JPS6029671Y2 - 燃料噴射ポンプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はディーゼル機関の燃料噴射ポンプに関するも
のである。

近年、石油価格の高騰により、石油燃料の有効利用が問
題となり、ディーゼル機関の燃料消費率の低減が、ます
ます要望されてきている。

ディーゼル機関の燃料消費率を低減するためには、機関
の燃焼改善が１つの手段であり、そのために燃料噴射圧
力の高圧化と燃料噴射パターンの矩形化（燃料噴射時に
燃料噴射管内の圧力を急上昇させること、即ち噴射圧力
の立上りを早くすること）に努力がなされている。

しかしながら噴射圧力を高くしたり、燃料噴射ポンプの
プランジャの加速度を上げて噴射圧力の立上りを早くす
ると、燃料カムとローラーの接触圧力の増大によりカム
面の応力が大となり、カムのピッチング等の事故を招く
ことが多くなる。

このため中々噴射圧力を高圧化し、かつ噴射圧力の立上
りを早くすることができない状況である。

この考案は上記に鑑みてなされたもので燃料カムに負担
をかけずに、高い噴射圧力および急速な噴射圧力の立上
りを容易に得ることができる燃料噴射ポンプを提供する
ことを目的とする。

以下この考案の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図において１は燃料噴射ポンプのボディーで、その
内孔に補助シリンダ４とシリンダバレル２が挿入され、
同じく前記内孔に挿入され、内孔に吐出弁５ａを有する
吐出弁ケース５と吐出口ケース６を介して、カバー７で
押圧固定されている。

３はシリンダバレル２内に上下動、および回動自在に収
められているプランジャである。

該プランジャ３の中間外周部に形成された環状ピストン
部９が、前記補助シリンダ４のシリンダ内部８に上下動
および回動自在に挿入されている。

前記プランジャ３は下部が一段細く形成されて、ばね受
１０が嵌めこまれ、燃料噴射ポンプのボディー１の下部
に形成されている摺動室１１の上部に嵌入されたばね受
１２と、前記ばね受１０との間にばね１３が装架せられ
、プランジャ３を下方に引っばっている。

１４は前記摺動室１１に上下方向に摺動自在に挿入され
た摺動金具で、プランジャ３の下端に当接しており、ス
トッパリング１５で摺動室より抜は出さないように止め
られている。

１６は補助シリンダ４の下部外周に回動自在に嵌めこま
れているピニオンで、その下方に一体に形成されている
二叉部１７とプランジャ３に固定した金具３ａとの保合
を介してプランジャ３を回動させたようになっている。

１８は該ピニオン１６に噛み合って、ピニオン１６を回
動させるためのコントロールラックで、その一端部が燃
料噴射ポンプの制御軸（図示せず）に連結されている。

第１の燃料入口枝管２０ａに接続されている燃料油入口
ターミナル２０が、燃料噴射ポンプのボディー１にあけ
られている通路２１を介して燃料油入口油溜り２２に連
通し該油溜り２２はシリンダバレル２の上端両側部に設
けられた入口通路２４．２４を介してプランジャ３の上
方部の燃料室２３に連通し、また吐出弁ケース５に設け
られている逆止弁５ｂを介して通路５Ｃにより燃料室２
３に連通している。

一方第２の燃料入口枝管２５ａに接続している燃料油タ
ーミナル２５が、燃料噴射ポンプのボディー１にあけら
れている通路２６を介して補助シリンダ４にあけられ、
前記環状ピストン９の下方のシリンダ内部８に開口する
通路２７に連通している。

３０は、補助シリンダ４、プランジャ３より漏洩する燃
料油の漏れを通路３１．３２を介して、外部のドレン管
（図示せず）に排出するドレンターミナルである。

補助シリンダ４内の環状ピストン９の外径は、該ピスト
ン９の環状受圧面積がプランジャ３の断面積と同一にな
るように形成されている。

即ち、燃料油入口ターミナル２０より導入された燃料油
の予圧力によってプランジャ３の頂面を下方に押す力が
、燃料油ターミナル２５より導入された燃料油の予圧力
によってピストン９の環状部を上方に押す力とバランス
するように構成されている。

