JPS6112779Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、製茶工場において、茶園で摘採した
茶生葉を新鮮な状態でしばらく貯蔵し、その後必
要に応じてこれを製茶ラインへ供給する茶生葉管
理機における貯槽中央部の生葉の貯蔵状態をより
完壁なものとするために付設される補助送風装置
に関するものである。

従来、貯槽床面を通気性のコンベヤで構成した
茶生葉管理機にあつて、生葉の収容量を十分確保
した上で生葉の貯蔵状態をも完壁なものとするに
は、特に貯槽中央部ではコンベヤ面からの送風が
不足がちであるため、これを補うために補助送風
筐を付設している。

この補助送風筐ａは、第１図に示す如く、パン
チングメタル等の多孔板を長手方向で二つ折りに
し、先端を閉塞した三角柱状の中空体をコンベヤ
中央部に横置きに載置し、その後端を後壁に固着
したものである。

この補助送風筐ａを付設することにより貯槽中
央部の生葉にも十分送風が行きわたるようになる
のだが、補助送風筐ａに接触している生葉はそれ
との摩擦抵抗により送出が円滑でなくなる。この
場合、補助送風筐ａの左右の傾斜側壁の傾斜を強
めれば大部分は改善できるのであるが、その頂上
における摩擦抵抗は十分改善しきれない。

それでも、後壁ｂより十分離れた頂上付近の生
葉はそれより以前の下層の生葉の動きが順次上方
に伝幡されることによつて、その部分の摩擦抵抗
に打ち勝つて移動しだすが、後壁ｂ近傍の頂上付
近の生葉ｃはそれより以前の下層の生葉の動きの
伝幡が少ないため、該部分の生葉ｃだけは貯槽内
の全ての生葉が送出された後でもそのまま残つた
状態となつてしまう。

この残留する生葉ｃの量は貯槽内に収容される
全生葉量に対して比較的少量であるから、これを
そのまま掃き捨てても金銭的な損失は大きくない
が、これを人手でいちいち掃き捨てていたのでは
作業性が悪く能率が著しく低下する。

かといつて、この残留生葉をそのままにして、
次の新しい生葉を貯槽内に投入し、いつしよに貯
蔵した場合、いくら送風により鮮度を保たれてい
るとは言え、残留生葉と新しい生葉とでは摘採時
間にして数時間から10数時間もの差があるため、
製茶工程へ供される時の品質の劣化程度には当然
差が出てくる。

新しい生葉に残留生葉が混入したまま同一条件
下の製茶工程へ給葉すると、残留生葉は特に水分
を相当減じているため熱伝導率が悪く、蒸しが不
足し、全体として蒸しムラを生じる。

蒸しの不足した残留生葉は、粗揉工程において
揉捻がされずに揉乾室内を飛舞する内に乾燥され
る状態になつたり、さらに後の精揉工程において
粉化したり、整形されずに終わつてしまう。この
ため、混入した残留生葉が少量であるからと軽視
していつしよに製茶すると、その仕上がつた製品
茶においては残留生葉の品質劣化程度が一層目立
つようになり、結局、製品全体としての価値を著
しく低いものにしてしまう。

そこで、能率を採るか、品質を採るかの選択が
行なわれ、どちらか一方を特牲にした方法で妥協
してきたのが偽わらない実情であつた。

本考案は、このような実情に鑑みてなされたも
ので、貯槽中央部での貯槽状態をより完壁にする
ことはもとより、補助送風筐の後部頂上に残留し
がちな生葉をコンベヤの移動とともに確実に送出
し得るようにして、貯槽内に残留する生葉を皆無
にし、もつて、新しい生葉に残留生葉が混入する
ことによつて起因される製品茶の品質の低下を未
然に防止しようとするものである。

次に、本考案を、貯槽本体を移動自在とした移
動コンテナ型の茶生葉管理装置について説明す
る。

第２図、第３図において、１は貯槽本体であ
り、２は機枠で、下方には複数個の走行車輪３を
軸架するとともに、送風筐４を載設する。

５は機枠の両側に架設したチエーン６間に通気
性キヤタピラ板７を多数連着して構成した通気性
コンベヤで、送風筐４全周を覆設する如く循環す
る。

８はコンベヤの駆動輪、９は従動輪、１０は駆
動軸である。

送風筐４は上面を開放し、左右２室４′、４″に
分割し、一側を機枠２より突出させ、該突出部上
辺でフアン１１と連通し、該筐４内で該フアン１
１前方には蒸散促進子（図示略）を載置してな
る。１２は蒸散促進子に水を供給する補水タンク
である。

１３はコンベヤ上辺に立設した長手両側壁、１
４は後壁、１５は送出端に設けられた開閉自在の
前壁であり、長手両側壁１３にはその内面にベニ
ヤ板を張設する。

１６は長手両側壁１３の一部に設けた開曲自在
な投入壁、１７は投入壁１６を直角状に開曲支持
する鎖である。

１８は、パンチングメタル等の多孔板を長手方
向で二つ折りにし、先端１９を閉塞した略三角柱
状の中空体をコンベヤ５中央部に横置き（コンベ
ヤ移動方向）に載置し、その後端２０を後壁１４
に固着した補助送風筐で、送出端へ向うに従いそ
の断面が次第に狭窄するテーパー状に形成すると
ともにその長さを貯槽本体１長さよりも数10cm短
く構成する。

