JPS6011995Y2 - 密閉式シ−ルド掘進機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は軟弱地層や地下水を含む砂層等崩壊し易い地
層に適用される密閉式シールド掘進機に関するものであ
る。

（従来技術） 従来、この種シールド掘進機は、円筒状のシールド本体
の前面開口部にアウタカッタディスクを回転自在に装着
し、アウタカッタディスクにより掘削された土砂はこの
カッタディスク内に取り込み、ベルトコンベア等により
、シールド掘進機後方へ搬出するように構成されている
。

ところで、アウタカッタディスク内後方は開放状態とな
っているから、掘削すべき地山の含水率が高く、崩壊性
の大なる場合には切羽土砂の自然流入を防止できず、地
山の崩壊をまねくと共に、シールド掘進機内部に土砂を
充満させて、トンネル掘削作業を中断しなければならな
いことがある。

これを解決するための機械的方法としては、アウタカッ
タディスクによる土砂取込量を調整すればよいが、従来
、土砂取込量の調整はアウタカッタディスクのスリット
を土質に合わせた形状にする以外不可能に近い状況であ
る。

（考案の目的） この考案は上記欠点を改善するためになされたもので、
掘削を円滑に行なうことを目的とする。

（考案の構成） 上記目的を遠戚するために、この考案は、切羽に面する
アウタカッタディスクの後方におけるシールド本体内に
インナカッタディスクを設けて、両力ツタディスク間に
掘削土を常時充満させ、外部の切羽土庄とのバランスを
とって、切羽の崩壊流入を防止するとともに、アウタカ
ッタディスクの切羽土砂に面した前面板の内面に被掘削
土の移送パネルを取りつけ、取り込んだ被掘削土を強制
的かつ連続的にインナカッタディスク方向に送り込むこ
とにより、被掘削土がアーチングまたは何らかの原因で
アウタカッタディスク２の内面に付着するのを防止して
、ディスク２内の被掘削土の圧力を空間的に均等にし、
もって切羽土砂の自然流入を防止し、地上まで達するよ
うなシールド前方の陥没を防止しながらトンネル掘進で
きるようにしている。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面にしたがって説明する。

第１図において、１は円筒状のシールド本体、２はこの
シールド本体１の前面開口部に回転自在に装着されたア
ウタカッタディスクで、このディスク２は前面板３、円
筒体４および環状後面板５から構成され、前面板３には
被掘削土の移送パネル３ａｚ刃体６および被掘削土流入
用スリット７が設けられている。

アウタカッタディスク２はシールド本体１内に装着され
たラジアル軸受８、スラスト軸受９およびシール部材１
０によって、回転自在にかつシールド本体１との間に液
密にシールされてシールド本体１に設定されている。

１１はアウタカッタディスク２内に固定されてこれと一
体に回転するコーンプレート、１１ａはかき上げ板、１
２はサブコーンプレートである。

コーンプレート１１の後方開口に対向してインナカッタ
ディスク１３がシールド本体１内に回転自在に装着され
、このディスク１３は前面板１４、円筒体１５および環
状後面板１６から構成され、前面板１４には刃体１７と
被掘削土の流入用スリット１８が設けられている。

インナカッタディスク１３は、アウタカッタ２内に装着
されたラジアル軸受１９、スラスト軸受２０およびシー
ル部材２１によって、回転自在にかつアウタカッタ２と
の間を液密にシールされてアウタカッタ２の内側に設定
されている。

インナカッタディスク１３内には後方からスクリューコ
ンベア２２が貫通され、スクリューコンベア２２に取り
付けられた固定板２３間にはシール部材２３が介挿され
ている。

アウタカッタディスク２とインナカッタディスク１３の
各後端部には駆動リング２５．２６が装着され、ピニオ
ン２７．２８を介して油圧モータのような駆動モータ２
９．３０が直結されている。

スクリューコンベア２２の後端部には被掘削土の排出用
ダンパとして、ロータリダンパ、スライド式２重ダンパ
、スライドゲート付ロータリダンパ等液密ダンパ３１を
連結するとともに、このダンパ３１の出口３２にベルト
コンベヤ３３を対向させ、さらに、止水用の圧縮空気供
給装置３４が連結される圧縮空気供給口３５をスクリュ
ーコンベア２２の後端部に有する。

第２図はアウタカッタディスクの前面板３を回転軸と同
心をなす円で切断した断面図であり、移送パネル３ａの
取りつけ状態を示す。

移送パネル３ａの同心円断面の形状は、被掘削土の流線
に適合するほぼ三角形とするのが好ましく、とりわけ、
アウタカッタディスクが正逆どちらの方向にも同じ位の
回転速度で回転する掘進機にあっては、この図に示すよ
うに、はぼ２等辺三角形とするのが好もしい。

