JPS5950276B2 - 鉱油類の水素化処理方法 - Google Patents

鉱油類の水素化処理方法

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JPS5950276B2
JPS5950276B2 JP14549779A JP14549779A JPS5950276B2 JP S5950276 B2 JPS5950276 B2 JP S5950276B2 JP 14549779 A JP14549779 A JP 14549779A JP 14549779 A JP14549779 A JP 14549779A JP S5950276 B2 JPS5950276 B2 JP S5950276B2
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hydrogenation
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政禎 井岡
雅治 松井
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は微細粒子からなる触媒を使用して鉱油類を水素
化処理する方法に関し、更に詳しくは、水素化処理によ
って炭素質の析出した微細粒子触媒の一部から炭素質分
を脱離して、再び前段の処理に循環使用することにより
コークレベルを一定水準以下に維持しつつ、鉱油類を効
率よく水素化処理する方法に関する。
従来から、固体微細粒子からなる触媒を用いた鉱油類の
水素化処理方法は多くア利点があるところからバルガ法
、スラリー触媒法、懸濁触媒法などとして広く行われて
いる。
その利点は;(1) 反応器内で触媒が自由に運動し
、コークあるいは金属類の堆積による劣化触媒が生成油
と共に抜出される方式のため、反応器内の閉塞が極めて
起りにくく、他の方法に比べ低水素圧、高温の処理が可
能であること; (2)このため、化学水素消費量が少なく、また装置費
が割安となること; (3)触媒の微粒状のため、活性に対し平均細孔直径等
の物理構造に基づく影響がなく、金属類の堆積による触
媒の劣化がほとんどないこと;(4)触媒として、従来
公知の固定床等で使われ劣化した触媒の粉砕物等安価な
ものが利用でき、使用可能なものの範囲が非常に広いこ
と;等を挙げることができる。
しかしながら、その反面、以下に示すような未解決問題
をかかえ、これらの解決が今後の問題となっている。
即ち、 (1)触媒が安価なため触媒の再生がほとんど行われて
おらず、またその処理に多くの困難が伴なうため触媒消
費量が著しく増加し、如何に安価であるとはいえ、原料
油が劣悪になるに従って触媒費の高騰が問題となること
; (2)また使用済触媒の廃棄には、堆積された重金属類
による新たな環境汚染問題が派生していること; (3)これらの点を解決するために生成油から使用済触
媒を分離して循環使用しようとしても、触゛媒上へのコ
ークの析出量が太きいため活性が著しく低下し、かつ触
媒が凝集し易くなっているために反応器内で沈澱したり
、閉塞の原因ともなっていること; (4)また固液分離が実質上非常に困難をともなうこと
; (5)固液分離した触媒を酸化焙焼し、循環使用しよう
とすると、分離が困難なことのほかに、再生処理過程で
微粒子同志の付着、溶融等が起り回収困難となり、また
作業性が極めて悪いこと;等である。
鉱油類中に分散又は懸濁させた固体微細粒子触媒(以下
、単にスラリー触媒と呼称される)を用いる鉱油類の水
素化分解法において見られる前記のような問題を解決す
るために、これまでにも種種の提安がなされている。
米国特許第3622495号及び第3622498号明
細書によると、アスファルテンとバナジウムの含有量の
高い重質油を、微細バナジウム硫化物触媒を用いて水素
化処理し、アスファルテンとバナジウムの含有量の少な
い軽質化油に転換させる方法において、生成油を軽質油
と重質油とに分離させ、触媒を含む重質油を水素化処理
工程に循環させる方法が示されている。
この方法によると、高活性触媒の使用により、アスファ
ルテンを実質的に含まない軽質油を得ることができるも
のの、循環使用される触媒が徐々に劣化するために、使
用済触媒を含む重質油の相当量を、反応系外に抜出し、
新触媒を添加することが必要である。
このようなバナジウム硫化物触媒の循環方法に関し、米
国特許第3645912号及び第3635838号明細
書によれば、循環すべきバナジウム硫化物触媒から、炭
素質と汚染金属類を除去するために、使用済触媒を、5
00〜1000で元素硫黄と反応せしめ炭素質を二硫化
炭素として除去した後、金属類を鉱酸を用いて除去する
方法が示されている。
この方法は、再生後においてバナジウム硫化物が四硫化
バナジウムとして再生されるため、そのまま高活性触媒
として使用できる利点が認められるが、使用済触媒を酸
化処理して循環使用する場合に見られるのと同様の触媒
再生上の問題を含む。
特開昭53−78203号公報によれば、固定床方式の
水素化処理装置からの廃触媒の粉砕物を触媒として用い
て水素化処理を行い、得られた生成油から触媒を分離し
、これを焙焼再生した後、循環使用する方法が示されて
いるが、この方法も、その触媒再生に酸化焙焼法を用い
ているため、前記したようなスラリー触媒法の問題の根
本的解決を与えるものではない。
水素化処理触媒への炭素質析出の機構、あるいは析出し
た炭素質の構造、組成等についてはほとんど知られてい
ない。
しかし炭素質の析出量は触媒の種類、性状、反応条件お
よび原料油の性状により大巾に変ることが知られている
一般に残留炭素量の多いアスファルテン濃度の高い重質
油を水素化処理する際多く生成するといわれているが、
例えば固体酸量が多く水添能の小さい触媒を高温、低水
素圧下で使用して水素化処理する場合にも炭素質の触媒
上への析出が多くなることを経験している。
触媒上への炭素質の析出を抑制する方法の一つに、高水
素圧下で処理する方法があるが、炭素質の析出は少くし
得ても、化学水素消費量が著しく多くなるため実用的で
はない。
析出する炭素量は、残留分を含まない原料油の処理にお
いてはせいぜい10重量%程度までであるが残渣油の処
理においては40〜50重量%を超える場合もみられる
発明者らは、残留炭素の多い原料を触媒の存在下に水素
化分解して、硫黄、金属類、アスファルテン類等の少な
い軽質油を得る方法として、触媒に200μ以下の粒径
をもつ粒子を使用することにより、従来の大粒径触媒で
経験したような、触媒への金属類の堆積によって触媒の
劣化が起ることはほとんどなく、しかも炭素質の堆積許
容量が従来の触媒に比較して極めて大きく、触媒重量に
対して100重量%を超えても尚活性が維持されている
という特異な性質を発見し、全く新規な重質油の水素化
分解法の開発に至ったものである。
本発明の方法は、更に析出した炭素質が、第2の水素化
処理によって容易に脱炭素できるという新規な知見を組
合せ、触媒の再生処理を含A、だプロセスを確立したこ
とにある。
水素化処理触媒に析出する炭素質の量は、従来公知の触
媒では、残渣分を含まない原料油の処理においては、せ
いぜい10重量%程度まで、残渣油の多い原料の場合に
も40〜50重量%であるが、残留炭素の多い原料を2
00μ以下の微細粒子からなる触媒の存在下で水素化分
解する場合には100重量%を超える場合もあり、また
その堆積が急激に発生することは極めて特異な性質であ
