JPS6015242Y2 - インライン式電子銃 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はインライン式電子銃構体に関するものである。

インライン式電子銃は、カラー受像管用電子銃として使
用されているが、その−例の構造を第１図に示す。

同図において、１は陰極部で、これは３個並列配置され
た陰極２と、これら陰極内に挿入されて陰極２を加熱す
るヒータ３とを含む構成とされている。

４は第１グリツド電極、５は第２グリツド電極、６は第
３グリツド電極、７は第４グリツド電極で、この第４グ
リツド電極７と前記第３グリツド電極６とで電子レンズ
を構成している。

８は絶縁ガラスで、これで前記各電極を埋入保持してい
る。

また、前記第１グリツド電極４〜第４グリツド電極７は
それぞれ前記３個の陰極に対応して各３個の電子ビーム
孔（図示せず）を有する一体化電極の構造となっている
。

このような構成からなる電子銃構体は、通常法のような
工程によって組立てられる。

まず、第１グリツド電極４〜第４グリツド電極７および
陰極部１のサポート等を治具により組立てたのち絶縁ガ
ラス８に固定する。

次にスパンセットにおいて第２図に示すように第２グリ
ツド電極５の面を基準として、ノズル９を電極内に挿入
し、高圧エアーを利用して第２グリッド電極５−陰極２
の間隔を規定値に設定したのち、陰極部１の前記サポー
トに陰極２を溶接固定して組立てている。

そして、前述のような構成からなる電子銃構体に用いら
れる第１および第２グリッド電極４，５はその一例を第
３図ａ、 ｂに示すような板状構造のものがある。

この第３図に示す第１および第２グリッド電極４，５は
、それぞれ−列に配列された３個の電子ビーム孔４ａ〜
４ｃ、５ａ〜５ｃを有し、孔４ｂ、５ｂを中央電子ビー
ム孔、孔４ａ、４ｃ、５ａ、５ｃをそれぞれをサイド電
子ビーム孔と呼称している。

ところが、この第３図に示すような一体の板状構造から
なるグリッド電極は、平坦度が悪くそりが発生するとい
う欠点を有しており、そのため電極組立時に各グリッド
電極間間隔を規定値に設定するのが非常に困難である。

すなわち、第１および第２グリッド電極４，５は部品と
して製作された状態では第４図ａ〜ｂにその例を示すよ
うな種々の形状となり、したがって、第４図に模式的に
示した電子銃組立時の治具の一部として用いられるスペ
ーサ１０と前記グリッド電極４，５との関係からみて、
特に第４図ｂ−ｄの電極構造ではスペーサ１０に接する
面が少なくとも一方の電極では中央電子ビーム孔周辺部
のみとなり、両サイド電子ビーム孔の周辺部は浮いた状
態となって電極が斜めとなったりして電極間間隔の設定
に不都合をきたしてしまうという欠点がある。

この欠点の原因となるそりの発生は量産性、価格面を考
慮すると皆無とすることは不可能に近いものである。

このそりの発生は結果的には第２グリッド電極５−陰極
２間間隔の変動をきたし、これは三ビーム間のカットオ
フの調整が不可能となったり、カットオフの変動が生じ
たりして高品質の管球の製作を困難にするという欠点に
つらなるものである。

本考案は、前述のような欠点を解決した優れたインライ
ン式電子銃を提供するものである。

本考案は、そりの発生に伴ない平坦度が保持し難いグリ
ッド電極を用いても良好な特性を得ることのできる電子
銃構体を提供するものである。

本考案は、そりの発生を認めながら、そのそりの方向を
巧みに利用したものであり、以下これを詳細に説明する
。

本考案では、サイド電子ビーム孔を含むその周辺部に対
し中央電子ビーム孔を含むその周辺部を次のような構成
としたものである。

すなわち、第１グリツド電極ではサイド電子ビーム孔を
含むその周辺部を基準と腰中央電子ビーム孔を含むその
周辺部を陰極側へ凸出させる構造とし、一方第２グリッ
ド電極は前記第１グリツド電極とは逆な構造となるよう
にそのサイド電子ビーム孔を含むその周辺部を基準とし
中央電子ビーム孔を含むその周辺部を第３グリツド電極
側へ凸出させる構造としたものである。

