JPS6018669Y2 - ベンチレ−テツドデイスクのバランスピ−ス - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はディスクブレーキ用ベンチレーテッドディスク
のベント内に挿入固定されて、ディスク□回転バランス
を改善するバランスピースに関するものである。

ベンチレーテッドディスクは、ディスク外周部の両摩擦
面間にほぼ半径方向のベントを多数形成し、ディスクの
回転に伴って生ずるベント内の空気の流れを利用して、
ディスクの放熱性能を向上させるものであるが、この多
数のベントの存在のために回転バランス（動バランス）
がくずれ易い。

従ってこの種のディスクにおいては従来からベント内に
バランスピースを挿入固定して回転バランスを改善する
ことが行なわれていた。

実公昭５３−３３１０４号に開示されたバランスピース
はこの種のバランスピースの中で、取付作業の容易さの
点においても、またバランスピースの抜は止めの確実さ
の点においても非常に優れたものである。

このバランスピースは第８図及び第９図に示すように、
バランスピースを取付けるべきベント３１のディスク外
周側の部分に対角線方向に傾けて固く嵌合される幅広部
３２と、前記ベントのディスク中心側開口から突出して
その突出端を捻られることにより、突出端部に形成され
た傾斜側縁３３によって前記内周側開口の周縁３４に係
合シてバランスピースのディスク外周側への移動を阻止
する頭部３５とを備えたものである。

ベント３１はディスク外周側程横断面積が増大するよう
に形成されるのが普通であるため、前述のようにベント
３１のディスク外周側の部分に固く嵌合された幅広部３
２はそれ以上ディスク内周側へ移動することがなく、一
方ディスク外周側への移動は前述のように頭部３５によ
って阻止されるため、バランスピースはベント３１内に
おける位置を固定されることとなる。

実公昭５３−３３１０４に開示されたバランスピースは
以上のように理論通り取付けられる場合には非常に優れ
たものであるが、実際には理論通り取付けられることが
困難であり、バランスピースの固定が不十分となって、
ラドリング（ガタッキ）による異音が発生し易い欠点が
あった。

すなわち幅広部３２はテーバ礼状のベント３１に嵌合さ
れるため、頭部３５が捻られる際にディスク外周側へ抜
は出易く、幅広部３２とベント内面との間に遊隙が生じ
てラドリング発生の原因となるのである。

またベント３１の寸法誤差によって頭部３５の傾斜側縁
３３がベント開口周縁に係合した状態で幅広部３２がベ
ント３１に固く嵌合されない事態が発生し易く、これも
ラドリング発生の原因となる。

本考案は実公昭５３−３３１０４に開示されたバランス
ピースの上記のような欠点を解消し、取付作業が容易で
、抜は止めが確実であり、しかもラドリングによる異音
発生の恐れもないバランスピースを提供することを目的
としてなされたものである。

本考案に係るバランスピースは、ディスクブレーキ用デ
ィスクに該ディスクの外周側に向うに従って該ディスク
の周方向の幅が増大する形態で猛威されるとともに横断
面形状が幅方向に長くかつ四隅が円弧状に丸められた丸
味部付きの短形をなすベントに挿入固定されるものであ
る。

このバランスピースは、前記ディスクの外周側から前記
ベントに該ベントの幅方向に平行に所定の深さまで挿入
された時両側縁部が上記短形の互いに平行な二長辺のう
ちの一方め長辺の両端部に猛威された二つの丸味部に接
触する幅広部と、該幅広部の近傍において該ディスクの
外周側に向うに従って突出量が増大する形態で猛威され
、先端縁において前記ベントの互いに平行な二長辺のう
ちの他方の長辺を形成する側の内面に接触して前記幅広
部が前記丸味部から離れることを防止する少なくとも一
個の切り曲げ部と、該バランスピースが前記所定の深さ
はまで挿入された時前記ベントのディスク内周側開口か
ら突出し、突出後該内周側開口の周縁に係合させられて
該バランスピースのディスク外周側への抜は出しを阻止
する抜は止め部とを一体に備えて製作される。

以下実施例を示す図面に基いて詳細に説明する。

第１図及び第２図に取付前のバランスピース１を示す。

バランスピース１は一端部から他端部に向って幅が減少
するテーパ形状を有する板体であって、幅の広い側の端
部には他より一段と幅の広い幅広部２を備え、幅の狭い
側の端部の近傍には特に幅の狭められた首部３とその先
に猛威されたやや幅広の頭部４とを備えている。