る。
微細粒子からなる触媒は、このような多量の炭素質の析
出によってもその活性は殆んど低下することはないが、
懸濁状態の触媒粒子が互いに凝集し易くなり、遂には生
成油中で沈澱し、反応器の閉塞をもたらすこととなるた
めに、反応器内の炭素量、いわゆるコークレベルを一定
値以下に抑制しておかなければならない。
本発明に係わる水素化分解法における脱炭素工程はこの
ような目的のもとに組合されたものである。
本発明方法の最大の特徴は、前段の水素化処理において
微細粒子触媒上に析出した炭素質が、後段の水素化処理
で油分に転換され、容易に触媒から脱離されること、な
らびに転換された油分は実質上回収され生成油の収率の
向上に効果をもたらすことにある。
更に微細粒子触媒の再生、賦活処理が、全て前段処理と
同じ鉱油中で水素加圧下に行われることは実装置として
運転する際極めて有利な条件でありしかも場合によって
は実質的な固液分離を必要としないことは、工業的処理
として極めて優れた特徴である。
微細粒子触媒は、鉱油に懸濁した状態で工程間を移動せ
しめるが、必要に応じ固液分離し触媒単独で取扱うこと
もできる。
次に本発明の方法を工程の順を追って説明する。
先づ前段の水素化処理については、触媒として直径が2
00μ以下の微細粒子を懸濁状態で使用する以外特に制
限はなく、原料鉱油類にも特に制限はない。
一般にはナフサ、灯油、軽油、減圧軽油、分解油、税源
油、等の比較的残留炭素、アスファルテル含量の少ない
ものから、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油、ピッチ、
タール、税源残渣、原油、タールサントビチューメン、
シエールオイル、コールタール、液化石炭類、ピッチ類
、溶剤精製炭、合成原油等の残留炭素、アスファルテン
含量の多いものまで全てが対象となる。
本発明方法によると、原料中に含まれる可溶性金属類は
微細粒子触媒を劣化せず、むしろ金属類が堆積するにつ
れて活性化し、再生しやすくなる。
従って、原料としては可溶性金属類の多いものが好まし
い場合があるが、このような原料としては、可溶性金属
類は通常1100pp以上、殊に200ppm以上含む
ものである。
これらのうち石炭から誘導された液化石炭類は多量の酸
素、アスファルテン類、残留炭素先駆体などの縮合芳香
族環化合物を含むが可溶性金属類は比較的少なく、また
タールサントビチューメン、タールオイルを含む石油類
は、比較的多量の硫黄、窒素の他に相当量の可溶性金属
類を含むものが多G)。
本発明の方法は、特にコークの生じ易い原料油に対し極
めて有効である。
本発明で使用する微細粒子触媒はほとんどあらゆる種類
の微細固体粒子、あるいは固体コロイド等から任意に選
ぶことができる。
通常200μ以下、好ましくは100μ以下の、例えば
シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、アルミナシ
リカ、シリカチタニア、マグネシア、マグネシウム、シ
リケート、カルシウムシリケート、炭素、コークス等の
ほか、通常の水素化処理触媒を粉砕したものが用いられ
る。
勿論200μ以上の微粉末触媒を用いても目的を達する
こともできるが、200μ以上のものは、水素化再生工
程において、触媒上に堆積した炭素質を水素化して可溶
化させる場合に、その可溶化反応が遅くなる他に、原料
油あるいは生成油から沈降分離し易く、また懸濁触媒と
しての特性は細かくなる程顕著な効果を発揮することか
ら考え、出来るだけ細かいものを使用するのが望ましい
また微細粒子径を出来るだけ細かいものとすることは、
第2段処理において従来公知の水素化触媒を固定床とし
て用いる方法が最も効果的であることを考えると、固定
床を容易に通過し閉塞を防止し、両触媒の分離を容易な
らしめるためにも出来るだけ細かい、出来得れば30μ
以下、特に10μ以下の超微細触媒が好適である。
このような超微粒子触媒を含む触媒スラリーは、はぼ均
一な液体と同様に取扱うことができ、粗粒子触媒を含む
触媒スラリーに比して、反応装置の摩耗を著しく低減さ
せ、さらに触媒の水素化再生のために、従来公知の水素
化触媒からなる固定床を通過させながら水素化再生処理
する場合に、固定床を閉塞することなく容易に通過する
このような超微細粒子の例としては、1μ以下の固体コ
ロイド粒子、特開昭55−36239号公報に開示した
微細粒コロイド粒子等をあげることができる。
これらの具体例としては、周期律表Va。VIa、■族
金属のβ−ジケトン金属塩、V、Mo。
Fe、Co、Niのペンタあるいはヘキサカルボニル類
、周期律表Vla族金属のへテロポリ酸、Mo。
Co、Niのナフテン酸塩、Cu、V、Fe、Co、N
i。
ptのフタロシアニン類、モリブデンブルー、V。
Mo、Tiの塩化物あるいはオキシ塩化物、などを水素
あるいは/および硫化水素加圧下、高温で処理して得ら
れるコロイド状あるいは微細固体粒子、または周期律表
Va 、 VIaあるいは■族金属酸化物あるいは硫化
物の超微粉砕物がある。
第2触媒との分離に対し、特殊の方法があれば、これら
超微細粒子以外の、例えば公知の水素化処理触媒の粉砕
物、種々の担体に水素化活性金属を担持した触媒、これ
ら金属を含む天然物から誘導されたものでもよい。
発明者らの全く新たな知見によれば、従来触媒としては
全く看過されていたゴム、プラスチックあるいはその他
の添加剤又は充填剤としてカーボンブラック代替品とし
て開発されたシリカ微粒子やカルシウムシリケート微粒
子などのホワイトカーボン、あるいはその類似物、例え
ば、ホワイトカーボンと同様にして得られるアルミナ、
チタニア、アルミナ・シリカなどの微粒子までが本発明
の微細粒子触媒として極めて卓越した性能を示す。
ホワイトカーボンは既に広く市販され説明の要もないと
思われるが、必要あれば“新しい工業材料の科学″、(
永井彰一部編、1967年金原出版)31〜58頁を参
照されたい。
以上ここに例示した微細粒子は、いわゆる触媒金属とい
われる水素化活性金属を含むものと、実質土倉まないも
のとがあるが、これらが倒れも本発明における鉱油類の
水素加圧下における熱分解によって生じる炭素質、ある
いはコーク先駆体を吸着あるいは付着して、反応器閉塞
の抑制に実質上寄与することは、全く驚くべきことであ
る。
このような現象は恐らく、残渣油を含む鉱油類中の5〜
5000 p pm程度の油溶性バナジウム化合物が水
素化処理の過程において、反応開始当初、水素化活性を
ほとんど持たない微細粒子上に析出し、これが触媒金属
として寄与するためであろうと考えられる。
このようにして析出したバナジウム化合物は、本発明の
第2段処理においては全く影響を受けずにそのまま、触
媒上に残り循環使用されるため増々活性の向上が認めら
れることになる。
発明者は、油溶性バナジウムを含む鉱油類に水素化活性
をほとんど持たないとされている超微細粒子からなるシ
リカを少量添加して水素化処理したところ、時間の経過
と共に脱硫率、脱メタル率、アスファルテン分解率が徐
々に向上し、逆に触媒上への炭素質の析出量が減少して
いくことを認めている。
しかしながら反応率、就中、硫黄、窒素、可溶性金属類
等の除去率を高め、残留炭素およびアスファルテン類が
少なく、臭素価が少なくて不飽和分の少ない処理油を得
ようとするには水素化活性を有する金属を含む触媒を使
用するのが望ましい。
またこれら金属類の担持は、鉱油類の水素化処理工程で
の炭素質の堆積(析出)を低減させることによって触媒
