JPS595239Y2 - ディスクブレ−キ用摩擦溶接キャリパ−スライドピン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ディスクブレーキにおいてキャリパ−の移動
を案内するためにマウンティングブラケットまたはキャ
リパ−に摩擦溶接されるスライドピンに関するものであ
る。

いわゆるキャリパ−浮動式ディスクブレーキの一種に、
マウンティングブラケットに立設されたスライドピンに
よってキャリパ−の移動を案内するスライドピン式とい
われるものがあり、車両用ブレーキ等に広く利用されて
いる。

この種のテ゛イスクブレーキにおいては、第１図に示す
ようにキャリパ−９がマウンティングブラケット２に立
設されたスライドピン１上を摺動する。

このキャリパ−９を案内するためのスライドピン１をマ
ウンティングブラケット２に立設するための方法には種
々のものが知られておりその一つに摩擦溶接法がある。

しかし摩擦溶接による場合にはスライドピン１の根元部
に溶融金属の張り出しくパリ）が生ずることを避は得す
、一般に限られたスペース内で作動する必要のあるディ
スクブレーキにあっては、このパリをいかに処理するか
が重要な問題となる。

即ち、スライドピン式ディスクブレーキにおいては、キ
ャリパ−９とスライドピン１との摺動面を保護するため
に例えば第１図に示すようなゴム製のブーツ１０を装着
することが多いが、スライドピン１の根元に二点鎖線で
示したようにパリが張り出していれば、ブーツ１０の取
り付はスペースが制限され、また仮に取り付けは可能で
あってもブーツ１０がパリに接触して損傷される恐れが
生ずる。

ブーツ１０をパリから離れた位置に装着すればこのよう
な事態を回避し得るのであるが、この場合には必然的に
スライドピン１を長くする必要が生じ、これは限られた
スペース内に組み込まれるブレーキにおいては好ましい
ことではない。

またブーツ１０の代わりにダストシール等の使用も考え
られるが、車両用ブレーキ等のように泥水等の浸入を避
は難い場合には防塵性が不十分であるし、パリの存在す
る分だけストロークが制限されることに変わりはない。

この不利を回避するための対策として従来は摩擦溶接の
条件を厳しく管理してパリの張り出し量そのものを出来
る限り少なくするが、または−互生じたパリを切削、研
削等により除去することが行なわれて来たが、摩擦溶接
時にパリの張り出しを少なくしようとすれば、溶接強度
が低下してスライドピン脱落の危険が増大することを避
は得す、またわざわざパリを除去すればそれだけ工程が
増大して製造コストが上昇してしまう。

本考案はこのような事情を背景になされたものであり、
前記スライドピンの摩擦溶接側端部に本体部分より小径
の小径部を設けるとともに、該小径部の軸方向の中間部
に半径方向外向きの環状フランジを設け、かつ、該フラ
ンジの位置を摩擦溶接時における溶融金属の盛り上がり
を規制しかつ該スライドピンに嵌装されるダストブーツ
の一端取付部を前記本体部との間に挾んで検定するブー
ツ固定用突起として機能する位置に選定することにより
、従来技術の問題点を解消することに成功したものであ
る。

以下、本考案の実施例を示す図面に基いて本考案を更に
詳細に説明する。

第２図は本考案に係るスライドピンを摩擦溶接する前の
状態を示す説明図である。

図においてスライドピン１１は摩擦溶接端部において本
体部より小径の小径部１３とその小径部１３の軸方向の
中間部に半径方向外向きの環状フランジである大径部１
４を有している。

該小径部１３と該大径部１４との段付面１５は摩擦溶接
時における溶融金属の盛り上がりを規制する位置に選定
されている。

従ってスライドピン１１の小径部端面１６にてマウンテ
ィングブラケット１２の凹部１７に摩擦溶接する際、第
３図に示すように溶融金属は凹部１７の内周面に沿って
マウンティングブラケット１２の端面に対して直角な方
向（図面においては右方向）に盛り上がってくるが、こ
の溶融金属の盛り上がりは段付面１５に規制されて、マ
ウンティングブラケット１２の凹部１７の中に封じ込め
られる。