また前記幅広部２の近傍には切り曲げ部５が猛威されて
いる。

切り曲げ部５はバランスピース１の幅広部２の近傍に幅
の狭い側の端部に向って開いたコの字形の切り込みを入
れるとともにこの切り込みに囲まれた部分をバランスピ
ース１の幅の広い側の端部に向うに従って幅広部２から
の突出量が増すように曲げ起こして猛威されたものであ
る。

この切り曲げ部５の根元の幅ｆは、後述する目的のため
に、残りの枠部６の根元の幅ｅの和２ｅより大きく選定
されている。

上記バランスピース１がディスク７に取付けられた状態
を第３図ないし第６図に示す。

ディスク７は第４図に二点鎖線で示すようにブレーキパ
ッド２１．２２を摺接させられる摩擦面９，１０の間に
半径方向のリブ１１によって区切られた多数のベント１
２を有している。

ベント１２はディスク７の中心側から外周側に向うに従
ってそのディスクの周方向の幅が増大する横断面形状が
短形のテーパ孔であって、その短形の四隅が第５図に最
も明瞭に示されているように円弧状に丸められて、丸味
部（デー１９部）１３が猛威されている。

バランスピース１はディスク７の外周側から頭部４を先
にしてベント１２に挿入される。

バランスピース１の幅広部２の幅は、第３図及び第５図
から明らかなように、バランスピース１ カ所定（７）
深さく例えば第４図に示すように幅の広い側の端面がリ
ブ１１のディスク外周側の端面と一致する位置）まで挿
入された状態でベント１２の幅より僅かに狭くなるよう
に決定されている。

また切り曲げ部５の曲げ起こし高さｈはベント１２の厚
さａより大きくされているため、バランスピース１がベ
ント１２に挿入される時は切り曲げ部５がベント１２の
周壁１４と干渉する。

従ってバランスピース１は打撃を与えてベント１２内に
打ち込まれるのであるが、前述のように切り曲げ部５の
根元の幅ｆは二個の枠部６の根元の幅２ｅより太きく選
定されているため、バランスピース１が打ち込まれるに
つれて枠部６の根元が主として湾曲させられ、この結果
頭部４が第７図に示すようにベント１２の周壁１５の延
長部１６から浮き上がり、捻り工具２３を頭部４に係合
させることが容易となる。

バランスピース１の打ち込みにつれて枠部６は塑性変形
しつつ湾曲させられるのであるが、この湾曲は当然弾性
的な復元力をも伴なうものであるから、この復元力によ
って切り曲げ部５のシャープな先端縁がベント１２の凹
凸に富んだ内面１７、すなわちベント１２の前記横断面
形状たる短形の互いに平行な二つの長辺のうちの一方の
長辺を形成する内面に強く押し付けられ、エツジ効果が
生ずることとなる。

従って一旦所定の深さまで打ち込まれたバランスピース
１は、前述のヨウニ頭部４に捻り工具２３をディスクロ
ータ外周側へは抜は出さない。

そして首部３が捻られるにつれて頭部４が周壁１５の延
長部１６に当接し、第４図に示すように首部３には捻り
変形と同時に曲げ変形が加えられて傾斜部１８が形成さ
れ、この傾斜部１８がベント１２のディスク中心側の開
口部周縁１９と係合して、バランスピース１のディスク
外周側への抜は出しを防止する状態となる。

なおこの傾斜部１８と開口部周縁１９との係合によって
、バランスピース１の頭部４側の部分が第４図において
反時計方向へ僅かに回動させられることとなるが、この
回動によって切り曲げ部５の先端縁は一層強く内面１７
に押し付けられることとなる。

またベント１２の厚さａより幅の広い頭部４の肩面２０
は微小な間隙を隔てて開口部周縁１９に対向し、万−傾
斜部１８と開口部周縁１９とが十分に係合させられなか
った場合にも、バランスピース１が遠心力によってディ
スク外周側へ抜は出してしまう最悪の事態が発生するこ
とを防止する役割を果している。

以上のようにしてバランスピース１がベント１２に固定
された状態において、幅広部２はベント１２の幅方向に
平向となるとともに、その両側縁がベント１２の丸味部
１３に接触し、かつ切り曲げ部５の先端縁がベント内面
１７に接触することによって丸味部１３から離れること
が防止されており、ベント１２の長手方向に直角な方向
の移動及びベント１２内における目動を完全に阻止され
ている。

