JPS6132147Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、内燃機関の吸気圧に応動して機関
点火時期を進角または遅角させる点火時期制御装
置に関するものである。

従来、上述のような点火時期制御装置として第
１図に示すものがあつた。第１図において、１は
回動により機関点火時期を決定する部材（図示し
ない）とこれを回動させ得るように連結されてい
るリンクのロツド、２はロツド１の先端部に固定
されるダイアフラム、３はダイアフラム２を挾着
して上記ロツド１に固定された取付金具、４は取
付金具３の下側金具３ａに係止されたストツパ、
５は取付金具３の上側金具３ｂに係止された係合
部材、６は上記ダイアフラム２の外周部を挾着す
る下側筐体であり、この筐体６は大気との連通孔
６ａを有している。７は下側筐体６とダイアフラ
ム２とに包囲された大気室、８は下側筐体６と固
着されて上記ストツパ４の上方への移動を阻止す
る係止片、９はストツパ４と下側筐体６の底との
間に介挿された第１のスプリング、１０は上側筐
体であり、この筐体１０と下側筐体６とでダイア
フラム２の外周部および係止片８を挾着し、また
上側筐体１０には機関の吸気圧導入用ニツプル１
１が装着されている。１２はダイアフラム２と上
側筐体１０とで包囲された制御室であり、この制
御室１２は機関状態に応じた負圧と正圧とが導入
されるようになつている。１３は上記係合部材５
と上側筐体１０の頂面との間に介装された制御用
スプリング、１４はダイアフラム２の上方への移
動量を規制するストツパボルトであり、このボル
ト１４は上側筐体１０の頂部にスペーサ１５を介
して螺着されている。１６はストツパボルト１４
に螺着されたナツトである。

次に、この点火時期制御装置の動作を説明す
る。制御室１２に機関の運転状態に応じた負圧が
導入された場合には、ダイアフラム２は制御用ス
プリング１３に抗して第１図の上方へ変位し、ダ
イアフラム２に連結されたリンクのロツド１も上
方へ移動するので、機関点火時期の決定部材であ
る台板（図示しない）の位置を点火時期を進める
方向に回動させる。このダイアフラム２の上方へ
の変位は上記ロツド１の先端がストツパボルト１
４に当接するまで負圧に応じてなされる。なお、
この場合に、ストツパ４は係止片８によつてその
移動を阻止されているので、スプリング９の弾性
力はダイアフラム２の動作には何ら影響を及ぼさ
ない。上述した機関状態に応じた負圧が制御室１
２に導入された場合の特性を第３図の特性線Ａに
示す。また、制御室１２に機関の運転状態に応じ
た正圧が導入された場合には、ダイアフラム２は
第１のスプリング９に抗して第１図の下方へ変位
し、ロツド１も連動するので、機関点火時期の決
定部材の位置を点火時期を遅らせる方向に回動さ
せる。このダイアフラム２の下方への変位は、ス
トツパ４が下側筐体６に当接するまで続く。な
お、この場合に、係合部材５はストツパボルト１
４によりその移動を阻止されているので、制御用
スプリング１３の弾性力はダイアフラム２の動作
には何ら影響を及ぼさない。上述した機関の運転
状態に応じた正圧が制御室１２に導入された場合
の特性を第３図の特性線Ｂに示す。

上述した従来の点火時期制御装置は、機関の正
圧、負圧の制御室への導入による第３図の特性線
Ａ，Ｂのような制御しかできず、このために機関
のノツキング、排ガスおよび燃費の対策に適合し
た点火時期にすることができない欠点があつた。

この考案は、上述した欠点をコスト高になる電
気的な手段によることなく、構造的な手段によつ
て解消し、上述した従来のものと同様な機関の状
態に応じた正圧、負圧による点火時期特性が得ら
れる上に、機関のノツキング、排ガス、燃費の対
策に適合した点火時期特性が得られる内燃機関の
点火時期制御装置を提供することを目的としてい
る。

以下、この考案の一実施例を第２図について説
明する。第２図において、２１は機関の点火時期
決定部材（図示しない）と連結されているリンク
のロツド、２２はロツド２１の先端部に取付金具
２３を介して固定された第１のダイアフラム、２
４は機関の吸気圧導入用ニツプル２５が装着され
た上側筐体であり、この筐体２４と中間筐体２６
とが第１のダイアフラム２２の外周部を挾着して
固着されている。２７は下側筐体であり、この筐
体２７には機関の運転状態に応じた負圧のみを導
入するニツプル２８が装着され、下側筐体２７と
中間筐体２６とが第２のダイアフラム２９の内、
外周部を挾着して固着されている。そして、上記
各筐体２４，２６，２７でケースが構成されてい
る。３０は上側筐体２４と第１のダイアフラム２
２とで包囲された第１の御御室、３１は下側筐体
２７と第２のダイアフラム２９とで包囲された第
２の制御室である。３２は上記ロツド２１の上方
への移動にのみ連動するようにロツド２１の鍔部
２１ａに支持された第１の係合部材であり、この
係合部材３２は第１のストツパ３３でその移動量
が規制されるようになつている。３４は第１のダ
イアフラム２２に取付金具２３を介して支持され
これらの下方への移動にのみ連動する第２の係合
部材で、ストツパ３３でその移動量が規制される
ようになつている。３５は係合部材３４の上方へ
の移動を阻止する第２のストツパ、３６は係合部
材３２とストツパ３３との間に介装された第１の
スプリング、３７は係合部材３４とストツパ３３
との間に介装された第２のスプリング、３８は第
２のダイアフラム２９に固着されてその上方への
移動を制限する第４の係合部材、３９は第２のダ
イアフラム２９に固着されてその下方への移動を
制限する第３の係合部材である。４０はストツパ
３３および３５を係合部材３８に圧着させる第４
のスプリング、４１は第２のダイアフラム２９の
移動を制御する第３のスプリングである。