Ａ１はアウタカッタディスクの回転方向、Ａ２は被掘削
土の流線をそれぞれ示す。

第３図はアウタカッタディスク２の破断図で、移送パネ
ル３ａ及びコーンプレート１１．１２の取りつげ状態を
示す。

つぎに、上記構成の作動について説明する。

シールド本体１を後押し装置（図示せず）により押圧し
ながら、アウタおよびインナカッタディスク２．１３を
回転させると、刃体６で掘削された被掘削土はアウタカ
ッタディスク２内にそのスリット７から流入され、移送
パネル３ａで後方へ送られ、コーンプレート１２．１１
で絞られて昇圧されたのち、インナカッタディスク１３
内にそのスリット１８から取り込まれる。

このディスク１３内の被掘削土は、円筒体１５内のかき
上板１５ａでかき上げられて、スクリューコンベア２２
の前端部開口２２ａから投入され、後方へ搬送され、液
密ダンパ３１からベルトコンベア３３上に排出される。

スクリューコンベア２２の後端内部は圧縮空気で加圧さ
れているから、液密ダンパ３１から泥水が排出されるの
を阻止するとともに、切羽土圧を一定に保持することが
できる。

ここで、インナカッタディスク１３の作用を第４図およ
び第５図に基づいて説明する。

インナカッタディスク１３を設けない場合、第４図に示
すように、一般にスクリューコンベア２２はその直径が
小さいから、アウタカッタディスク２内の中央部の狭い
領域Ｂに存在する掘削土のみを集中搬出するので、この
領域Ｂの掘削土密度が低下し、アウタカッタディスク２
内全体に掘削土が充満しなくなる。

そのため、アウタカッタディスク２内の掘削土圧が低下
して外部の切羽土圧とのバランスがくずれ、切羽の崩壊
流入を招く。

また、内方の隅部に掘削土の不動域Ｃができたり、Ｄ線
で示すように外周部に掘削土の高密度領域を生じさせる
アーチング現象が起きたりして、円滑な掘削および掘削
土の搬出が妨げられる。

これに対し、インナカッタディスク１３を設けたこの考
案では、第５図に示すように、スクリューコンベア２２
でインナカッタ１３内の中央部の掘削土が集中搬出され
ても、インナカッタ１３とアウタカッタ２との間では掘
削土の密度の低下は起こらず、両カッタ１３，２間に掘
削土を充満させて、外部の切羽土羽とのバランスをとる
ことができる。

しかも、コーンプレート１１とインナカッタ１３との組
合せにより、両カッタ１３，２間の掘削土の流れが円滑
になり、掘削土の不動域やアーチング現象が生じるのが
防止され、掘削が円滑に行なわれる。

（考案の効果） この考案は上述から明らかなように、つぎに列挙するよ
うな特長を有する。

■ シールド本体１の掘進速度、アウタおよびインナカ
ッタディスク２，１３の回転速度をそれぞれ適宜選定す
ることにより、アウタカッタディスク２内には常に掘削
土が充満されて土圧を発生し、切羽地山との土庄バラン
スを生じさせて、切羽の崩壊流入を防止することができ
る。

■ アウタカッタディスク２内には被掘削土の移送パネ
ル３ａが装着されているから、ディスク２内に取り込ま
れた被掘削土は強制的かつ連続的に後方へ送られるので
、上記被掘削土がアーチングまたは何らかの原因でアウ
タカッタディスク２の内面に付着するのが有効に防止さ
れ、スムーズな掘削がなされる。

■ また、実施例によれば、アウタカッタディスク２内
に取り込まれた被掘削土はコーンプレー）１１．１２に
より流線状に流れ易い状態にしぼられて、目づまりアー
チング現象を起こすことなくスムーズな掘削がなされる
と同時に、切羽地山との土圧的バランスの発生に一層寄
与することができる。

なお、インナカッタディスク１３内にスクリューコンベ
ア２１を貫通させて掘削土を搬出するにあたり、スクリ
ューコンベア２２の後端内部を圧縮空気で加圧すれば、
固液分離状態で液密ダンパ３１から掘削土を排出すると
同時に、切羽土圧に対抗するディスク２，１３内の内圧
を発生することができて、切羽崩壊の防止に寄与できる
。

また、上記実施例において、インナカッタディスク１３
およびスクリューコンベア２２は複数個であってもよく
、また、アウタおよびインナカッタディスク２，１３は
同一の回転駆動装置で駆動してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るシールド掘進機の縦断面図、第
２図はアウタカッタディスクの前面板を回転軸と同心を
なす円で切断した断面図、第３図はアウタカッタディス
クの破断面、第４図はインナカッタを用いない場合の作
用説明図、第５図はインナカッタを用いたこの考案の作
用説明図である。 １・・・・・・シールド本体、２・・・・・・アウタカ
ッタディスク、３・・・・・・アウタカッタディスクの
前面板、３ａ・・・・・・移送ハネル、１１．１２・・
・・・・コーンプレート、１３・・・・・・インナカッ
タディスク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒状のシールド本体の前面開口部にアウタカッタディ
   スクを回転自在に装着したシールド掘進機において、上
   記アウタカッタディスクの後方でシールド本体内にイン
   ナカッタディスクを回転自在に設けるとともに、上記ア
   ウタカッタディスクの前面板の内面に、回転軸と同心を
   なす断面の形状かはＳ゛三角形である被掘削土の移送パ
   ネルを装着したことを特徴とする密閉式シールド掘進機
   。