また摩擦溶接の条件により溶融金属をたとえマウンティ
ングブラケット１２の凹部１７に完全に封じ込め得ない
場合においても、第４図に示すように溢れた溶融金属は
段付面１５に案内されて、マウンティングブラケット１
２の端面に沿って流出し、スライドピンの軸方向へ盛り
上がることを規制される。

従って第５図に示すように、スライドピン１１とその上
を摺動するキャリパ−１９の摺動部との間にゴム製のブ
ーツ２０を装着する場合に、ブーツ２０がパリに接触す
る恐れは全くなくなる。

しかもこの大径部１４は同じく大径のスライドピン本体
部との間にブーツ２０の一端取付部を挾んで固定するブ
ーツ固定用の突起としても機能することとなる。

大径部１４の位置がそのように選定されているのである
。

また、スライドピン１１を摩擦溶接するにあたり、段付
面１５がマウンティングブラケット１２に当接した時に
摩擦溶接を終了させるようにすれば、寸法精度よくスラ
イドピン１１を溶接することができる効果が生じる。

また段付面１５を当接させない場合であっても、段付面
１５とマウンティングブラケット１２の端面との相対的
な位置を監視すれば寸法管理が容易となる。

本考案は上記の実施例に限定されるものではなく、例え
ば溶融金属の流出場所またはブーツ等の都合により、特
に径の大きいフランジ状の大径部が必要な場合には、所
望の外径を有する穴あき円板状の利付を小径部に嵌合さ
せて環状フランジを構成させることも可能であり、この
場合には一体的に製作する場合に比較して材料の歩留り
を向上させ得る特有の効果が生じる。

以上述べてきたように、本考案は単にスライドピンの形
状を僅かに変形することにより、摩擦溶接時に発生する
溶融金属の盛り上がりを規制するものであり、したがっ
て従来のパリ除去が不要となり、労力及び時間を著しく
節減し得る。

また、溶融金属の張り出し量を寸法的に管理する必要も
なくなるために、十分な摩擦強度が得られ、スライドピ
ンの脱落の恐れもなくなることも本考案の効果の一つで
ある。

更に溶融金属の盛り上がりを規制するための環状フラン
ジが同時にダストブーツ固定用の突起を兼ねるようにし
たものであるため、専用のダストブーツ取付溝や固定用
突起を設ける必要がなくなり、スライドピンの構造が簡
単となることも本考案の効果の一つである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の摩擦溶接スライドピンを含むディスクブ
レーキ装置の一部破断平面図である。 第２図は本考案のスライドピンと被溶接体とを示す平面
図である。 第３図及び第４図は本考案のスライドピンによる摩擦溶
接の状態を示す断面図である。 第５図は本考案にかかる摩擦溶接スライドピンを含むデ
ィスクブレーキ装置の一部破断平面図である。 １．１１・・・・・・スライドピン、２，１２・・・・
・・マウンテイングブラケット、１３・・・・・・小径
部、１４・・・・・・大径部、１５・・・・・・段付面
、１６・・・・・・摩擦溶接面（小径部端面）、１７・
・・・・・マウンティングブラケット凹部、１８・・・
・・・溶融金属、 ９゜ １９・・・・・・キャリパ−１ １０゜ ２０・・・・・・ブー ツ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ディスクブレーキのマウンティングブラケットまたはキ
   ャリパ−のいずれか一方に、摩擦溶接によって立設され
   て、前記キャリパ−のディスクの面に直角な方向の移動
   を案内するスライドピンであって、該スライドピンの摩
   擦溶接側端部に本体部分より小径の小径部を設けるとと
   もに、該小径部の軸方向の中間部に半径方向外向きの環
   状フランジを設け、かつ、該フランジの位置を摩擦溶接
   時における溶融金属の盛り上がりを規制しかつ該スライ
   ドピンに嵌装されるダストシールの一端取付部を前記本
   体部との間に挾んで固定するブーツ固定用突起として機
   能する位置に選定したことを特徴とするディスクブレー
   キ用摩擦溶接キャリパ−スライドピン。