JPS594829B2 - フ−リエ変換式イオン、サイクロトロン共鳴質量分析の方法および装置 - Google Patents

フ−リエ変換式イオン、サイクロトロン共鳴質量分析の方法および装置

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JPS594829B2
JPS594829B2 JP50124237A JP12423775A JPS594829B2 JP S594829 B2 JPS594829 B2 JP S594829B2 JP 50124237 A JP50124237 A JP 50124237A JP 12423775 A JP12423775 A JP 12423775A JP S594829 B2 JPS594829 B2 JP S594829B2
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は分光質量分析、特にイオン・サイクロトロン
共鳴質量分析に関する。
イオン・サイクロトロン共鳴は周知の現象であり、高感
度で気体イオンを検出する便利な手段である。
この点に関連して、静磁場内における可動気体イオンの
運動は、磁場の方向と直角な面においては円運動に制限
され、磁場と平行な方向においては、その運動は制限さ
れない。この円運動の周期はその磁界の強さとイオンの
電荷対質量比によつて直接決まる。そのような円運動を
行なうイオンに、磁場と直角な振動電場をかけると、振
動電場の周波数に等しいサイクロトロン軌道周波数を有
するイオンは、電場からエネルギを吸収し、加速されて
軌道半径が大きくなり、運動エネルギが高くなる。共鳴
イオンのみが電場からエネルギを吸収するので,電場か
ら実質的に何ら影響をうけない非共鳴イオンと区別する
ことができる。前記の現象を利用して、特定の共鳴周波
数を有するイオンの数を測定する種々の方法および装置
が提案され、実用化されており、一般に、これらの装置
はイオン・サイクロトロン共鳴質量分析装置と呼ばれて
いる。オメガトロン型のイオン・サイクロトロン共鳴質
量分析装置においては、気体試料に電子を衝突させて気
体イオンを発生させる。
次に、これらのイオンに互いに直角方向の磁場および振
動電場をかける。この振動電場によつて共鳴イオンが加
速され、速度が高くなり、軌道半径が大きくなる。最後
にこれらのイオンは集電板に衝突するほどに加速される
。その結果生じるイオン電流を測定し、記録する。他の
型のイオン・サイクロトロン質量分光計においては、振
動電場の周波数に等しい共鳴周波数を有するイオンが加
速され、その結果、電場から吸収される電力が測定され
る。
このように測定された電力は共鳴イオンによつてのみ決
定し、他の共鳴周波数を有するイオンとは無関係である
。したがつて吸収された電力を検出することによつて、
試料中に存在する一定の質量対電荷比を有する共鳴気体
イオンの数を測定することができる。特定のイオン化気
体試料のイオ7質量対電荷比スペクトルは走査および検
出によつて得られることは明らかである。走査は、振動
電場周波数および磁場の強さの両方または一方を変化さ
せ、質量対電荷比の異なる各イオンを振動電場と共鳴さ
せることによつて行なうことができる。このような電力
吸収検出法を利用したイオン・サイクロトロン共鳴質量
分析計の一例は、1968年6月25日にヒーター.M
.レベリンに対し認可された「共鳴イオンが吸収するエ
ネルギを検出するためのイオン゜サイクロトロン共鳴質
量分析計手段」と題するアメリカ合衆国特許第3,39
0,265号に記載されている。その他これに関連した
各種のイオン・サイクロトロン共鳴質量分析の方法およ
び装置ならびにその改良を開示するアメリカ合衆国特許
には、次のものがある。
1969年5月27日にデービツド・E・ギエロ一その
他に対し認可された、「イオン化電位記録手段を用いた
イオン・サイクロトロン共鳴分析計」と題する第3,4
46,957号。
1969年10月28日にヒーター・M・レベリンに対
し認可された「放射および観測高周波源とセルとの直列
接続を用いたイオン・サイクロトロンニ重共鳴分析計」
と題する第3,475,605号。
1970年3月24日に、J.L.ホーンアップに対し
認可された「二重共鳴質量分析によるイオン相関関係測
定の方法および装置」と題する第3,502,867号
1970年4月7日に、D−E・ギエロ一その他に対し
認可された「光学的に透明なイオン集電電極を用いたイ
オン・サイクロトロン共鳴分析計]と題する第3,50
5,516号.1970年4月7日にP−M・レベリン
に対し認可された「試料に対する光照射手段を有するイ
オン・サイクロトロン共鳴質量分析計]と題する第3,
505,517号。
1970年5月12日にP−M・レベリンに対し認可さ
れた「イオン発生源および検光子の共鳴を利用したイオ
ン・サイクロトロンニ重共鳴分析計」と題する第3,5
11,986号.1970年10月20日にJ.D.ボ
ールドシユバイラ一に対し認可された「イオン・分子反