を防止する他に、触媒の初期活性の向上に有効である。
鉱油中には、中国産のものに多く例をみるようなメタル
含有率の少ないものもあり、このような鉱油類の処理に
も、原料鉱油からの金属類の担持が期待し得ないので。
触媒金属をあらかじめ担持するのが望ましい。
触媒金属類としては、この種の炭化水素類の水素化処理
に慣用されている水素化活性金属類が用いられ、一般に
は、周期律表ib t Ilb p IIIa y I
Va tVlaおよび■族金属、殊に、V t Cr
2Mo y Wy N1tFe、Co、Zn、Cu、P
t、Pdおよびランタニドから選ばれた1種以上、特に
V、Mo、Ni、Co、Cuから選ばれた1種以上を合
計で金属として0.5〜50重量%含むものが高水素活
性で炭素質の析出量が少なく極めて好ましい。
これら金属類は金属微粒子、硫化物、酸化物、窒化物、
硼化物、燐酸塩など任意の形態のものを用いることがで
きる。
担持率も特に制限はなく、任意であり、白金属にあって
は0.1重量%以下でも十分高活性が得られることもあ
り、またバナジウムでは40重量%以上必要とする場合
もある。
一般には金属類の担持率は合計で0.1〜20重量%で
よい。
担持方法も、公知の含浸、スプレー等の方法で行うこと
ができる。
なお、この場合の触媒担体としては、水素化処理に通常
用いられているものが採用され、先に示した金属を担持
しないシリカ、アルミナ、チタニア、マグネシウムシリ
ケート、カルシウムシリケート、カーボンブラックなど
の微粉体が好ましく用いられる。
処理条件は、水素化処理の目的および鉱油類の性状等に
応じて任意に選ばれるが、触媒上への過度の炭素質の析
出を抑制しつつ水素化分解を行なうためには通常水素分
圧を10〜350ky/i、好ましくは30〜250k
y/c/L、反応温度を350〜5000C,好ましく
は400〜480℃で処理する。
鉱油を水素化分解することによって軽質化させる場合の
最も好ましい反応条件は水素圧50〜200kg/d、
温度430〜460℃の範囲である。
水素分圧が10ky/i以下でも水素化反応は起るが、
微細触媒へのコーク析出量が著しく増加し、このために
凝集し易くなるために極端に低水素圧下で処理すること
は好ましくない。
また水素分圧の上限は、化学水素消費量を出来るだけ少
くする目的のため設定した条件であり、微細粒子を触媒
とする反応では、このような低水素圧下でも、大きな反
応率で反応が進行するのを特徴とする。
水素化処理に使用されるはとA・ど全ての原料油には硫
黄分が含まれており、この一部が硫化水素となって脱離
され、通常反応は実質的に硫化水素を含む雰囲気で行わ
れる。
このような硫化水素分圧の上昇は触媒粒子への炭素質析
出の抑制に寄与し、脱メタル率あるいはアスファルテン
分解率等の反応率を向上する効果をもたらす。
従って自然発生する硫化水素のみに依存することなく、
2硫化炭素、メルカプタン類等の易反応性の硫化水素先
駆物質を処理油に加え、積極的に硫化水素分圧の上昇を
はかることは極めて効果的である。
硫化水素分圧は触媒の種類、反応条件等に応じ0.1〜
50 kg/cyyf、好ましくは0.5〜i5に9/
=の範囲内で任意に選定する。
微細粒子触媒の原料鉱油中の濃度は、被処理油の流動性
が維持可能な範囲で任意であり、 通常0.1〜20重
量%好ましくは0.5〜5重量%である。
上限値を超える量の使用によっても、むしろ好ましい場
合もあるが、微かな炭素質の析出によって触媒層が閉塞
し易くなり好ましくない。
また下限値は、脱硫、脱メタル率等の反応率の維持と、
反応器内壁へのコーク折重の防止上から定めたものであ
る。
微細粒子触媒を懸濁床として使用した水素化処理におい
ては、従来公知の水素化触媒に比較して、触媒上への炭
素質の析出が急激に起る特徴がある。
従って、そのまま反応を継続すれば、触媒活性の低下を
またずして反応容器の閉塞がもたらされる。
このため、あらかじめ反応に支障のないコークレベルを
設定しておき、炭素質の析出した触媒を抜出しこれを処
理して炭素質を除去し、再生した触媒を再び反応容器に
循環して、反応容器内の触媒のコークレベルを低下せし
めることが必要となる。
第2段の水素化処理による触媒の脱炭素方法は、このよ
うな連続処理に最も望ましい方法である。
またこのような水素化処理による脱炭素方法は発間者ら
の全く新規な発明に基づく方法である。
即ち先に記載したようにコークレベルが所定の値に達し
たとき、触媒の一部を生成油と共に抜出し、第2触媒の
存在下で水素化処理し、触媒上に堆積した炭素質を脱離
し、再生した触媒を再び反応器に循環するものである。
触媒粒子は生成油に懸濁せしめた状態で、水素化処理工
程から抜取り、そのまま後段の水素化処理することが最
も望ましいが、抜取った生成油から触媒を分離し、これ
に別途鉱油類を加えて水素化処理し、ここで再び固液分
離して、鉱油は後段の水素化処理用油として循環使用し
、触媒のみを前段の処理工程に戻すこともできる。
しかしながら本発明で使用する触媒粒子が極めて微粒で
ある場合、あるいは固液分離装置からの上澄液中の微細
触媒粒子を再生する場合などにおいては、固液分離しに
くいこと、ならびに分離した触媒を、後段の鉱油類、あ
るいは前段の原料油中に再度均一に分散せしめることが
困難であり、固液分離を2度も必要とすること等の繁雑
さから、生成油に懸濁させた状態で第2の触媒を用いて
水素化処理し、生成油の水素分解工程への循環を行なう
のが最も望ましい。
前段の水素化処理工程から抜取った触媒を含A・だ生成
油量が十分でないとき、あるいは、抜取った後生成油を
回収するために固液分離が行われ、後段の処理のために
鉱油類の添加が必要な場合には、加える鉱油の性状は特
に制限はないが、望ましくは同一系統のコーキングの恐
れの少ない鉱油を使用する。
触媒上に析出した炭素質の脱離のための後段の水素化処
理は、炭素質を水素化脱離し得る条件であれば任意であ
り、一般的には、その処理温度は、前段の処理温度より
も低い温度が採用される。
一般には5℃以上、更に望ましくは10℃以上低い温度
で処理するのがよい。
あるいはまた温度とは独立に、水素圧を前段の処理条件
より゛10kg/i以上、更に望ましくは20kg/i
以上高水素圧下に処理することによって触媒上に析出し
た炭素質を有効に処理することができる。
例えば前段、後段の水素圧がほぼ等しい場合には、前段
を高温で、後段を低温で処理しても、また前段、後段の
処理温度を等しい条件で行なう場合には、前段を低圧で
後段を高圧で処理することが好ましい。
本発明を経済性よ〈実施するには、一般には、前段を高
温、低水素圧で、後段を低温、高水素圧で処理する。
もちろん、必要に応じ、後記実施例4に示されるように
、後段の水素圧は前段のそれよりも低くすることも可能
である。
例えば前段を水素分圧10〜350ky/i、好ましく
は30〜250kg/cIIL、反応温度350〜.5
00℃で、好ましくは400〜480℃であり後段は、
水素分圧30kg/ff1以上、好ましくは50〜35
0 kg/cri、反応温度300〜460℃、好まし
くは350〜440℃である。
このように前段の水素化処理条件の低水素圧、高温条件
から明らかなように本発明の方法は、反応率が極めて大
きいにもかかわらず水素消費量が著しく少ないことを特
徴とし、低水素圧、高温の条件によって惹起される触媒
上への炭素質の析出を、後段の水素化処理との有機的組