しかもこれら丸味部１３はテーパ孔であるベント１２に
形成されたものであるから、当然ディスク中心側に向う
に従って丸味部１３の間隔が狭くなる。

従ってバランスピース１がディスク中心側へ移動するた
めには、幅広部２は丸味部１３のより間隔の広い部分、
すなわちベント１２の厚さ方向の中心に近い部分に接触
することが必要であるが、これは切り曲げ部５によって
阻止されているため、結局バランスピース１はディスク
中心側へ移動することができないこととなる。

またバランスピース１のディスク外周側への移動は前述
のように傾斜部１８と開口部周縁１９との係合、ならび
に切り曲げ部５の内面１７に対するエツジ効果の両方に
よって防止されているため、バランスピース１はあらゆ
る方向への移動及び回動を阻止された状態でベント１２
内に取付けられたこととなるのである。

本実施例のバランスピース１は以上詳記したように幅広
部２がベント１２の丸味部１３に接触することによって
位置決めされるものであるため、ベント１２の寸法に相
当の誤差が生じた場合でも幅広部２が接触する丸味部１
３上の位置が変るのみで、幅広部２とベント内面との間
に遊隙が生じてラドリング発生の原因となることがない
。

この点実公昭５３−３３１０４に開示された第８図及び
第９図に示したバランスピースにおいては、ベント３１
の対角線寸法とバランスピースの幅広部３２の幅との寸
法誤差がラドリングの発生につながり易いのと対照的で
ある。

なお以上詳記した実施例は文字通り例示であって、本考
案はこれに限定して解釈されるべきものではない。

例えばバランスピースの打込み時に枠部６よりも切り曲
げ部５の方が変形し易い形状にすることも可能であり、
また、枠部６または切り曲げ部５の変形が殆んど弾性的
な復元力を伴なわないような材料でバランスピースを製
作すること、または逆にこれらの変形が殆んど完全な弾
性変形となるように材質及び寸法を選定することも可能
である。

更に切り曲げ部を複数個とする等バランスピース各部の
形状、寸法を適宜変更することも可能である。

本考案に係るバランスピースは以上詳記したように、デ
ィスク外周側からベントに挿入し、ディスフ中心側の開
口から突出した部分を捻り変形および／または曲げ変形
させて開口周縁部に係合させることによって取付は得、
取付作業が極めて簡単である上、ディスク中心側へは勿
論ディスク外周側へも抜は出る危険がなく、シかもベン
ト内におけるバランスピースのラドリングを有効に防止
し得て、異音の発生を殆んど完全に防止し得る優れたも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例における取付前のバランスピ
ースを示す正面図であり、第２図は同じく側面図である
。 第３図ないし第６図は第１図及び第２図に示したバラン
スピースをディスクに取付けた状態を示す図であって、
第３図は要部正面図、第４図は第３図におけるＩＶ−Ｉ
Ｖ断図、第５図は第３図における■−■断面図、第６図
は第３図における■視図である。 第７図は第１図及び第２図に示したバランスピースをデ
ィスクに取付ける作業の途中の状態を示す説明図である
。 第８図は従来のバランスピースの一例を示す断面図、第
９図は第８図における■斜図である。 １：バランスピース、２：幅広部、３：首部、４：頭部
、５：切り曲げ部、６：枠部、７：ディスク、９．１０
：摩擦面、１１：リブ、１２：ベント、１３：丸味部、
１７：ベントの内面、１８：傾斜部（抜は止め部）、１
９：ベントのディスク中心側開口部周縁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ディスクブレーキ用ディスクに該ディスクの外周面に向
   うに従って該ディスクの周方向の幅が増大する形態で形
   成されるとともに横断面形状が幅方向に長くかつ四隅が
   円弧状に丸められた丸味部付きの短形をなすベントに挿
   入固定されて、該ディスクの回転バランスを改善するバ
   ランスピースであって、前記テ゛イスクの外周側から前
   記ベントに該ベントの幅方向に平行に所定の深さまで挿
   入された時両側縁部が前記短形の互いに平行な二長辺の
   うちの一方の長辺の両端部に形成された二つの丸味部に
   それぞれ接触する幅広部と、該幅広部の近傍において前
   記ディスクの外周側に向うに従って突出量が増大する形
   態で形成され、先端縁において前記ベントの前記平行な
   二長辺のうちの他方の長辺を形成する側の内面に接触し
   て前記幅広部が前記丸味部から離れることを防止する少
   なくとも一個の切り曲げ部と、該バランスピースが前記
   所定の深さまで挿入された時前記ベントのディスク中心
   側開口から突出し、突出後該中心側開口の周縁に係合さ
   せられて、該バランスピースのディスク外周側への抜は
   出しを阻止する抜は止め部とを一体に含むことを特徴と
   するベンチレーテッドディスクのバランスピース。