
る。

第１図は自動ワインダのワインデイングユニツ
トを示し、ユニツト１の枠体２には管糸３から引
出される糸Ｙの走行路の順に、ガイド４、張力調
整装置５、スラブキヤツチヤ６、ノツタ７、綾振
ドラム８が配置されている。９は綾振ドラム８の
溝１０から糸が飛び出すのを防止するための糸切
れ防止板である。１１はクレードルアール１２に
支持された綾振ドラム８に表面接触して回転する
巻取パツケージである。

また、糸結び時にパツケージ側糸端を探索して
引出すサクシヨンノズル１３が軸１４を中心に旋
回可能に設けられると共に管糸側糸端を探索して
引出すサクシヨンパイプ１５が軸１６を中心に旋
回可能に設けられている。

さらに第１図、第２図示の如く上記綾振ドラム
８近傍には切断糸端の端面落ち防止用ガイド１７
が固定される。

上記ガイド１７の第１実施例を示す第３図、第
４図、第５図において、ガイド１７は前ガイド板
１８ａ，１８ｂ、後ガイド板１９、及び両側板２
０ａ，２０ｂを一体的に形成したもので、上記ガ
イド板１８ａ，１８ｂ，１９及び側板２０ａ，２
０ｂで囲まれた空間が糸のトラバース、走行のた
めの空間Ｓを形成している。該空間Ｓは糸入側か
ら糸出側即ちガイド下部から上部へ向かつて水平
面断面における断面積が拡大した空間であり、第
４図の断面Ｘ−Ｘにおいては第５図示の如く、糸
入側２１の隙間ｌ１は小さく糸出側２２の隙間ｌ
２は大きくなつている。さらに上記空間Ｓはトラ
バース方向においてもトラバース中央から端部に
向かつて減少して形成される。即ち第４図におけ
る前・後ガイド板の湾曲ガイド縁２３ａ，２３ｂ
に沿つてその隙間は第３図の如く中央つば部２４
ａ，２４ｂでは隙間Ｌ２であり、トラバース端部
では隙間Ｌ１であり、Ｌ１＜Ｌ２になるように連
続的に中央部からトラバース端部へ向かつて減少
している。

上記トラバース方向の糸入側の隙間は狭いほど
糸端の端面落ち防止には効果的である。即ち切断
糸端は入側の前後ガイド板１８ａ，１９の湾曲ガ
イド縁２３ａ，２３ｃに接触することによりガイ
ド縁に沿う斜上方へ向う力が作用し、ガイド縁に
沿つてトラバース中央付近へ移動する。しかしな
がらトラバース巾全域に渡つて同じ寸法の狭い隙
間を形成したのでは糸のトラバースの際糸の前後
動によつて前後ガイド板に接触し、該前後動によ
る接触が抵抗となり、トラバース端部まで糸がト
ラバースせず、途中で折返すためパツケージの巻
取位置が中央付近に偏り巻形状に型崩れを起こす
ことがある。従つてトラバース方向においては中
央から端部に向かつて漸次隙間を減少して形成さ
れる。

一方糸走行方向においては、通常の巻取時に糸
と前後ガイド板１８ａ，１９内面との接触を少く
するために糸入側を狭く出側に向かつて漸次拡大
するように形成している。

また上記ガイド１７の左右の前ガイド板１８
ａ，１８ｂは湾曲ガイド縁２３ａ，２３ｂに続い
て段部２５ａ，２５ｂを有するつば部２４ａ，２
４ｂが形成され、該つば部２４ａ，２４ｂ間は糸
挿入用隙間２６が第３図示の如く前後に寸法Ｌ３
だけずれて形成されている。４４はボルト孔４５
を形成した取付ブラケツトで後ガイド板を折曲げ
るか別体の板を固着したものである。