合せにより解決したもので・微細粒子触媒を利用した鉱
油類の水素化処理としては、最も理想的なものとなし得
たものである。
第2の触媒は、任意の水素化処理用触媒が利用可能であ
り、目的とする生成油の性状に応じ選択すればよい。
一般には、周期律表1b、Ilb、IIIa。Va t
Vla y■aおよび■族金属から選ばれた1種以上
を多孔質担体に担持したもので、多孔質担体としてはア
ルミナ、シリカ、アルミナシリカ、ゼオライト、マグネ
シア、マグネシアシリカ、マグネシアシリカアルミナ、
アルミナボリア、燐酸アルミニウム、チタニア。
シリカチタニア、ジルコニア等の合成物や、カオリン、
軽石、モンモリロナイト、アタパルジャイト、セピオラ
イト、天然ゼオライト等天然物、又はこれらの混合物が
用いられる。
それらのうち特に好ましいものとしては、多孔性アルミ
ナあるいは/およびアルミナシリカ担体とし、これにV
、Cr2M02W、Ni、CO2Cu。
Pdから選ばれた1種以上、特にV、Mo、Wからなる
1種以上を金属として合計3〜20重量%、好ましくは
5〜15重量%、とNi、Co、Cuからなる1種以上
を合計0.5〜10重量%、好ましくは、1〜5重量%
含むものが望ましい。
担体として燐あるいはボリアなどを含むものを用いても
よい。
第2触媒の物理的性状のうち平均細孔径は、触媒性能に
最も大きな影響を及ぼし、150λ以下特に30〜12
0人のものが好ましい。
すなわち、通常の重質油の水素化処理、特に水素化脱硫
においては、平均細孔径150Å以上の大細孔径触媒を
用いるのが一般的であるが、本願発明においては第1工
程にて原料油中の可溶性金属類が殆んど除去されると同
時に、アスファルテン類等の巨大分子が分解され、小分
子量化した芳香族炭素比率の大きい分子となる。
そのため、通常の大細孔径触媒の代りに、上記の比較的
小細孔径のものを用いることによってそれら分子の細孔
内部への拡散を防止し、炭素析出による触媒活性の低下
を抑制するものである。
第2触媒は、固定床、流動床、沸騰床、移動床等の公知
の任意の反応方法で処理することができる。
微細粒子触媒と第2触媒との分離は、粒径の差を利用し
た任意の方法が適用できる。
例えば沈降分離法、電磁気的分離法、起泡分離法、嵩容
積の差を利用する方法等である。
これらのうち、通常は嵩容積の差による分離が便宜的で
あり、第2触媒としては、第1触媒より嵩容積が大きく
、最も薄い部分が0.3〜20關、好ましくは0.5〜
5m肋ものを用いることが、第1触媒の微細触媒と容易
に分離でき、かつ十分な強度と水素化活性を持たせるこ
とができるので好ましい。
さらにまた第2触媒を固定床として用いることによって
、脱炭素質処理後の触媒は、固定床触媒と自ずと分離さ
れるため、特に分離工程を必要とせず、極めて好ましい
この場合、特開昭53−40003に示されるような空
隙率が増加する形状の触媒を充填した固定床を用いたり
、本発明者による特開昭56−28290号公報に記載
の「固定触媒床の閉塞防止方法」を適用してもよい。
微細粒子触媒は生成油、あるいはそれに任意の鉱油を加
えた油に懸濁せしめた状態で、水素化処理、脱炭素処理
、循環が行われ、また、処理が終った生成油も微細粒子
触媒を含んだまま、爾後の処理が行われるため、特に生
成油からの分離を必要としないが、実質的に微細粒子触
媒を含む部分と、含まない部分との分離が必要な場合に
は沈降分離、遠心分離、r過分離等の方法で分離するこ
とができる。
ここで分離される軽質油は、可溶性金属類、アスファル
テン類等がほとんど全く含まれない、しかも残留炭素が
極めて小さい油であり、そのまま燃料、内燃機関燃料、
あるいは接触分解等の接触処理原料として好適である。
生成油に懸濁している微細粒子触媒は、常圧蒸留、減圧
蒸留、溶剤税源等の2次処理における残渣油中に濃縮さ
れた状態で分離される。
以上の説明から明らかなように、本発明の方法はほとん
どあらゆる鉱油類の水素化処理に利用することができる
が、とりわけ触媒がコークの析出および金属類の堆積に
よって被毒され易い、例えば残留炭素が2.0重量%以
上、殊に10重量%以上の重質油類あるいは0.1重量
%以上の灰分を含む重質油類の水素化分解、脱メタルあ
るいは脱硫、脱窒素法等の処理に有効である。
特に残留炭素を5.0重量%以上および/あるいは沸点
350℃以上の重質分を80重量%以上含む、可溶性金
属類を1100pp以上、好ましくは200ppm以上
含む鉱油類を、炭素質、金属類の触媒上への析出による
劣化の少ない状態で処理する上で極めて好ましい方法で
ある。
微細な触媒を懸濁せしめ常に一定値以下のコークレベル
で水素化処理することによって反応器の閉塞、あるいは
触媒の劣化が極めて起りにくく、さらに驚くべきことに
は、微細粒子上に堆積する原料油中の可溶性金属類が、
触媒を被毒せず、かえって活性を付与し、水素化分解に
寄与することである。
次にフローシートによって本発明の方法の実施の態様を
説明する。
ここに示す工程はあくまで基本的なものであり、本発明
の方法はこれらに制限されるものではない。
第1図から第7図までの工程においては1は微細粒子触
媒による水素化処理反応器を、4は微細粒子触媒の脱炭
素質のための水素化処理反応器を夫々示し、また2、5
は夫々気液分離器を、6,7は夫々蒸留塔を示す。
同図に於て破線で示したラインは、必要に応じて採用す
る工程を示す。
第1図では、微細粒子触媒を用いて反応器1にて水素化
処理することによって炭素質の析出した触媒は、気液分
離器2で気体を分離した後、再び反応器4で水素化処理
し、常圧蒸留6、減圧蒸留7を経て、減圧残渣の一部を
触媒を含んだま\反応器1に循環する工程を示したもの
である。
これを更に詳細に説明する。
微細粒子触媒を添加された原料油は、水素と共に反応器
1に送り、水素化処理しライン11を経て気液分離器2
に送り分離する。
分離された気体生成物はライン12を経て、循環ガス処
理装置3に送り、硫化水素ならびにC1〜C2ガスを分
離し、水素はライン21から新水素に混合され、ライン
14を経て脱炭素処理用水素として供給する。
一方分離された液体生成物はライン13を経て、要すれ
ばライン23から供給される減圧軽油と共にライン15
を経て、第2の水素化処理用触媒が充填された反応器4
に送られる。
微細粒子触媒の全量を処理する必要がない場合には、一
部をライン22を経て、反応器4をバイパスしてもよい
反応器4で処理された微細粒子を含んだ生成油は、ライ
ン16を経て気液分離器5に送られ、ここで再び水素含
有ガスを分離する。
ガスはライン17を経て反応塔1に送る。
液生成物はライン18を経て、ライン22から送られる
液生成物と共に常圧蒸留塔6に送られる。
常圧蒸留塔6では、プロパン−軽油が製品として分離さ
れ、残渣分はその一部を反応器1に循環し、大部分がラ
イン19を経て、減圧蒸留塔7に供給され、減圧軽油と
、脱炭素処理された微細粒子触媒を含んだ残渣に分離さ
れる。
減圧軽油の一部は要すればライン23を経て、脱炭素質
処理に供給される生成油の稀釈に用いられる。
減圧残渣はライン20を経て反応塔1に循環するほか、
1部は抜出される。
第2図は、第1図の方法における気液分離器2で分離さ
れた液生成物をそのま\水素圧処理せず、常圧、ならび
に減圧処理した後、減圧残渣の一部を反応器4で水素化
処理する方法を示したものである。
このような方法は、第2段の水素化処理が、重質油のみ
が処理されるため軽質化に要する化学水素消費量が著し
