JPS608151Y2 - 機関点火時期制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は機関の吸気圧に応動して機関点火時期を進角
または遅角させる機関点火時期制御装置に関する。

排気ガス浄化対策機関性能の向上対策等のためにシリン
ダ内に吸入される空気を予め圧縮してシリンダ内の空気
量を増大することにより同一シリンダ内容積にて燃焼し
得る燃料量を増大させることが一部実用化されている。

上述のシリンダ内に導入される空気を予め圧縮するもの
として機関により駆動されるターボチャージャが用いら
れており、そうすることにより機関始動時の出力増大、
機関高速運転時の出力増大等を計ることができる。

ここで、ターボチャージャを用いれば機関の吸気管内圧
力が大気圧よりも高くなる場合があり、この場合にも機
関点火時期を制御することが機関に対し好適となる。

このような装置は特公昭４２−８２４８号公報に示され
ているが、然るに、このものは正圧側のスプリングの初
圧を調整するのにケースとは別体に設けられた左側第１
筒状体と左側第２筒状体との間に設けられているパツキ
ンの厚みを変更して行っていたため、そのパツキン脱着
作業が困難となると共に微調整ができない不具合を有し
ており、更には、制御装置自体も構成複雑で大型化し、
実際の製作には不向きであり高価となる問題点があった
。

この考案は上記の問題点を解決するためになされたもの
で、ケースにおける第２スプリングが当接する近傍に凹
部を形威し、その凹部によりケースを容易に変形させて
正圧側の第２スプリングの初圧の調整することにより、
正圧側の第２スプリングの初圧の調整が極めて簡単とな
り、しかも、ケースにおける第２スプリングの当接部近
傍に凹部を設ける構成のみで良いので装置全体としても
構成が簡単となを機関点火時期制御装置を提供するもの
である。

以下、第１図に示す実施例を参照して詳述するに、図に
於て、１は配電器のハウジング、２はこのハウジング１
内に固定された合板３上に回動可能に支承された可動台
板で、ピン４が植設されている。

５はこの可動台板２上に定着された機関点火時期決定素
子であるステータ、６は機関により直接または間接に駆
動されるシグナルロータで、ステータ５と協働してステ
ータ５の信号コイルに機関回転に同期した信号電圧を誘
起させる。

７はハウジング１の側部に装着される本発明の要部であ
る圧力応動装置で、下記の部品により構成される。

即ち、８は鉄板等により形成された第１ケースで、その
内部はハウジング１の筒部１ａに側部には取付板１９が
固着され、また、側部内周端部８ａには後述する第２ス
プリング２２が当接し、この側部内周端部８ａの外周に
は環状の凹部８ｂが形成されている。

９は鉄板等により形成され第１ケース８の周縁部に圧着
された第２ケース、１０は第１、第２ケース８，９の周
縁部により挾持されたダイアフラムで、第２ケース９と
により圧力室Ａを構成し、また第１ケース８とにより大
気圧室Ｂを構成する。

１１は一端が可動台板２のピン４に遊嵌されたリンクで
、他端は棒状に形成され先端部分はかしめられ半球状と
なる。

１２，１３は円板状に形成された一対の保持金具で、環
状の補強部１２ａ、１３ａと挿入孔とが形成されこれら
保持金具１２．１３はプレス加工により一体的に成形さ
れる。

ダイアフラム１０は一対の保持金具１２．１３により挾
持され、リンク１１の先端部をはかしめることによりダ
イアフラム１０、保持金具１２．１３’Ｊンク１１の４
者は一体的に固定される。

１４は第１第２ケース８，９の周縁部にダイアフラム１
０と共に挾持され大気圧室Ｂ内に位置する鉄板等により
形成された椀状の係止部材で、その内周部には貫通孔を
有する係止部１４ａが形成されている。

１５は中間部１５ｂが係止部１４ａに係止され、一端１
５ａが保持金具１２の補強部１２ａに当接する第２ホル
ダでこの第２ホルダ１５の他端１５ｃは第１ケース８に
距離１１を介して対向する。

１６は一端に第２ケース９に固着されたブツシュ１７に
螺着されるねじ部１６ａと他端にリンク１１のかしめ先
端部１１ａに距離１□を介して対向するストッパ部１６
ｂとが形成された保持部材、１Ｂはこの保持部材１６の
ねじ部１６ａとブツシュ１７との空間部に充填されたエ
ポキシ樹脂で、シール機能を呈する。