２７ａ，２７ｂは前ガイド板上部または前面に
固着された糸外れ防止ガイドで、滑らかな突状帯
２８ａ，２８ｂと該突状帯２９ａ，２９ｂより前
方へ突出した端部の突起２９ａ，２９ｂが一体的
に形成されたもので、糸結び後のパツケージと管
糸間の糸がトラバース巾の真中に位置せず、従つ
てガイド１７内部に進入せず、糸外れ防止ガイド
２７ａまたは２７ｂ上に位置する場合（第２図鎖
線Ｙ１）、該状態の下でドラムが回転し、糸のト
ラバースが開始されても両端の突起より外方へ糸
が飛び出すことなく突起２９ａ，２９ｂ間のトラ
バースの後つば部２４ａ，２４ｂの隙間２６より
ガイド１７内部へ糸は進入する。

糸がいつたんガイド１７内へ進入した後の走行
糸は、ドラム８により第１１図示の如き軌跡を描
いてトラバースする。即ち、綾振ドラム８の溝１
０は２ワインド方式の場合第１０図示の如く溝中
央部の溝１０ａの深さは端部の溝１０ｂの深さよ
り大きく形成されており、またトラバース端部か
ら中央に復帰するための溝に特に顕著であるため
である。即ち第１１図示の如くトラバース中央か
ら端部へ向かう場合は軌跡３０ａ，３０ｂのよう
に後ガイド板１９側を移行し、端部から中央へ復
帰する場合は、軌跡３１ａ，３１ｂのように端部
では前ガイド板１８ａ，１８ｂ側を移行し、中央
部では後ガイド板１９側へ移行する。従つて中央
部の前ガイド板１８ａ，１８ｂつば部の糸挿入用
隙間２６から外部へ糸が飛び出すことなく糸渡り
の良好なトラバースが行われる。

以上のようなガイド１７により、糸切れが発生
した場合は、パツケージ側糸端は先端フリーな状
態で走行しガイド１７を通過するため、糸端は前
ガイド板１８ａまたは後ガイド板１９の糸入側の
湾曲ガイド縁２３ａ，２３ｃに接触する。該湾曲
ガイド縁２３ａ，２３ｃ間の隙間は上述した如く
糸入側でトラバース端部ほど狭くしてあるので糸
端はガイド縁に接触し易く、該接触により、しご
かれる如き状態で糸は走行するため、例えば第４
図示の如く糸端は湾曲ガイド縁２３ａに沿つて点
Ｐ１から中央段部２５ａに向かつて矢印Ａ方向に
移行する如き、挙動を示し従つてパツケージ側糸
端の先端は上記段部２５ａを通過してパツケージ
のトラバース中央付近に巻付くことになる。また
トラバース中央付近の隙間を大きくしているため
トラバースする糸の渡りも良好である。

第６図〜第９図は本発明による糸端の端面落ち
防止ガイドの他の実施例を示す。即ち、前記同様
の湾曲ガイド縁３２とつば部３３を形成した前ガ
イド板３４ａ，３４ｂの内面に湾曲ガイド縁３２
ａ，３２ｂ，３２ｃに沿つて湾曲したブロツク３
５を溶接固着し、側板３６，３６に両端部を折曲
げて固着した後ガイド板３７と上記ブロツク３５
との隙間を調整したガイド３８である。

上記ブロツク３５の厚さｔは第６図示の如くト
ラバース端部から中央部に向かつて漸次減少して
形成され、従つて上記ブロツク３５と後ガイド板
３７間の隙間Ｌ４はトラバース端部から中央に向
つて漸次拡大しており、また湾曲ガイド縁３２ａ
に沿う下方から上方に向かう方向においても第８
図示の如く、後ガイド板３７とブロツク３５間の
隙間Ｌ５は漸次拡大している。

前ガイド板３４ａ，３４ａの中央のつば部３
３，３３間は前記ガイド同様に糸挿入用隙間３９
が形成されると共につば部３３，３３は前後に寸
法Ｌ３ずれている。前ガイド板３４ａ，３４ｂ上
部には突状帯４０と端部の突起部４１を形成した
糸外れ防止ガイド４２，４２が固着され前記同様
の作用をする。

