JPS6018915Y2 - 凹凸模様を施した植毛発泡体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、立体感に富み、凹部と凸部が互いに異色の又
は同色で濃淡差のある鮮明な凹凸模様を、高周波ウエル
ダーエンボスによって表面に施した植毛発泡体に関する
。

近年、天然皮革のバックスキンを模倣したスェード調の
人工皮革、或はそのような人工皮革に風合、外観を似せ
た植毛体が衣料用、家具用、壁装材用等の種々の用途に
賞月されるようになり、後者の植毛発泡体に属するもの
として、プラスチック或はゴム等の軟質発泡体基材に対
しレーヨン或はナイロンパイルに代表される脅威繊維を
植毛し、該発泡体基材の柔軟性とパイルの感触を相乗さ
せて良好な風合を与えるようにした種々の軟質植毛発泡
体が開発されている。

ところで、一般にエンボス体を得る場合には、加熱ロー
ルや加熱プレスを使用するよりも、低温下に短時間で複
雑な模様をエンボスできる高周波ウエルダーを使用する
方が、加工上有利であるが、従来から植毛発泡体基材と
して多用されているゴム発泡体やプラスチック発泡体は
その殆んどのものが高周波ウエルダーエンボス処理の困
難なものであり、例え植毛発泡体基材が処理可能なもの
であっても、該基材に植毛されているパイル自体が非溶
融性のレーヨンパイルや高敵侭のナイロンパイルの如き
高周波ウェルダーエンボス処理の困難な素材であるため
、高周波ウェルダーエンボスにて凹凸模様を施した植毛
発泡体は、第１図に示すように凹部１１１も凸部１１２
もパイル１゜２が一様に植立したままであり、従って立
体感に乏しい輪郭の不鮮明な凹凸模様した形成されず、
満足しうる商品価値の高い製品とはなり得なかった。

しかも従来の植毛発泡体は、高周波ウェルダーによって
、エンボスと同時に凹部１１１及び凸部１１２を相異な
る色に色付けできるものではなく、従って凹部１１１と
凸部１１２とを色分けした商品価値のより一層高い美麗
な凹凸模様入り植単発泡体を得ようとすれば、別途プリ
ント手法等によらざるを得ないと云う不都合もあった。

本考案は斯る事情に鑑みてなされたものであって、加工
上有利な高周波ウエルダーにより、エンボスと色分け（
色変え）又は色の濃淡付けとを同時に行なえるように図
り、凹部と凸部が互いに異色の又は同色で色の濃淡差の
ある鮮明で立体感に富んな′凹凸模様を表面に施し、且
つ風合の点でも充分満足し得る有用な凹凸模様入り植毛
発泡体を提供せんとするものである。

以下、図面を参照しながら本考案を詳細に説明する。

即ち、本考案は第２図に例示の如き段差の大きい花柄格
子状の凹凸模様を初め、その他の所望の凹凸模様を高周
波ウエルダーエンボス処理によって表面に施した植毛発
泡体であって、凹部１１と凸部１２とが、後で詳述する
ように、互いに異なる色を呈するか或は同色で濃淡差を
有しており、模様の輪郭が極めて明瞭に表われた美麗な
凹凸模様入り植毛発泡体である。

このような本考案凹凸模様入り植毛発泡体は、第３図イ
或は第４図イに模式的に例示の如き無模様の植毛発泡体
素材を、所望の模様が刻設された金型を具備する高周波
ウエルダーに間欠的に供給し、該金型を表面の植毛層の
上から圧接して、エン永ス処理と色付け（色変え）処理
又は色の濃淡付は処理とを同時に行なうことによって得
られる。

第３図イに例示の素材は、高周波ウエルダーにてエンボ
スし得る軟質発泡体の基材１に対し、高周波ウエルダー
にて軟化溶融し得る長パイル２１及び之と異色の短パイ
ル２２よりなる混合パイル２を、植毛用接着剤３を介し
て植毛してものであって、短パイル２２が長パイル２１
によって実質的に隠ペイされて視覚に入らないため、植
毛層全体は実質的に長パイル２１が有する単色を呈して
いる。

斯る素材に高周波ウエルダーエンボスを行なうと、基材
１及び混合パイル２が共に内部発熱し、第３図口に示す
如く、金型Ａの圧接された部分は、発泡体基材１の気泡
膜同志の部分的な融着によっである程度気泡が壊れた状
態の凹部１１が形成されると共に、混合パイル２が軟化
溶融して横倒れ状態となり、相互に半融着ないし融着す
る。

このように凹部１１の混合パイル２が横倒れ状態となる
と、それまで視覚に入らなかった短パイル２２が長パイ
ル２１の間に露出するため、この凹部１１の植毛層は長
パイル２１の色と短パイル２２の色とが混り合った比較
的長パイル２１の色に近い混色を呈するものとなる。