これを図面を用いて説明すると、第４図ａに示す構造と
なる。

すなわち、第４図ａにおいて、サイド電子ビーム孔４ａ
、４ｃ。

５ ａ、 ５ ｃを含むその周辺部をスペーサ１０に
接腰中央電子ビーム孔４ｂ、５ｂを含むその周辺部を第
１グリツド電極４では陰極（図示せず）側へ、一方第２
グリッド電極５では第３グリツド電極（図示せず）側へ
それぞれ凸出させたものである。

この場合第１または第２グリツド電極のいずれか一方の
みを凸出させ、他を平坦とすることも考えられるが、前
述の如く平坦な電極を確保することが困難であり、実用
上不可能に近い。

一方、前述した本考案の構造であれば、グリッド電極４
．５はサイド電子ビーム孔を含むその周辺部でスペーサ
１０に接する両端接面となり、電極の傾きなどなく良好
に保持できると共に、該両端接面部はスペーサ１０によ
って電極間間隔が安定に設定できる。

したがって、両サイト電子ビームに関しては同じ特性を
得ることが容易となる。

一方、中央電子ビーム孔を含むその周辺部はスペーサ１
０より離隔して前記両サイド電子ビーム孔間隔より広い
ものとなるが、これは陰極との間隔を適宜設定すること
により、換言すれば第１グリツド電極の両サイド電子ビ
ーム孔と陰極との間隔に比べてその間隔を狭く設定する
ことにより、三ビームの特性を一致させることができる
。

もちろんこの構造では、中央電子ビーム孔と両サイド電
子ビーム孔とでは電極間間隔が異なることから、前述し
たスパンセットではノズル寸法等を適宜設定することに
より容易に組立可能である。

なお、以上の説明は板状一体化電極を対象としたが、カ
ップ状一体化電極においても閉止端面の平坦度は保持し
難＜、シたがってカップ状一体電極も本考案の範晴に含
まれることはもちろんである。

また、本考案は第１図に示す電子銃構造に限定されない
ことももちろんである。

以上のように、本考案によれば電極のそりの発生に伴な
う平坦度の問題を解決でき、電極間間隔の設定を容易と
すると共に、電極の傾きの発生を防止でき、電極間間隔
を規定値に容易に設定できる。

また、前記電極間間隔の変動もなく、したがって三ビー
ム間のカットオフ特性の調整を容易とすると共に、各ビ
ームにおいてもカットオフの変動かないなど優れたもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図はインライン式電子銃の一例を示す正面図、第２
図はスパンセット作業時の第１および第２グリツド電極
付近の拡大図、第３図ａは第１および第２グリツド電極
の例を示す平面図、第３図すは第３図ａのＡ−Ａ線断面
図、第４図ａは本考案を説明するための第１および第２
グリツド電極とスペーサとの関係を模式的に示す断面図
、第４図ｂ−ｄは同じ〈従来の関係を示す断面図である
。 １・・・・・・陰極部、２・・・・・・陰極、４・・・
・・・第１グリツド電極、５・・・・・・第２グリツド
電極、４ａ、４ｃ。 ５ａ、５ｃ・・・・・・サイド電子ビーム孔、４ｂ、５
ｂ・・・・・・中央電子ビーム孔、１０・・・・・・ス
ペーサ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数個の陰極と、この各陰極に隣接して配置された第１
   グリツド電極と、この第１グリツド電極に隣接する第２
   グリツド電極と、さらに第３グリツド電極以降のグリッ
   ド電極とを有する三ビームインライン式電子銃において
   、前記第１および第２グリツド電極はそれぞれ中央電子
   ビーム孔および両サイド電子ビーム孔の３個の電子ビー
   ム孔を一列に配列した一体化電極から構成され、前記第
   １グリツド電極の中央電子ビーム孔を含むその周辺部は
   そのサイド電子ビーム孔を含むその周辺部より前記陰極
   側に凸出しており、また前記第２グリツド電極の中央電
   子ビーム孔を含むその周辺部はそのサイド電子ビーム孔
   を含むその周辺部より前記第３グリツド電極側に凸出し
   ており、かつ前記第１グリツド電極の中央電子ビーム孔
   とそれに対応する前記陰極との間隔を前記第１グリツド
   電極のサイド電子ビーム孔とそれに対応する陰極との間
   隔と異なる構造としたインライン式電子銃。