従つて上記ガイド３８を綾振ドラム近傍の糸走
行経路に設けることにより切断糸端のパツケージ
側糸端は第７図示の如く、点Ｐ２から段部４３に
向う矢印Ｂの方向の力を受けて移行する。

なお上述のガイド１７，３８の湾曲ガイド縁は
場合によつては直線状のガイド縁とすることも可
能である。上記ガイド１７または３８の取付位置
は第１０図に示すように綾振ドラム８の近傍で糸
走行経路Ｙに沿う方向で垂直線に対しては若干傾
斜して枠体に固定される。第１０図では枠体に固
定した糸外れ防止板９の下面に螺着して設けられ
ている。従つて通常の巻取中は走行糸がガイド１
７または３８内面に擦過することが極力避けられ
ると共に糸切断が生じた時は糸入側の前ガイド板
１８ａまたは後ガイド板１９に直ちに接触して走
行する。なおガイドの取付け角はブラケツト４４
の曲げ角度を変更することにより調節自在であ
る。

以上のように本発明では、走行糸の切断糸端を
トラバース中央部へガイドする湾曲ガイド縁を糸
入側に形成した前ガイド板と後ガイド板を糸走行
路の前後に設け、該前・後ガイド板によつて形成
される糸入側の隙間をトラバース中央から端部に
向かつては漸次減少し、糸走行方向においては糸
入側から糸出側に向かつて漸次拡大したガイドを
綾振ドラム近傍に設けたので、通常のトラバース
走行においては中央からトラバース端部へ、また
端部から中央へのトラバースが正常に行えると共
に、糸切断が生じた際、パツケージ側糸端は上記
ガイドに形成した湾曲ガイド縁に接触して走行す
るため該湾曲ガイド縁に沿つてトラバース中央付
近へ移行する作用が働き、切断糸端はパツケージ
の中央付近に巻付くことができ、従来のパツケー
ジ端面から落ちて芯管に巻付くことが解消され、
端面落ちのないしかも型崩れのない良質なパツケ
ージを得ることができ、極めて効果的である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による端面落ち防止装置をワイ
ンデイングユニツトに取付けた状態を示す概略構
成正面図、第２図は同要部斜視図、第３図は本発
明による端面落ち防止ガイドの一実施例を示す平
面図、第４図は同正面図、第５図は第４図Ｘ−Ｘ
断面図、第６図は本発明によるガイドの他の実施
例を示す平面図、第７図は同正面図、第８図は第
７図Ｙ−Ｙ断面図、第９図は同ガイドの後ガイド
板の正面図、第１０図は同ガイドの取付状態を示
す一部断面側面図、第１１図はガイド内の糸のト
ラバース軌跡を示す説明図である。 １……ワインデイングユニツト、８……綾振ド
ラム、１７，３８……切断糸端の端面落ち防止ガ
イド、１８ａ，１８ｂ，３４ａ，３４ｂ……前ガ
イド板、１９，３７……後ガイド板、２１……ガ
イドの糸入側、２２……ガイドの糸出側、２３
ａ，２３ｂ，３２ａ，３２ｂ……前ガイド板の湾
曲ガイド縁、２３ｃ，３２ｃ……後ガイド板の湾
曲ガイド縁、Ｌ１，Ｌ２……トラバース方向にお
ける糸入側の隙間、ｌ１，ｌ２……糸走行方向に
おける糸入側の隙間、２０ａ，２０ｂ……側板、
Ｓ……空間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 糸走糸の切断糸端をトラバース中央へガイド
   する湾曲ガイド線を糸入側に形成した前ガイド板
   と後ガイド板、および両側板とによつて囲まれた
   空間が糸のトラバース、走行のための空間を形成
   したガイドを綾振ドラム近傍の糸走行路に固設設
   定し、かつ上記空間が、糸入側から糸出側へ向か
   つて、糸の走行方向と直角方向の断面における断
   面積が拡大した空間であることを特徴とする自動
   ワインダーにおける切断糸端の端面落ち防止装
   置。