２０は保持部材１６のストッパ部１６ｂに係止され保持
金具１３により押圧されて反ダイアフラム側に即ち、図
中左方向に移動可能な第１ホルダで、端部２０ａは保持
金具１３の補強部１３ａに当接している。

２１は第１ホルダ２０と第２ケース９との間に張架され
た第１スプリング、２２はケース８の内周端部８ａと第
１ホルダ２０との間に張架された第２スプリング、２３
は第２ケース９に固着された二゛Ｚプルで、機関の吸気
管にゴムホース等を介して結合される。

次に、動作を説明するに、機関が駆動されシグナルロー
タ６が図示する矢印方向に回転されると、シグナルロー
タ６の突起とステータ５の突起との相対位置が変化し、
ステータ５の信号コイルの鎖交磁束に変化が与えられる
ことによって信号コイルに信号電圧が誘起し、この信号
電圧が機関点火時期を決定する。

この機関点火時期を進角または遅角するには信号コイル
に信号電圧が誘起する時期、即ち、ステータ５の突起と
シグナルロータ６の突起との相対位置を制御することに
より行なえる。

この機関点火時期の制御について詳述するに、先ず機関
の吸気管からニップル２３を通じて圧力室Ａ内に大気圧
よりは低い負圧が導入されるとリンク１１が固定されて
いるダイアフラム１０は図中左方向に吸引されこのとき
ダイアフラム１０と一体的に固定された保持金具１３の
補強部１３ａは第１ホルダ２０の端部２０に当接して押
圧し、第１スプリング２１を圧縮する。

従って、ダイアフラム１０は第１スプリング２１の抑制
力と釣合いながら移動し、リンク１１は図中矢印イ方向
に移動して可動台板２をシグナルロータ６の反矢印方向
に回動させ、ステータ５の突起に対するシグナルロータ
６の突起の対向時期を進める。

而して、ダイアフラム１０が左方向に距離１゜移動する
とリンク１１のかしめ先端部１１ａが保持部材１６のス
トッパ部１６ｂに当接するためダイアフラム１０の移動
は阻止される。

この作動時、第２ホルダ１５はその一端１５ａが係止部
材１４の係止部１４ａに係止されるため、その位置に保
持されダイアフラム１０から離間する。

従って第２スプリング２２はダイアフラム１０の移動に
対し何ら影響しないものである。

このときの機関点火時期特性を第２図のＩに示す。

図に於けるａ点はダイアフラム１０が左方向に移動する
位置を示し、この点に於ける負圧ｐａは第１スプリング
２１の初圧により決定され、点すはダイアフラム１０が
左方向に移動し、リンク１１のかしめ先端部１１ａ１保
持部材１６のストッパ部１６ｂに当接した位置を示し、
この点に於ける最大進角度θｂは距離１□により決定さ
れ、更に進角ａ−ｂの傾きは第１スプリング２１のばね
定数により決定される。

次に、機関の吸気管から圧力室Ａ内に大気圧よりは高い
正圧が導入されると、ダイアフラム１０は図中右方向に
押圧されるため保持金具１３の補強部１３ａは保持部材
１６のストッパ部１６ｂから離間すると共に第２ホルダ
１５は保持金具１２の補強部１２ａにより右方向に押圧
され第２スプリング２２を圧縮する。

即ち、ダイアフラム１０は第２スプリング２２の抑制力
と釣合ながら移動し、リンク１１は図中矢印口方向に移
動して可動台板２をシグナルロータ６の矢印方向に回動
させステータ５の突起に対するシグナルロータ６の突起
の対向時期を遅らせる。

このダイアフラム１０は第２ホルダ１５が距離１１移動
し、その一端１５ｂが第１ケース８に当接すると移動が
阻止される。

この機関点火時期特性を第２図のＨに示す。

図に於けるＣ点はダイアフラム１０が右方向に移動する
位置を示し、この点に於ける正圧Ｐｃは第２スプリング
２２の初圧により決定され、点ｄはダイアフラム１０が
右方向に移動し第２ホルダ１５の一端１５ａが第１ケー
ス８に当接した位置を示腰この点に於ける最大遅角度θ
ｂは距離１１により決定され、また遅角ｃ−ｄの傾きは
第２スプリング２２のばね定数により決定される。

また、機関の吸気管から圧力室Ａ内に導入される負圧が
Ｐａに達するまでと正圧がＰｃに達するまでの圧力範囲
にあってはダイアフラム１０及びリンク１１は右方向に
も左方向にも移動することがなく、従って機関点火時期
は零となる。

