JPS6032437Y2 - 内燃機関の遠心クラッチ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関のクランク軸とこれによって駆動され
る軸との間に設けられる遠心クラッチ装置に関する。

更に詳細には、クランク軸に遠心拡開素子を備えるドラ
イブプレートを固設し、クランク軸端にこれに対して回
転自在に嵌合した筒状部材に上記素子と係合するシュー
を備えるドラム状クラッチアウタを固設する如＜シ、ク
ランク軸上に遠心クラッチをなすインチ、アウタの両部
材を配設し、スペースの有効利用、コンパクト化、構造
の簡素化、確実なアウタの支持、また、遠心拡開素子、
シュー等の部材へオイルを供給して遠心クラッチの伝達
効率を高め、更には部品の減少を図り、コストダウンを
効果的に図ることができるようにした遠心クラッチ装置
に関する。

内燃機関の動力伝達の簡易な断続装置として遠心クラッ
チが知られている。

この種のクラッチはクランクシャフトで駆動されるクラ
ッチインチとしてのドライブプレート、ドライブプレー
トに枢設された遠心拡開素子、ドライブプレートに対峙
して設けられ、被動側のクラッチアウタ、これに設けら
れ、上記遠心拡開素子と係合する係合素子とを備える。

クランク軸の所定の回転数でドライブプレートに枢設し
た素子が遠心力で拡開し、クラッチアウタの係合素子と
係合し、クラッチインチとアウタとは係合され、クラン
ク軸の動力は被動軸等に伝達される。

従来のこの種遠心クラッチは、クラッチインチとアウタ
とが全熱別個の軸で支持され、或はクランク軸とクラッ
チインチとを接続し、インチにアウタが嵌合する等クラ
ッチアウタの支持はクランク軸とは別個である。

従ってクラッチアウタのセンタリングの精度維持、これ
の支持構造等が複雑化し、組立作業性の点で最良とはい
えず、又部品点数も多くなる。

そしてクラッチアウタをインチと別個に支持するため支
持構造を含めこの間の距離が長くなり、クラッチ全体の
軸方向長さもある程度大きくなり、全形がその分大きく
なり、更にこれを付設したエンジンも大型化する。

また遠心クラッチではクラッチの温度或いは各クラッチ
構成部材へのオイル潤滑がクラッチ伝達効率を左右する
。

本考案者は内燃機関の簡易なりラッチとしての遠心クラ
ッチにおける上記した問題点を解決すべく本考案をなし
たものである。

本考案の目的は、クランク軸に遠心拡間係合素子を備え
るクラッチインナとしてのドライブプレートを固設し、
クランク軸端を延出してこれに筒状部材を回転自在に嵌
合し、この部材にクラッチアウタを固設するとともに、
該部材に上記遠心拡間係合素子を設ける如くし、クラン
ク軸を利用してこれにクラッチアウタを支持せしめ、ク
ラッチアウタの支持構造の簡素化、部品の減少、クラン
クシャフト、クラッチアウタの支持の確実化、取付作業
性の向上、精度維持の向上等を図り、更にはクラッチを
構成する各部材にオイルを潤滑して冷却せしめクラッチ
の伝達効率を高めることができる遠心クラッチ装置を提
供する。

次に本考案の好適一実施例を添付図面に従って詳述する
。

第１図は本考案にかかるクラッチ装置を含む駆動装置の
展開的な縦断面図、第２図は同要部の拡大図である。

駆動装置の概略を第１図で説明すると、装置の各部分は
クランクケース、伝動ケースを兼ねるケース１内に収納
され、ケース１は上下に分割された半体１ａ、ｌｂの重
ね合せ接合体よりなる。

上半体１ａ上にはシリンダ２、シリンダヘッド３からな
るエンジン４が組着され、シリンダ２内にはピストン５
が既知の如く摺動自在に嵌装され、コンロッド６を介し
てこの下に設けたクランクシャフト７に連結されている
。