く少くてすむ反面、得られる軽質油中の不飽和分および
硫黄の含量が多くなる。
従って得られる軽質油を、接触分解原料等として用いる
場合に好適である。
第3図の方法は、第1図の方法における常圧蒸留塔6を
、反応器4の前に置き、減圧蒸留塔7の代りに税源装置
8を使用する方法である。
この方法ではアスファルテン、可溶性金属類等の特に少
ない良質税源油を、硫黄分ならびに不飽和分の比較的多
い軽質油と共に得る上で好適な方法である。
第4図の方法は、基本的には第1図に示した方法とはg
同じであるが、水素化処理した生成物が、気液分離処理
を経ずにそのま5、脱炭素質処理に送られること、なら
びに第3図の場合と同様に、減圧蒸留塔7の代りに溶剤
税源装置8を用いる点が異なる方法である。
第5図に示した方法は、第3図の方法と類似しているが
、第3図の常圧蒸留塔6を、水素又は生成ガスを通じな
がら行なう気液分離器29で分離された触媒粒子を含ま
ない気体成分のみを蒸留している点が特徴であり、微細
粒子を含む生成油が高水素圧下、高温あるいは低温(税
源工程)において軽質油と重質油とに分離されるために
、水素化処理工程に循環される重質油の変質が防止され
、また微細粒子触媒の凝集沈澱等が少くできる利点があ
る。
第6図に示した方法は、微細粒子触媒を含む水素化処理
生成油から、炭素質が堆積して劣化した触媒を固液分離
装置9,10において分離・濃縮した後、反応器4で水
素化処理して微細粒子触媒上の炭素質を水素化除去して
反応器1へ循環する点が特徴である。
このような微細粒子触媒を固液分離し、水素化処理し、
循環する方式は、微細粒子触媒が固液分離しやすい場合
に特に有利である。
この場合の微細粒子触媒としては、粒子径が10μ以上
、好ましくは50μ以上であって通常の固液分離が容易
なもの、あるいは/および触媒粒子が実質的に鉄族金属
あるいはバナジウムなどを含み、沈降分離、遠心分離な
どによる固液分離が容易なものなどが挙げられる。
またこのような触媒の循環方式は、タールサントビチュ
ーメンや溶剤抽出炭のように、相当量の灰分を含む原料
の水素化分解に好適である。
第6図において、ライン40からの原料は、ライン41
からの微粉末触媒、ライン42からの水素、ライン18
から循環される水素化脱炭素された微細触媒、および必
要に応じて固液分離されてライン26から循環される微
細触媒、ライン20からの減圧残渣、あるいはライン2
7からの常圧残渣と共に、水素化処理反応器1へ送られ
る。
気液分離器2からライン13で送られる液体生成物は第
1固液分離器9に送られ、主として灰分及び劣化して粗
粒化した廃触媒からなる固形分がライン15から抜出さ
れ、ライン55から系外に排出される。
上澄液はライン14により第2固液分離器10に送られ
る。
第2固液分離器としては、ハイドロサイクロンあるいは
遠心分離装置などを用いることができる。
第2固液分離器10へは、必要に応じ、逆洗液として、
蒸留塔6,7からライン22によって軽質油が循環され
る。
分離された使用済微細触媒はライン17を経て、ライン
23から循環される水素および必要に応じライン21に
よって循環される軽質油と共に水素化脱炭素用水素化処
理反応器4へ送られる。
再生触媒はライン18を経て、水素化処理反応器1の入
口へ送られる。
一方、第2固液分離器10からの上澄液はライン16を
経て、常圧蒸留塔6、次いで減圧蒸留塔7へ送られ、各
留分および残渣分に分離される。
必要に応じて常圧蒸留残渣および/あるいは減圧蒸留残
渣の一部あるいは全部が各々ライン27及び20を経て
水素化処理反応器入口へ循環される。
第7図に示した方法は基本的には第6図に示したものと
同じであり、同様な原料の水素化分解に好適である。
第7図において、第2固液分離器10からの上澄液はラ
イン16を経て、常圧蒸留塔6へ送られ、ライン19を
経て残渣分がライン26からの水素と共に、残油水素化
処理反応器8に送られる。
この水素化処理反応器において、残渣分は、水素添加、
脱硫、脱窒素、脱アスファルテンおよび残留炭素低減化
され、ライン20を経て水素化処理反応器1へ循環され
る。
この残油水素化処理は、先に説明した使用済の微細触媒
を含む残油分の水素化処理において用いられるものと同
様の触媒の存在下および反応条件下で行われる。
常圧蒸留塔6からの残油分は、必要に応じて、ライン2
9を経て、水素化処理反応器1へ循環してもよいし、ラ
イン27を経て減圧蒸留塔7に送り、減圧軽油分の一部
あるいは全部をライン28を経て残油水素化処理器8人
口へ循環してもよい。
本発明の方法は、200μ以下、好ましくは30μ以下
の微細粒子触媒を懸濁状態で使用して水素化処理を行な
う際、触媒上に析出する炭素質を必要に応じ第2の触媒
の存在下に水素化処理することによって炭素質を脱離し
、これを再び水素化処理工程で使用することを特徴とす
る方法であり、画処理を連続的に行なうことが好ましい
が、勿論バッチシステム、セミバッチシステム等の方法
で行なってもよい。
水素化処理反応は、通常空塔反応装置によって行なわれ
るが、反応塔内のに却、コーキングの防止、微細触媒の
沈澱防止原料油と水素との混合等のため塔内に公知の装
置、設備を取付けてもよい。
本発明は従来公知の方法に比較して以下のような利点お
よび特徴を有する。
(1)水素化処理においてコーキング等による反応器の
閉塞の心配がないこと; (2)触媒が再生、循環使用されるため、触媒消費量が
極めて少ないこと; (3)使用済触媒の水素化再生工程において固定床触媒
を用いる場合に、触媒を分離する固液分離装置を必要と
しないこと; (4)再生された触媒が重質油と共に循環されるが、こ
の重質油は水素化処理されているためコーキングの心配
がないこと; (5)減圧軽油、あるいは税源油等が脱炭素質処理の稀
釈剤として利用可能であり、固定床方式が採用できるこ
と、ならびにこれらの循環油が高度に水素化精製される
こと; (6)水素化処理が、高温、低水素圧下で処理出来るた
め全体として小さな反応筒容積および低水素消費量で、
しかも高収率で軽質油を得ることができること; (力 残留炭素量が大きく、アスファルテン類および可
溶性金属類の極めて多い重質油であっても、実質的に長
期間一定性状の処理油が一定収率で得られること; (8)触媒上に析出した炭素質分が、油分に転化して実
質的に製品として回収されるために、製品収率が上るこ
と; (9)触媒の再生、賦活処理が、実質的に生成油から分
離する必要なく行われるため、自然発火等従来法におけ
る危険性が全くなく、しかも連続処理上極めて有利なこ
と; である。
次に実施例により本発明の方法を更に詳細に説明する。
実施例において特に断わらない限り、濃度、比率等は全
て重量基準による。
実施例 1 下記に性状を示す超重質原油にホワイトカーボンとして
市販されている超微細シリカをほぼ1.0%となるよう
に加え、十分に素練り、混練したのち、激しく攪拌して
均一に混合し、オートクレーブで水素化処理した。
微細粒子触媒は、4塩化珪素の酸水素焔中の高温分解に
よって得られる、比表面積(窒素吸着法)380±30
m/9.1次粒子の平均直径80人、見掛比重0.06
−1SiO2含有率99.8%以上のほとんど内部細孔
を持たない触媒である。
水素化処理が終った後、ステンレス金網製円筒に、アル
ミナを担体とし、M o Osを15%、CoOを3,
5%担持してなり、比表面積(BET法)341m/9
、細孔容積(水銀圧入法) 0.786CC/9の性状
