JPS6011245B2 - エンジン用クランク軸の構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、鋳鉄又は鏡鋼の一体成型品から成ると共に、
軸受部に供総合する潤滑油を内蔵させる閉空間を内部に
有するエンジン用クランク軸の構造に関する。

加工性に富みかつ安価であるなど、製造技術面やコスト
上の有利さから、クランク軸を鋳鉄又は銭鋼によって一
体成形しており、そしてその成型時に潤滑油内蔵のため
の閉空間を同時に形成している。

しかし従来は、砂型中子をクランク軸の砂型に固定保持
させて閉空間を成形していたもので、中子砂の取出しや
残留砂塵による軸受面の傷付き回避など、成型後におけ
る閉空間内部に対しての仕上げに手間がかかり、更に、
クランク軸成型後に軸受部周面に対する給油路を特別に
機械加工していたもので、全体の製作性に劣るものであ
った。

本発明は、上述の実情に鑑みて、簡単な構造改良でもつ
て製作性を向上させる事を目的とする。次に、本発明の
実施例を図面に基づいて詳述する。エンジン用のクラン
ク軸は、クランクジャーナル１・・・・・・・…・・・
・・とそれに蓮設のアーム２・・・・・・・・・・・・
・・・、及び一対のアーム２，２の一端どうしを連結す
るクランクピン３，３を主体として成り、ダクタィル鋳
鉄の鋳造によって一体成型してある。

クランク軸の軸芯Ｐ方向視に於いて、前記アーム２は、
第２図に示すように、ジャーナル１とピン３に外接する
と共にその外接点ａ，ｂを結ぶ線上に中心Ｐ，を位置さ
せたコルネリウスの円に相当する直径Ｄの円弧部分２ａ
をそなえ、更にクランク軸芯Ｐを中心にすると共にその
鞄芯Ｐから前記外接点ｂの距離に相当する半径ｒの円弧
部分２ｂを、前記直径Ｄに相当する中Ｗにわたって、か
つ前記外接点ａ側に位置する状態で備えており、もって
アーム２を円弧部分２ｂと前記コルネリウスの円との間
に位置する部分をバランスウェイトとして円滑に回転す
るように、かつ全体の軽量化を図りながら強度を高くす
るように構成してある。クランク軸を一体鋳造するに際
して、フライホイール取付部と中間部のジャーナル１，
１部分、並びにクランクピン３，３部分の夫々に中空部
Ａ…・・・・・・・・・・・・を形成し、かつその閉空
間Ｂに潤滑油を内蔵して、ジャーナル１とそれに対する
軸受及びクランクピン３，３とそれに対するコンロツド
の夫々の軸受部周面における潤滑を図り、かつその為の
中空部Ａの形状設定によって、ジャーナルー部分並びに
クランクピン３部分に対する疲労耐力の強化を図ってあ
る。前記中空部Ａを形成するに、第３図に示すように、
円筒部４ａとその両端を蓋する半球面部分４ｂ，４ｂに
よって、その全体がマュ形の角部に丸味を持たせた金属
製錬造用中子４を形成し、そして長手方向中間部に小孔
ｃ…・・・・・・・・・・・・を穿設したアルミニウム
等の金属製の中子支持用パイプ６を「 その軸芯Ｐ，を
中子長手軸芯Ｐ２に交差させて中子４に溶接すると共に
、パイプ軸芯Ｐ，まわりでの回転を阻止する部材１１を
前記パイプ６の端部に設けて、小孔ｃ・・・・・・・・
・・・・・・・を介して中子開空間Ｂとパイプ６とが運
通する中子主体Ｃを形成する。

この中子主体Ｃを、ジャーナル１，１部分に対してはそ
の軸芯Ｐ２をクランク軸芯Ｐに、及びクランクピン３，
３部分に対しては軸芯Ｐ２をピン軸芯Ｐ３に、夫々同芯
状に位置させて、かつ支持用パイプ６の両端を軸受部１
０の周面側に位置させると共に、そのパイプ６の長手方
向を第２図のようにアーム２の長手方向に沿わせる、あ
るいは第４図のようにアーム２の長手方向に交差させる
などして鋳型に保持させるのであるが、それに先立って
、フライホイール側ジャーナル１部分とそれに相隣るク
ランクピン３部分の中子４，４どうし、及び中間ジャー
ナル１部分とそれに隣るピン３部分の中子４，４どうし
を、夫々その開空間Ｂ，Ｂを運速させる状態でパイプ１
２により連結しておき、このパイプ１２，１２と中子主
体Ｃ・・・・・・・・・・・・・・・を鏡ぐるませる状
態でダクタィル鋳鉄による鋳造を行ない、もって中実構
造に比べて疲労耐力を強化できるマュ状の中空部Ａ・・
…・・・・・・・・・・を、ジャーナル１，１部分とク
ランクピン３，３部分に備えたクランク軸を一体成型す
るようにしてある。このクランク軸の鋳造完了後におい
て、中子主体Ｃの存在しないジャーナル１部分にわたる
旨孔１３をそれに隣るピン３部分から穿設し、かつその
閉口に栓１４を施し、その旨孔１３の底部に蓮通する孔
１５をジャーナル１を横断させて穿設すると共に、軸受
部１０・・・・・・・・・・・・・・・から突出する支
持用パイプ部分６ａ・・・・・・・…・・・・・を切除
し、かつそれらの軸受部１０・・・・・・・・・・・・
・・・に対する機械加工を施し、もって閉空間Ｂ・・…
・・…・…・に運通の孔１５及び支持用パイプ６が軸受
部１０・・・・・…・・・…・の閥面に閉口するクラン
ク軸を形成するのであり、閉空間Ｂ・・・・・・・・・
・・・・・・及びそれに遼遠の孔１３，１５とパイプ６
・・・・・・・・・・・・・・・，１２，１２に対して
潤滑油を内蔵して後に、そのジャーナル１…・・……・
…に軸受をかつピン３，３にコンロツドを取付けて、そ
れらをエンジン本体に組付け、潤滑油封入の鞠支構造を
備えたエンジンの組立てを行なうのである。尚、クラン
ク藤の材質として、ダクタィル鋳鉄の他に、特殊鋳鉄、
普通鋳鉄、特殊鉾鋼、普通銭鋼など各種の鋳鉄又は鍵鋼
を選択できる。

