JPS602984Y2 - 農用トラクタ等の前輪駆動フアイナルギヤ保持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は農用トラクタ、土木建設用車両等（以下農用ト
ラクタ等と呼ぶ）の前輪駆動ファイナルギヤ保持装置に
関するもので、前輪ハブスピンドルに対し回転力を与え
るファイナルギヤを狭い空間内で充分な距離（スパン）
をへだてた２個の軸受により剛直に支持できるようにし
て負荷時におけるファイナルギヤの撓みを防止し、歯当
りを常時一定に保持して寿命の増大を図ったものである
。

従来農用トラクタの前輪駆動部分は第１図のようになっ
ており、１はフロント第１軸で前車軸ケース２内に回転
自在に支持され、先端に第１ピニオン３を有する。

４はフロントギヤケースで複数個のボルト５により前車
軸ケース２の端部に固定されている。

６はフロント第２軸で上端はベアリング７を有するカバ
ー８を介してフロントギヤケース４の上端部に支持され
、ベアリング７の下側部分に固定した第２ピニオン９が
第１ピニオン３に上側から噛み合い、フロントギヤケー
ス４より下方へ突出した下端部に第３ピニオン１０を備
え、第３ピニオン１０の上側において二一ドルベアリン
グ１１によりフロントギヤケース４に支持されている。

１３はフロントギヤボックスで、下端部はベアリング１
４を介して第３ピニオン１０のボス筒部分１５に支持さ
れ、上端部にシム１６を介して取り付けたキングピンサ
ポート１７の下開き軸受は穴１８がカバー８と一体のキ
ングピン部１９に嵌合味キングピン部１９とベアリング
１４の上下２点で縦軸０．−０．回りに回動自在に支持
される。

２０はオイルシールでフロントギヤボックス１３に固定
されており、内周リップはフロントギヤケース４下端の
筒状部２２の外周に弾性的に当接している。

２４は前輪ハブスピンドルでフロントギヤケース４側端
部はベアリング２５を介してフロントギヤボックス１３
と一体のボス筒２６の内周に支持され、スピンドル２４
の全長の中間部分にファイナルギヤ２７がスプライン嵌
合し、ファイナルギヤ２７のボス筒部分２８はベアリン
グ２９とベアリングケース３０を介してフロントギヤボ
ックス１３に支持されてる。

なお３１はタイロッドでその両端は継手３２を介して左
右のフロントギヤケース４に接続している。

又３３は潤滑油の油面である。

第１図の如く第２ピニオン９を第１ピニオン３に上側か
ら噛み合わせた場合は、フロントギヤケース４の下半部
４ａを細くして前輪ハブスピンドル２４を支持するため
の空間を増し、ベアリング２５．２９間の距離（スパン
Ｉ、１）を充分大きく取り、前輪ハブスピンドル２４の
保持剛性を増すことができ、第３ピニオン１０の位置を
比較的高くしてファイナルギヤ２７を小径のものとする
ことができるため、ファイナルギヤ２７に倒れの生ずる
恐れは少なく、負荷時に歯当りが悪くなる問題も生じな
い。

ところが前述の如く第２ピニオン９が第１ピニオン３の
上側にあるため、第２ピニオン９とその上側のベアリン
グ７に潤滑油を充分供給できない不具合が生ずる。

この対策として第２ピニオン９を第１ピニオン３に下側
から噛み合わせると、第１ピニオン３が跳ね上げた潤滑
油がベアリング７へ充分供給されるようになるが、第２
ピニオン９を収容するためにフロントギヤケース４下半
部４ａをふくらませなければならず、このためベアリン
グスパンＬ１を充分取るための空間が不足し、又第３ピ
ニオン１０が下方へ押しやられるためファイナルギヤ２
７が大径になり、負荷時にファイナルギヤ２７に倒れが
生じて歯当りが悪くなる問題が生じ、第３ピニオン１０
と噛み合う部分のファイナルギヤ２７の背面に倒れ防止
用の保持具が必要となる。

本考案はファイナルギヤのボス部を２個のベアリングを
介してフロントギヤボックス１３に直接支持すると共に
、両ベアリングのスパン間においてファイナルギヤ２７
と前輪ハブスピンドル２４を固定することにより前記従
来の問題を解決しようとするもので、第２図に実施例を
示す。

第２図において第１図中の符号と同一符号は対応部分で
ある。

第２図においてフロントギヤボックス１３の筒状部３５
はベアリング３６を介してフロントギヤケース筒状部２
２の外周に支持されており、フロント第２軸６の下端は
ベアリング１４とカバー３７を介してフロントギヤボッ
クス１３に支持されている。

