JPS6021500Y2 - 車輌における燃料溜の圧力調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車輌における燃料溜の圧力調整装置に関する
ものである。

車輌の燃料溜より蒸発燃料回収装置に至る通路中に車輌
の傾斜及び転倒等の運転姿勢により前記通路を遮断し、
燃料溜からの燃料の流出を阻止する装置は周知である。

この従来装置において、前記通路を遮断するための弁装
置と車輌の運転姿勢を感知するための重錘とが一体化さ
れたものにあっては、特に、二輪車等の振動条件の厳し
い車輌においては前記弁装置の弁及び弁座部に強い衝撃
力が加わるため、シール性能を低下させる上に、前記重
錘においては作動し易い様に弁装置中に設けられている
ため、車輌の振動等により弁装置の側壁、土壁、下壁及
び弁装置の構成部品等に強い力で衝突するため、弁装置
本体の耐久性や衝突音の発生に問題がみられた。

更に傾斜、転倒状態で長期問屋外に放置されていると燃
料溜が太陽熱を受けて内圧が上昇し燃料溜が変形又は破
損する場合がみられたため、前記弁装置の他に正圧の安
全弁と負圧の安全弁が設けられている。

これは弁装置の構造を複雑にすると同時に、コスト高に
なった。

更に、前記弁装置と重錘とが一体化されているため、重
錘の上下運動により重錘の側壁摩耗等の原因で弁座中心
軸に対する弁中心軸が長期間の使用状態で同一軸上に安
定することができなくなり、弁座に弁が着座されても充
分に気密性を保持することができなくなる等の問題があ
った。

この考案は前記問題点を解消し、弁装置の耐久性を著し
く向上するためのものである。

次に図面に示すこの考案の実施例について説明する。

第１図は車輌の燃料溜から蒸発燃料回収器（キャニスタ
）へ蒸発燃料を吸着、脱離させる系統図で１は燃料タン
ク、２は蒸発燃料の入口通路、３は燃料流出制御装置、
４は出口通路、５は蒸発燃料回収器、６は気化器、７は
吸気通路を示す。

第２図は圧力調整弁を備えた燃料流出制御装置３を示す
もので、８はケースで、その上部に入口通路２を設け、
下部に出口通路４が設けられている。

９は重錘でケース８内に上下に摺動可能に備えられてお
り、その上部に上記入口通路２を開閉するための弁体１
０が形成されている。

弁体１０は弁ばね２６、弁押棒２５を介して重錘９と接
しており、重錘９の上下運動に伴ない、ケース８の入口
通路２側に設けた弁座１４に着座、離脱が可能になるよ
う構成されている。

１２は重錘９を上方へ付勢するばねでその付勢力はケー
ス８が垂直状態時においては、重錘９が下降し、ケース
８が所定以上傾斜した場合は、重錘９のばねの伸長方向
に対する分力が減少し、この分力に打ち勝ってばね１２
が伸長し重錘９を上昇させて弁押棒２５、弁ばね２６、
弁体１０を重錘９が押し上げ、これにより、弁体１０が
弁座１４に着座し、入口通路２と出口通路４とが遮断さ
れるように構成されている。

ケース８が所定以上傾斜すると重錘９の上昇は重錘受け
２７により規制されるため、弁押棒２５、弁ばね２６を
介して弁体１０に作用する力は一定荷重以上、作用しな
いよう制限される。

重錘９が重錘受け２７に接触した時重錘９により通路が
遮断されないよう、重錘受け２７には通路２８が設けら
れている。

ケース８が所定以上傾斜し、弁体１０が弁座１４に着座
した状態で所定以上の正圧力が作用した時には、その圧
力が弁体１０を押している弁ばね２６の力に打ち勝って
作用し、弁体１０が弁座１４より離れ、入口通路２と出
口通路４とが連通できる作用をもっている。

第３図は第２図の燃料流出制御装置が所定以上傾斜し、
弁体１０が弁座１４に着座され、入口通路２と出口通路
４とが遮断された状態を示している。

第４図は他の実施例を示すもので、第２図の変形例であ
り、変形箇所のみ説明する。

ケース８の上部に設けた入口通路２は弁体１０が作用す
る通路で出口通路４と連通されている他に、出口通路４
から入口通路２のみ流れを可能にする負圧用通路１９で
も連通されている。