これに対し、金型Ａの圧接されなかった凸部１２は、混
合パイル２が内部発熱によっである程度軟化溶融すると
は云うものの、依然として植立したままであるので、エ
ンボス処理前の植毛層の色、即ち実質的に長パイル２１
のみの単色を呈している。

この実施例のように、高周波ウエルダーによって、エン
ボス処理と凹部１１の色付け（色変え）処理を同時に行
なって得られる凹凸模様入り植毛発泡体は、凸部１２の
浮模様部分が長パイル２１のみの単色を呈し、凹部１１
の模様地部分が長短両パイル２１及び２２の混色を呈し
て、両者が境界線に沿ってズレを生じることなく色分け
されるので、模様輪郭の明瞭な二色の凹凸模様を具備し
たものとなる。

尚、パイル２１及び２２は、いずれも単一色のものに限
定されることはなく、色調整のために異色パイルを数種
混合して使用することも勿論可能である。

第４図イに例示の植毛発泡体素材は、短パイル２２とし
て、長パイル２１と同色のものを使用した以外は、既述
第３図イの素材と同様に構成したものであり、従って表
面の植毛層は当然長短両パイル２１及び２２の共通色を
呈している。

斯る素材に高周波ウエルダーエンボスを行なうと、第４
図口に示すように、凹部１１のパイル２１及び２２が共
に横倒れ状態となって相互に半融着ないし融着するのに
対し、凸部１２のパイル２１及び２２は植立状態を維持
するものとなる。

このため、パイル２１及び２２の植立した凸部１２は、
エンボス処理前と同様の毛羽立った比較的淡い色調を呈
しているが、パイル２１及び２２の横倒れしている凹部
１１は、該横倒れによってパイル密度が大きくなるため
濃色を呈しており、而して凹部１１及び凸部１２が境界
線に沿ってズレを生じることなく濃淡付けされた模様輪
郭線の明瞭な深みのある凹凸模様を具備したものとなる
。

叙述の本考案凹凸模様入り植毛発泡体の具体例としては
、後記第１表に例示の如き基材１、混合パイル２及び植
毛用接着剤３を使用し、従来公知の植毛法を応用して例
えば基材１に対し接着剤３をドクターナイフ等により乾
燥重量にして約５０〜２００ ｆ ／ｄの割合で塗布し
、約３万ボルト以上の高電圧下に混合パイル２をアップ
或はダウン法で静電植毛し、約８０〜１１０’Ｃで数分
間予備乾燥後、約１１０〜１４０’Ｃで２〜ｍ分間分間
キーキング無模様の植毛発泡体素材を得、之を高周波ウ
エルダーに間欠供給して、電波管理法認定周波数の下に
、エンボスすべき凹部１１の面積に応じて出力ｌ〜ｔｏ
ｏＫｗの範囲で１、数秒程度（長くとも数十秒程度）エ
ンボス処理することによって得られる、凹部１１及び凸
部１２が互いに異色の又は同色で濃淡差のある鮮明な凹
凸模様を表面に備えた植毛発泡体が挙げられる。

これらはいずれも連続シート状発泡体基材１を用いた連
続シート状製品であるので、インテリア、エフステリア
等の長尺製品の要求される用途に好適なものであり、亦
、小物類、衣料等の用途に用いる場合でも、裁断時の無
駄が少なく歩留りが良くなるので有利である。

このうち、殊に基材１として後記第１表のｌ。

２−ポリブタジェン樹脂又は之を一威分とするポリマー
ブレンド物の発泡体を選択使用し、且つ混合パイル２の
長パイル２１として長さが０．５〜１．３閣程度及び太
さが０．８〜３．０デニ一ル程度のものを選択使用して
得られる凹凸模様入り植毛発泡体は、該基材の物性が優
れているため柔軟性、伸縮性、クッション性が極めてて
良好であり、しかも長パイル２１か細くて適度の長さを
有しているため風合の点で該基材１との適合度が大きく
極めて優れた感触を有するものとなる。

亦、混合パイル２として用いるモダクリリックファイバ
ーのうち、特にアクリロニトリル３５〜８５％と塩化ビ
ニル６５〜１５％ととからなるものを使用した場合は、
それが高周波電磁場内でのの内部発熱の大きい低軟化点
ファイバー（１５０℃前後）であって、高周波ウエルダ
ーエンボス処理効率がすこぶる良好なものであるため、
凹部１１に於ける該パイル２１はほぼ完全に横倒れ状態
となって半融着ないし融着し、従って第４図の実施例の
ように同色で濃淡差のある凹凸模様を形成するときには
凹部と凸部の濃淡差がより一層明瞭となり、亦第３図の
実施例のように色分けした凹凸模様を形成するときには
凹部における長短両パイルの混色効果がより一層顕著に
表われる利点がある。