応検査用二重共鳴イオン・サイクロトロン質量分光計」
と題する第3,535,512号。
および、1972年7月18日にJ.D.ボールドシユ
バイラ一に対し認可された「イオン・サイクロトロン共
鳴による低放電スペクトルが分析の力法および装置」と
題する第3,677,642号。一般に、前記のすべて
の特許が開示するイオン・サイクロトロン共鳴質量分析
計はいずれも、試料室の第一領域における気体試料を連
続的にイオン化し、こうして発生するイオンに、互いに
相交わる磁場および静電場をかけることによつて、空間
電荷によつて蒙むる悪影響を減少させている。この電場
および磁場によつて、イオンはこれら電場および磁場と
直角の方向に、第1の領域と離れた同一試料室の第2の
領域までサイクロイド状に移動する。第2の領域におい
て、イオンは磁場とそれに直角の振動電場の両方の影響
をうける。前述した一般的なイオン・サイクロトロン共
鳴現象においては、振動電場の周波数に等しい共鳴周波
数を有するイオンが電場からエネルギを吸収し、エネル
ギ吸収量を検出して、そのような共鳴イオンの数を測定
する。共鳴イオンは第1のイオン化領域から隔離された
空間である第2の分析領域において検出されるので、分
析中における空間電荷の影響を減少させることができる
。これらとや\異なるイオン・サイクロトロン共鳴質量
分析計を開示しているアメリカ合衆国特許は、1973
年6月26日にロバート.T.マクアイバーヰに対し認
可された「パルス化イオン・サイクロトロン共鳴質量分
析の方法および装置」と題する第3,742,212号
である。
この特許に開示されている分析計は、単一区画のイオン
・サイクロトロン共鳴セルを有している。このセル内に
おいて、イオンが所定の第1の期間において発生し、第
2の期間において中性分子と反応し、第3の期間で検出
される。特定の質量対電荷比を有するイオンの検出は、
所要の質量対電荷比のイオンの共鳴周波数を突然変化さ
せ、その共鳴周波数を限界振動検出器の固定周波数に等
しくさせることによつて行なう。(「検出」期間を除き
、イオン・サイクロトロンの周波数は、限界振動周波数
と等しくない。)この限界振動周波数から,定の時点に
おいてそれからエネルギを吸収するイオンの数に比例し
た出力信号が得られる。一定の質量対電荷比のイオンの
サイクロトロン周波数を突然変化させるには、加える磁
場の値を突然変えたり、またはイオン・サイクロトロン
共鳴セル内においてイオンを「捕獲」するために用いる
静電場の大きさを突然変化させればよい。イオン・サイ
クロトロン共鳴検出期間を開始するもう一つの方法は、
限界振動の高周波の値を零ボルトから一定の高い値に突
然変化させることである。イオン・サイクロトロン共鳴
検出期間が終ると[消滅」電場パルスを加えて、すべて
のイオンをイオン・サイクロトロン共鳴セルから取除く
。そして、次に、前述したすべての操作(イオンの発生
、イオンと分子の反応のための遅延期間、イオン・サイ
クロトロン共鳴検出およびイオンの除去)をその順序ど
おりくり返す。上記の従来のイオン・サイクロトロン共
鳴質量分析方法および装置の主な欠点は、イオン・サイ
クロトロン共鳴検出が、一定の時点における単一の周波
数(したがつて、単一の質量対電荷比)VC.限られる
ことである。
任意のイオン化気体試料の広範囲な質量対電荷比スペク
トルを得るためには、前記の装置では、磁場または振動
電場周波数の一方または両方を変イビさせて、種々のイ
オンの共鳴と振動電場の共鳴を等しくしなければならな
い。この点について、例えば、153キロヘルツの固定
振動検出器周波数を用いた場合、単{荷のイオンにつき
、原子量15から240までの質量範囲にわたつて磁場
をかえることにより典型的な質量対電荷比スペクトルを
得るためには約25分必要である。本発明の目的は,任
意のイオン化試料について、広範囲な質量対電荷比スペ
クトルを化較的短時間内に得ることができるイオン・サ
イクロトロン共鳴質量分析の改良された新しい方法およ
び装置を提供することである。
従来のイオン・サイクロトロン方法および装置は、前記
のスペクトル作成時間が長いばかりでなく、他にも欠点
がある。
例えば、得られる信号の分解能が比較的固定しており、
それを容易に変更させて、最終情報の精度を向上させる
ことができない。さらに具体的にいえば、従来の方法お
よび装置では、分解能を向上させるためにSN比を簡単
に変えることはできない。分析する試料が非常に希薄で
ある場合には、これらの要因を相互に取替えられること
が特に重要であることは明らかであろう。本発明の別の
目的は、分解能およびSN比を容易に変えることができ
る改良された新しいイオン・5サイクロトロン質量サ析
の方法および装置を提供することである。
赤外線および核磁気共鳴電分析においてフーリエ変換法
を利用することは、従米から提案されている。
一般VC7−リエ変換方式は、従来の走査法を用いて単
一の周波数一分解要素により走査する場合に通常必要な
時間内に、スペクトル全体の情報を検出するためのもの
である。この点につき、1969年10月28日にW.
