JPS6049430B2 - 新規なポリアミド層状構造体 - Google Patents

新規なポリアミド層状構造体

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JPS6049430B2
JPS6049430B2 JP12043180A JP12043180A JPS6049430B2 JP S6049430 B2 JPS6049430 B2 JP S6049430B2 JP 12043180 A JP12043180 A JP 12043180A JP 12043180 A JP12043180 A JP 12043180A JP S6049430 B2 JPS6049430 B2 JP S6049430B2
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登美男 栗木
征一 真鍋
健二 上出
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【発明の詳細な説明】 本発明は、少なくとも2層の組成の異なるポリアミド
層が一体化した構造を有する新規なポリアミド層状構造
体に関するものである。
さらに詳しくいえば、本発明は、金属イオンを含むポリ
アミド層と、金属イオンを実質的に含まないポリアミド
層とが一体化した構造を有し、かつ前者が特定の金属イ
オン含有量及び特定の厚さをもつことにより、導電性、
耐熱性が改良されたポリアミド層状構造体に関するもの
てある。 これまで、ポリアミド系構造体に金属を添加
するか、あるいはそれを金属塩含有溶液て処理すること
により改質することは知られている。
例えば、膨潤剤を含む又は含まない金属塩溶液にポリア
ミド繊維を浸せきし、次いて金属塩を加水分解し、ポリ
アミド繊維内に金属水酸化物を沈着させることにより光
脆化性を改良する方法(特公昭38−18598号公報
)特定の金属塩化物を含有する硫酸水溶液てポリアミド
繊維を処理し、風合及び導電性を向上させる方法(特公
昭49−37756号公報)、金属塩を含有するアルコ
ール又はアルコール水溶液でポリアミド系構造体を処理
し、乾燥することにより金属イオンを付加して耐熱性を
向上させる方法(特開昭52−53974号公報)など
が提案されている。そして、これらの方法で得られるポ
リアミド構造体は、一般にその中に存在する金属イオン
が非常に少なく、通常アミド基1モル当り1/50モル
以下てあり、また、その金属イオンの分布状態も構造体
全域にわたつて、ほぼ均一に分布した一層から成るもの
であつた。しかしながら、これらの方法により改質され
たポリアミド構造体は、いずれもポリアミド自体の望ま
しい特性例えば常温における高い強度、適度なたわみ性
を喪失し、粗硬てもろいものになるという欠点があつた
他方、一般に合成樹脂の導電性を改良する手段としては
、導電性の良好な金属粉を配合する方法や帯電防止効果
のある界面活性剤を配合あるいは表面に付着させる方法
が知られている。
しかしながら、金属粉末を配合した合成樹脂は、強度が
低下する上に、高温時における金属と合成樹脂との熱膨
張率の差から亀裂を生じやすくなるという欠点があるし
、また界面活性剤を配合した合成樹脂は成形加工性が劣
化する傾向があり、界面活性剤を単に表面に付着したも
のはその効果が短時間で失われるという欠点があるため
、いずれも十分満足しうるものとはいえない。本発明者
らは、このような従来技術の欠点を克服し、ポリアミド
自体の好ましい特性を維持したまま、耐熱性、導電性を
付与することについて鋭意研究を重ねた結果、ポリアミ
ド構造体を、金属イオンを含むポリアミドと金属イオン
を実質的に含まないポリアミドから成る一体化した多層
構造とすることによりその目的を達成しうることを見出
し、この知見に基づいて本発明をなすに至つた。
すなわち、本発明は、アミド基1モル当り金属イオン1
/32〜1/4モルを含むポリアミド層と金属イオンを
実質的に含まないポリアミド層のそれぞれ連続した面で
構成された多層構造を有し、かつ金属イオンを含むポリ
アミド層の厚さが少なくとも0.2ミクロンて、その層
全体に対する体積一比が2/3以下であることを特徴と
するポリアミド層状構造体を提供するものである。
