JPS6041134B2 - 高周波焼入れ方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は高周波焼入れ方法に係り、特に円筒形彼焼入れ
物品の内面凹部を円筒の軸万向に沿って、複数個所同時
に、所定の幅で高周波焼入れを行なう高周波焼入れ方法
に関する。

機械部品に於ては、その所定の部分に耐摩耗性の高い表
面層を形成させる必要に迫られる場合が多く、浸炭焼入
れ、誘導加熱に基づく高周波焼入れ等が行なわれている
が、本発明が対象とする円筒形物品の内表面を部分焼入
れする場合には、取扱の容易さ、或いは加熱時間が短か
く、かつ変形が少ない等の理由から高周波焼入れが多用
されている。

従来は、円筒形物品の複数所定個所に焼入れを実施する
度合は単一のコイルを被焼入れ面に一個づつ順次に対向
させて行なう移動焼入か、或いは複数個のコイルを用い
た同時焼入れが行われていた。

しかし、前者は被焼入れ個所に応じて多数回繰り返す必
要があると言う欠点があり、後者は第１図のＡに示す様
にへャピン形状を構成する２本の銅パイプ１ １の中間
部に対向する被焼入れ物品５０の硬化層５２の深さが浅
くなりすぎて焼入れ仕様を満足できなくなる。

又加熱条件を種々変更して熱伝導により上記コイルの中
間部の硬化層の深さを増加させるよう処理すると同図Ｂ
に示す如く両側のコイル用銅パイプに対向する被焼入れ
面は肉厚が薄いため表面硬化でなくいわゆるズブ焼入れ
となってしまうという欠点がある。

更に被焼入れ面を冷却する為に被焼入れ物品をコイルか
ら取り出して以後別の場所で冷却を行なうときは加熱終
了後から急冷却開始までの時間に被加熱層に蓄えられた
熱量が外表面に伝導して、硬化層深さが深くなってズブ
焼入れ又はそれに類した硬化層パターンを生ずること、
或いは内表面焼入れ組織中に不完全組織であるトルース
タィトを発生すること、及び歪の発生量が大きくなり、
焼入れ後研摩仕上げの工程を必要とすると言う不具合が
生じていた。

本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、被焼入れ
物品とコイルとを相対的に揺動させると共に被焼入れ物
品をコイル体から取り出すことなく、加熱終了後ちに急
冷却を行うことにより上記の諸欠点を排除して研摩仕上
げを不要としうる高周波焼入れ方法を提供することを目
的とする。

以下図面に従って被焼入れ面が３個所ある場合の本発明
の実施例につき説明する。第２図はコイル部１０を示す
斜視図である。

前記コイル部１１は３個の中空角形銅チューフをへャピ
ン形状に形成したコイル１１をコイルリード１２でもつ
て直列に接続して構成されており、コイル１１は被焼入
れ面に対向する如く配段される一方、コイルリード１２
のいずれか１個所の端部からは第４図に示す様に高周波
電流およびコイルの冷却水が供給される。尚、前記３個
のコイル１１の略中心部には非金属材料より成る円筒形
ジャケット１５が前記コイル１１に略平行に立設されて
おり、その外周部には前記各コイル１１の中央空隙部１
３に対向してそれぞれ複数個の噴出口１６が円筒の軸に
沿って１列または複数列穿設されている。

なお１７は冷煤の供給管である。第３図は揺動機構２０
および外周冷却装置４０を示す斜視図である。

２１は被焼入れ物品を戦置するドーナツ状の萩暦台であ
り、スラストベアリング２２によって架台３０上に回動
自在に配設されている。

又前記載置台２１の上面にはしバー２３がネジ留めされ
ており、その１端にはロッド２４の１端がボルトにより
回動自在に軸支され、更に前記ロッド２４の他端にはモ
ータ２６によって回転するクランクプレート２５にボル
トによって回動自在に車由支されている。

更に４０‘ま外周冷却装置であり、これは彼焼入れ面た
る内面凹部が比較的薄肉である被焼入れ物品を焼入れす
る場合に被焼入れ面の外周部を冷却することにより、焼
入れ深さを所望の深さに保持すると共に、歪の発生を防
止する為のものであり、後述する如く３個の冷却箱４１
、リング４２および３個のスベーサ４３により構成され
ている。

冷却箱４１は縦方向に長い長方形の箱体であり、リング
４２の下面にその上端部が固設されて、リング４２を水
平に支える如く柱状に配設されており、その下端部はス
べ−サ４３を介して架台３川こ固設されている。尚前記
冷却箱４１の被焼入れ物品に対向する面には複数個の噴
出口４４がそれぞれ穿設されており、上記と反対側の面
には冷煤供ｖ給管４５がそれぞれ設けられている。