A.アンダーソンその他に対し認可された[時間平均化
計算機およびフーリエ分析器を用いたインパルス共鳴分
析計」と題するアメリカ合衆国特許第3,475,68
0号は、イオン・サイクロトロン共鳴質量分析を除き、
種々の質量分析におけるフーリエ法の適用を提案してい
る。また、1970年9月22日VCF.A.ネルソン
に対し認可された「インパルス回転磁場共鳴分析計の内
部磁鴨および周波数制御]と題するアメリカ合衆国特許
第3,530,371号では、イオン・サイクロトロン
共鳴分析計を含む各種の分析計における磁場の強さをも
つばら制御するためのフーリエ法を提案している。最後
に、1969年8月12日VCF.A.ネルソンその他
に対し認可された「インパルス共鳴スペクトル記憶資料
の位相感知アナログ・フーリエ分析器読取方法]と題す
るアメリカ合衆国特許第3,461,381号において
は、パルス磁場励起に対する核磁気自由誘導反応のフー
リエ変換のアナログ法を提案している。この方法は、イ
オン・サイクロトロン共鳴分析計に適用するために提案
されたものである。前記の方法およびその他同様な従来
の方法においては、イオン.サイクロトロン質量分析に
対するフーリエ法の適用が提案されているが、フーリエ
変換法を利用して、フーリエ変換式イオン・サイクロト
ロン共鳴分析計を提供する方法や装置は開示していない
。実際これらの特許は、単に過度的なスペクトノレ反応
のインパルス励起を開示しているのみであり、この励起
は以下に述べる理由により、フーリエ変換式イオン・サ
イクロトロン共鳴分析計に特に適しているわけではない
。本発明の一般的目的は.イオン・サイクロトロン共鳴
質量の改良された新しい分析方法および装置を提供する
ことである。
本発明の別の目的は、フーリエ変換式イオン・サイクロ
トロン共鳴質量分析計を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、イオン・サイクロトロン共
鳴情報スペクトルを得るために、プーリ工変換方式を利
用したイオン・サイクロトロン共鳴質量分析方法を提供
することである。
本発明のさらに別の目的は、従来のイオン・サイクロト
ロン共鳴分析計において必要な時間よりはるかに短かい
時間内において、特定の質量対電荷比範囲のイオン・サ
イクロトロン共鳴スペクトルを得るのに適したフーリエ
変換式イオン・サイクロトロン共鳴分析計を提供するこ
とである。
本発明のさらに別の目的は、所要の磁場を発生するため
に固定磁場磁石を用いたイオン・サイクロトロン共鳴分
析計を提供することである。本発明のさらに別の目的は
、短時間内において、数多くの異なつた質量対電荷比の
各イオンを励起させ、励起されたこのようなイオンのサ
イクロトロン運動を速やかに検出する装置を提供するこ
とである。本発明のさらに別の目的は,雑音等によつて
発生する誤つた情報の影響を少なくしたイオン・サイク
ロトロン共鳴質量分析方法および装置を提供することで
ある。
本発明の好適な実施例によれば、真空状態にすることが
できる室中に「捕獲された」イオンの分析器セルが配置
されており、この室に気体試料が導入される。
セルには4枚の電極側板および一対の(捕獲用)電極端
板が設けられており、電極端板は彎曲板であつてもよい
。気体試料はセルを通してパルス化された電子ビーム等
の適当なイオン化源によつて、このセル内でイオン化さ
れる。これらのイオンは同一極性の低い直流捕獲電圧を
捕獲板に、またさらに低い直流電圧を他の電極板に加え
ることによつて、セル内に捕獲される。セル内のイオン
には、一方向の磁場がかけられ、それによつて、イオン
は磁場力向と直角の面内において円運動をする。イオン
発生、必要な場合には、二重照射、また必要な場合には
イオン・分子反応が生ずる従来どおりの遅延期間を経て
、セル内のイオンは磁場と直角方向に加えられるパルス
化広帯域振動電場によつて励起される.励起されたすべ
てのイオンのイオン・サイクロトロン運動は広帯域増幅
器によつて検知され、高速AD変速器によつてディジタ
ル化され、さらに、デイジタル化された過度的共鳴値ぱ
、ぞれまでのくり返し動作によるディジタル信号の現在
における相に1個づつ加算される。次にすべてのイオン
は高速状態のイオン分析器セルの電極板1枚以上に直流
電圧パルスを加えることによつて発生する「消滅」電場
パルスによつてイオン・サイクロトロン共鳴セルから除
去される。その後,同じ動作がくり返される。所定数の
くり返し動作によつて発生したディジノタル化過度イオ
ン・サイクロトロン共鳴情報が積み重ねられた後、フー
リエ変換されて、周波数領域イオン・サイクロトロン共
鳴スペクトルが形成される。
フーリエ変換時に適当な相調節を行なうことにより、散
乱、吸収または絶対値情報からなるスペクトル表示を行
なうことができる。イオン発生、イオン励起および検出
間の遅延時間を変化させることにより、特定の質量対電
荷比範囲内における一定の質量対電荷比のイオンを有す
る試料の濃度を,イオン発生後の時間の関数として得る
ことができる。さらに、通常の励起パルスを加える前に