本発明の層状構造体は、通常2層又は3層に構成される
が、所望ならばさらに多層に構成するこもできる。
また、本発明で用いるポリアミドは、アミド結合−CO
NH−で連結された脂肪族又は芳香族の単量体単位を主
体とする線状高分子化合物であり、代表的なものとして
はナイロン6、ナイロン66を挙げることができる。
他方、金属イオンとしては例えばLi+,Na+,K+
,Ca++,Mg++,Zn++,Cu++,Fe++
+,Zr++0などを挙げることができる。本発明のポ
リアミド層状構造体の三層のものは、例えばシート状の
ものであれば、金属イオンを含有する2枚の表面層、す
なわち裏と表の層の間に金属イオンを含有しない中間層
のあるいわゆるサンドイッチ状になつているものと、そ
の逆に・中間層か金属イオンを含有し、2枚の表面層が
金属イオンを含まないものとがある。
前者の場合、2枚の表面層の厚みがそれぞれ0.2ミク
ロン以上であり、かつそれぞれの表面層の体積比の和が
2/3を越えないことが必要である。後者の楊合は金属
イオンを含む中間層が少なくとも0.2ミクロンの厚み
を有し、該中間層の体積比が2/3を越えないことが必
要である。また、本発明のポリアミド層状構造体が二層
の場合では、例えばシート状のものであれば、シートの
一方の面の層が金゛属イオンを含む層であり、他方の面
の層が金属イオンを含まない層である。金属イオンを含
む層は0.2ミクロン以上の厚みを有し、かつ体積比は
2/3以下であることが必要である。本発明において、
金属イオンを含む表面層の厚み又は体積を求めるには、
例えばアリザリンのアルコール溶液中にポリアミド層状
構造体を浸せきし染色する。
これにより、金属イオンとアリザリンが結合し、Ca+
+,Mg++,があれば濃いえんじ色にFe+Zがあれ
ば黒紫色にそれぞれ金属イオンの種類に応じて染色され
る。一方、ポリアミドはわずかに淡褐色に着色するのみ
であるからポリアミド層状構造体の断面を切断し光学顕
微鏡等で拡大観察することにより金属イオンを含む表面
層の厚みを知ることができる。
同様にアリザリンS(フランス国、フランコロール社製
品名、C.I.58OO5,MOrdandRed3)
の水溶液を用いて染色するか、8−ヒドロキシキノリン
のアルコール溶液を用いた金属イオンとの呈色反応を利
用することによつても、ポリアミド層状構造体の断面を
観察することができ、金属イオンを含む表面層の厚みを
求めることがてきる。また、本発明による層状構造を有
するポリアミドの力学的損失正接(Tanδ)一温度特
性を110Hzの振動数で測定すると、例えばナイロン
66では100゜Cないし130るC付近と、180゜
Cないし2200C付近の2つの温度域においてそれぞ
れ1個のTanδの極大値が観察される。この2つのT
anδの極大値のうち低温側のものは金属イオンを含ま
ないナイロン66固有のものてあり、高温側のものは金
属イオンを含有するポリアミド独特のものである。した
がつてTanδと温度の関係を作図しそれぞれの極大値
を示す曲線の下の部分の面積比を求めることにより金属
イオンを含む層と含まない層との体積比を知ることがで
きるし、該体積比より厚みを算出できる。本発明ていう
金属イオンを含有する表面層の厚み及び体積比はすべて
このTanδ温度特性を測定することにより求めたもの
である。
上記の染色法による表面層の厚み測定方法は、層状構造
体の厚みが大きい場合、アリザリン等が構造体内部まで
拡散するのに長時間を要し、断面切断時に斜めに切ると
誤差を伴うという欠点がある。しかるにBnδ一温度特
性より求める方法は厚みに関係なく同一方法で短時間に
測定しうるので、本発明においてはすべてこの方法に従
つた。次に本発明ていう金属イオンを含む表面層の厚み
或は体積比の定め方を図面によつて説明する。
第1図は表面層にCa++をアミド基1モル当り1/8
モル含有する三層構造よりなるナイロン66のシート状
のもので全体の厚みが1順の成形物を東洋ポールドウイ
ン社製RheOvibrOnDDV−■型を用い、乾燥
空気中において、測定周波数110Hz昇温速度毎分1
゜Cの条件て測定したTanδ一温度曲線てある。第2
図は層状構造体を有せす、かつ金属イオンを含有しない
通常のナイロン66よりなる厚さ17707!のシート
