JPS6114547Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は蓄熱タンクを出窓部下方に設けかつそ
の屋外面に接離可能な覆体を設けることによつ
て、納まりよくかつ熱効率に優れた蓄熱装置を形
成しうる出窓の構造に関する。

従来太陽熱を用いて室内の空調を行なう装置と
して、例えば屋外上に設置される太陽熱コレクタ
と、室内に設けられる放熱器との間をポンプを用
いて熱媒を循環させる動力式の空調装置の他、熱
媒を動力を用いて循環させることなく単に蓄熱タ
ンクに蓄熱液を蓄えるようにしたいわゆるパツシ
プ型蓄熱装置があるが、従来のパツシプ型蓄熱装
置は、例えばガラス窓等透光部に近接して設置さ
れる前記蓄熱タンクからなりしかも吸熱、放熱を
同時に行なうものであつたため、その取付けのた
めに室内スペースを減じかつ室内の見映えを悪く
するとともに、効率のよい空調をなしうるもので
はなかつた。

本考案は出窓下方に蓄熱タンクを設け、かつ該
蓄熱タンクの外方面に接離可能な覆体を設けるこ
とにより、納まりよくかつ熱効率に優れた蓄熱装
置を形成しうる出窓の構造の提供を目的とし、以
下その一実施例を図面により説明する。

図において本考案の構造は、建築物の外壁から
突出する出窓Ｗの下方にかつ一体に蓄熱装置１を
形成するものであつて、該蓄熱装置１は出窓Ｗ下
方の床面に設置される蓄熱タンク２と、該蓄熱タ
ンク２の屋外面を覆いうる覆体４とを具える。

蓄熱タンク２は鋼板、アルミニウム板等の金属
板又は合成樹脂等を用いて矩形断面を有しかつ内
部に蓄熱液Ｂを密封しうる水槽として形成され、
又室外側に向くその屋外面には冬期の太陽の平均
日射角度と直角に傾く傾斜片６が多段に形成され
太陽熱の吸熱面積を増すとともに、室内面は略コ
字状に折曲がるフイン８が複数段形設されてい
る。さらに蓄熱タンク２にはその内部に上下に間
隙ｇ１，ｇ２を隔てかつ屋外寄りに偏立させた仕
切り板１０が垂直に、該蓄熱タンク２の側壁に接
続することに取付けられ、該仕切り板１０によつ
て蓄熱タンク２は前面の吸熱部１２と後面側の放
熱部１４とに仕切る一方、前記上の間隙ｇ１には
吸熱部１２から放熱部１４への水流を自由とする
逆止弁１６が、又下の間隙ｇ２には蓄熱部１４か
ら吸熱部１２への水流を自由とする逆止弁１８が
夫々取付けられる。なお該逆止弁１６，１８は例
えば厚さ２mm以下の比較的薄い合成樹脂シートが
夫々水流側に湾曲させ仕切り板１０にネジ止めす
ることにより形成される。なお該逆止弁１６，１
８はアルミニウム板又はステンレス板等の比較的
薄いシート体を傾動可能に取付けることにより形
成することもできる。覆体４は屋外面を覆う前覆
部２０と屋内面を覆う後覆部２２とを有し、かつ
コーナ部で継ぎ板３６によつて一体に連結した箱
体であり、その上下壁および側壁は蓄熱タンク２
に密着しうるとともに、覆体４の前後長さは蓄熱
タンク２よりも約10mm以下程度長く形成され前後
に移動しうる。該覆体４は金属板又は合成樹脂板
を用いて成形されるとともに前覆部２０は前記傾
斜弁６に密着しうる傾斜弁２４が又後覆部２２に
は前記フイン８を密に嵌入しうるフイン２６が形
成される。さらに本実施例においては前覆部２０
と後覆部２２との間の間隙に蓄熱タンク２に固着
される断熱板３０が取付けられ、該断熱板３０
に、バネ３２により付勢されかつ前覆部２０と後
覆部２２との間の継ぎ板３６に形設の凹部４０
ａ，４０ｂに楔着する楔片３４を設けることによ
つて、覆体４はフイン８，２６が当接する図示し
た状態と、覆体４が移動し傾斜片６，２４が密着
する各状態に夫々保持でき、かつフイン２４には
把持片４２が取付けられる。断熱材３０の板厚は
覆体４の厚さよりも大に形成され、又蓄熱タンク
２は下方の断熱材３０を介して出窓Ｗ下方の床面
に設置されるとともに、上方の断熱材３０を出窓
Ｗの棚板下面に当接させることにより、出窓Ｗ下
方に組み込まれる。