ここで、機関点火時期の進角、遅角特性を考案してみる
に、通常ターボチャージャが作動するまでの機関状態に
あっては機関点火時期は進角特性Ｉを要求し、またター
ボチャージャが作動する機関状態にあっては機関点火時
期が機関のノッキング領域に達し、機関がノッキングす
るため機関点火時期を遅角させる必要がある。

このような機関に本実施例の圧力応動装置７を適用すれ
ば機関は好適に制御できる。

しかし、機関の始動時にターボチャージャを作動させて
始動性能を向上させる場合もある。

この最大進角度Ｏｂは保持部材１６を回動させてリンク
１１のかしめ先端部１１ａとストッパ部１６ａとの距離
１゜を変更すれば要求値に容易に調整できる。

ところで、この種装置にあって組立後、遅角特性■の立
上り点Ｃの位置が規格値とはならず、このため第２スプ
リング２２の初圧を調整する必要がある。

この調整作業を第３図第４図について説明する。

図中の２４は固定台、２５は矢印方向に押圧される可動
台である。

先ず、圧力応動装置７の第１第２ケース８，９の周縁部
を固定台２４に設置し、可動台２５の先端部を第１ケー
ス８の内周端部８ａに当接させる。

而して、可動台２５を矢印方向に移動させ第１ケース８
の内周端部８ａを所定の圧力でもって押圧し、第４図の
如く内周端部８ａのみを変形させ、第２スプリング２２
のセット長、即ち初圧を調整する。

これにより遅角特性■の立上り点Ｃを規格値に設定でき
ることになる。

ここで、第１ケース８の内周端部８ａを可動台２５によ
り押圧することにより、内周端部８ａのみを第４図の如
く変形させることが重要である。

即ち、第１ケース８の側部全体が変形すれば、第２ホル
ダ１５の他端１５ｃとの距離１．が変化し、最大遅角度
θｄが規格外になるからである。

このため、第１ケース８の内周端部８ａの外周側に環状
の凹部８ｂを第１ケース８と・一体的に形成して、内周
端部８ａの強度を実質的に弱くし曲げ加工を容易にして
いる。

しかも、内周端部８ａを環状に形成しているため外周部
、即ち第２ホルダ１５の他端１５ｃが当接する側部の強
度が著しく高くなり、変形することが皆無となると共に
第２ホルダ１５の他端１５ｃの当接することにより変形
することもなくなり、距離１１の設定維持が確実となる
。

以上の通り、この考案によれば、第２スプリングが当接
するケースの近傍に凹部を形成したのでケースの変形が
容易となり、第２スプリングの初圧の調整作業が容易に
なり、しかも御装置自体も構成が簡単となり製作が容易
となる実用的な効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す構成図、第２図は第
１図装置により得られる進角、遅角特性を示す特性図、
第３図は第２スプリング２２の初圧を調整するための構
成図、第４図は第１ケース８の内周端部８ａの変形した
要部断面図である。 図に於て、１はハウジング、２は可動台板、４はピン、
５はステータ、６はシグナルロータ、７は圧力応動装置
、８，９はケース、８ａは内周端部、８ｂは凹部、１０
はダイアフラム、１１はリンク、ｌｌｃはかしめ先端部
、１２．１３は保持金具、１２ａ、１３ａは補強部、１
４は係止部材、１５は第２ホルダ、１５ａは中間部、１
５ｃは一端、１６は保持部材、１７はブツシュ、２゜は
第１ホルダ、２１，２２はスプリング、２３はニップル
である。 尚各図中間−符号は同一部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケースとにより大気圧室と負圧または正圧が導入される
   圧力室を構成するダイアフラム、このダイアプラムに結
   合された当接部材、上記ケースに固定され、上記圧力室
   内に位置する保持部材、この保持部材に係止され上記当
   接部材により押圧されて反ダイアフラム側に移動可能な
   第１ホルダ、上記ケースに固定され上記大気圧室内に位
   置する係止部材、この係止部材に係止され上記当接部材
   により押圧されて反ダイアフラム側に移動可能な第２ホ
   ルダ、上記第１ホルダと上記ケースとの間に張架された
   第１スプリング、上記第２ホルダと上記ケースとの間に
   張架された第２スプリング、及び上記ケースの上記第２
   スプリングが当接する近傍に形威され、上記第２スプリ
   ングの初圧を調整し得る凹部を備えた機関点火時期制御
   装置。