のTanδ一温度曲線である。第3図は層状構造を有せ
す、シートの断面全体に均一にCa+1をアミド基1モ
ル当り1/8モル含有するナイロン66の厚みが1m:
IrLのシートのTanδ一温度曲線てある。第1図な
いし第3図において縦軸はTanδを表わし横軸は摂氏
温度を表わす。第2図に示されるように金属イオンを含
ます層状構造を有しないナイロン66は120゜Cに極
大値を示し、第3図の層状構造を有せすCa+3を含む
ナイロン66は210′Cに極大値を示す。一方、第1
図に示す本発明の層状構造を有し、かつ表面層にCa+
+を含有するナイロン66は120℃及び210′Cの
2箇所に極大値がある。すなわち第1図の120′Cの
極大値は金属イオンを含まないナイロン66固有のもの
で210℃の極大値はCa++をアミド基1モル当り1
/8モル含有するナイロン6峨特のもてあることが分る
。逆に本発明の構造体の特徴は前述の2個のTanδの
極大値によつて表現されているともいえる。したがつて
、層状構造を有しかつ表面層にCa++を含む場合の表
面層の体積は第1図に示された高温側の山型部分の体積
で求められ、Ca++を含まない層の体積は低温側の山
型部分の面積て表わされる。ただし第1図の2個の山型
部分は重畳する部分があることと、2個の山型部分がほ
ぼ左右対称であることから以下の方法により体積比を求
めることができる。すなわち、第1図に示すようにTa
nδの2個の極大点をA及びBとし、A及びBの間の極
小点をCとする。A,B及びCより垂線を下し、横軸と
の交点をそれぞれA″,B″及びC″とする。また、C
C″の中点をDとする。Tanδ一温度曲線はA,B付
近は上に凸であり、C付近は下に凸てありAC及びBC
間には変曲点がそれぞれ1個所あるので、それらをE及
び曲線Fとする。EDを直線で結びその延長が横軸と交
わる点をGとする。同様にFDを直線て結びその延長が
横軸と交わる点をHとする。直線品″,A″G,GE及
ひ曲線鮭て囲まれた図形の面積をSとする。他方直線B
B″,B″H,HF及び曲線FBで囲まれる図形の面積
をS″とする。前述したようにSは金属イオンを含まな
い層の体積を表わしS″はl金属イオンを含む層の体積
を表わす。したがつて、金属イオンを含む表面層の体積
比は羊て S+S表
わされる。この方法て求めた体積比とアリザリン等て呈
色させる方法て求めた体積比とは±5%門の相対誤差範
囲で一致する。次に三層構造を有し、2枚の表面層のア
ミド基1モル当りCa++が1/10モル含有するナイ
ロン66の0.027Wの厚みを有するシートの表面層
の体積比を変えた場合の電気抵抗並びに50℃,100
℃,フ130′C,l5O抵C,l8O℃におけるヤン
グ率を第1表に示す。第1表におけるヤング率は、東洋
ボールドウイン社製RheOvlbrOnDDV−H型
を用いて、乾燥空気中において、測定周波数110Hz
,昇温速度1゜C/Mjnの条件下て測定し求めた。
また、電気抵抗は試料を20′C、40%RHの雰囲気
中に4時間放置後測定した。第1表から明らかなように
金属イオンを含む表面層の体積比が1/10ないし2/
3の間にあるとき180゜Cにおけるヤング率が高く、
電気抵抗も低い。金属イオンを含む表面層の厚みが0.
2ミクロン以上てあれは体積比が1/10以下ても電気
抵抗は低い値を示し、0.2ミクロン未満であれは、急
激に電気抵抗が上昇する。次に表面層に含まれる金属イ
オンとしてはLi+,Na+,K+,Ca++,Mg+
+,Zn++,Cu++,Fe+++,Zr+++〃等
が特に有効であり、殊にLi+,Ca++,Mg++が
好結果を示す。
これら金属イオンのポリアミド中の含有量は表面層ポリ
アミドのアミド基1モル当り1/4ないし1/32モル
が適当である。1/4モルを越えるときはポリアミド層
状構造体の脆化が起り耐熱性も悪くなるし、また1/3
2モル未満であれば、通常のポリアミド成形品と変らな
い性質を示す。
第2表に二層構造を有するナイロン66シートの金属イ
オンを含む表面層の体積比が1/2のときのCa++含
有量を変えた場合の180゜Cにおけるヤング率及び電
気抵抗を示す。なお、シートの厚みはIT!Rln測定
条件は第1表の場合と同じである。第2表によれば、表
面層のCa++含有量がアミド基1モル当り1/4モル