、適当な質量対電荷比で共鳴をおこすパルス化振動電場
を1つ以上の適当な質量対電荷比を有するイオンに加え
ることによつて、イオン・サイクロトロJゼワd共鳴質量
分析を容易に行なうことができる。上記の説明から明ら
かなように、本発明は、フーリエ変換式イオン・サイク
ロトロン共鳴質量分析の方法および装置を提供するもの
である。
本発明によれば、従来装置の多くの欠点が除かれる。具
体的に説明すれば、本発明においては、従来装置におい
て1つの特定の共鳴周波数に関する情報を得るために必
要な時間と基本的に同一時間内においてスペクトルの情
報すべてを得ることができる。さらに、本発明の方法お
よび装置を利用することによつて、広帯域スペクトルの
情報を速やかに得ることができるので、二重共鳴質量分
析情報もさらに速やかで、正確に得ることができる。さ
らに本発明を用いれば、情報の積み重ねがきわめて早く
、また、分解能に代えてSN比を向上させるように行な
うことができるので、きわめて希薄な試料も分析するこ
とができる。例えば情報収集期間を長くすれば、分解能
がよくなる。≦方、観測の全期間を変えずに、収集期間
を短かくすれば、分解能を犠性にしてSN比を向上させ
ることができる。第1図は真空自在室21内に設けられ
たイオン・サイクロトロン共鳴セル3を示している。
真空自在室21は、適当な真空ポンプ22によつて所定
の低圧例えば10−8トルまで排気する。真空ポンプ2
2としては、所要の範囲内の低圧をつくることができる
ものであれば、スパツタ・イオン・ポンプ、昇華ポンプ
,必要なトラツプを備えた拡散ポンプ等多くの周知のポ
ンプのどれを用いてもよい。真空自在室21の初期排気
は、機械的な前圧ポンプまたは必要な場合には、冷却収
着ポンプを用いて行なうことができる。さらに真空自在
室21および真空ポンプ22は、必要な場合には、排気
を助けるために、加熱ジヤケツト(図示しない)によつ
て加熱することができる。ポンプによつて圧力が104
トル付近まで下がると、分析すべき気体試料を適当な気
体源20から真空自在室に導入する。
気体は圧力が10−4ないし10−Jャgルの範囲になる
まで供給する。その後、真空自在室における気体の出入
れを連続的にくり返して動的圧力平衡状態を維持する。
上記の方法に代えて、まずポンプにより圧力を低下させ
、次いで弁(図示しない)によつてポンプ22を真空自
在室21から隔離した後.10−4ないし10−7の範
囲の静的圧力を得るまで、気体試料を気隼源20から導
入してもよい。イオン・サイクロトロン共鳴ビルとして
は種々のものを採用することができる。
第2図のセルは平行六面体のものを示し、また第4図の
セルはほぼ円筒形であり、以下に説明するとおりである
。いずれの場合にもセルには6個の電極または板部材が
設けられている。この板部材によつて六面体の側部およ
び端部を画定する。このような六面体セルには1対の第
1側板34および37、1対の第2側板32および35
、ならびに1対の端板すなわち捕獲板33および36が
設けられる。これらの板部材はモリブデンまたはロジウ
ム・メツキしたベリリユウム銅、ステンレス鋼等の適当
な導電材料からなり、図示しない適当な絶縁支持手段に
よつて真空自在室21内の所定の位置に保持される。フ
イラメント15および制御格子16からなる電子銃等の
イオン化ビーム源を真空自在室21内に取付け、捕獲板
にあけた適当な孔を通して集電 5電極17に向けて一
連の電子を放出する。
真空自在室21内部のイオン・サイクロトロン共鳴セル
およびイオン化ビーム源は、電子が一定の外部磁場18
に平行な方向に放出されるように配向されている。円筒
型イオン共鳴セルの場合には、第4,図につき、以下に
説明するように、側板に巻装され、電子ビームによつて
画定される縦軸と一致する縦軸を有するトロイド状巻線
によつて磁場が発生する。動作時には、制御格子16に
加えられるバイアス電圧が以下に説明するようにパルス
化され.フイラメントによつて発生する一連の電子を通
過させる。
このようにして発生した電子ビームは次に捕獲板33お
よび36にそろえて設けられた孔部を通過する。電子が
気体と衝突することによつて、気体試料がイオン化する
。前記=連の電子がセル中を通過する間に、すべての1
次イオンが形成される。こ\でフイラメント15の電圧
が、フイラメント電力制御部14の一部を構成するフイ
ラメント・バイアスDA変換器29によつて適当な電位
、例えば−15ボルトに保たれている。
フイラメント電力制御部14はまた、集電電極17VC
.接続された放出電流監視帰還回路46ならびにフイラ
メント・バイアスDA変換器29によつてバイアスされ
るフイラメント電源49を含んでいる。制御格子16は
通常、適当な電圧、例えば−20ボルトに保たれている
。この電圧はイオン・サイクロトロン共鳴セル電圧源の
一部を構成する格子DA変換器28によつて制御される
。イオン・サイクロトロン共鳴電圧源には計算機1によ
つて制御される。格子DA変換器28が正常の電圧例え
ば−20ボルトに保たれているとき、DA変換器28に
