JPS6028661Y2 - 高炉の連続出銑装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は高炉の連続出銑装置に関し、特に高炉の高圧操
業において、出銑した溶湯の誘導部の補修・交換を迅速
に行なうことが出来、また長期出銑停止時においても、
該溶湯の誘導部の湯溜りが管内で擬固することのないよ
うな機能を備えた連続出銑装置の提案を目的とする。

高炉から溶融銑鉄を取り出す際には、出銑口を開口機で
開口し、マッドガンと称せられ閉塞機によって閉塞する
作業が行なわれているのが通例である。

近年高炉の大型化および高圧操業化に伴ない出銑量、出
銑回数が増大しつつあり、上記の機器を大型化、強力化
あるいは自動化しても、この出銑作業の不便さは益々増
大するばかりである。

特に高圧操業においては、出銑に当り溶銑の噴出速度が
早いことから、出銑孔の耐火物を溶損あるいは摩耗させ
、短時間の間に出銑孔を拡げて出銑量を過大にするので
、出銑孔を切り換えて操業しなければならなかった。

さらに上記出銑作業も高炉の大型化と共に困難と危険を
増大する不都合があった。

またこられの出銑作業の不都合を解決するために、出銑
した溶銑の溜りを出銑口部に接続して炉外に設け、その
湯溜りの内部圧力の調整により、溶銑・溶滓の流出速度
を調節して連続的に出銑する方法も提案されている。

しかし乍ら、高炉の操業中における前記炉外湯溜りの補
修・交換に際しての出銑停止は、休風した後に炉内の貯
留溶銑・溶滓レベルを調整する必要があること、長期の
出銑停止の場合はこの炉外湯溜りに残留する溶銑・溶滓
の処置などに問題があった。

本考案は高炉の出銑、特に連続出銑における従来の上記
問題点を解決し、出銑した溶湯を誘導する溶銑上昇管の
交換を迅速に行なうことが出来、また長期出銑停止時に
おいても、該溶銑上昇管内で溶銑を擬固しないような連
続出銑装置を提供することを目的とするものであり、前
記実用新案登録請求の範囲に記載の高炉の連続出銑装置
によって上記目的を達成するに致ったのである。

次に本考案の装置を詳細に説明する。

一般に高炉内の湯溜り部では、炉底面から約１．５ｍｍ
程度の高さに複数の出銑口が設けられていて、それらの
出銑口から出銑されている。

本考案ではそれら各出銑口に、出銑された溶湯を出銑樋
に誘導するために、出銑孔に連通して溶銑上昇管を設置
している。

この溶銑上昇管は炉外で立ち上り、そして折り返して下
向に曲げられて逆Ｕ字状を形成し、その先端部は出銑樋
に向って上方から開口し、出銑孔から出銑される溶湯を
出銑樋まで誘導する。

溶銑上昇管には出銑口との接続部と出銑樋への開口部に
それぞれ仕切弁が設置されていて、弁が必要に応じて開
閉される。

また溶銑上昇管のＵ字状の湾曲部の最高部には管内の溶
銑への加圧用のノズル、溶銑上昇管の下部には出銑孔に
貫通する出銑開孔口が設けられ、かつ仕切弁よりも炉体
側に溶銑排出口が設けられている。

尚溶銑上昇管の高さは、高炉内圧や溶銑圧に相当する高
さとすることにより、溶銑等が炉内生産量に相当する量
が出銑される。

また溶銑上昇管の内径は溶銑の流出速度を適当にして、
耐火物の溶損および摩耗による脱落を防止できるような
大さとし、長期間にわたって使用できる耐久性をもたら
せ構造とする。

更に本考案をその実施態様の一例を示す装置の図面につ
いて説明する。

第１図は実施例の連続出銑装置の取付断面概略図であっ
て、高炉１の湯溜部２には通常複数個の出銑孔３が設け
られているが、本考案ではそれぞれの出銑口３に溶銑上
昇管４を連通させ、作業床に設けられた出銑樋１１の上
に開口させて、炉内湯溜部の溶銑を出銑樋まで誘導する
ものである。

溶銑上昇管４は耐熱性および耐摩耗性に優れた耐火材で
作られており、その形状は炉外において立ち上り逆Ｕ字
状をなして出銑樋１１の上に達して、下方に向って開口
するように底形されている。