を有し、直径0.8 mmの球状触媒を生成油の約3%
充填して、オートクレーブ内に装入し、再び水素化処理
を行なった。
前段、後段の夫々の水素化処理条件は下記の通り。
前段の処理後分取した試料の分析により微細粒子触媒上
に可溶性金属類と共に多量のコークの析出が認められた
が、後段の処理後では、このコークがほとんど水素化さ
れると共に脱離していることを確認した。
後段の処理の前後における微細粒子触媒の性状の差を分
析結果として下に示す。
この結果から新触媒の性状を基礎に算出すると処理前に
は新触媒に対して約300%のコークの堆積が認められ
るにもか5わらず、処2理後には34%に激減しており
、コークの大部分が脱離されていることがわかる。
また原料油中のバナジウムの大部分が触媒上に析出して
いることも示されている。
後段の処理による生成油を、微細粒子触媒を含んだま一
常圧蒸留し、軽油以下の軽質油と、微細触媒を含む残渣
油とに分離した。
軽質油の性状を下記に示す。
軽質油の収率は約80%であった。分離された残渣油に
約4倍量の新原料油ならびに新触媒を加え、コークが付
着する前の新触媒基準で、油分に対する触媒の含有量が
、前段の処理前と同一条件となるように調整し、水素化
処理を繰返した。
このように同一方法、同一条件で、順次2回(計3回)
処理を繰返し各処理後の、生成油および触媒の主要性状
の変化を調べた。
後段の水素化処理に使用する触媒は、活性レベルを一定
に保つため、毎回新触媒を使用した。
微細触媒の分析用試料は、米国ミリポアー社製のテフロ
ン製5μp紙を用いて生成油から分離し、トルエンで十
分洗浄したものを用いた。
前述の繰返し方法における各処理の前後段別の処理油の
性状を第8図ならびに第9図に夫々示す。
この結果から前、後段の夫々の処理油の性状は、微細触
媒および循環回数によらずはg一定であることがわかる
しかるに第8図ならびに第9図を詳細に検討すると、前
段処理においてはバナジウム、n−へブタン不溶分なら
びに350℃十残渣分は循環回数の増加とともに若干の
上昇傾向を、また硫黄は逆に若干下向する傾向を示して
いる。
この性状を表にまとめると次のようになる。
また繰返し処理における微細粒子触媒上に析出する炭素
およびバナジウムの堆積量の新触媒を基準とした割合(
%)を、繰返し回数との関係として第10図、ならびに
第11図に前段処理、後段処理別に示す。
この結果から前段の処理においては、触媒上に析出する
コーク量は、第1回の処理においては著しく多いものの
2回目以降においては激減することが示されている。
これは原料油中から析出されたバナジウム、ニッケル等
による触媒効果のためと推定される。
第11図の結果から後段の処理後の触媒上に堆積したバ
ナジウム量は、予想されたように処理の繰返し回数に比
例して増加し、第3回目繰返し処理後では、その堆積量
は新触媒に対して約40%に達することが認められる。
これに対しコーク量はや5減少する傾向を示している。
以上の結果をまとめると次の通り。
(1)高収率で良質の軽質油が得られること。
(2)前段の処理で主たる反応が起り、微細触媒上に多
量のコークおよび金属類が堆積すること。
(3)コークにより劣化した微細粒子触媒が、後段の処
理で再生賦活されること。
実施例 2 ホワイトカーボンという名称で市販されている比表面積
1007FIt/g、平均−次粒子径240人の超微細
粒子からなるアルミナを担体とし、下記の方法でニッケ
ルおよびモリブデンを担持した触媒を用いた。
先づニッケルおよび酸化モリブデンのアセチルアセトン
塩を夫々所定量秤量し、これを約100倍重量の1,4
−ジオキサンに加温しつつ完全に溶解せしめた。
別に前記担体に約10倍量の1,4−ジオキサンを激し
く混線、撹拌しつつ加え、十分混練し、先に調整したニ
ッケル、モリブデンのジオキサン溶液を所定量加え、混
合物を環流冷却器付容器に移し、約100℃で3時間静
かに加熱した。
加熱終了後、減圧下でジオキサンの大部分を蒸発し、得
たゲル状物を120℃で2時間乾燥して溶剤の大部分を
揮発せしめ、更に300℃で1時間、次いで500℃で
1時間焼成して塊状物を得、これをボールミルで微粉砕
した。
得られた触媒の主要性状は次の通り。
触媒を原料油に約2.0%含まれるように調整し、実施
例1の方法を繰返した。
水素化処理条件ならびに後段の処理に使用する触媒の性
状を下に示す。
後段の水素化処理して得た生成油を実施例1と同様の方
法で常圧蒸留法で下記に性状を示す軽質油と微細粒子触
媒を含む残渣とに分離し、該蒸留残渣に新原料油ならび
に新触媒を加えて触媒の原料油に対する比率を第1回の
処理と同一条件に調整し、再び水素化処理を行なった。
このようにして3回繰返し処理を行なった。
前段、ならびに後段の水素化処理後における微細粒子触
媒の分析結果によれば前段の処理後に該触媒上に堆積す
る炭素質の量は処理回数によらず新触媒基準ではg80
〜70%の範囲であり、後段の処理後にはこれが22〜
25%に激減していることが認められている。
本実施例の方法では、実施例1の場合に比較すると、前
段の処理生成油中の硫黄とバナジウムの含有率はかなり
少く、n−へブタン不溶分と350℃十残渣分収率はは
g同じであるが繰返し処理回数が多くなるにつれや\増
加する傾向が認められている。
一方後段の処理生成油は、実施例1の場合と同様に処理
の繰返し回数によってはほとんど変らず、このため常圧
蒸留によって回収される軽質油は、はとんど均一な性状
の良質な軽質油が得られた。
以下に常圧蒸留で回収されたC6〜350℃留分の主要
性状を表記する。
以上の結果から、金属を担持した微粉末触媒を用いるこ
とによって前段の水素化処理におけるコーク堆積量が減
少するとと;前段で比較的高温、低圧で処理しても、後
段で微細粒子触媒が十分再生賦活されること;常圧蒸留
で分離される軽質油の性状は極めて高品質であり、かつ
循環処理によってほとんど変動しないこと; が認められた。
実施例 3 硫化水素の存在によってもたらされる効果を確認するた
めに第2回、第3回の繰返し処理の水素源に、新水素基
準で5%の硫化水素を含むガスを使用することのほかは
、実施例1の方法を繰返した。
前段の水素化処理油性状ならびに触媒上への炭素堆積焉
(新触媒基準%)を下記に示す。
以上の結果から、硫化水素分圧を高めることによって生
成油中のバナジウムおよびn−へブタン不溶分が減少し
、微細粒子触媒上へのコーク堆積量が減少するため、重
質油から良質の軽質油を得るには、特に前段の処理の硫
化水素分圧を積極的に高めることが効果的であるこさが
明らかである。
実施例 4 下記に性状を示すタールサントビチューメンを原料油と
して、第4図に示した工程とほに同一の方法で処理した
が、原料油中には少量のトルエン不溶固形分が含まれて
いるので、繰返し処理の際、新たに微細粒子触媒を添加
することなく、溶剤税源工程で分離された税源残渣の一
定量を抜出し、これと新原料油を混合し、前段処理に循
環すると共に、税源残渣の一定量を後段の処理に循環し
た。
尚以下にトルエン不溶分の組成を示すと共に、第12図
に顕微鏡写真から求めた粒形分布図を示す。
尚後段の処理後の微細固形分の粒度を測定したところ、
反応開始当初において、平均粒子径が少くとも数分の1
以下に減少することを認めている。
本実施例の前後段の水素化処理には、内径25mm、加
熱部の長さ約11rL、内容積約500CCの空筒反応
管を備差た通常の高圧流通式反応装置を用い、特に後段
の反応管には、外径約1.6mmの円柱状脱硫触媒50
