JPS606501Y2 - 銅製段葺き屋根構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、銅板にり段階状に葺かれた銅製段葺き屋根
構造に関するものである。

銅葺屋根は、一般に豪華屋根は、ここで、横方向の長尺
の銅板を複数段連成して葺かれた屋根板の従来例につき
、第１図および第２図を参照して説明する。

下地材をなす下地材１は、１枚の広い木板であって、か
つ横方向に長手の銅板より成る各段の外板２Ａ、２Ｂ、
２Ｃは、定尺、定幅の等形板である。

しかして、各外板２Ａ〜２Ｃの成形態様は、その上半部
が下地板１に重なる平板に成形されると共に、該上半部
の上端には、斜め外向きに波形に折返された突出し３と
、突出し３に続く断面皿形の縁４とが成形されている。

一方、外板２Ａ〜２Ｃの下半部は、浮上り斜面に成形さ
れると共に、該斜面の下端には、上記突出し３を巻込む
断面形状の繋ぎ５が成形されている。

これらの外板２Ａ〜２Ｃは、順次下方の外板から取付け
られて行くものであって、すなわち、先ず繋ぎ５を下方
の外板の突出し３に引掛けた後、釘６で縁４を下地板８
に固定し、これを繰返して下地板１の全面を外板で覆う
ものであり、屋根が完成した状態では、各外板２Ａ〜２
Ｃは、上端と下端の２箇所で下地板１に固定されると共
に、釘６は内部に隠されて外から見えない。

ところで、このような従来の屋根板によると、次のよう
な問題点がある。

ｆａ） 繋ぎ部の防水性が低い。

繋ぎ５と突出し３との接触面に隙間が生じ易いので、毛
管作用で突出し３の上面に吸上げられた雨水が縁４内に
溜り、これにより、下地板１の釘打ち部分を腐食させる
。

（ｂ） 耐風性が弱い。

外板２Ａ〜２Ｃの下半部が浮上っていることから、強風
時には、外板全体が下地板１から浮上ってバカバカし易
く、特に釘６の留付けが不完全だと、−寸とした風で外
板が変形したり、はがされたりし易い。

（Ｃ） 遮音効果が低い。

外板と下地板１との間に空間があるので、外部の騒音が
屋根を抜けて屋内に侵入する。

（ｄ） 外観が貧弱である。

屋根面が平担に近いので、地上から見た重厚観に乏しい
。

本考案は、上記問題点を解消するためになされたもので
あって、すなわち、本考案の目的は、防水性、耐風性、
遮音性が高く、かつ施工が容易で外観に優れた銅葺の屋
根構造を提供することにある。

以下、図示の一実施例に基づいて本考案を説明する。

実施例の屋根構造では、第３図および第４図に示すよう
に、鋼板製の外板７Ａ〜７Ｄが取付けられる下地は、複
数段の横通ずる下地板８で形成されると共に、各段の下
地板８間の連続部は、階段状にわずかな落差が付けられ
ており、具体的には、屋根のたる木９の上に等間隔で桟
木１０が横通されていて、各下地板８は、その下端が桟
木１０上に固定されると共に、下地板８の上端は、直接
たる木９上に固定されていて、これにより、桟木１０の
厚みに相当する落差が生じている。

この下地の上面には通常防水下地シートが覆設されてい
るが、図では省略されている。

しかして各外板７Ａ〜７Ｄは、例えば、縦幅３００、横
長８肌などの定尺かつ等形の銅板部材であって、ロール
成形およびプレス成形で板金されたものであり、以下、
その成形形状につき述べる。

外板７Ｃは、その上端と下端を除いては平担な単板をな
しているが、平担面の成形剛性を補強する目的と、気温
による伸縮を少なくさせる目的から、板面の全体に多数
の凹凸１１が付けられていて、外板７Ｃ自体で十分な成
形剛性を具えている。

なお図示凹凸１１は、不定形な凹凸形状をなしている。

次に、外板７Ｃの上端縁には、下地板８の階段状落差に
沿って立上る立上り面１７と、該立上り面１７の上端縁
から前方に張出す張出面１８と、該張出面１８の前端縁
から下方に逆り形に折曲された後玉外方に折返される張
出つば１４と、該張出つば１４の折返し上端縁から上段
の下地板８の上面に沿って延出される浮上り面１２と、
該浮上り面１２の後端縁から上前方に略倒Ｖ形に折返し
形成される水返し１３とが連続形成されている。

また、外板７Ｃの下端は、下方向に直角に折曲された後
内側に折曲げられさらに該折曲外端は内側に重合状に折
曲げられた折曲部１９となっていると共に、つば１４の
形状を巻き込む外囲形状の断面略り形のはぜ１５が成形
されている。

なお、外板７Ｃが、下方に隣接する外板７Ｂと連結され
た第３図の態様では、組付施工時の加工により、はぜ１
５が外板７Ｂのつば１４の裏側に折込まれている。

しかしてこれらの外板７Ａ〜７Ｄは、順次下方の外板か
ら夫々の下地板８に取付けられて行くものであって、す
なわち、先ずはぜ１５を隣接板のつば１４に引掛けた後
、適当な工具を用い上述のようにはぜ１５を折込んでつ
ば１４を圧着させ、その後、浮上り面１２に釘１６を打
ち付けて、外板を下地板８と桟木１０の両部材に貫通し
て固定する。