よつてセル3中の電子流が遮断される。
定期的、例えば0.1秒ごとに異なつた大きさ例えば−
10ボルトのパルス電圧が、一定時間(例えば0.00
01秒ないし0.01秒の間)格子DA変換器28によ
つて制御格子に加えられる。この電圧変化によつて、イ
オン化ビームは前記「イオンイl時間の間、格子すなわ
ちセルを通過する。集電板は放出電流監視,帰還回路4
6゜によつて適当な電位例えば+10ないし+20ボル
トに保たれる。このようにして従来装置と同様に、集電
板1rは第1次電子衝突によつて放出された2次電子を
再捕獲する。放出電流監視.帰還回路46はまた、集電
板に発生する電子流を検知し、帰還信号をフィラメント
電源45に与える。この信号をうけると、フィラメント
電源45はイオン発生期間中、放出電流を一定に保つの
に十分な電力をフイラメント15に与える。前記の方法
に代えて、必要ならばフィラメント・バイアス電圧を通
常の正の値から負の値に変えて、制御期間中のイオン発
生が可能であり、それによつてイオン共鳴セル3中の電
子ビーム流を制御することができる。この他にも気体分
子をイオン化する力法としては、例えば電子以外の粒子
のビームをイオン化したり電磁放射等を用いることがで
きる。また、イオン化は磁界方向18と平行な線に沿つ
てのみ行なうことは必ずしも必要でない。例えば第2の
側板対34および37と直角な線に沿つて光線19(第
1図)によつてイオン化を行なうこともできる。同業者
には明らかなように、電子衝突によつて発生し、既に説
明したように各板部材に印加される種々の電圧によつて
、イオン共鳴セル3中に捕獲されるイオンは、一方向磁
場18によつて、その磁場方向とは直角の面内における
円軌道に捕獲される。
この運動のサイクロトロン角周波数ωC5(Mks単位
)は、イオンの電荷対質量比をt/Rn.また磁界の強
さをBとすると次の式で表わされる。−′aたハ Nh
)これらのイオンは、それぞれの板部材に加えられる電
圧によつてセルに捕獲される。
これらの電圧は計算機1VCよつて制御される複数個の
DA変換器を含むイオン・サイクロトロン共鳴セル電圧
源2によつて発生する。正のイオンを用いた通常の分析
計動作においては、捕獲板DA変換器25および27に
よつて捕獲板33および36に静電圧が加えられる。こ
れらの捕獲板靜電圧は通常、セルの他の板部材に加えら
れる静電圧に比較して約+1ボルト高い。以下に述べる
理由により、集電板17に最も近い捕獲板に接続された
DA変換器25の出力端とその捕獲板との間には、ゲー
テツド・ピコアンメータ31が接続される。ぞの他の4
枚の板部材32.34,35および37に加えられる静
電電圧はそれぞれ他の4個のDA変換器23,24,3
0および26によつて発生される。
本発明による方法および装置を利用して、負のイオンを
分析する場合には捕獲板33および36に加える電圧を
、イオン共鳴セルの他の板部に加える電圧に比較して負
とする。いずれの場合にもそれぞれのDA変換器に必要
なデイジタル制御信号はすべて第2図に示す計算機1に
よつて与えられる。一方、この計算機は第1図に示すテ
レタイプ10のような適当な通信手段によつて制御され
る。第3図に示すように、電子銃によるイオン発生パル
スの発生は、本発明の一連の工程のうちの第一工程にす
ぎない。
イオン発生に続いて磁場18と直角のパルス化高周波電
場を加えることによつて、所定質量のイオンの運動エネ
ルギを増大させることができる。この電場の周波数ω2
5は等式(1)により、前記所定のイオンの共鳴周波数
に等しいことは明らかである。第2図には、所要のパル
ス化高周波電場を発生するための2個の装置が示されて
いる。
第1の装置においては、所要の高周波電場は計算機1に
よつて制御される遠隔プログラム制御周波数合成器38
によつて発生させることができる。以下の説明から十分
理解できるように、この周波数合成器は、以下に述べる
パルス化広帯域振動電場を発生させるために用いられる
。このようにしてパルス化高周波電場が発生すると、振
幅制御回路39および第1の接合容量40を通して側板
35(または350)のうちの一方に加えられる。所要
のパルス化高周波電場を発生するもう一つの方法は、第
2図においてω2遠隔プログラム周波数合成器44とし
て示した全く別個のプログラム周波数合成器を利用する
ことである。
このω2遠隔プログラム周波数合成器は計算機1によつ
ても制御される。ω2遠隔プログラム周波数合成器44
の出力は、第2の振幅制御部43および第2の接合容量
を含む別個の通路を通して、側板35(または350)
に加えられる。高周波プロツキング用として、パルス化
高周波電場が加えられる側板35とそのDA変換器30
との間に、プロツキング抵抗42が接続される。計算機
1によつて発生される制御信号によつて、振幅制御回路
39および43はそれぞれの周波数合成器38および4
4の出力の振幅およびパルス巾を制御する。また第3図
から明らかなように、イオン共鳴セル3によつて捕えら
れたイオンは、パルス化高周波電場ω2の印加後、イオ