この考案に係る燃料噴射ポンプは、上記構成を有し、燃
料カム（図示せず）の回転により、燃料噴射ポンプの摺
動金具１４を介してプランジャ３が押し上げられて入口
通路２４を塞ぎ、燃料室２３の燃料油が圧縮され、吐出
弁５ａを押し開いて燃料噴射管に吐出される。

次にばね１３によってプランジャ３が引き戻され、油溜
り２２より予圧された燃料油が逆止弁５ｂを押し開き通
路５ａを通って燃料室２３に入り、プランジャ３を押し
下げるように働き、ピストン９の下面に作用した力と相
殺されるので、ばね１３は従来と同一の強さのものでよ
い。

燃料制御軸（図示せず）の働きによりラック１８が動か
されピニオン１６の二叉部１７を介してプランジャ３を
回動し、プランジャ３の上端部に設けである連通溝部３
ａと傾斜閉塞部３ｂによって燃料噴射量が制御されるこ
とは従来の燃料噴射ポンプと同一である。

しかして従来燃料噴射ポンプへ供給される燃料油の圧力
は１．５〜２ｋｇ／ａ＋！であるが、この考案では１０
０〜２００ｋｇ／ｃＩｔの高い圧力を燃料噴射ポンプの
吸入口にかけるようにしたので、第２図に示すように従
来の燃料噴射パターンＡに対し、本考案による燃料噴射
パターンＢでは燃料油の予圧用Ｐだけ最高圧力は高くな
り、同じプランジャ速度でも燃料噴射圧力の最高値を高
くすることができる。

また吸入側が加圧されているので、吸い戻し量を従来よ
り大きくとっても噴射管内が負圧にならないのでキャビ
テーション発生の問題がなく、従来より吸い戻し量を大
きくとることができるため、燃料噴射後の噴射管内の圧
力降下が急速になり、二次噴射の恐れがなく燃焼が良好
となる。

一方この予圧された燃料油がターミナル２５より通路２
６．２７を通ってプランジャ３の環状ピストン部９に作
用してプランジャ３を押し上げ、この押し上げ力と燃料
の予圧力がプランジャ３の頂面に作用する力とバランス
するので、燃料油の予圧力が高くても燃料カムに作用す
る面圧を過大にすることがない。

以上説明したようにこの考案によれば、燃料ポンプのプ
ランジャの中間外周に環状ピストン部を設けて、燃料油
の予圧力を該環状ピストンの下面にかけて、これによる
プランジャの押し上げ力とプランジャ頂面に作用する吸
入燃料油予圧力にもとづく力とバランスさせるようにし
たので、燃料油の吸入圧力を高く保ち、それにより燃料
噴射圧力を高くし、かつ燃料噴射圧力の立上りを早くし
ても、燃料カムやローラーに子分の負担をかけ、それら
の面を損傷させるような惧れがなくなる。

【図面の簡単な説明】 第１図はこの考案の一実施例を示す燃料噴射ポンプの断
面図、第２図は燃料噴射パターンの説明図である。 １・・・・・・燃料噴射ポンプ、２・・・・・・シリン
ダバレル、３・・・・・・プランジャ、６・・・・・・
吐出口ケース、９・・・・・・環状ピストン、２１・・
・・・・吸入口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料油の吸入口および吐出口を有する燃料噴射ポンプの
   ボディー内孔に、プランジャを有するシリンダバレルが
   挿入されて、該シリンダバレル内を前記プランジャが上
   下動することにより、吸入した燃料油を吐出口より噴射
   するように構成した燃料噴射ポンプにおいて、前記プラ
   ンジャの外周上に環状ピストン部を設け、該環状ピスト
   ン部の下面に燃料油の予圧力を作用させ、これによるプ
   ランジャの押上げ力と前記プランジャの頂面に作用する
   吸入燃料油の圧力による力を相殺させるようにしたこと
   を特徴とする燃料噴射ポンプ。