JPS606627Y2 - エンジンの点火装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンの点火装置の改良、とくにエンジン
の回転に同期して配電器を駆動する駆動機構の改良に関
するものである。

従来、例えば遠心式点火進角装置によって点火進角を制
御するようにしたエンジンの点火装置においては、例え
ば英国特許第１４４３４９６号明細書には、エンジンの
回転軸側に、配電器の駆動軸先端を嵌合するとともに、
回転軸の軸端から軸方向に設けた係合溝内に駆動軸の直
径方向に設けた係合ピンを共回転するように係合させる
ことにより、配電器の駆動軸をエンジンの回転軸に同期
させて駆動するようにした駆動機構が採用されていた。

また、本願出願人は、先に、カムシャフト端部を利用し
て、配電器を駆動する構造を提案している（実願昭５５
−１８５０６号）。

しかしながら、このような駆動機構では、単に駆動軸の
係合ピンを回転軸の係合溝に回転方向に係合させただけ
の構造であるため、摩耗や損傷等によって係合ピンと係
合溝との間にガタが生じやすく、この種のガタが生じる
と、エンジンの加速時や減速時等にガタに起因する衝撃
力が駆動軸に加わり、その衝撃力のため遠心式点火進角
装置が誤作動して進角不良を招来するといった問題があ
った。

本考案は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、
エンジンの回転軸と配電器の駆動軸との連動状態を常時
良好な状態に維持し、回転軸と駆動軸との係合部にガタ
が生じた場合にも、駆動軸に衝撃力が作用しないように
そのガタを抑えることができるような駆動機構もしくは
回転軸にとの連結構造を備え・、よってガタに起因した
進角不良を有効に防止することができるエンジンの点火
装置を提供するとを目的としている。

この目的のため、本考案にかかるエンジンの点火装置は
、エンジンの回転軸によって駆動される配電器の駆動軸
の先端部を上記回転軸の端部に軸方向に形成した嵌入穴
に嵌入支持すると同時に、上記回転軸と駆動軸とを係合
部材により係合したエンジンの点火装置において、上記
駆動軸の先端部の外周にテーパー面を形成するとともに
、該駆動軸のテーパー面を有する先端部と嵌入式底壁と
の間に、上記テーパー面と嵌入穴内周面とを押圧する摩
擦部材を配設して構成したものであって、テーパー面に
より摩擦部材には外径方向の力が作用し、この力によっ
て摩擦部材はテーパー面と嵌入穴内周面の両方向に強く
圧接され、これにより両軸が強固に摩擦係合される。

以下、図示の実施例にについて本考案をより具体的に説
明する。

第１図において、１はエンジンの点火タイミングを制御
する配電器、２は配電器本体のハウジング３内に支持し
たボールベアリング４により軸受された配電器１の駆動
軸、５はエンジンケース６とシリンダへラドカバー７に
よって形成された収納空間内において先端部が軸受部８
によって軸受されたエンジン回転軸としてのカムシャフ
トで、上記駆動軸２は配電器１をエンジンケース６に支
持するためのハウジング３の嵌挿部３ａ内を貫通してエ
ンジンケース６内に突出し、回転軸５の端部に連結され
ている。

上記回転軸５には、駆動軸２の外径に等しい内径を有す
る軸方向の嵌入穴９を形成するとともに、軸端には軸方
向に所定深さの一対の保合溝１０．１０を形成し、嵌入
穴９内には駆動軸２の先端部２ａを嵌入支持するととも
に、一対の係合溝１０．１０には、第３図にも示すよう
に、駆動軸２の先端部２ａの直径方向に貫通して両端を
突出させた係合ピン１１を嵌入して、係合溝１０，１０
と係合ピン１１の回転方向の係合により、回転軸５と駆
動軸２とを共回転させるようにしている。

上記駆動軸２の先端部２ａの最先端は、テーパー面２ｂ
として形成するとともに、上記嵌入穴９は、駆動軸２の
先端部２ａの長さより一定程度長く形成して、その奥部
内には駆動軸２の上記テーパー面２ｂを嵌合する円錐面
を摩擦面とする皿受状の摩擦部材１２を嵌入するととも
に、該摩擦部材１２の背面と嵌入穴９の底壁９ａとの間
には、コイルスプリング１３を軸方向に介装して摩擦部
材１２を駆動軸２の先端テーパー面２ｂに常時圧接せし
めるように付勢する。