クランクシャフト７はこれの左右のジャーナル部７ａ＊
７ａをケース１内の左右に設けた軸受壁１ｃ、１ｃに軸
受８，８を介して支持されるとともに、ジャーナル部の
一方を一方の壁外へ延出し、延出端７ｂにＡＣＧ （発
電機）のマグネット取付ベースを兼ねるフライホイール
９を連結支持し、フライホイール９の外側面には冷却用
ファン１０を設け、エンジン４を囲繞する如く設けたカ
バー１１内に通路１２を介して冷却用空気を送給する。

クランクシャフト７の図中下にはこれと平行に車軸１３
が横架され、車軸１３はケース１の上記と区画された壁
１ｄ内にその大部分が収納される。

車軸１３は図中右側の駆動軸１４と、これと対向端でス
プライン嵌合し、軸方向に摺動可能で、且つスプリング
１５で図中左方へ弾圧された中間軸１６と、図中左側で
中間軸１６の対向端と摩擦係合される駆動軸１７とから
なる。

左側の駆動軸１７と中間軸１６とは相互に自由なる如く
軸方向に雌雄嵌合され、この対向端にフランジ部１８．
１９を備え、この間にリング状のクラッチフェーシング
２０を介装し、スプリング１による中間軸１６の図中左
方への弾圧て両軸１６，１７は摩擦係合している。

各駆動軸１４．１７はケース１の左右に設けた軸受部１
ｅ、１ｅに軸受２１゜２１を介して支持れている。

上記摩擦係合クラッチ１８，１９．２０で中間軸１６の
動力は左側駆動軸１７に伝達され、この部分が摩擦係合
であるため駆動軸１４．１７間の差動装置を構威し、且
つフランジ部を利用してこれをディスクブレーキ装置の
ブレーキディスクとして用いる。

各駆動軸１４．１７の外側への延出端には左右の車輪２
２．２２のハブ２２ａを結合し、駆動輪とする。

ところで上記クランクシャフト７の図中右側は軸受壁外
方へ延出し、延出部の基部７ｃに対し先部７ｄを一段小
径に形成する。

基部７ｃ上には遠心クラッチ３０のインナをなすドライ
ブプレート３１をスプライン嵌合等で結合し、ドライブ
プレート３１の基部３１ａはクリップ３２で軸方向を規
制される。

そしてドライブプレート３１の基部３１ａの手前にはギ
ヤ２３が設けられ、ギヤ２３と噛合するウオームギヤ２
４で図示しないオイルポンプを駆動する。

ドライブプレート３１にはピン３３で揺動自在に枢着さ
れた遠心拡間係合素子３４を設け、図示では摩擦係合タ
イプとした。

一方、クランクシャフト７の小径な延出先部７ｄ上には
筒状部材３５を回転自在に嵌合し、この部材３５の上記
ドライブプレート基部３１ａと対向する内端部局にはド
ラム状のクラッチアウタ３６を固設し、アウタ３６のフ
ランジ部り６ａ内壁には既述の遠心拡間係合素子３４と
摩擦係合するシュー等の摩擦係合素子３７を固設する。

筒状部材３５の外周には図示例では歯を形成してドライ
ブギャ３８とし、部材３５の外端部はケース１に設けた
軸受部１ｆに軸受２５を介して支持し、軸受２５は外周
に係合したセットリング２６と外端部のサークリップ２
７とで位置決め係止される。

そして図示例では軸受２５外周のケース内側に膨出凹壁
１ｇを設け、オイル溜り２８を形威し、オイル溜り２８
を軸受部１ｆの一部に設けた通路１ｈに接続し、軸受２
５に給油する如く構成した。

このドライブギヤ３８は車軸１３の右側の駆動軸１４に
一体的に設けたドリブンギヤ２９に噛合せしめ、減速伝
動ギヤ機構を形成した。

以上において、クランクシャフト７の所定以下の回転で
は遠心クラッチ３０は接続されず、クランクシャフト７
、ドライブプレート３１及びこれに付設した部品が回転
している。

そしてクランクシャフトの延出先部７ｄは軸受２５で支
持された筒軸受３５で支持され、延出部がある程度長く
てもこれの軸受機構として機能し、クランクシャフトの
円滑な運転を保障する。