を越えるときは電気抵抗は低い値を示すが、180゜C
におけるヤング率の低下が著るしく、一方Ca++含有
量がアミド基1モル当りl/32モル未満のときは電気
抵抗が高くなりヤング率も低い。
このように本発明による層状構造を有し、かつその表面
層に金属イオンを含有するポリアミド層状構造体は、通
常の金属イオンを含有しないポリアミド構造体に比較し
て、電気伝導度が非常に高く、100′C以上の高温度
領域において、ヤング率の低下が著るしく少ない。
本発明の二層又は三層の連続した面よりなり、その表面
層がアミド基1モル当り金属イオンを1/4ないし1/
32モル含有し、かつその体積比が2/3以下、厚みが
0.2ミクロン以上であるポリアミド層状構造体は例え
ば下記のようにして製造することができる。
金属イオンを含まず、かつ層状構造を有しない通常のポ
リアミド構造体、例えばフィルム状、シート状、平板状
等の形態をなしたものを、金属塩、例えばCaCl2,
CaCl2・2](20,MgC12・61(20,L
1C1,NaSCN等のうち1種又は2種以上を(4)
重量パーセント以上含有する水溶液、若しくはグリセリ
ン、グリコール等の多価アルコールを同時に含む水溶液
を加熱し、80′C以上において処理して得られる。
例えば2枚の表面層が金属イオンを含み中間層が金属イ
オンを含まないサンドイッチ状の三層構造のものを得る
ときは上記の処理液中に浸せきすればよく、二層構造の
ものを得るときは上記処理液に構造体の片面のみが接触
するように処理すればよい。これらの場合、金属塩の濃
度及ひ処理液の温度、処理時間等はポリアミドの種類、
例えはナイロン6てあるか、ナイロン66であるか、あ
るいは構造体の形態、厚みの大小等により適宜変えるこ
とができる。また、三層構造を有し、中間層のみ金属イ
オンを含有するようなものは、二層のものと、金属イオ
ンを含まないポリアミドのシートを接着剤で接合するか
、若しくは加熱下て加圧接着すればよい。
さらに多層のものを作る場合は、二層のものを、さらに
層状に接合するか、若しくは二層のものと金属イオンを
含まないものとを適宜組合せて接合し、積層して製造し
うる。従来公知の金属塩水溶液によりポリアミド構造体
を処理する方法ては、処理液の金属塩濃度は50重量%
未満、通常は10〜35重量%の範囲が用いられている
これは、おそらく常温における金属塩の水に対する溶解
度が5喧量%に満たないものが多く、通常の処理温度す
なわち常温若しくは高くても60′C位て処理する場合
高濃度にできないためと考えられる。本発明の方法のよ
うに処理温度が80℃以上であれば、前記した金属塩の
ほとんどは水に対して5呼量%以上の溶液度を有するし
、50重量%以下の溶解度のものでも、より高い溶解度
を有するものと併用して合計で5呼量%以上の濃度にす
ることが可能である。従来公知の処理法のように金属塩
水溶液の濃度が5踵量%未満の場合、金属塩は、構造体
内部の無定形領域中に沈着するか、又は末端アミノ基に
−NH2M+(但しMは金属を示す)又は末端カルボキ
シル基に一COO−M+のような形で結合し、アミド基
との結合はほとんど認められず。末端基と結合したもの
を合せてもアミド基1モル当り通常1/50モル以下で
ある。また、このような5鍾量%未満の水溶液でポリア
ミド構造体を処理する場合は、金属イオンは構造体内部
へ浸透しやすくなり、構造体内部まで均等に拡散分布し
ているか、あるいは処理時間が短かい楊合は構造体の広
い範囲にわたつて、ゆるい濃度勾配てもつて分布し、本
発明の場合のような層状構造は形成しない。なお、金属
塩濃度が50重量%未満の水溶液中で1000PS1程
度以上の強い張力をポリアミド構造体に加,えた場合は
、金属イオンは、アミド基と水を介して結合することが
ある。ただこの場合は構造体が劣化して使用に耐えなく
なるので実用的でない。なお、特開昭52−53974
号公報に記載されているような炭素数9以下の一価のア
ルコール、又は該アルコールの水溶液に金属塩を溶解し
、該溶液中でポリアミド構造体を処理する場合はミド基
と金属イオンは結合するが、該溶液がポリアミド構・造
体の内部構造を弛緩し膨潤せしめる性質があり、金属イ
オンの構造体内部への浸透が速やかで、構造体内部まて