この溶銑上昇管４の高炉側の下部および出銑樋側の下端
部にはそれぞれ後述するような構成の仕切弁５および６
が設けられている。

また溶銑上昇管４の最上部には加圧用のノズル７が設け
られている。

上記本考案の装置において、仕切弁５，６を開にし加圧
用ノズル７を閉にした状態で、炉内湯溜部の溶銑は連続
して出銑樋１１へ出銑される。

次に出銑中の出銑流を短時間停止するか、または比較的
長時間にわたって出銑を停止する必要が生じた場合には
下記のような処置が講ぜられる。

例えば出銑樋１１の補修などで出銑を短時間停止したい
場合は、仕切弁６を閉じることで停止することが出来る
。

また休風、出銑樋交換などで比較的長時間にわたって出
銑を停止する必要が生じた場合には、溶銑上昇管４の中
の溶銑が管内で凝固しないようにするために、高圧操業
時には仕切弁５を閉じ、出銑流１０が停止した後に仕切
弁６を閉じて、加圧用ノズル７から不活性ガスを封入し
、仕切弁５を開にしても溶銑が上昇して来ないようにバ
ランスした圧力にした後、仕切弁５を開にして溶銑レベ
ルを仕切弁５以下、好まじくは仕切弁５に溶銑が接しな
い位置となるように保持しておけば、溶銑上昇管４内に
は溶銑が存在しないので凝固の懸念がない。

溶銑上昇管４が損耗して交換が必要となった場合には、
前記の方法により溶銑レベルを仕切弁５以下の位置に保
持し、仕切弁５を閉にして、仕切弁５と溶銑上昇管４の
フランジを切り離し、新しい溶銑上昇管と交換できる。

さらに仕切弁５が損耗して交換が必要となった場合は、
休風をして仕切弁５よりも炉体側に設けられている溶銑
排出口９を開にして溶銑を排出し、溶銑を出し溶銑が仕
切弁５以下になったところで溶銑排出口９から耐火材を
圧入固化して出銑口３を閉鎖した後、溶銑上昇管４およ
び仕切弁５を取り外し、新しい仕切弁と交換する。

交換完了後、仕切弁５を開の状態で、溶銑上昇管４に設
けられている出銑開口孔８から開孔機により出銑口３を
開孔する。

次に開口完了後、出銑開口孔８を耐火材で閉塞する。

これで送風を開始すれば溶銑が再び連続的に出銑される
。

第２図は仕切弁５，６の断面概略図である。

仕切弁５および６は出銑口３と溶銑上昇管４にそれぞれ
フランジ１２によって取付けられている。

また仕切弁は仕切弁のフランジ１５によって挟み込まれ
た摩擦抵抗の小さい耐火物１４の間に、同様に摩擦抵抗
の小さい耐火物によって形成されたスライディングプレ
ート１３がボルト等で一定の圧力で締めつけられている
。

スライディングプレート１３を油圧シリンダー１６によ
って押し下げよことにより、スライディングプレートの
孔のない部分が溶銑流路１７を閉鎖するようになってい
る。

スライディングプレート１３が上下する際に、耐火物１
４がこれに追随して上下動しないように、凸部を設けて
はめ込まれ固着されている。

一般に高炉の連続出銑操業には、炉内で生産された溶銑
および溶滓を連続的かつ定常時に排出することが出来、
実質上連続的に行なわれる原料装入に対して、高炉内の
諸条態、諸条件が一定に保持されることにより炉況の安
定、生産性の向上等の利点があり、さらに連続的に出銑
・出滓をすることにより樋材の原単位の低減、作業およ
び設備の省力化、環境の改善、作業員の安全等の利点が
挙げることが出来る。

本考案は上記のように多くの点で優れた高炉の連続出銑
操業における従来の連続出銑作業の不都合な問題点を解
決して、確実容易に連続出銑を行なうことが出来る装置
を提供したものであった、連続出銑操業の貢献するとこ
ろ頗る大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の断面概略図、第２図は仕切弁の
断面図である。 １・・・・・・高炉、２・・・・・・湯溜り部、３・・
・・・・出銑孔、４・・・・・・溶銑上昇管、５，６・
・・・・・仕切弁、７・・・・・・ノズル、８・・・・
・・出銑開孔口、９・・・・・・溶銑排出口、１０・・
・・・・出銑流、１１・・・・・・出銑樋、１２・・・
・・・フランジ、１３・・・・・・スライディングプレ
ート、１４・・・・・・耐火物、１５・・・・・・仕切
弁フランジ、１６・・・・・・油圧シリンダ、１７・・
・・・・溶銑流路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高炉の湯溜り部に設けられた複数の出銑口からの連結出
   銑において、各出銑口にはそれぞれ連通した溶銑上昇管
   が設置され、該溶銑上昇管は炉外で立ち上りかつ折り返
   して下方に曲げられた逆Ｕ字状をなして出銑樋に向って
   上方から仕切弁を備えて開口し、他方上記溶銑上昇管下
   部の出銑口側にも仕切弁が設置されており、該下部仕切
   弁の一方の出銑口側には溶銑排出口がまた他方の溶銑上
   昇管には出銑孔に貫通する出銑開口孔がそれぞれ設けら
   れ、前記溶銑上昇管の逆Ｕ字状の湾曲部の最上部には加
   圧用ノズルが設置されてなる高炉の連続出銑装置。