負圧用通路１９には負圧弁座２０、負圧弁体２１、ばね
２２が設けられ逆止弁を構成している。

第５図は他の実施例を示すもので、第２図の変形例であ
り、変形箇所のみ説明する。

ケース８より出口通路４に至る通路中に、入口通路２側
から出口通路４側への流れのみ可能にする正圧用通路１
８が形成されており、正圧弁座１７、正圧弁体１５、ば
ね１６により逆止弁を構成している。

第６図は他の実施例を示すもので、第２図の変形例であ
り、変形箇所のみ説明する。

第２図では重錘９の移動により弁押棒２５を介して弁ば
ね２６、弁体１０を押し上げているが、第６図では弁押
棒２５を介さす弁ばね２６′、弁体１０′を押し上げて
いる点と弁体１０′を下側へ押し下げる方向にばね２９
が構成されている点が異なる。

第７図は他の実施例を示すもので、第２図の変形例であ
り、変形箇所のみ説明する。

構成は第２図と全く同じであるが、第２図ではケース８
が垂直状態の時においては入口通路２と出口通路４は連
通状態にあり、所定以上傾斜した場合に弁体１０が弁座
１４に着座し前記通路は遮断されるのに比較して第７図
では、ケース８が垂直状態の時においてあらかじめ弁体
１０が弁座１４に着座しており、入口通路２側に所定の
正圧力以上が作用した場合には、ばね２６を押圧して弁
体１０が弁座１４より離れ入口通路２と出口通路４が連
通状態になり、所定以上傾斜した場合には弁体１０の弁
座１４を押す力が増加して通路４を閉じ、入口通路２側
に前記以上の正圧力が作用した時には入口通路２と出口
通路４が連通状態になる点が異なる。

以上のようであるから、第２図に示す実施例のものにあ
っては、車輌が所定以上傾斜した場合には、重錘９が上
方向へ移動し弁押棒２５を押し上げて、弁体１０が弁座
１４に着座し、入口通路２と出口通路４とが遮断される
ため、入口通路２側に液体燃料が侵入してきても弁体１
０により出口通路４へは侵入しない。

その状態で入口通路２側が所定の正圧力以上に上昇する
と、その圧力が弁体１０を押し上げている弁ばね２６の
力に打ち勝って作用し、弁体１０が弁座１４より離れ入
口通路２と出口通路４が連通されるため、燃料タンク御
装置１等の変形、破損等を防止する。

又、車輌が運転状態にあっては振動等により重錘９が上
下運動をして重錘受け２７に衝突するが重錘９に設けた
弾性体２４により、衝突音が減少されると同時に、重錘
９のケース８への衝突力が緩和される。

又、重錘９の運動により弁体１０に作用する力は弁座１
４へのシールに必要な力以外は重錘受け２７で受けとめ
てしまうため、弁体１０には必要以上の力は作用しない
。

弁体１０の作動は重錘９の運動とは分離されており、弁
座１４に対して精度よく構成されたケース８に設けた弁
体１０の摺動部分にそって作動するため、弁体１０と弁
座１４との弁作用は確実に行なわれる。

又、第４図に示す実施例のものにあってはケース８の傾
斜に伴ない入口通路２と出口通路４とが遮断された状態
で入口通路２側が所定の負圧力以上になると、その圧力
により、負圧弁体２１を押しているばね２２の力に打ち
勝って、負圧蔽体２１が負圧弁座２０より離れ、入口通
路２と出口通路４が連通ずるため、燃料タンク１等の変
形、破損を防止する。

又、第５図に示す実施例のものにあっては、ケース８が
垂直状態の時においても正圧弁体１５が正圧弁座１７に
着座され閉弁状態であるため、入口通路２側と出口通路
４側が遮断されている。

正圧弁体１５は所定の開弁圧に設定されており、燃料タ
ンク１内で発生した蒸発燃料を規定の圧力になるまでは
燃料タンク１内に停滞させ、蒸発燃料による蒸発燃料回
収装置５の負荷を小さくしている。