以上の構成によれば、潤滑油内蔵のための複数個の閉空
間Ｂ・・…・・・・・・・・・・を金属製中子４・・…
・・・・・・・・・・によって形成するので、従来のよ
うに、中子鏡砂の取出しなど閉空間内部仕上げの手間が
全く不要になり、それに、軸受部１０の周面に対する潤
滑油供給のための油路を、前記中子４・・・・・・・・
・・・・・・・の支持用パイプ６・・・・・・…・・・
・・・そのものをして得る事ができ、クランク軸の製作
性を向上できる。

そして、その支持用パイプ６が閉空間Ｂに蓮適している
から、鋳造時に生じるガスをパイプ６を通して中子４内
に流入させる事ができ、つまり、パイプ６をガス抜きに
も兼用できる。そして、相隣る閉空間Ｂ，Ｂどうしを互
いに蓮通させてあるので、潤滑油の消費に伴って閉空間
Ｂ，Ｂ‘こ内蔵の潤滑油を蓮通閉空間Ｂ，Ｂにわたって
流動させる事ができ、つまり、相隣る閉空間において互
いに潤滑油の融通性を持たせる事ができ、その結果、潤
滑油の補充期間を長く、かつクランク軸の偏摩耗を極力
回避できる。

尚、孔１５を穿設したジャーナル１部分にも中子主体Ｃ
を設けて、その開空間Ｂとそれに相隣るピン３部分の閉
空間Ｂとを互いにパイプ１２によって蓮通させるも良く
、また全ての閉空間Ｂ・・…・・・・・・・・・・をパ
イプ１２によって蓮通させるも良い。

また、多気筒エンジンのクランク軸を対象にして本構成
の潤滑油構造を備えさせるも良い。以上要するに本発明
は、冒記したエンジン用クランク藤の構造において、金
属製の鋳造用中子を、前記閉空間を囲綾する状態で銭ぐ
るませると共に、前記中子に蓮適状態で連設した支持用
パイプを軸受部周面において開口させてある事を特徴と
する。即ち、クランク軸の成型時に、それと同時に−体
的に金属製の中子を銭ぐるませて、その中子によって潤
滑油内蔵のための閉空間を形成するので、従来のような
閉空間内部に対する仕上げ作業が全く不要になり、その
上、その中子保持用のパイプをして軸受部筒面に対する
潤滑油路を形成する事が相像って、全体の製作性を大中
に向上させる事ができるようになり、鋳鉄製又は鏡鋼製
のクランク軸を、製造技術的に一層優れたものにして安
価に提供する事ができるようになった。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係るエンジン用クランク軸の構造の実施
例を示し、第１図は要部を破断したクランク軸の全体図
、第２図は第１図のＤ−０線断面図、第３図は要部の拡
大断面図、第４図は第２図に相当する変形例の断面図で
ある。 ３・・・・・・クランクピン、４・・・・・・鋳造用中
子、６・・・…支持用パイプ、１０・…・・軸受部、Ｂ
・・・・・・開空間。 第１図 第２図 第３図 第４図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鋳鉄又は鋳鋼の一体成型品から成ると共に、軸受部
   １０……に供給する潤滑油を内蔵させる閉空間Ｂ……を
   内部に有するエンジン用クランク軸の構造であつて、金
   属製の鋳造用中子４……を、前記閉空間Ｂを囲繞する状
   態で鋳ぐるませると共に、前記中子４……内空間に連通
   状態で連設した中子支持用パイプ６を軸受部１０周面に
   おいて開口させてある事を特徴とするエンジン用クラン
   ク軸の構造。 ２ 前記閉空間Ｂ……のうち少なくともクランクピン３
   部分に位置させたものの主要部を、そのクランクピン３
   部分とほぼ同芯状でほぼマユ形に構成してある事を特徴
   とする特許請求の範囲第１項に記載の構造。