３４は段部、４３はスナップリングである。

従ってフロントギヤボックス１３は上端がキングピン部
１９において、又下端がベアリング３６の部分において
共にフロントギヤケース４に上下２点で支持される形に
なり、このためフロント第２軸６には車体荷重は作用せ
ず、回転力のみが作用することになる。

第２ピニオン９が前輪ハブスピンドル２４の横にくるた
め第３ピニオン１０の位置はや）低下しており、ファイ
ナルギヤ２７の直径は増加しているが、ファイナルギヤ
２７のボス部２７ａのフロントギヤケース４側端部（左
端部）はベアリング２５を介してフロントギヤボックス
１３と一体のボス筒３８の外周に支持されているため、
ファイナルギヤ２７はボス部２７ａの歯に近い部分（図
の左端部）とその反対のボス筒２８部分でそれぞれベア
リング２５．２９を介してフロントギヤボックス１３に
２点支持される。

ベアリング２５の内輪はボス筒３８の外周に嵌合固定さ
れ、外輪はボス部２７ａの内周面３９に嵌合固定してい
る。

ファイナルギヤのボス筒２８は前輪ハブスピンドル２４
に部分４０でスプライン嵌合し、ボス筒２８の端面に当
てた当て板４１を数個のボルト４２によりスピンドル２
４に締め付けることによりボス筒２８とスピンドル２４
が一体化している。

当て板４１とボルト４２の頭部はボス筒３８内の空間に
収容されており、従って両ベアリング２５．２９間のス
パンｈ内においてファイナルギヤ２７はスピンドル２４
に固定している。

４３はスペーサ、４４はオイルシール、４５は押え板、
４６は押えボルト、４７は前輪である。

フロントギヤボックス１３の上下位置を規制するために
、キングピンサポート１７に設けたねじ孔４９に調整ボ
ルト５０を螺合し、ボルト５０の先端を鋼球５１に当て
、ナツト５２によりボルト５０の位置を固定している。

鋼球５１はキングピン部１９に設けた座５３内に収容さ
れてる。

前輪４７に対し前車軸ケース２側から作用する下向きの
車体荷重は、フロントギヤケース４からベアリング３６
をへてフロントギヤボックス１３に作用し、一部はボス
筒３Ｂの部分からベアリング２５、ファイナルギヤ２７
をへて、又残すの一部はベアリングケース３０の部分か
らベアリング２９、ボス筒２８をへて、前輪ハブスピン
ドルに支持される。

回転力はフロント第１軸１から、第１ピニオン３、第２
ピニオン９、フロント第２軸６、第３ピニオン１０、フ
ァイナルギヤ２７をへて前輪ハブスピンドル２４に伝わ
る。

以上説明したように本考案においては前輪ノ）ブスピン
ドル２４と同心にフロントギヤボックス１３（第２図の
右側面）に設けたボス筒３８の外周にベアリング２５を
介してファイナルギヤ２７のボス部２７ａのフロントギ
ヤケース４側端部を支承し、ファイナルギヤボス部２７
ａの反対側端部（ボス筒２８）の外周をベアリング２９
とベアリングケース３０を介してフロントギヤボックス
１３に支持するようにしたので、第２ピニオン９を第１
ピニオン３に下側から噛み合わせてフロントギヤケース
４の下半部４ａが第２ピニオン９を囲むように大径とな
ったにもかかわらず、フロントギヤボックス１３内の狭
い空間内においてベアリング２５．２９間の距離（スパ
ンＬ２）を大きくすることができ、両ベアリング２５．
２９でファイナルギヤ２７を２点支持しているため負荷
時にもファイナルギヤ２７に傾きが生じる恐れはなく、
第３ピニオン１０との歯当りを常時一定に保持して寿命
の低下を防止することができる。

又ファイナルギヤ２７の傾きを防止する保持具は不要と
なるため構造が簡素化する。

ファイナルギヤ２７をスパンｈ間において前輪ハブスピ
ンドル２４に・固定することができ、ファイナルギヤ２
７の保持剛性を増し、しかもファイナルギヤ２７とスピ
ンドル２４を強固に一体化することができる。

このため前輪駆動部分がコンパクトにまとまり、第２ピ
ニオン９は潤滑油内に浸漬するため潤滑は大幅に向上し
、ベアリング７は第１ピニオン３に対向するため潤滑油
を充分供給することができる。