クランクシャフト７の所定以上の回転数でドライブプレ
ート３１に付設した保合素子３４は遠心拡開し、クラッ
チアウタ３６のフランジ部３６ａに設けた係合素子３７
と摩擦係合し、ドライブプレート３１とクラッチアウタ
３６とは接続される。

この結果これと一体のドライブギヤ３８はクランクシャ
フトフ上回転し、これと相噛合する車軸１３を駆動し、
動力伝達がなされる。

そしてオイル溜り２８、通路１ｈから軸受２５側に供給
されたオイルの一部はクランク軸先部７ｄ外周面と筒状
部材３５内周面との間を潤滑したのち、クラッチアウタ
３６の内側から径外方へ遠心力で飛ばされ、係合素子３
４，３７、フランジ部り６ａ内壁等へ供給され、これら
係合素子３４．３７等を冷却潤滑するので遠心クラッチ
の伝達効率は格段と高められる。

更に、斯かる保合素子３４．３７等への潤滑は、反りラ
ツヂ状態ではクランク軸先部７ｄと筒状部材３５内周面
との周速度差が著しく大きくなるため、十分な潤滑が可
能となり、焼付性即ちクラッチの区滑化を向上すること
ができる。

またクランク軸７を延出させたため、機関のトルク変動
あるいは被動軸からの逆負荷により振れを生じた場合で
あっても、クランク軸先部７ｄど筒状部材３５との間隙
は常に潤滑されているのでクラッチ作動の円滑化を向上
することができる。

以上図示例ではクラッチアウタへの出力をギヤ伝動機構
で他の軸に伝達したが、これに代えてクラッチアウタ側
にスプロケットを設け、チェノ、スプロケットによる動
力伝達系を構成しても良い。

以上で明らかな如く本考案によれば、クランク軸上にク
ラッチインナと併せてクラッチアウタを配設したため、
クラッチアウタの支持及びクランクシャフトの支持構造
が共通且つ簡素化し、又夫々の支持も確実化する。

又クランク軸上にクラッチアウタを設けたため、クラッ
チアウタ支持部材が省略でき、部品点数が大幅に減少す
るととに、夫々を一諸に設けたため外形のフパクト化を
図ることができる。

更にクランク軸上にクラッチアウタを設けるため組立作
業性も良く、製作が簡単化し、且つクラッチアウタの精
度維持も容易に行え、又クランク軸長さが大きく、軸の
振れ等が問題となる場合、或はこれにギヤ伝動機構等を
付設してスラスト荷重が大きくなるような場合にクラン
ク軸の確実な支持をクラッチアウタの支持と共通化して
図ることができる他、クランク軸の延出部をクラッチア
ウタで支持するため、ケースに油溜りを設け、該油溜り
からクラッチアウタの軸受、クラッチを構成する各部材
へオイルを供給でき、クラッチを冷却潤滑して伝達効率
を高めることができ、軸心の孔穿は加工等を要しない等
々の実用的効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は本考案
を含む駆動装置の縦断面図、第２図は同要部の拡大図で
ある。 尚図面中７はクランクシャフト、７ｄは延出部、３０は
遠心クラッチ、３１はドライブプレート、３３は遠心拡
間係合素子、３５は筒部材、３６はクラッチアウタ、３
７は係合素子である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク軸のジャーナル部を軸受壁１ｃから該軸受壁１
   ｃに対向するケースの支持部１ｆ側に延出させ、該延出
   部分の軸受壁１ｃ側に遠心拡間係合素子を備えるクラッ
   チインナとしてのドライブプレートを設け、前記延出部
   分の支持部１ｆ側に筒状部材を回転自在に嵌合し、ケー
   スの支持部１ｆで前記筒状部材の端部を回転自在に支持
   すると共にクランク軸の前記延出部分端を前記筒状部材
   を介してケースの支持部１ｆで支持し、前記筒状部材の
   前記軸受壁１ｃ側に前記係合素子と係合する係合素子を
   備えるクラッチアウタを設け、前記ケースの支持部１ｆ
   にオイル溜りを設け、該オイル溜りからオイルをクラン
   ク軸端と筒状部材端とに供給するようにした内燃機関の
   遠心クラッチ装置。