均等に金属イオンが分布しているか、又は構造体内部ま
で広い範囲にわたつて、ゆるい濃度勾配てもつて分布し
層状構造は形成しない。
のように金属塩水溶液で金属塩濃度が5鍾量%以下のと
き及び金属塩のアルコール溶液又はアルコール水溶液の
場合は、これら液中にポリアミド構造体を入れ処理する
と層状構造体は形成しないが、ごく短時間処理した楊合
は金属イオノンが構造体内部まで浸透することはない。
しかし、金属イオンが浸透した部分を微視的に見ると、
やはり構造体表面より内部に向つて、ゆるい濃度勾配が
あり、層状構造とはいいにくいものである。事実このよ
うな楊合は、構造体は耐熱性、導電性を示さない。なお
、これらの従来公知の方法て処理時間が十分な場合、す
なわち層状構造を形成することなく金属塩が均一にポリ
アミド構造体に分布している場合も、導電性を示さない
。本発明のような濃厚な金属塩溶液で、しかも80゜C
以上に加熱してポリアミド構造体を処理することは、前
記したように従来は全く行われていなかつた。本発明者
らは、このような5鍾量%以上の金属塩を含む水溶液で
、しかも80′C以上に加熱して、ポリアミド構造体を
処理したとき、金属イオンが比較的低速でポリアミド構
造体中に拡散しポリアミド構造体中での濃度勾配をほと
んど形成せずポリアミド構造体表面に金属イオンをアミ
ド基1モル当り1/32モルないし1/4モル含まれる
層を形成すること、及び得られたポリアミド層状構造体
か耐熱性と併せて帯電防止性をも兼ね備え、さらに通常
のポリアミド構造体の長所である常温における高い強度
や適度の柔軟性も保持していることを見出し本発明に至
つたのである。ポリアミド構造体を重量比で50%以上
の金属塩を含む水溶液て処理する場合、温度が80′C
以下の場合は、金属イオンの該構造体内部への拡散が非
常に遅く、また溶解度も金属塩によつては印重量%に満
たないので本発明の目的を達成することができない。ポ
リアミド構造体を重量比で50%以上の金属塩を含む水
溶液で処理することにより、前記したように、アミド基
1モル当り金属イオンを1/32モルないし1/4モル
含む表面層と、金属イオンを含まない内層との層状構造
がポリアミド構造体に形成される。
この場合、金属イオンを含む表面層かポリアミド体の全
体積に占める割合は2/3以下てかつ厚みか0.2ミク
ロン以上好ましくは1ミクロン以上のものが好結果を示
す。このような金属イオンを含有する表面層の厚みを好
適範囲内に調整するには、ポリアミド構造体の種類例え
ばナイロン6であるかナイロン66であるか、形態例え
ばフィルム状であるか、シート状であるか、あるいはそ
れらの厚みにより処理時間を変える必要があるが、だい
たい1分ないし3紛の範囲である。例えばCaCl2・
2H20の65%の水溶液て処理する場合、ナイロン6
6の厚みが0.1TIUnのフィルムでは処理温度80
゜Cのときは9ないし2紛、処理温度が125℃のとき
は3ないし1紛の処理が必要である。また、ナイロン6
の厚みが0.2Tn!nのフィルムでは処理温度80′
Cのときは7ないし2紛、処理温度125℃のときは2
ないし1粉の処理が必要である。これ以上処理時間を延
長すれば金属イオンは内部まで浸透し層状構造にはなら
ず、粗硬なものになる。この処理方法によれば、ポリア
ミド構造体の金属イオンを含む層における金属イオンの
含有量は、アミド基1モル当り1/32モルないし1/
4”モルの範囲内に調整しうる。
処理時間の長短及び処理温度の表面層の厚みすなわち金
属イオンのポリアミド構造体内部への浸透距離に関係す
る。換言すれば、本発明における5呼量%以上の金属塩
水溶液でポリアミド構造体を80゜C以上の温度で処理
する場合は、構造体表面層における金属イオンの含有量
は、金属塩濃度に依存し処理時間及ひ処理温度には関係
なく、一方金属イオンの構造体内部への浸透距離は金属
塩濃度に関係なく処理時間及び処理温度に依存する。し
たがつてポリアミド“構造体中への金属イオンの拡散は
、ほとんどポリアミド構造体中て濃度勾配を伴なわず、
同一含有量領域が広がる形で層状構造が形成されると考
えられる。このような現象は繊維を染色する場合、染料
が繊維に親和性が強く比較的染液中の染料濃度が高いと
き、繊維中への染料の拡散が同心円的にほとんど濃度勾
