JPS6049974B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は磁気テープ、磁気ディスクなどの磁気記録媒
体に関し、その目的とするところは磁性層の耐摩耗性が
改善された耐久性に優れる磁気記録媒体を提供すること
にある。

磁気記録媒体は、記録再生時に磁気ヘッドと大きい相対
速度で摺接するため、磁性層が摩耗されやすく、摩耗の
少ない耐久性に優れたものが要求される。

この要求を満たすため、α一酸化鉄などの非磁性粉を磁
性層中に混入したり、流動パラフィン、シリコーンオイ
ルなどの潤滑剤を磁性層中に混入することが提案されて
いる。このような非磁性粉の混入、あるいは潤滑剤の混
入によつて耐久性はたしかに向上するが、充分には満足
することができず、α一酸化鉄などの非磁性粉を混入し
た場合には塗膜が硬質となつて磁気ヘッドなどの対接物
の摩耗を引きおこしやすい。

この発明者らは、このような事情に照らして鋭意検討し
た結果、流動パラフィンとともに脂肪酸の金属塩を併用
した二成分系の潤滑剤によれば、磁性層の耐摩耗性を大
きく改善でき、また上記二成分系の潤滑剤とα一酸化鉄
などのモース硬度が６以上の非磁性粉とを併用すれは耐
摩耗性がさらに一段と向上するとともに、非磁性粉を単
独で使用したときの欠点である磁気ヘッドなどの摩耗も
抑制されることが判り、この発明をなすに至つた。

この発明において用いられる潤滑剤は上述したとおり流
動パラフィンと脂肪酸の金属塩とからなるものであり、
流動パラフィンは揮発性が低く主としてアルキルナフテ
ン類からなる炭化水素油でそれ自体良好な潤滑能を有し
ているが、磁性層表面に比較的短期間のうちに移行して
しまい潤滑持続能に欠けるきらいがあるため、この問題
を脂肪酸の金属塩を併用することによつて解消する。

すなわち流動パラフィンと脂肪酸の金属塩とを併用し、
これを磁性層の形成時もしくは形成後に有機溶媒させた
状態で磁性層中に含ませるようにすると、磁性層中の空
隙部内に溶媒の揮散後に脂肪酸金属塩に流動パラフィン
が含浸保持された粘性を有する結晶体構造質のものが形
成され、この構造質が形成されることによつて流動パラ
フィンに比べて磁性層との親和性が比較的良好な脂肪酸
金属塩が磁性層表面への流動パラフィンの移行を必要か
つ充分な量に抑える働らきをし、結果として潤滑効果が
長期に亘り持続してくるものである。このような脂肪酸
の金属塩としてはアルカリ金属塩が望ましく、その具体
例としてはラウリン酸ソーダ、パルミチン酸ソーダ、ス
テアリン酸ソーダなどが挙げられる。

配合割合は流動パラフィンと脂肪酸金属塩との重量比が
７０：３０〜９９．５：０．５ｓ好ましくは８０：２０
〜９９：１となるようにすればよく、脂肪酸金属塩を多
くしすぎると前述した流動パラフィンの保持機能が大き
くなりすぎて、逆に必要量の流動パラフィンを磁性層表
面に移行させにくくなる傾向が認められる。流動パラフ
ィンと脂肪酸金属塩とからなる潤滑剤の使用量は、その
総量が磁性粉末１００重量部に対して通常０．１〜２鍾
量部、好ましくは０．３〜１５重量部とするのがよく、
あまり多くなりすぎると磁性層の表面状態が悪くなつて
ドロップアウトやノイズが若干増加する傾向があり好ま
しくない。