本考案においては第２ピニオン９により張出したフロン
トギヤケース下半部４ａにフロントギヤボックス１３を
近づけてその背後に前輪ハブスピンドル２４と同心のボ
ス筒３８を設け、ファイナルギヤ２７の外周の歯に対し
中央のボス筒２８をコーン状ボス部２７ａを介しフロン
トギヤボックス１３のボス筒３８より離す方向に偏倚さ
せ、フロントギヤボックス１３に設けたボス筒３８の外
周に軸受２５を介してファイナルギヤボス部２７ａの中
間の内周面３９を支承し、ファイナルギヤボス筒２８の
先端部外周を軸受２９とベアリングケース３０を介して
フロントギヤボックス１３に支承し、ファイナルギヤボ
ス筒２８内に前輪ハブスピンドル２４をスプライン嵌合
し、フロントギヤボス筒３８内でファイナルギヤボック
ス筒２８の端面に当てた当て板４１を前輪ハブスピンド
ル２４に締付けるようにしたので、次のような特殊な効
果が得られる。

即ち第１ピニオン３に対し第２ピニオン９を下側から噛
合せたことにより張出したフロントギヤケース下半部４
ａに近接した位置でファイナルギヤボス筒２８を当て板
４１を介しボルト４２で前輪ハブスピンドル２４に締着
でき、しかも当て板４１とボルト４２の頭部をフロント
ギヤボックスボス筒３８内の空間に収容することができ
、ファイナルギヤボス筒２８を長くしてもファイナルギ
ヤ２７と前輪ハブスピンドル２４を強固に接続すること
ができる。

しかもコーン状ボス部２７ａの軸方向中間部の内周面３
９がホス筒３８の外周面にベアリング２５を介して支承
でき、ファイナルギヤ２７のフロントギヤボックス１３
側の支点をフロントギヤボックス１３側へ充分寄せるこ
とができ、支点のスパンｈが増加する。

又ファイナルギヤボス筒２８の先端側外周面もベアリン
グ２９で支持されるので、ファイナルギヤ２７は略両端
部で内側と外側から直接支持されることになり、ファイ
ナルギヤ２７の荷重による傾きを確実に防止できると共
に前輪ハブスピンドル２４をフロント第２軸６側へ近づ
けて全体をコンパクトにまとめうる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の前輪駆動部分を示す縦断正面図、第２図
は本考案による前輪駆動部分の縦断正面図である。 １・・・フロント第１軸、２・・・前車軸ケース、３・
・・第１ピニオン、４・・・フロントギヤケース、６・
・・フロント第２軸、９・・・第２ピニオン、１０・・
・第３ピニオン、１３・・・フロントギヤボックス、２
４・・・前輪ハブスピンドル、２５．２９・・・ベアリ
ング、２７・・・ファイナルギヤ、２７ａ・・・ボス部
、３８・・・ボス筒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前車軸ケース２内に支承され先端に第１ピニオン３を有
   するフロント第１軸１と、前車軸ケース２の端部に固定
   されたフロントギヤケース４と、前輪ハブスピンドル２
   ４を支承し上記フロントギヤケース４に対し縦軸回りに
   回動自在のフロントギヤボックス１３と、フロントギヤ
   ケース４とフロントギヤボックス１３により支承され上
   記第１ピニオン３に下側から噛み合う第２ピニオン９及
   び前輪ハブスピンドル２４に固定されたファイナルギヤ
   ２７と噛み合う第３ピニオン１０を有する上記縦軸と同
   芯のフロント第２軸６とから成り、第２ピニオン９によ
   り張出したフロントギヤケース下半部４ａにフロントギ
   ヤボックス１３を近づけてその背後に前輪ハブスピンド
   ル２４と同心のボス筒３８を設け、ファイナルギヤ２７
   の外周の歯に対し中央のボス筒２Ｂをコーン状ボス部２
   ７ａを介しフロントギヤボックス１３のボス筒３８より
   離す方向に偏倚させ、フロントギヤボックス１３に設け
   たボス筒３８の外周に軸受２５を介してファイナルギヤ
   部２７ａの中間の内周面３９を支承しファイナルギヤボ
   ス筒２８の先端部外周を軸受２９とベアリングケース３
   ０を介してフロントギヤボックス１３に支承し、ファイ
   ナルギヤ筒２８内に前輪ハブスピンドル２４をスプライ
   ン嵌合し、フロントギヤボックスボス筒３８内でファイ
   ナルギヤボス筒２８の端面に当てた当て板４１を前輪ハ
   ブスピンドル２４に締付けるようにしたことを特徴とす
   る農用トラクタ等の前輪駆動ファイナルギヤ保持装置。