なお、前記リング４２には、その内部で揺動する被焼入
れ物品を垂直に保持する為に、その外周に当綾する図示
しないガイドローラーが３個所設けられている。

第４図は本実施例たる高周波焼入れ方法を説明する為の
彼焼入れ物品、コイルおよび外周冷却箱の断面図であり
、以下本図に従って本発明に係る高周波焼入れ方法を説
明する。

冷却箱４１、被焼入れ面５１およびコイル１１がそれぞ
れ対向する様に外周冷却装置４０、被焼入れ物品および
コイル体１０が同心円状に配設されている。

本実施例に於ける被焼入れ物品は外経略８１凧、高さ略
７５柳、彼焼入れ面の肉厚が４〜６肋であり、材質Ｓ４
弦の鋼材で製作されたものである。

又コイル１１は幅７側、奥行５柳、肉厚１肋の角形銅パ
イプを用いて、幅２物舷、高さ６５側のへヤピン形状に
形成されている。次にモータ２６を駆動するとクランク
プレート２５、ロッド２４、レバー２３より成るリンク
機構のクランク運動により戦贋台２１は円周方向に揺動
運動を起こし、従って被焼入れ物品５０はコイル１ １
に対して±１０度のストロークで、毎秒４回の割合で揺
動運動を起す。

そこでコ心レ１１に４０ＫＨＺの高周波電流を流すとコ
イルに対向している被焼入れ面が誘導加熱されるが上記
の如く、コイルと被焼入れ面との関係位置は相対的に揺
動しているので、設定された揺動幅にわたって均一に加
勢されることとなる。

尚この間の入力電力は１９０ＫＷであり、加熱時間は３
秒である。又コイル内部には冷却水を流通させてコイル
自身の温度上昇を防止している。

更に上記の加熱が終了すると高周波電流を断にすると同
時に、冷煤としてのユーコンクェンチャントＡ（ＵＱＡ
）の１０パーセント水溶液が円筒形ジャケット１５の噴
出口１６から噴射され、彼焼入れ面５１を急冷却するこ
とによって各焼入れ面が所望の幅と長さでかつ均一の条
件で焼入れされる。

ちなみに上記の冷却時間は５秒であり、冷煤の流量は毎
分２１そである。

又上記ジャケットはコイルに近接して立設されているが
非金属材料で製作されているので加熱されることはない
。

更に上記の加熱および冷却の期間を通じて特に彼焼入れ
面が薄肉の場合には各冷却箱の冷煤供聯合管４５からは
前記と同種の冷煤が供給され噴出口４４から噴射させて
被焼入れ面の外周部を冷却し、歪の発生を防止している
。

この場合の冷媒の流量は毎分４５そである。ただし被焼
入れ面が厚肉の場合には外周部の冷却は不要である。以
上の如くして実施された高周波焼入れ方法により形成さ
れた硬化層は幅２２肋、高さ５２側の範囲で有効深さ２
肌、マクロ深さ２．５肌である。尚本実施例に於ては被
焼入れ物品の方を揺動させたが、これに限ることはなく
、被焼入れ物品を静止させてコイルを揺動させても同一
の結果が得られることは勿論である。又、本実施例に於
ては被焼入れ物品の円弧状の内表面に対する焼入れにつ
いて説明したが、これに限ることはなく、一部直線の内
表面或いは外表面、更に平板の一部分についても同様の
手順で部分的な表面焼入れを実施することができる。

以上説明した如く本発明方法は被焼入れ物品の内面凹部
とコイルの関係位置を揺動変化させるように構成した焼
入れ方法であるので、円筒形被焼入れ物品で凹凸のある
複雑な形状を有する内面の凹部に対しても所定の幅で、
均一な焼入れ剖面を得ることができ、しかも外部冷却の
効果により歪みが僅少である所から焼入れ後の研摩工程
を省略し得る効果を上げることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の硬化層を示す断面図、第２図はコイル部
の斜視図、第３図は揺動機構および外周冷却装置の斜視
図、第４図は焼入れ方法の説明の為の断面図である。 １０・…・・コイル部、２０…・・・揺動機構、３０・
・・・・・架台、４０・・・・・・外周冷却装置、５０
・・・・・・被焼入れ物品。 第２図 第１図 第４図 第３図

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内面の円周方向に沿つて凹凸を有する円筒形の被焼
   入れ物品の内面凹部を円筒の円周方向に沿つて所定の幅
   で表面焼入れを行う高周波焼入れ方法において複数個の
   ヘヤピン連結形コイル（以下コイルと言う）を前記焼入
   れ面に対向配設して該コイルと被焼入れ面との関係位置
   を相対的に揺動せしめつつ、被焼入れ面を誘導加熱した
   のち、前記複数個のコイルの略中央部に立設した非金属
   材料から成るジヤケツトに設けた噴出口から冷媒を噴射
   して被焼入れ面を急冷却するよにしたことを特徴とする
   高周波焼入れ方法。