このような二成分系の潤滑剤によれば磁性層の耐摩耗性
を大きく向上できるが、この潤滑剤とともにさらにモー
ス硬度が６以上の非磁性粉を併用することによつて耐摩
耗性を一層良好なものとすることができ、またこのよう
な併用系によれば非磁性粉を単独で使用したときに不可
避とされていた、磁性層が硬くなり磁気ヘッドなどが摩
耗されてくる問題も抑制できるという利点がある。モー
ス硬度が６以上の非磁性粉の具体例としては、α一酸化
鉄粉末、酸化アルミニウム粉末、炭化けい素粉末、ガー
ネット粉末、酸化けい素粉末、酸化クロム粉末などが挙
げられる。これら非磁性粉は平均粒子径゛が０．５〜２
μの大きさのものが好ましく使用される。粒子径があま
り小さすぎるものは耐摩耗性の改善効果がほとんど認め
られない。粒子径の増大とともに耐摩耗性は向上する．
が、あまりに大きくしすぎると磁性層の表面平滑性が損
なわれやすくなるので望ましくない。この非磁性粉の添
加量は、磁性粉末に対して０．５〜５重量％、好ましく
は１〜３重量％の範囲内とするのがよい。非磁性粉を多
くしすぎると出丁力が低下する傾向にあり、また磁気ヘ
ッドが摩耗されやすくなる。この発明において潤滑剤を
磁性層中に含ませるには、予め形成された磁性層に潤滑
剤をトルエンなどの適宜の有機溶剤に溶解したものを塗
布もし・くは噴霧するか、あるいはこの潤滑剤溶液中に
磁性層を浸漬する方法、または潤滑剤を磁性粉、バイン
ダーとともに混練した磁性塗料を調製しこれを基体上に
塗布して磁性層を形成する方法、さらには潤滑剤の一方
だけを混練させた磁性塗料から磁性層を形成し、この磁
性層に前記と同様の手段で他方の潤滑剤を含ませる方法
などを採用して行なえばよい。

また非磁性粉末を磁性層中に含ませるには通常この非磁
性粉を磁性塗料中に混練して磁性層を形成するという方
法で行なう。以下にこの発明の実施例を記載する。

以下において部とあるは重量部を示すものとする。実施
例１ Ｌγ−Ｆｅ２Ｏ３磁性粉末 錫部Ｖ
ＡＧＨ（米国Ｕ．Ｃ．Ｃ社製水酸基含有塩化ビニ−ルー
酢酸ビニル共重合体） ２６部Ｎｌ４３２Ｊ（日本ゼオ
ン社製アクリロニトリル−ブタジエン共重合体）
５部コロネートＬ（日本ポリウレタン社製ポリイソシア
ネート） ２部カーボンブラック
７部メチルイソ●ブチルケトン
７５部トルエン ７
５部この組成物からなる磁性塗料を調製し、これをポリ
エステルベールフイルム上に塗布乾燥して磁性層を形成
し、これに潤滑剤として流動パラフィン泉部とラウリン
酸ソーダ１部とをトルエン１０００部に溶解した溶液を
塗布して磁性粉１００部に対して潤滑剤を約１５部付着
させ、乾燥後円板状に打ち抜いて磁気ディスクを作成し
た。

実施例２ 磁性塗料中にα一酸化鉄粉末（立方状、平均粒子径１ｐ
）１．５部を添加した以外は実施例１と全く同様にして
磁気ディスクを作成した。

比較例１ 潤滑剤溶液として流動パラフィン１００部をトルエン１
０（４）部に溶解した溶液を使用した以外は実施例１と
同様にして磁気ディスクを作成した。

比較例２潤滑剤溶液を塗布しなかつた以外は実施例２と
全く同様にして磁気ディスクを作成した。

上記実施例１，２および比較例１，２で得られた各磁気
ディスクにつき、次のような方法で耐久性試験を行なつ
た結果は図面に示されるとおりであつた。

く耐久性試験〉 各磁気ディスクを記録再生装置に装填し、５℃５０％Ｒ
Ｈの雰囲気において磁気ヘッド（バッド圧２００ｙ／ｄ
）を約４ｍ／秒で摺接させながら回転させ、再生出力の
経時変化を記録計を用いて測定した。

なお図面は上記の経時変化を、横軸に走行回数を、縦軸
に初期出力を基準とした再生出力の出力％をとつて表わ
したものである。図面から明らかなように、この発明の
磁気ディスクは磁性層の耐摩耗性に優れ、また磁気ヘッ
ドや、ジャケット内に挿入したときのジャケット内面に
貼着された不織布などの対接物に対する摩耗も少なく、
結果として耐久性に非常に優れたものとなることが判る
。

【図面の簡単な説明】

図面は実施例および比較例の磁気ディスクの耐久試験結
果を示す特性図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 流動パラフィンと脂肪酸の金属塩とが含まれてなる
   磁性層を有する磁気記録媒体。 ２ 流動パラフィンと脂肪酸の金属塩とモース硬度が６
   以上の非磁性粉とが含まれてなる磁性層を有する磁気記
   録媒体。