0CCを充填した触媒層を用いた。
後段の水素化処理に用いた触媒の性状ならびに前後段の
水素化処理条件を下記に示す。
後段の水素化処理生成油は、通常の連続式常圧蒸留装置
と、生成油と溶剤の混合槽、液々抽出塔、溶剤分離回収
塔等を備えた連続式溶剤税源装置との結合された装置で
処理したが、第4図にライン21で示した水素循環およ
びライン24で示した税源油の循環は行わなかった。
溶剤税源処理条件を下記に示す。
循環運転を開始後、約150時間で新原料の供給量が5
40Cc/Hrとはg一定になり、製品の収率も下記の
ようにはg一定となった。
実施例 5〜15 各種の微細粒子触媒を使用して実施例1の方法のうち、
前後段の水素化処理のみを行なった。
結果を下記に示す。
尚前記の各処理に於ける生成油を分析したところ下記に
示す性状の範囲内の均一な性状を有することを確認した
この結果からバナジウムおよびn−へブタン不溶分をま
とんど含まない、かつ残渣分の少ない良質の軽質油が得
られることがわかる。
この結果からいづれの触媒についても後段の処理によっ
てコークの相当量が脱離していることが明らかであり、
これらを再び前段の処理の1部あるいは全量として使用
出来ることが容易に理解されよう。
実施例 16 Mob36.7%およびCo01.3%を担持した、比
表面積が100m/9、細孔容積が5.2CC/9であ
る粒子直径がほぼ5〜10μの微粉末状シリカ触媒を用
い、流通式反応装置内において、反応温度450℃、水
素分圧30kg/crA、液間速度1.0Hr−1およ
び水素/原料油比1000e/(II!の条件下で、比
重(1574°C)が0.8882、コンラドソン残留
炭素が3.86%であり、硫黄0.13%および窒素0
.23%を含む325°C以上の高沸点残渣分90.2
%および540℃以上の高沸点残渣分48.4%を含む
残渣油を水素化分解した。
触媒は原料油に対して2.0%の割合で添加し、使用済
触媒は生成油から5μフイルターを用いて固液分離した
固液分離して回収した触媒に対して水素供与性炭化水素
としてのテトラリンを10倍量加え、オートクレーブを
用いて、水素圧50kg/crit、反応温度400℃
、反応時間2時間の条件下で水素化処理し、脱炭素質化
し、再び固液分離して再生触媒を回収した。
この再生触媒を新触媒基準で原料油に対して2.0%加
え、再び上記の反応条件下、同一残渣油を水素化分解し
た。
□反応後さらに生成油から触媒を回収し、前記と同
様にして、再生と水素化分解を繰返した。
各水素化分解実験において、固形分を分離した後の涙液
を分析したところ、触媒の繰返し使用回数に関係なく、
325℃以上の高沸点残渣公約48.9%、540℃以
上の高沸点残渣分9.8%、残留炭素1.4%の軽質化
油が生成していることが確認された。
これに対して、各触媒繰返し実験において生成する分解
ガス中のブチレン/ブタン比および生成油から分離され
たIBP〜180℃留分(ナフサ)中の窒素含有率は、
触媒の繰返し使用回数と共に徐々に上昇することが認め
られた。
同様にして、各実験において回収された粉末触媒を分析
したところ、炭素含有率が徐々に多くなることが認めら
れ、触媒の繰返し使用によって、触媒への炭素質への堆
積が多くなり、このため触媒の劣化が進むことが判った
比較例 1 実施例16において、使用済触媒を水素化再生し、繰返
し使用する実験と比較するために、使用済触媒を水素化
再生することなく繰返し用いた以外は同様にして実験を
行った。
この実験により得られた分解ガス中のブチレン/ブタン
比およびIBP〜180℃留分中の窒素含有率と、固液
分離された使用済触媒中の炭素含有率を分析した。
次に、前記した実施例16および比較例1の分析結果を
第13図に示す。
第13図において、曲線1,3および5は触媒再生を行
った実験(実施例16)の結果を示し、曲線2,4およ
び6は触媒再生を行わなかった実験(比較例1)の結果
を示す。
第13図から、粉末触媒を繰返し使用する場合に、使用
済触媒に対し再生のために水素化処理することによって
、使用済触媒中の炭素含有率を低減させることができ、
それに伴って分解ガス中のブチレン/ブタン比が低下し
、さらにIBP〜180℃留分中の窒素含有率(ト)が
減少することが認められる。
従って、本発明によって使用後の粉末触媒を水素供与性
炭化水素油中で水素化処理する時には、触媒に堆積した
炭素質は脱離されて劣化した触媒は賦活され、その結果
、触媒再生を行わない場合に比して、分解ガス中のパラ
フィン比率は高くなり、かつ軽質油中の脱窒素率が向上
することが認められる。
さらに、使用済触媒を再生し、繰返し使用する前記実施
例16の実験において、回収された触媒を顕微鏡観察し
たところ、触媒粒子の凝集は全く認められず、また、反
応後了後に反応管を溶剤で洗浄し、油分を除去した後、
その内部を目視観察したところ、コーク状の堆積物はほ
とんど認められなかった。
従って、本発明による実施例16の実験において、粉末
触媒上への炭素質の堆積によつて触媒活性の低下は認め
られるものの、過度の触媒劣化は回避され、触媒粒子の
凝集沈降までには到らなかったことが理解されよう。
実施例 17 実施例16で用いた微粉末触媒の炭素質の堆積による活
性劣化を調べるために、実施例16で用いたものよりも
残留炭素と可溶性金属類の著しく多い、実施例1で用い
たものと同じ超重質油を、オートクレーブ中で水素化分
解し、反応後に回収された使用済触媒を観察した。
この実験においては、触媒上への炭素質の堆積速度を増
加させるために、水素化分解反応は、実施例1の場合よ
りも、より高温およびより低水素圧下で行ない、かつ触
媒添加比率も115〜1/20に減らした。
これらの実験結果を次表に示す。
この実験において、反応後にオートクレーブ内壁を溶剤
で洗浄した後、その内壁に対する炭素質の付着状況を観
察したところ、実験3においてはややコーク汚染されて
いることが認められたが、実験1および実験2において
はコーク汚染はほとんど認められなかった。
これらのことから、新触媒に対する炭素質の堆積量が約
20倍に達するまでは、反応器壁へのコーク汚染は極め
て少ないことが認められる。
しかし、炭素質の堆積量が約40倍を超えると、反応器
のいわゆるコークアップが始まることが認められる。
また、前記実験において回収された使用済触媒の走査電
子顕微鏡写真(iooo倍)を検討したところ、触媒に
対する炭素質の堆積比率が増加する実験A1,2および
3の順序に従って、触媒粒子の凝集率が多くなることが
確認された。
従って、本発明の方法は、炭素質の堆積により劣化した
触媒の活性化に対して有効であるばかりでなく、さらに
、触媒の凝集沈降の防止および反応器のコークアップ防
止に対しても極めて有効であることが理解される。
さらに、実験A3から回収された凝集し、粗粒化の認め
られる劣化触媒を、水素供与性炭化水素を用いる水素化
処理または軽油中に分散させた状態での加圧水素化処理
を施したところ、いずれの場合も、劣イBSmは、再び
細粒化することが確認された。
実施例 18 疎水性微粉シリカに対して、5i0220%を含むコロ
イダルシリカをバインダーとして少量加えて混練した後
、1mmの円柱に成形した。
この成形体を500℃で3時間焼成した後、120℃、
減圧下でモリブデンヘキサカルボニル(MO(CO)6
)の蒸気と接触させ、モリブデンを約2.4%担持させ
た。
この触媒の比表面積は130m″/g、細孔容積は1.