１８′は、送風筐４の左右の２室４′、４″の境
に対応して、補助送風筐１８を前後２分するよう
に設けた仕切板である。

２１は、コンベヤ５と補助送風筐１８との接線
となすよう該筐１８に添設された塩ビパイプから
なるスベリ部材である。

２２は従来生葉が残留しがちな補助送風筐１８
の後部頂上から上方へ突設された生葉振分板で、
生葉が該筐１８の頂上でその左右の傾斜側壁にブ
リツジ状に載るのを防ぎ、確実に左右の傾斜側壁
へ振り分け誘導するものである。

２３は前記駆動軸１０に連結自在で、該軸を回
転駆動する駆動体、２４は製茶工程へ連続する輸
送機である。

そこで、貯槽本体１を生葉の受け入れ場所へ移
動し、投入壁１６を開曲し、茶篭を該壁１６に載
置しつつ反転させて生葉を投入する。これを数回
から十数回繰り返せば、やがて貯槽には生葉が満
載される。

そして製茶ラインでの必要があるまで、適宜フ
アン１１を稼動し、通気性キヤタピラ板７を介し
て新鮮な空気を強制的に供給し、満載した生葉を
新鮮な状態に保つ。

この時、補助送風筐１８はともすれば不足がち
になる貯槽中央部の生葉への送風を補ない、その
貯蔵状態を完壁なものとする。一方、生葉振分板
２２は補助送風筐１８の後部頂上の生葉を確実に
左右の傾斜側壁へ振り分け誘導する。

製茶ラインで生葉の給葉が必要となつたときに
は、貯槽本体１を生葉供給口、つまり製茶工程へ
連続する輸送機２４のところへ移動し、コンベヤ
５送出端を輸送機２４に臨ませ、前壁１５を開放
し、駆動軸１０に駆動体２３を連結してこれを始
動すると、コンベヤ５の移動とともにそれに載置
された生葉も順次送出端より輸送機２４へ移送さ
れてゆく。

このとき、補助送風筐１８に接触している生葉
は該筐１８の傾斜側壁との摩擦抵抗で移動しにく
いのであるが、補助送風筐１８を送出端に向うに
従い狭窄するテーパー状とし、コンベヤ５の移動
方向がその摩擦抵抗を軽減する方向としたので、
支障なく送出端へ送出される。

また、補助送風筐１８の頂上付近で後壁１４近
傍の生葉は生葉振分板２２によつて完全に該筐１
８の左右の傾斜側壁に振り分け誘導されているの
で、その部分の摩擦抵抗は特に軽減され、このた
めそれより以前の下層の生葉の動きの伝幡が少な
くても容易に移動しだす。また、後壁１４より十
分離れた頂上付近の生葉は、それより以前の生葉
が移動しやすくなつたことで、従来よりさらに容
易に移動される。このため、補助送風筐１８に載
つて貯槽内に残留する生葉は皆無となる。

また、補助送風筐１８が貯槽本体１より数10cm
短く形成されているため、生葉の全体的移動によ
り該筐１８前方にはほぼ同形の空間が形成され、
生葉はコンベヤ５の移動振動で該空間を埋めるべ
くくずれ落ち、ばらばらにほぐされて輸送機２４
へ移送されることができる。

尚、上述した実施例は貯槽本体を移動自在なも
のとしたが、これに限らず、貯槽本体を生葉室の
奥行長さ程度に構成し、これを固定設置したもの
にも同様に施用し得るのは勿論である。

本考案は、通気性コンベヤ上には略三角柱状の
補助送風筐を横置きに載置するとともに該筐の後
端を後壁に固着し、該筐の後部頂上からは生葉振
分板を突設しただけの単純な構造ではあるが、こ
れによつて貯槽中央部の貯蔵状態も完壁となり、
また、従来、補助送風筐の後部頂上に残留しがち
な生葉もコンベヤの移動とともに確実に送出し得
るようになり、貯槽内に残留する生葉が皆無とな
るので、新しい生葉に残留生葉が混入して製品茶
の品質を著しく低下させることもなくなつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の構造を示す概略正面断面図、第
２図、第３図は本考案の実施例を示すもので、第
２図は概略正面断面図、第３図は斜視図である。 １……貯槽本体、５……通気性コンベヤ、１３
……長手両側壁、１４……後壁、１８……補助送
風筐、２０……後端、２２……生葉振分板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 長手方向に亘つて通気性コンベヤ５を巡設
   し、該コンベヤ５上には長手両側壁１３、後壁
   １４を立設して形成した貯槽本体１と、該コン
   ベヤ５に新鮮な空気を送り込む送風装置とから
   なる茶生葉管理機において、通気性コンベヤ５
   上には略三角柱状の補助送風筐１８を横置きに
   載置するとともに該筐１８の後端２０を後壁１
   ４に固着し、該筐１８の後部頂上からは生葉振
   分板２２を突設したことを特徴とする、茶生葉
   管理機の補助送風装置。 (2) 補助送風筐１８を、送出端へ向うに従いその
   断面が次第に狭窄するテーパー状に形成すると
   ともにその長さを貯槽本体長さよりも数10cm短
   く構成した、実用新案登録請求の範囲第(1)項記
   載の茶生葉管理機の補助送風装置。