ン・サイクロトロン共鳴検出開始に先立つて、必要なら
ば、一定の遅延期間だけ中性分子と反応させることがで
きる。本発明によれば、第3図の三番目の曲線に示すよ
うに、イオン共鳴セル3の両端にパルス化高帯域高周波
電場を加えることによつて、捕獲後のイオンを励起させ
る。この電場は磁場18の方向を横切る方向に加えられ
る。第2図は所要のパルス化広帯域高周波電場を発生さ
せるための好適な装置を示している。具体的に説明すれ
ば、パルス化広帯域高周波電場を発生させるように、計
算機1が遠隔プログラム制御周波数合成器38を制御す
る。遠隔プログラム制御周波数合成器38の出力は、そ
れに対応する振幅制御部39によつて振幅制御される。
振幅制御部39の出力は、接合容量40を通してセル3
の板部35に接続される。広帯域高周波電場をうける板
部35に対応するDA変換器30の動作は、高周波プロ
ッキング抵抗42があるために、遠隔プログラム制御周
波数合成器の出力によつて影響をうけない。前述したよ
うに、振幅制御部39は計算機1によつて制御される。
合成器38の制御においては、振幅制御部39が導通し
ている間、計算機1は順次、周波数プログラム入力を遠
隔プログラム周波数合成器38VC.加える。この周波
数合成器に加えられる入力によつて、イオン共鳴セル3
の一定の質験対電荷比範囲の一切のイオンのサイクロト
ロン周波数を含む広帯域高周波電場を発生する。このよ
うにして、所要の範囲内のすべてのイオンが、照射期間
中、それぞれのイオンの共鳴イオン・サイクロトロン周
波数で照射される。この結果を生じる唯一の方法とはい
えないにしても、最も簡単な方法は、第3図に概略を示
すように、対応する振幅制御部39が導通している間、
低周波数値から高周波数値に直線的に変化する高周波信
号を発生するように、遠隔プログラム周波数合成器を制
御することである。本発明によれば、必要な場合には、
広範囲の質量対電荷比のイオンのイオン・サイクロトロ
ン共鳴を励起する他の装置を利用することができる。
たy必要なことは、励起期間中、つまり、振幅制御部3
9が計算機1によつて付勢されている間,特定のイオン
のすべてのイオン・サイクロトロン運動を励起すること
である。例えば、遠隔プログ△ラム周波数合成器38.
を高周波数値から低周波数値まで周波数掃引するか、さ
もなくば出力を高周波数値と低周波数値間をくり返し周
波数掃引してもよい。さらに周波数の変化は時間に対し
非直線的であつてもよい。遠隔プログラム周波数合成器
・38にかえて、周波数成分が所定の周波数範囲を含
むような適当な擬似不規則デイジタル電圧遂次制御を用
いることもできる。この場合、同業者には明らかなよう
に、送りレジスタ(送りレジスタ「符号」)VCよつて
発生する2進遂次情報から適当な擬似不規則遂次情報を
容易に取出すことができる。イオ7共鳴セルの両端に適
当な電場を発生するさらに別の装置は、単に遠隔プログ
ラム周波数合成器38に代えてパルス増幅器を用いるこ
とによつて可能となる。
この場合、巾τ秒の正弦波パルスのフーリエ変換は当初
のパルス正弦波の周波数を中心とする周波数範囲±l/
4τヘルツにおいて基本的に平担な周波数関数である。
したがつて、約100ナノセカンドの巾の直流パルスを
加えることにより、直流から約2メガヘルツの周波数範
囲にわたつて、ほy一様な照射電場を得ることができる
。しかしこのようなパルスが前記の周波数範囲にわたつ
て励却を生じるに足るものであるには、その振幅は相当
大きくなければならない。一般に、任意の周波数帯域に
おけるイオン・サイクロトロン共鳴励起は、適当な巾の
パルスを発生させることによつて生じさせることができ
る。すなわち、パルス周波数を中心とする1Zτヘルツ
の周波数帯域を有する励起電場は、巾τのパルスを発生
させ、イオン共鳴セルの板部の1つロロえたときに生じ
る。従来の装置に比較して、本発明の主な利点の1つは
、多数の異なつた質量対電荷比のイオンのイオン・サイ
クロトロン共鳴を、例えば3ミリセカンドという短期間
に励起させることができることである。前述したような
種類の励起パルスによつて励起されたイオンはそれぞれ
のサイクロトロン周波数〔等式(1)によつて与えられ
る〕で円運動するので、それぞれのイオンによつて、イ
オン・サイクロトロン共鳴セルの板部にそれぞれのサイ
クロトロン周波数の交流電圧が誘起される。これらの板
部のいずれを用いてもそれぞれの周波数を検知すること
ができる.例えば本発明の図示した実施例の場合には、
板部32が利用される。本発明の第2の主な利点は、イ
オン・サイクロトロン共鳴セル3における励起イオンの
すべてによつて誘起される各電圧が同時に検出されるこ
とである。イオン・サイクロトロン共鳴信号の検出は受
信器4によつて行なわれる。受信器4は高利得広帯域増
幅器47、混合器49、遠隔プログラム周波数合成器4
8およびろ過器50からなることが望ましい。検出板3
2からの信号を受ける広帯域増幅器47の出力は、混合
器49の入力端子の1つに加えられる。受信器4の一部