次に、この実施例による点火時期制御装置の動
作について説明する。

第１の制御室３０に機関状態に応じた負圧が導
入された場合で、第２の制御室３１に負圧が導入
されない場合には、第１のダイアフラム２２は第
１のスプリング３６に抗して上方へ変位し、第４
図の点火時期特性線Ａが得られる。また、第２の
制御室３１に機関状態に応じてノツキング時など
に負圧が導入されると、第２のダイアフラム２９
は下方へ変位し、これに伴つて第１のダイアフラ
ム２２も下方へ変位する。すなわち、第２の制御
室３１に導入された負圧の大きさに応じて点火時
期特性を遅らせることができ、この遅れの大きさ
の最大値は係合部材３９と下側筐体２７との間の
隙間寸法θｘによつて決まる。なお、以上の動作
に第２のスプリング３７、第４のスプリング４０
の弾性力は全く影響を及ぼさない。

さらに、第１の制御室３０に機関状態に応じた
正圧が導入され、かつ第２の制御室３１に負圧が
導入されない場合には、第１のダイアフラム２２
は第２のスプリング３７に抗して下方へ変位し、
第４図の点火時期特性線Ｂが得られる。また、第
２の制御室３１に機関状態に応じた負圧が導入さ
れると、第２のダイアフラム２９は第３のスプリ
ング４１に抗して下方に変位し、これと同じ移動
量だけ第１のダイアフラム２２も下方へ変位す
る。すなわち、第２の制御室３１に導入された負
圧の大きさに応じて点火時期特性を遅らせること
ができ、この遅れの大きさの最大値は上記隙間寸
法θｘによつて決まる。なお、以上の動作に対し
て第１のスプリング３６および第４のスプリング
４０の弾性力は全く影響を及ぼさない。

上述したように、この実施例のものでは、第２
の制御室３１への負圧の導入を機関状態に応じて
制御することにより、機関の点火特性を例えば第
４図の特性線A′，B′に示すように最大値θｘの
必要量だけ遅れ方向に移動させることがきる。な
お、第４図のθ_１，θ_２は第２図の隙間寸法θ
_１，θ_２と対応する第２の制御室３１への負圧の
導入がない場合の点火時期の進み、遅れの最大値
を示す。

以上説明したように、この考案によれば、第１
の制御室３０に導入される機関状態に応じた正
圧、負圧により従来の点火時期特性が得られると
共に、第２の制御室３１に導入される機関状態に
応じた負圧により必要量だけ任意に点火時期特性
を遅らせることができ、機関のノツキング対策、
排ガス対策、燃費対策に適合した点火時期特性が
得られる点火時期制御装置を、構造的な手段のみ
で提供できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の内燃機関の点火時期制御装置を
示す縦断面図、第２図はこの考案の一実施例によ
る点火時期制御装置を示す縦断面図、第３図およ
び第４図は従来およびこの考案の一実施例による
点火時期制御装置の点火時期特性をそれぞれ示す
特性線図である。 ２１……ロツド、２２……第１のダイアフラ
ム、２４，２６，２７……筐体（ケース）、２９
……第２のダイアフラム、３０……第１の制御
室、３１……第２の制御室、３２……第１の係合
部材、３３……第１のストツパ、３４……第２の
係合部材、３５……第２のストツパ、３６……第
１のスプリング、３７……第２のスプリング、３
８……第４の係合部材、３９……第３の係合部
材、４０……第４のスプリング、４１……第３の
スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回動により機関点火時期を決定する部材を回動
   させるためのロツドと、このロツドに連結した第
   １のダイアフラムと、第１のダイアフラムとこれ
   を固定したケースとで包囲した内部に形成した第
   １の制御室と、第１の制御室に作用する負圧によ
   つて移動する第１の係合部材と、第１の係合部材
   を支持してその移動を規制する第１のスプリング
   と、上記第１の制御室に作用する正圧によつて移
   動する第２の係合部材と、第２の係合部材を支持
   してその移動を規制する第２のスプリングと、第
   ２の係合部材および第２のスプリングを支持する
   第１のストツパと上記第１、第２の係合部材の移
   動量を定める第２のストツパと、ケースとケース
   に固定した第２のダイアフラムとで包囲した内部
   に形成した第２の制御室と、第２のダイアフラム
   に固定されて第２の制御室に作用する負圧によつ
   て移動する第３の係合部材と、第３の係合部材を
   支持してその移動を規制する第３のスプリング
   と、第２のダイアフラムに固定されて第２の制御
   室に作用する負圧によつて移動すると共に上記第
   １、第２のストツパを支持する第４の係合部材
   と、第４の係合部材に第１、第２のストツパを押
   付ける第４のスプリングとを備え、上記第３、第
   ４の係合部材の移動量を上記ケースで定めるよう
   にしたことを特徴とする内燃機関の点火時期制御
   装置。