9CC/9であった。
次に、この触媒を微粉砕し、平均粒子直径がそれぞれ1
20μ、17μおよび3μのMo担持微粉シリカ触媒を
得た。
次に、前記のようにして得られた平均粒子径の異る触媒
を用いて、実施例17と同様にして、オートクレーブ中
において、同一原料油を、触媒濃度0.2〜1.0%、
反応温度420℃、反応水素圧140 kg7crit
の条件下、反応時間を変えて水素化分解し、コークレベ
ルがそれぞれ、はぼ30%。
60%および120%の使用済触媒を回収した。
次に、これらの使用済触媒を沸点が250〜340℃の
硫黄分0.8%含む軽油に分散させ、オートクレーブ内
において、温度380℃、水素圧140ゆ/dの条件下
で水素化処理し、炭素質の減少速度を測定した。
その結果を第14図にグラフとして示す。
このグラフにおいて、横軸は使用した触媒の平均粒子径
(μ)を示し、縦軸は使用済触媒の相対的炭素質減少速
度を示す。
曲線1はコークレベル30%、曲線2はコークレベル6
0%および曲線3はコークレベル120%の使用済触媒
についての結果をそれぞれ示す。
第14図から、コークレベルが30%の場合には、粒径
が1711’1llO)成形触媒からでも充分な相対速
度で炭素質が触媒上から脱離されることが認められる。
しかしながら、炭素質が充分な速度で触媒から脱離され
るには、適用する触媒は、コークレベルが60%の場合
には平均粒径120μ以下およびコークレベルが120
%の場合には平均粒径17μであることが必要である。
従って、適用する触媒の粒径が小さい程、使用済触媒は
容易に水素化再生される。
さらに、前記の実験において、同一触媒添加率および同
一反応温度においては、触媒粒径が大きいもの程、炭素
質の堆積が少なく、コークレベルが小さくなる傾向を示
すが、一方、粒径の大きい触媒はどコークレベルは小さ
くなるものの、反応器への炭素質の付着が著しく、これ
を防ぐためには触媒添加率を増大させる必要のあること
が判明した。
以上の実験結果から、本発明の方法で用いる触媒として
は、粒径の小さいもの程有利であり、しかも使用済触媒
の水素化再生の容易さは、コークレベルおよび平均粒径
によって影響されることが理解される。
実施例 19 実施例1で用いたものと同一の超微粒子シリカに対し、
実施例18におけると同様の操作によりMo (CO)
oを蒸着させ、モリブデン約3.0%担持させた超微粒
子シリカ触媒を得た。
次に、この触媒を用い、第3図に示したとほぼ同様の流
通式装置系を用い、実施例1で用いたのと同じ超重質油
を水素化分解した。
即ち、この実験においては、水素化分解生成油は、気液
分離させた後、常圧蒸留し、微粒子触媒を含む蒸留残渣
油のうちの約50%を固定床水素化処理装置に送って再
生お、残りの約50%は溶剤税源塔8を通ることなく、
ライン22とライン20を直結し、そのまま水素化分解
装置へ循環させた。
水素化分解反応器入口での触媒濃度は、新触媒基準で約
0.5%となるように調整し、水素化分解反応器内の水
素圧は140kg/fflおよび反応温度は435℃に
保持した。
固定床水素化処理装置には、セピオライトに水を加えて
混練成形した後、コバルトとモリブデンを担持させるこ
とによって形成した、CoO約1.9%、MoO3約4
.8%を含み、比表面積170 tri’/’ij、細
孔容積0.79CC/9、粒径1/32インチの触媒を
充填した。
この固定床水素化処理装置における反応条件は、水素圧
140kg/d1温度400℃とした。
反応開始約1週間後に新原料油供給速度が一定となった
この時の水素化分解反応器の液空間速度は0.83Hr
’、リサイクル比(全供給原料/新原料油化)は1
.89であった。
また、この時の固定床水素化処理装置の液空間速度は1
.2Hr −1であった。
水素化処理装置入口での供給原料中の固形分(使用済触
媒)に含まれる炭素量は約47%および水素化処理後の
水素化生成油中の触媒中に含まれる炭素量は約41%に
減少し、はぼ一定となることが認められた。
この実験で得られた各生成物の収率は次の通りであった
また、この実験において、使用済触媒を含む水素化分解
残渣の一部を再生処理することなく全量を水素化分解装
置に循環した場合には、触媒のコークレベルが反応経過
時間に比例してほぼ直線的に増加し、反応器が短時間で
コークアップすることが認められた。
【図面の簡単な説明】
第1図から第7図までは、本発明の各種態様を示す工程
図であり、図において1は前段の水素化処理装置を、4
は後段の水素化処理装置を夫々示す。 第8図〜第11図は実施例1における試験結果を示すグ
ラフであり、第8図と第9図は、前段、後段別の各繰返
し処理毎の生成油の性状の変化を示す図であり、第10
図と第11図は同じく前後段処理における微細粒子触媒
上への炭素質およびバナジウムの堆積量の変化を示した
ものである。 また第12図は実施例4で使用した原料油であるタール
サントビチューメン中のトルエン不溶分の、顕微鏡写真
から求めた粒形分布図を示す。 また、第13図は触媒の繰返し使用回数とブチレン/ブ
タン比、窒素含有率■又は触媒中の炭素含有率(イ)と
の関係を示すグラフ、第14図は相対的炭素質減少速度
と触媒平均粒子径@との関係を示すグラフを示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1200μ以下の微細粒子からなる触媒を用いて鉱油類
    を水素化処理する方法において、水素化処理により炭素
    質が析出した微細粒子触媒を生成油と共に抜出し、少な
    くともその一部を水素加圧条件下で水素化処理して炭素
    質を脱離せしめ、再生した微細粒子触媒を再び前段の水
    素化処理工程に循環することを特徴とする該微細触媒の
    コークレベルを一定値以下に維持しつつ鉱油類を水素化
    処理する方法。 2 鉱油類の水素化処理が水素化分解であり、その処理
    条件が水素分圧10〜350 #/crit、反応温度
    350〜500℃である特許請求の範囲第1項の方法。 3 反応条件が水素分圧30〜250kg/cri、反
    応温度400〜480℃である特許請求の範囲第2項の
    方法。 4 鉱油類の水素化処理工程において用いられる触媒が
    水素化活性金属を含む特許請求の範囲第1項〜第3項の
    いずれかの方法。 5 原料鉱油中の微細粒子触媒濃度は0.1〜20重量
    %である特許請求の範囲第1項〜第4項のいずれかの方
    法。 6 炭素質が析出した微細粒子触媒の水素化処理を、炭
    化水素油類の存在下、水素圧50〜350ky/i、温
    度350〜440℃で行う特許請求の範囲第1項〜第4
    項のいずれかの方法。 7 鉱油類の水素化処理および炭素質の析出した微細粒
    子触媒の水素化処理はいずれも水素加圧下に行われ、後
    段の水素化処理における水素分圧が前段の水素化処理に
    おける水素分圧よりも20Is/d以上高いかまたは/
    および後段の水素化処理における温度が前段の水素化処
    理における温度よりも20℃以上低い特許請求の範囲第
    1項〜第6項のいずれかの方法。 8 水素化処理生成油から炭素質の析出した触媒を分離
    した後、その少なくとも一部を水素化処理する特許請求
    の範囲第1項〜第7項のいずれかの方法。 9 触媒が水素化生成油の重質分と共に分離される特許
    請求の範囲第8項の方法。 10分離が蒸留により行われる特許請求の範囲第9項の
    方法。 11 炭素質の析出した触媒が水素化処理生成油から固
    液分離により分離される特許請求の範囲第8項の方法。 12水素化処理生成油を固液分離処理し、それに含まれ
    る触媒の一部を分離した後、得られた生成油から残部触
    媒を分離し、前記のようにして分離された2種の触媒の
    少なくとも一方を水素化処理する特許請求の範囲第8項
    の方法。 13後段における触媒の水素化処理を、第2の水素化触
    媒の存在下で行う特許請求の範囲第1項〜第12項のい
    ずれかの方法。 14第2の水素化触媒が固定床触媒である特許請求の範
    囲第13項の方法。
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