上記摩擦部材１２は、金属、合成樹脂等を用いて形成し
、かつ、任意の直径面で２分割した分割構造としている
。

上記のように、摩擦部材１２を分割構造とした場合、コ
イルスプリング１３のばね力は、摩擦部材１２を形成す
る各分割片１２ａ、１２ｂが、回転軸５の内壁面と駆動
軸２のテーパー面２ｂとの間に形成されるくさび状断面
空間にくい込むように作用する。

換言すれば、摩擦部材１２はテーパー面２ｂによって外
径方向の力を受け、駆動軸２のテーパー面２ｂおよび回
転軸５の内壁面に同時に圧接して駆動軸２と回転軸５と
を強く摩擦係合する。

上記駆動軸２と回転軸５とは、常時は、係合溝１０．１
０と係合ピン１１との係合によって共回転し、エンジン
の回転軸５によって配電器１の駆動軸２をエンジンの回
転に同調して回転駆動し、配電器１内に組込んだ遠心式
点火進角装置（図示せず）を介して点火進角を制御する
。

この間、上記摩擦部材１２は両軸２，５が同調している
ため、両軸２，５との間にすべりを生ずることなく共回
転する。

一方、上記係合溝１０，１０と係合ピン１１との間に、
摩耗等により有意のガタが生じた場合には、上記摩擦部
材１２が上記ガタを抑える摩擦係合部材として作用し、
エンジンの加速時や減速時等においてエンジンの回転軸
５の回転速度が変化したときに、摩擦力によって配電器
１の駆動軸２を回転軸５に追随させ、両軸２，５を同調
させる。

換言すれば、回転軸５と駆動軸２とが相対的にガタ分だ
け空回りしないように、両軸５，２の連係を図るように
している。

なお、摩擦部材としては、第２図に示すように、ゴム、
テフロン等一定の弾性を有する一体の摩擦部材１５を設
けてこれを回転軸５の嵌入穴９′の奥部内に嵌装し、該
摩擦部材１５を駆動軸２の先端部２ａによって軸方向に
若干押圧した状態に保持することにより、回転軸５と駆
動軸２との摩擦係合を図るようにしてもよい。

この場合には、摩擦部材１５の弾性力を利用することに
より、第１図に示すスプリングコイル１３を省略するこ
とができる。

なお、この場合、摩擦部材１５を軸方向に押圧保持した
ときに駆動軸２に作用する軸反力は、第１図に示す駆動
軸２の軸受用ボールベアリング４によって受合うことが
できる。

以上のように、本考案に係るエンジンの点火装置では、
先端部外周をテーパー面とした駆動軸と、エンジンの回
転軸に形成した嵌入穴底部との間に摩擦部材を設け、テ
ーパー面で摩擦部材に外径方向の力を発生させることが
でき、この力によって摩擦部材が嵌入穴内周面に強く圧
接され、回転軸と駆動軸とが強く摩擦係合されるため、
係合溝を係合ピンとからなる両軸の係合構造にガタが発
生し、或いは存在しても両軸の係合関係が保持され、両
軸間のガタ分の空回りやその空回りによって惹起される
衝撃を確実に防止することができ、両軸間の同調を維持
して正確な点火進角の制御を行うことができる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案に係るエンジン回転軸と配電器駆動軸と
の結合構造を示す要部断面図、第２図は本考案に係る他
の実施例を示す要部断面図、第３図は上記エンジン回転
軸の端面の係合構造を示す端面図である。 １・・・・・・配電器、２・曲・駆動軸、５・・曲回転
軸、９．９′・・・・・・嵌入穴、１２，１５・曲・摩
擦部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの回転軸によって駆動される配電器の駆動軸の
   先端部を上記回転軸の端部に軸方向に形成した嵌入穴に
   嵌入支持すると同時に、上記回転軸と駆動軸とを係合部
   材により係合したエンジンの点火装置において、上記駆
   動軸の先端部の外周にテーパー面を形成するとともに、
   該駆動軸のテーパー面を有する先端部と嵌入式底壁との
   間に、上記テーパー面と嵌入穴内周面とを押圧する摩擦
   部材を配設したことを特徴とするエンジンの点火装置。