なお前記のごとく蓄熱タンク２内には水、油等
の蓄熱液Ｒが充填される。

然して本考案の装置において把持片４２によつ
て図示の状態から覆体４を移動させ、傾斜片６，
２４を、前記凹部４０ａと楔片３４との楔着によ
り密接させると、傾斜片６，２４を通り太陽熱は
吸熱部１２内の蓄熱液Ｒを加温し、暖められた蓄
熱液Ｒは上方の逆止弁１６を通り蓄熱部１４に流
入し又蓄熱部１４内の蓄熱液Ｒは下方の逆止弁１
８を通り吸熱部１２に還流する。かかる循環をく
り返すことににより、蓄熱部１４内の蓄熱液Ｒに
は太陽熱が蓄熱される。又蓄熱時にはフイン８，
２６間には空気層が形成されており、従つて蓄熱
部１４の後面を断熱することにより効率よく蓄熱
できる。他方放熱させる際には、把持片４２によ
りフイン８，２６が密着する図示の状態に覆体４
を移動させることにより、屋外面では傾斜片６，
２６間が離れて空気層からなる断熱層を形成で
き、従つて外部からの室外への放熱を防止しうる
とともに、フイン８，２６を通し蓄熱タンク１４
内に貯えられた熱量を室内に放散し暖房する。そ
の際、吸熱部１２内の蓄熱液Ｒは太陽熱の取得は
なく徐々に冷却することにより下降する液流が逆
止弁１８を閉塞する一方、蓄熱部１４にはフイン
８側で下降する対流のみが生じ従つて効率のよい
熱の放散が可能となる。又本実施例のごとく断熱
材３０を介して建物の外壁Ｗに取付けているため
外壁Ｗ内への伝熱も防止できるとともに、楔片３
４によつて傾斜片６，２４、フイン８，２６を密
着でき熱の伝達効率を向上させる。

叙上のごとく本考案の装置は、出窓の下方に蓄
熱タンクを組み込むとともに、屋外面と接離可能
な覆体を移動自在に設けているため、まず納まり
よくかつ見映えよく取付けることができスペース
の有効利用を図りうるとともに、覆体によつて外
方への放熱を防ぎ効率のよい蓄熱装置を提供でき
る。さらに上下に逆止弁を有する仕切り板によつ
て蓄熱タンクを仕切るときには、蓄熱タンク内で
吸熱部、蓄熱部間で対流を生じさせ効率よく集熱
しうる。さらに覆体によつて蓄熱タンクの前後に
交互に空気層を形成可能とするときには、集熱中
の室内への放熱を防ぎ蓄熱効率を向上できる。さ
らに傾斜片、フインを設け集熱面積、放熱面積を
増大しうる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の構造の一実施例を示す斜視
図、第２図は蓄熱タンクと覆体とを例示する斜視
図である。 ２……蓄熱タンク、４……覆体、Ｗ……出窓。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 蓄熱液を充填した蓄熱タンクを出窓下方に組込
   むとともに、該蓄熱タンクの屋外面に、該屋外面
   を覆いかつ該屋外面と接離する移動可能な覆体を
   取付けたことを特徴とする出窓の構造。