このように樹皮された実施例の外装構造では、次のよう
に優れた特性を具えている。

（ａ） 繋ぎ部の防水性 はぜ１５とつば１４を工具で圧着させるので、繋ぎ部に
隙間が殆んどなく、また多少の隙間が生じた場合でも、
釘１６の頭の厚みと、水返し１３の厚みによって生じた
外板間の重合空間が、繋ぎ部の隙間に続いているので、
雨水が毛管現象で重合空間を上昇することがない。

さらに、外板７の上端縁の立上り面１７の前方に、張出
面１８と張出つば１４とが逆り形に張出面１８の張出幅
に相当する間隔を保って突出されているので、横なぐり
の雨等の場合でも雨水は張出つば１４によって有効に阻
止され、また上段の外板下縁の巻締はぜ１５が上記下向
きの張出つば１４を外側から巻込んでいるため、はぜ１
５のつば１４に密着する端縁が逆り形つば１４の裏面で
上向きとなった後折曲部１９により下向き重合状に折り
返され、上下外板の間からの雨水の直接浸入あるいはこ
の部分に付着した露等の水滴のしみ込み浸入は一層有効
に阻止される。

（ｂ） 耐風性、強度性 外板と下地板８との間に空間がないこと、および外板の
成形剛性が強く、板面にふくれや曲りが生じにくいこと
等の理由により、外板７Ａ〜７Ｄがバカバカするような
ことがなく、また、釘１６が桟木１０にまで達している
ことから、釘１６の留付けに緩みが生じる虞れがなく、
従って、耐風強度は大きい。

さらに、外板７には全体の多数の凹凸１１が付されてい
ることから、その成形剛性は一層強くなり、また銅板は
熱による伸縮変形度の大きい特質があるが、この季節等
の温度差に基づく伸縮変形は上記多数の凹凸１１によっ
て吸収緩和されることから長年使用による釘着部や結合
部の緩みも生じない。

またさらに、外板７下端の巻締はぜ１５の外端は、巻き
込み上端縁を内側に重合状に折曲げた折曲部１９を有し
ているところから、折曲による加工硬化が行なわれると
共に外板のはぜ１５による結合部の先端が二重となって
外板全体の剛性が著るしく向上し、該結合部に緩み等が
生じない。

（Ｃ） 遮音性 上述のように外板と下地板８の間に空間がないので、外
部騒音が抜けたり、また雨音が屋根裏に共鳴したりする
ことがなく、更には、音響効果を重要視するような建物
の場合には、外板と下地板８が密接していることから、
両部材間に別に遮音板を展装することが容易である。

（ｄ） 外観 外形が角形の整斉形状を基調とし、か、つば部の厚みと
、段違いの落差の奥行きに起因して重厚感を具えており
、全体の体裁が豪華である。

（ｅ） 生産性、施工性 外板を規格化することにより生産が自動化できるので、
生産性と施工性の効率化が容易である。

なお、各外板の側端部間の連続部の構造や、最上部、最
下部の外板の上端、下端の構造については、樋其他の付
設機構等に関する公知の構造を使用することが可能であ
る。

以上説明したように、本考案の銅板製段葺き屋根構造に
よれば、防水性、耐風性、強度性、遮音性並びに外観共
に優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の銅製段葺き屋根板の斜視図、第２図は
、第１図の側面図、第３図は、本考案の一実施例を示す
銅製段葺き屋根構造の側断面図、第４図は、同部分斜視
図である。 ７Ａ〜７Ｄ・・・・・・外板、８・・・・・・下地板、
１０・・・・・・桟木、１１・・・・・・凹凸、１２・
・・・・・浮上り面、１３・・・・・・水返し、１４・
・・・・・つば、１５・・・・・・はぜ、１６・・・・
・・釘、１７・・・・・・立上り面、１８・・・・・・
張出面、１９・・・・・・折曲部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下地の外面を銅板より戊る外板によって覆わしめるよう
   にした屋根構造において、上記下地は複数段の横通ずる
   下地板８で形成されると共に、各段の下地板の接続部に
   は下地板下端の下面に設けられた桟木により階段状にわ
   ずかな落差が付与されていて、各段の下地板に覆膜され
   る各上記外板７の上端縁には、上記階段状落差に沿って
   立上る立上り面１７と、該立上り面の上端縁から前方に
   張出す張出面１８と、該張出面の前端縁から下方に折曲
   された抜上外方に折返される張出つば１４と、該張出つ
   ば１４の折返し上端縁から上段の下地板８の上面に沿っ
   て延出される浮上り面１２と、該浮上り面１２の後端縁
   から上前方に略倒ｖ形に折返し形成される水返し１３と
   が連続形成され、また他方上記外板の下端縁には、隣接
   する外板の上記張出つば１４を外側から巻込む巻締はぜ
   １５が形成されており、該巻締はぜ１５の外端は巻き込
   み上端縁を内側に重合状に折曲げた折曲部１９を有し、
   前記浮上り面１２は下地板８と桟木１０に貫通して釘着
   され、さらに外板７の全体に多数の凸凹１１が設けられ
   ていることを特徴とする銅製段葺き屋根構造。