しかも断る特定成分のモダクリリックファイバ↓製パイ
ルは、難燃性の点で極めて優れたものであり、従ってこ
のような難燃性バイルが植毛された凹凸模様入り植毛発
泡体は、難燃性の要求される種々の用途に好適に使用で
きる利点もある。

第１表 基材１ （ａ）１．２−ポリブタジェン樹脂（１゜２−結合が７
０％以上、介子量１０ 万以上、結晶化１度が１０〜５０％で、 ２０％以上のシンジオタクチック立 体規則性を備えたもの）、もしくは 該樹脂とビニル共重合樹脂、オレフ ィン系樹脂等とのブレンド物より製 される連続シート状発泡体咋さ １０．８〜３．０闘程度） （ｂ軟質塩化ビニル樹脂もしくは該樹脂 を主成分とするポリマーブレンド物 より製される連続シート状発泡体 （厚さ向上） 混合パイ アクリロニトリルを３５〜８５多の範 ル２ 囲で含む長鎖重合体（望ましくはア クリロニトリル３５〜８５％と塩化 ビニル６５〜１５％からなるもの）よりなるモダクリリ
ックファイバー製の長パイ１ル２１と同ファイバー製の
短パイル ２２との混合パイル 植毛周接 反応型ポリアクリル酸エステル系の工 着削３ マルジ、ヨン型接着剤 以上の説明から理解できるように、本考案植毛発泡体は
、高周波ウエルダーにて軟化溶融し得る長パイル２１及
び之と異色又は同色の短パイル２２よりなる混合パイル
２を、高周波ウエルダーエンボス可能な軟質発泡体基材
１に植毛した無模様の軟質植毛発泡体素材を用いて、之
を高周波ウエルダーにてエンボス処理と同時に色分け（
色変え）又は濃淡性は処理を行なうことによって、凸部
１２の浮模様部分と凹部１１の模様地部分とが境界線に
沿ってズレを生じることなく色分けされ、或は同色で濃
淡分けされた鮮明で立体感に富む凹凸模様を表面に施し
得たものであり、従来品のように別途プリント手法等に
よって色付けしなければならない面倒さ、或は輪郭のぼ
やけた凹凸模様しか形成できない欠点等を一挙に解決し
得るものである。

しかも本考案凹凸模様入り植毛発泡シートは、前記具体
例のところで述べたように、基材１及び混合バイル２の
選択如何によって極めて良好な風合、或は難燃性を具備
するものとなり、亦連続シート状製品であるから長尺物
の要求されるインテリア、エフステリア等の用途に好適
で且つ小物類、衣料等の用途にも高歩留りの点で有利に
用いられる。

更に本考案植毛発泡体は、凹凸模様の形成ち、色付け（
色変え）又は濃淡付けとを、高周波ウエルダーエンボス
によって同時に行なうものであるから、別途色付は工程
或は濃淡付は工程が全く不要であって製法的に有利であ
り、且つ細い図柄模様でも鮮明に形成できる利点がある
。

尚、本明細書に云う１凹凸模様ヨとは、単なる幾何的な
或は無定形の模様のみを意味するものではなく、広く図
形、図柄、文字、記号等をも包含する概念であり、赤本
考案植毛発泡体は図例のものに限定されることなく、適
宜基布等を裏打ちしたものなど、本考案の要旨を逸脱し
ない範囲で種々の変更を許容し得るものであることは云
うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の凹凸模様入り植毛発泡体の拡大模式断面
図、第２図は本考案凹凸模様入り植毛発泡体の一実施例
を示す斜視図、第３図イは本考案に用いる植毛発泡体素
材の一例を示す拡大模式断面図、第３図口は同素材から
得られる本考案凹凸模様入り植毛発泡体の拡大模式断面
図、第４図イは植毛発泡体素材のもう一つの例を示す拡
大模式断面図、第４図口は同素材から得られる本考案凹
凸模様入り植毛発泡体の拡大模式断面図である。 図面の主要符号の説明、１・・開基材、１１・・曲回部
、１２・・・・・・凸部、２・・曲混合パイル、２１・
・・・・・長パイル、２２・・・・・・短パイル、３・
曲・植毛用接着剤、Ａ・・・・・・金型。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高周波ウエルダーにてエンボスし得る軟質発泡体よりな
   る基材１に、高周波ウエルダーにて軟化溶融し得る長パ
   イル２１及びこれと異色又は同色の短パイル２２よりな
   る混合パイル２を植毛した植毛発泡体素材を、高周波ウ
   エルダーにてエンボスし、表面に上記基材１の厚み内部
   に達する段差のある凹凸模様を施すと共に、該凹凸模様
   のうち凹部１１の上記パイル２を横倒れ状態とすること
   によって、凹部１１と凸部１２とが互いに異色の又は同
   色の濃淡差のある凹凸模様を表面に現出せしめて成るこ
   とを特徴とする凹凸模様を施した植毛発泡体。