配を伴なわず染色されるリング染色と称する機構に類似
している。本発明における金属塩が50重量%以上の場
合は、溶液中の金属塩間の相互作用が、希薄溶液の場合
と比べて強く、金属イオンをポリアミド構造体中への移
行をある程度妨けるためポリアミド構造体表面に金属イ
オンを含む層を形成し、内部層には金属イオンを含まな
い層が生じるのてある。
また、本発明の方法では、金属イオンはポリアミド構造
体中において、一部は末端アミノ基と、一部は末端カル
ボキシル基と結合し、残りの大部分はアミド基と結合し
ていると考えられる。事実、この方法で製造されたポリ
アミド層状構造体は、赤外吸収スペクトルにおいて、C
=O基の伸縮振動1650cTn−1が低波数へ移動す
ることによりアミド基への金属イオンの結合が確認され
、塩基性染料の染色速度が、金属イオンを含まないポリ
アミドと比べて非常に遅いことにより末端カルボキシル
基への結合が確認され、酸性染料の染色速度が、金属イ
オンを含まないポリアミドと比べて非常に遅いことによ
り末端アミノ基との結合が確認された。このようにポリ
アミド構造体を処理する際に80゜C以上の温度を必要
とするが、100゜C以上に加熱するときは、処理時間
を短縮しうることは前記した通りである。
この場合、この処理液は金属塩を(4)重量%以上含有
するため常圧における沸点が120′C乃至145゜C
1場合によつてはそれ以上の温度てあるため、ポリアミ
ド構造体を処理する容器は、100゜Cを越える処理に
際しても密閉して加圧する必要がないと云う、経済的に
も大なる利点がある。本発明者らは、この金属塩を5鍾
量%含む水溶液に、炭素数6以下の多価アルコールを重
量比で1%以上添加することにより、ポリアミド構造体
の処理の均一性が容易になることを見出した。
これらの多価アルコールは金属塩と錯体を形成する性質
があり、一方ポリアミド構造体にも親和性を有するのて
、染料による繊維染色時における染料親和性均染剤と繊
維親和性均染剤の両方の性質を兼ね備えた、均一化促進
剤とも称する役割を果たすものと考えられる。したがつ
て、処理されたポリアミト構造体は巨視的にも微視的に
も部分的な斑のない均一な処理がなされる。この処理に
よつて得られるポリアミド層状構造体が導電性を示す理
由は、現在のところ推定の域を脱しないが、5呼量%以
下の金属塩濃度の水溶液て処理したものが、金属塩とし
てポリアミド構造体の無定領域に沈着したり、末端基に
金属イオンが結合し、かつポリアミド構造体にほぼ均一
に分布している場合は導電性がないこと、あるいは金属
塩のアルコール溶液又はアルコール水溶液で処理したも
のが、金属イオンとしてアミド基に結合し、かつポリア
ミド構造体にならず均一に分布している場合も導電性が
ないこと、一方、本発明のポリアミド層状構造体は、末
端基及びアミド基の両方に金属イオンが結合しているこ
と、層状構造を持つことなどを考慮して、金属イオンを
含む層中において、微視的に見てポリアミド鎖に沿つて
、金属イオンが連続的にアミド基に結合して1種の高分
子キレート化合物を形成しているため導電性能を有する
ものと推定される。
次に実施例により本発明を詳しく説明する。
実施例1実質的に金属イオンを含ます、かつ層状構造を
有しないナイロン66の厚み0.1?のフィルム1.5
yを125℃に加熱したCaCl2・2FI20の70
%水溶液1e中に7分間浸せきし、水洗した後100′
Cにて10分間熱風乾燥機中で乾燥した。
このフィルムの0.2ダをアリザリンの0.2%エタノ
ール溶液中、60℃において6時間染色し、断面を光学
顕微鏡て観察したところ、このフィルムは三層より成り
、表と裏の二層がCa++を含むため濃いえんじ色に染
まり、中間層はほとんど着色していなかつた。したがつ
て、このフィルムは三層構造を有し、かつ外部表面に面
する二層はCa+8を含み、内部の中間層はCa++を
含まないことが分つた。一方、このフィルムTanδ一
温度特性を測定し前記した方法で、Ca++を含む表面
二層の体積比を求めたところ、1/3であつた。また、
別にこのフィルム0.2qをとり磁製るつぼ中て35%
塩酸水溶液に溶解し、電気炉中で1000′Cにて5時
間加熱し、フィルム中にあるCa++をCacI2とし
、10mLの純水に溶解し、PHlOでエリオクロムブ