を構成する遠隔プログラム周波数合成器48は、計算機
1VC.よつて制御され、その出力は混合器49の第2
の入力端子に加えられる。混合器49の出力はろ過器5
0の入力に接続される。ろ過器50の出力、すなわち受
信器4の出力は、第1図に示すように、高速AD変換器
5に加えられる。受信器4は次のように動作する。
励起パルスが遮断すると、イオン・サイクロトロン共鳴
信号が高利得広帯域増幅器47によつて検知される。こ
の増幅器47は、ゲーテツド増幅器からなることができ
,その場合、計算器1からの適当な信号によつて導通す
る。広帯域増幅器47VC.よつて検出されるイオン・
サイクロトロン共鳴信号は複数個のそれぞれ異なつた信
号周波数からなり、各周波数は各々の質量対電荷比の励
起イオンに対応し、個々の周波数成分の振幅は、特定の
質量対電荷比を有するイオンの数に比例する。言い換え
ると、周波数は質量対電荷比に対応し、振幅は特定の質
量対電荷比のイオン数に関係する。この信号は広菅域増
幅器4TVCよつて増幅され、混合器49において、遠
隔プログラム周波数合成器48の出力と混合される。遠
隔プログラム周波数合成器48は局部発振器の作用をす
る。混合器の偏差周波数出力は、低域ろ過器50によつ
てろ過され、高速AD変換器5VC.加えられる。これ
ら混合器、合成器およびろ過器からなる構成の目的は、
増幅された周波数スペクトル全体の一部のみを抽出し、
それを周波数に応じて送ることである。
例えば磁場密度が1テスラで、質量の範囲が原子量で1
00ないし200である場合には、同一電荷を帯びるイ
オンのイオン・サイクロトロン共鳴周波数は、15.3
メかマWと76.5キロヘルツの範囲内にある。原子量
30(510キロヘルツ)と原子量50(306キロヘ
ルツ)の範囲内にある質量のイオン・サイクロトロン共
鳴スペクトルのみを抽出したい場合には、遠隔プ占グラ
ム周波数合成器48を、例えば300キロヘルツの信号
を発生するようにプログラムし、ろ過器50を230キ
ロヘルツ以下のすべての周波数を通すように制御するこ
とができる。本発明の装置をこのように調節することに
よつて、イオン・サイクロトロン共鳴スペクトルから3
00キロヘルツないし530キロヘルツの周波数を、2
30キロヘノC ノ ルツの帯域にわたつて抽出するとともに、それ以降30
0キロヘルツ毎に周波数を送ることができる。
この周波数送りは、以下に述べるように特に高質量分解
能を望む場合に有用である。場合によつては、出力の周
波数送りが望まし〈ない場合もあるだろう。例えば、で
きるだけ広範囲の質量対電荷比を観察したい場合には、
送りは望ましくない。そのような場合,増幅器47の出
力は、ろ過器50の入力に直接、接続すべきである。増
幅器47には前置増幅器と、それとは別の位置に設けた
後置増幅器とからなることが望ましい。
さらに増幅器47には、検知板32が検知する容量性負
荷をできるだけ少なくするために、検知板32VC.接
続される導線51のしやへい部52に正帰還信号を加え
る手段を設けることができる。一方、同軸しやへい部5
2を、接地されたさらに外側の同軸しやへい手段53に
よつて覆うことが望ましい。また、導線および二重のし
やへい手段からなる三軸構成部は、真空自在室21の壁
部を通して延在させることが望ましい。さらにまた、ろ
過器50は能動型または受動型のいずれかで、同調自在
型であることが望ましい。前記の種類の増幅器、ろ過器
および混合器製造に必要な技術は周知のとおりであり.
したがつてこれ以上こ\で説明する必要はないと思われ
る。受信器4の出力は、計数機1から発生する適当な指
令信号に応じて、高速AD変換器5によつてアナログ信
号からデイジタル信号に変換される。
AD変換器50必要なデイジタル化速度は、2fmax
である。こ\にFmaxは、ろ過器50を通る最高周波
数の信号(ヘルツ)である。一般に、任意のアナログ信
号のデイジタル化に2いては、8または9ビツトの精度
で十分である。一定の実験に必要な実際のデイジタル化
速度は、対象となる質量範囲内のイオンの最低質量対電
荷比}よびその質量範囲に}ける原子量単位の数によつ
て決るので、デイジタル化速度は可変であり、計算機1
によつて制御することができる。10キロヘルツから5
メガヘルツのふつうのイオン・サイクロトロン共鳴周波
数範囲のアナログ信号をデイジタル化する技術は周知で
あり、こ\では説明しない。
第1図に訃いては、高速AD変換器の出力2通りの異な
つた通路が示されている。第1の通路は符号Aで示され
、計算機1に接続して}り、第2の通路は符号Bで示さ
れ、シフト・レジスタ6を通して計算機1に到つている
。これらの通路は第3図に寂いて時間の形で示されてい
る。計算機1の周期が十分早ハ場合(つまり、相続くデ
イジタル化動作問の時間の約Zの場合)、通路Aが用い
られ、デイジタル化イオン・サイクロトロン共鳴過渡情
報(データ・セツト)がAD変換器5から直接計算機1
に移され、以下に述べるようにフーリエ変換される。一
方、計算機の周期が前述した基準に照らして十分早くな
い場合、デイジタル化情報は通路Bをとることが必要で