第６図の実施例においては重錘９の運動により弁体１０
′に作用する力をばね２９により一段と弱くさせて、弁
体１０′や弁座１４′の摩耗及び変形を防止させている
。

第７図の実施例では第５図の実施例の作用と全く同一で
あり、正圧弁通路１８、正圧弁体１５、正圧弁座１７、
ばね１６を省略させて、重錘９上に設けた弁体１０、弁
ばね２６、弁押棒２５により前記正圧弁作用をもたせた
ものである。

以上のようであるから、この考案にあっては、車輌の傾
斜時に、重錘の運動により燃料溜からの燃料の流出を防
止するために蒸発燃料通路を遮断するようにしたものに
おいても、タンク内の圧力が増加した場合にはその圧力
を適正に調整するので、燃料溜の爆発等の危険性を防止
できる。

しかも流出した燃料は弁１０を押圧開口して蒸発燃料回
収器側へ放出されるので、単に大気中に放出する従来の
ものに比較して大気汚染、火災の危険性もない。

更に二輪車等の振動条件の厳しい車輌においても弁装置
の弁及び弁座に作用する衝撃力が緩和できるため、弁装
置の耐久性能を著しく向上できる。

更に重錘の上下動により発生する衝突音を弾性体により
、低下又は消去することが可能になったため、騒音防止
及び弁装置の耐久性能向上が可能となった。

更に弁１０を常態において、弁座１４に当接するように
設定することにより、正圧安全弁の機能を重錘の作用に
より弁作用する弁構成体に兼ね備えることとなり、弁装
置の構造が簡単になり、コストダウンが可能となり、弁
装置の小型化が可能となる。

更に、弁体１０と重錘９とを分離したことにより、初期
組付時は勿論、特に重錘の振動により、重錘の側壁が摩
耗し、重錘の中心が変位した場合でも弁体１０中心軸と
弁座１４の中心軸とが同一軸上に安定することが可能と
なり、弁座に弁体が常時正確に着座し、弁部気密性が保
持される。

このことにより燃料溜からの燃料流出を確実に阻止する
ことが可能となる。

更に、第２図、第４図、第５図、第７図の各実施例にお
いて、ケース８の上側に設けた入口通路２を蒸発燃料回
収装置５、またケース８下側に設けた出口通路４を燃料
溜１へ連通するように変更することにより車輌の傾斜時
に重錘の運動により燃料溜からの燃料の流出を防止する
ために蒸発燃料通路を遮断することができるは勿論、タ
ンク内の圧力が減少した場合（燃料の消費や冷却によっ
てタンク内が負圧になる現象）にはその圧力を適正に調
整でき、負圧による燃料溜の変形及び破損が防止できる
など実用上有効なものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は蒸発燃料制御装
置の概念図、第２図は本考案に係る燃料溜の燃料流出制
御装置の縦断面図、第３図は傾斜状態を示す縦断面図、
第４図乃至第７図は他の実施例を示す夫々縦断面図であ
る。 １・・燃料タンク、２・・蒸発燃料の入口通路、３・・
燃料流出制御装置、４・・出口通路、５・・蒸発燃料回
収器、６・・気化器、７・・吸気通路、８・・ケース、
９・・重錘、１０・・弁体、１２・・ばね、１４・・弁
座、２４・・弾性体、２５・・弁押棒、２６，２６’・
・重錘受け、２８・・通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料溜に通ずる入口と蒸発燃料回収器に通ずる出口を有
   腰この入口と出口とを結ぶ通路中に車輌の姿勢が所定以
   上の角度に傾斜した場合に移動する重錘と重錘の移動に
   より前記通路を遮断するように作動する弁体を有するも
   のにおいて、前記重錘９と弁体１０とを分離構成して、
   重錘９を、ケース内に上下自在に設けてばね１２で支承
   し、弁体１０を閉方向の付勢力を有する弁ばね２６で支
   承して、重錘の移動により弁体が閉方向に押動されるよ
   うに両者を前記弁ばね２６を介して係合させ、且つ重錘
   ９の傾斜時の移動量を規制する重錘受け２７を設けると
   共に弁体１０の通路閉塞方向を、前記入口通路側が所定
   の正圧力以上に上昇することにより開弁可能にした車輌
   における燃料溜の圧力調整装置。