ラツクTを指示薬として、1/100M(7)EDTA
シナトリウムて滴定しCa++量を求めたところ、表面
二層のアミド基1モル当り1/10モル含まれているこ
とが分つた。ノこのフィルム及び処理前の通常のナイロ
ン66フィルムを20℃、40%RHなる雰囲気中で4
8時間コンディショニングを行つた後JIS上1094
のA法により帯電した電位が半減する時間を測定した。
次に東洋ボールドウイン社製RheOvibrOnDD
V−■7型て測定周波数110Hz、昇温速度1゜C/
Mlnてヤング率の温度依存性を測定した。第3表に5
0゜C、100′Cll5O′Cll8O℃におけるヤ
ング率並びに半減期をそれぞれ処理前のナイロン66フ
ィルムと対比して示した。実施例2 金属イオンを含有せす、かつ層状構造を有しないナイロ
ン6の厚さ1wmのシートを10yを110℃に加熱し
たNaCNS5%、MgCl2・6112020%、Z
nCl24O%の水溶液の表面に浮かし、シートの下面
のみが液に触れるよう保持しながら4吟間処理した。
処理後水洗し100゜Cの熱風乾燥機で20分間乾燥し
た。
このフィルムを1yとり8−ヒドロキシキノリンのエタ
ノール溶液中に北時間浸せきし水洗後、断面を光学顕微
鏡で観察したところ、二層構造を有することが分つた。
また、Tanδ一温度特性より、金属イオンを含む表面
層の体積比を求めたところ1/10てあつた。次に、原
子吸光分析法によりNa+がアミド基1モルに対し1/
40モル、Mg++が1/43モル、Zn++が1/9
モルそれぞれ含まれていることを確認した。このフィル
ムと処理前のフィルムのヤング率及び帯電圧の半減期を
実施例1の場合と同様に測定した結果を第4表に示す。
以上の各実施例から明らかなように本発明によるポリア
ミド層状構造体は耐熱性、導電性において非常に優れた
ものてある。
なお、この金属イオンを含有する表面層を有す、るポリ
アミドは、微視的な表面構造が通常のポリアミドと異な
り、また導電性を有することからめっき性や接着性並び
に印刷性の向上にもつながるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の層状構造を有し、かつ表面層に金属イ
オンをを含有するナイロン66シートのTanδと温度
関係を示すグラフ、第2図は層状構造を持たず、かつ金
属イオンを含まないナイロン66シートの拍nδと温度
の関係を示すグラフ、第3図は層状構造を持たす金属イ
オンを外層部より内層部にわたつて均一に含有するナイ
ロン66シートのTanδと温度の関係を示すグラフで
ある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 アミド基1モル当り金属イオン1/32〜1/4モ
    ルを含むポリアミド層と金属イオンを実質的に含まない
    ポリアミド層のそれぞれ連続した面で構成された多層構
    造を有し、かつ金属イオンを含むポリアミド層の厚さが
    少なくとも0.2ミクロンで、その層の全体に対する体
    積比が2/3以下であることを特徴とするポリアミド層
    状構造体。 2 金属イオンを含むポリアミド層1層と金属イオンを
    実質的に含まないポリアミド層1層との二層構造を有す
    る特許請求の範囲第1項記載ののポリアミド層状構造体
    。 3 両表面層が金属イオンを含むポリアミド層内部層が
    金属イオンを実質的に含まないポリアミド層の三層構造
    を有する特許請求の範囲第1項記載のポリアミド層状構
    造体。 4 ポリアミドがナイロン6又はナイロン66である特
    許請求の範囲第1項、第2項又は第3項記載のポリアミ
    ド層状構造体。 5 金属イオンがCa^+^+,Mg^+^+,Zn^
    +^+,Cu^+^+,Fe^+^+^+,Li^+,
    Na^+,及びK^+の中のより選ばれた少なくとも1
    種である特許請求の範囲第1項、第2項又は第3項記載
    のポリアミド層状構造体。 6 フィルム状、シート状又は平板状である特許請求の
    範囲第1項、第2項又は第3項記載のポリアミド層状構
    造体。
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