JPS605976Y2 - 鋳造用取鍋 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本孝案は複数個の注湯口を有する鋳造用取鍋の構造に関
するものである。

一般に連続的に形成される鋳型をラインに順次送り込ん
で、これらの鋳型に対し注湯する際に、一旦、鋳造用取
鍋に溶融金属（以下溶湯と略称する）を他の容器より受
湯したうえ、上記取鍋を傾動し、溶湯を鋳型の溶湯受口
に注湯する方法が採用されている。

かかる方法に基づく注湯にて、例えば取鍋に複数個の注
湯口をラインに沿って並設し、同時に複数の鋳型の各溶
湯受口に同時に注湯することができれば能率的な注湯作
業が行えることになる。

ところが、この並列同時注湯は取鍋の各注湯口の近辺に
はスラグの付着などに関連して、それぞれの注湯口より
各鋳型に流出する単位時間当りの溶湯量が異なって同時
注湯の全ての鋳型に対し同量の注湯をなすことが困難な
場合が多く、実用化し難いため、結局鋳型ごとに順次１
個ずつ注湯することになっている。

本孝案の目的は複数個の注湯口を備えた取鍋に対し特定
の形状を有する仕切壁を注湯口の数に応じて設けるよう
にして複数個の注湯口の状態が一様でなくても同時の注
湯に際して各鋳型への注湯量を均等に保つことにある。

以下、図示する実施例について具体的に説明する。

第１図は本孝案に係る鋳造用取鍋の断面図、第２図は第
１図のＡ−Ａ断面図である。

これらの各図面において、１は鋳造用取鍋で、溶湯受容
部１ａと３個の注湯口１ｂ１〜１１）１を備えている。

２ａ、２ｂは仕切壁で、取鍋用傾動軸３において取鍋１
を矢印Ｙ方向に傾動することにより溶湯受容部１ａから
各注湯口１ｂ１〜１ｂ３に溶湯Ｒが移行し、注湯開始に
至るまでの過程において１つの溶湯受容部１ａが３個の
溶湯受容部１ａ□〜１ ａ３に分割されるように構成さ
れている。

即ち、仕切壁２ａｔ２ｂの反注湯口側の切欠き２ａ□、
２ｂ□が形成されている。

なお、取鍋１の傾動軸３は常に水平状態を保って回動す
るように支持されているものとする。

上記構成において、まず、傾動軸３に支持されている取
鍋１は水平を維持した状態にて、例えば溶湯受容部１ａ
２に対して３個の同一形状の鋳型Ｘ□〜Ｘ３の注湯に必
要なだけの溶湯を図示しない溶湯容器より供給を開始す
ると、最初は溶湯受容部１ａ２の溶湯レベルが高まって
ゆき、各仕切壁２ａｔ２ｂの切欠き２ａｌ、 ２ｔ）
ｉの存在する箇所より、隣接する溶湯受容部１ａ□、１
ａ３に溶湯Ｒが流入し、溶湯受容の最終段階において、
取鍋１内の溶湯Ｒは各溶湯受容部１ａ１〜１ ａ３に均
等に分布し、かつ切欠部２ａ、、 ２ｂ、にて一体的
に連らなって収容されるに至る。

さて、このように取鍋１の溶湯受容部１ａにおいて、仕
切壁２ａ、２ｂにて仕切られた３個の溶湯受容部１ａ□
〜ｌａ３に切欠き部２ａ□、２ｂ１にて一部連らなった
状態にて等量ずつ分割された溶湯Ｒは水平の傾動軸３を
中心に傾動を開始する。

そこで、各溶湯受容部１ａ１〜ｌａ、内の溶湯Ｒがそれ
ぞれの注湯口１ｂ１〜１ｂ３に進行し、注湯開始に至る
までの過程において、各溶湯受容部１ａ１〜１ａ３内の
溶湯Ｒは仕切壁２ａ、２ｂによってほぼ均等に分離され
る。

次に傾動をさらに進めていくと溶湯受容部１ａ、〜ｌａ
３に連らなる注湯口１ｂｔ〜ｌｂｓより各別の同一形状
の鋳型Ｘ１．Ｘ２．Ｘ３に自動的に等量ずつ分割されて
注湯が行なわれる。

なお、上記構成においては取鍋１の溶湯受容部を注湯開
始までの傾動過程において３分割するために、切欠きを
もつ仕切壁を２個設け、均等の量の溶湯を同一形状の鋳
型Ｘｉｔ Ｘ２．ｘ３に注湯する例を示したものである
が、仕切壁の数は２個に限定されるものでなく、同時注
湯を受ける鋳型数も複数個であればいくらにでもするこ
とができる。

また、同時注湯を受ける鋳型の形状が異なり、１回の注
湯量が各鋳型について相違する場合においても仕切壁の
配置を変える等の手段により分割される溶湯受容部の大
きさを変化させることにより同様な原理にて全ての鋳型
に適量の注湯が行えるものである。

以上述べたように本孝案に係る鋳造用取鍋は複数の被注
湯鋳型に対して同時に注湯すべく、同時注湯の鋳型の数
に対応した注湯口を備え、各注湯口に連らなる複数の溶
湯受容部を有しており、各溶湯受容部は取鍋への受湯完
了に際しては溶湯が連らなり、遅くとも取鍋の傾動に伴
う注湯開始時には各溶湯受容部の溶湯を分離する仕切壁
を備えたものである。

かかる構成に基づいて、取鍋への受湯は何らの注意を払
うことなく、各溶湯受容部に分けて行う必要なしに連続
的に行うことができ、複数の鋳型に対して適量ずつの同
時注湯が自動的に行なわれることとなり、注湯に際して
の省力化はもとより、各注湯口の状態がスラグ付着によ
っていかに不均等となっても同時注湯に際しての適量注
湯が維持でき、かつ、取鍋の１図の回動４作過程におい
て自動的に各注湯口に連らなる溶湯が分割されるため、
特に注湯工程が増す余地はない等の優れた特長を有する
。

【図面の簡単な説明】

第１図は本孝案に係る取鍋の断面図、第２図は第１図の
Ａ−Ａ断面図である。 １・・・・・・取鍋、１ａ・・・・・・溶湯受容部、２
ａ、２ｂ・・・・・・仕切壁、２ａ□、２ｂ１・・・・
・・切欠き、１ｂ１〜ｌｂ３・・・・・・注湯口、Ｘ１
〜Ｘ３・・・・・・鋳型、３・・・・・・傾動軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の鋳型に対し同時注湯に応じた数の注湯口と、各注
   湯口から流出する溶湯を仕切る仕切壁を有しに水平を保
   つ軸を中心に傾動可能に支持され、当該仕切壁の反注湯
   口側端部に、溶融金属を受容する状態において、１回の
   注湯に必要なだけの溶融金属を得たときには溶湯受容部
   の溶融金属を分割することなく、かつ傾動に伴い、注湯
   開始に至るまでの過程において、上記各注湯口から注湯
   を受ける各鋳型の所要溶融金属量に応じた量に上記溶湯
   受容部の溶湯を各注湯口に連らなる溶融金属として分割
   する切欠きを形成したことを特徴とする鋳造用取鍋。