ある。この場合、デイジタル化情報はまず、第1図に示
すようなシフト・レジスタ6等の中間記憶装置に入る。
すべての情報群がデイジタル化され、シフト・レジスタ
6に記憶されると、計算機1からの適当な指令によつて
その情報は計算機1の周期によつて決まる転送速度で、
シフトレジ不夕6から計算機1に移される。この一連の
動作を実行するための制御論理2よびインターフエイス
回路は電子計算機技術に寂いて周知であるため、こ\で
は説明し二ない。第3図に示す動作の順序は、例示的で
あり、これに限られなへ例えば、イオン発生からイオン
励起}よび検出までの遅延時間を長くとりたければ、「
消滅」パルス(以下に述べると}り)、イ 乏オン発生
パルス}よびさらにイオン励起パルスが次の順次動作に
ある間に、シフト・レジスタから計算機への転送(通路
B)を実行することが望ましい。
これは、例えば、本明細書で説明する信号平均化動作の
全動作時間をできるだけ少なくする 3ために行なうこ
とができるであろう。受取つた情報のSN比を向上させ
るために、情報が以下に述べる方法でさらに処理される
前に、一定数のデイジタル化イオン・サイクロトロン共
鳴過渡情報群を累積することが望ましい。
言い換,えると、本発明の装置をくりかえして動作させ
、順次情報群を得るように構成することが望ましい。一
定の群のデイジタル化イオン・サイクロトロン共鳴過渡
情報をその前の群の情報に語単位で加える作業は、利用
する動作態様に応じて、高速AD4変換器5またはシフ
ト・レジスタ6から計算機1へのデイジタル化情報転送
段階で、継続的に行なうことができる。イオン・サイク
ロトロン共鳴過渡情報の振幅は、累積された過渡情報0
数に応じて増大するのに反して、不規則雑音情報の振幅
は累積された過渡情報の数の平方根に応じて増えるので
、一定のイオン・サイクロトロン共鳴過渡情報のSN比
は累積過渡情報数の平方根に応じて増える。その結果、
特定の条件群につき、累積されるべき過渡情報の数は、
最終的なイオン・サイクロトロン共鳴スペクトルに適し
た所要のSN比によつて決まる。第1図に示すように、
所要数のイオン・サイクロトロン共鳴過渡情報群が計算
機1に累積されると、その結果生じる情報はオシロスコ
ープ8によつて直接観察し、アナログX−Y記録計9ま
たはデイジタルX−Y言v榮計11にプロツトさ爪テレ
タイブ10によつて印字され、その後の使用のために磁
気記録装置12に転送される。
磁気記憶装置には、磁気力セツト、テーブ・デツキまた
は磁気デイスク等を使用することができる。また、本発
明によれば、累積されたデイジタル化イオン・サイクロ
トロン共鳴過渡情報を不連続にフーリエ変換し、実2よ
び板のイオン・サイクロトロン共鳴周波数スペクトル(
それぞれ当初の時間領域情報群と同数の情報点を含む)
を発生させ、表示することができる。
以下に述べる位相補正に続いて、イオン・サイクロトロ
7共鳴周波数スペクトルをオシロスコープまたはプロツ
タに表示し、または磁気記憶装置12に記憶する。それ
ぞれのイオン・サイクロトロン共鳴スペクトル線0形が
同一の一様なスペクトル表示を行なうために、実}よび
仮の情報群へのフーリエ変換に続いて、累積イオン・サ
イクロトロン共鳴過渡デイジタル化情報群に対レゼロ}
よび第1の位相補正を行なう必要がある。このような位
相補正は数種の市販電子計算機のふつうのソフトウエア
の一部として可能であるので、その変換についてはこ\
で説明しない。累積化された当初のイオン・サイクロト
ロン共鳴過渡情報群のフーリエ変換の結果得られる実訃
よび仮の情報点の二乗を各点毎に加算することにより、
フーリエ変換済累積イオン・サイクロトロン共鳴過渡情
報群に非直線的位相変化がある場合にも、一様なスペク
トル線の形を示す「絶対値」スベクトルを得ることが可
能である。この動作についてもフーリエ変換技術者には
周知であり、説明を省略する。上記の絶対値スペクトル
表示の適用は、周波数掃引励起に限られず、高周波パル
ス励起または以下に述べる数種の擬似不規則(確率的)
励起等の適当な励起にも適用可能である。
本発明の方法2よび装置によれば、1つのイオン・サイ
クロトロン共鳴実験が比較的容易に行なうことができる
その実験とは、イオン、分子反応の力学に関するもので
ある。まず、第3図に示すようなイオン発生パルスの終
了時からイオン励起パルスの開始時までの間隔につき一
定の遅延時間を定める。その後、前述した方法で一定数
のイオン・サイクロトロン共鳴過渡デイジタル化情報群
を累積する。所要数の情報群が累積されたら、累積情報
を磁気記憶装置12に転送する。この動作を異なつた特
定の遅延時間につきくり返し行ない、異なつた遅延時間
のそれぞれに応じた所要数の累積情報群を磁気記憶装置
12に記憶する。次に、記憶された累積情報群のそれぞ
れを、個々に前述したようにフーリエ変換}よび位相補
正する。各遅延時間に応じたイオン・サイクロトロン共
鳴周波数スペクトルを周波数(質量対電荷比)の関数と
してプロツトするか、さもなければ磁気記憶装置12の
別の領域に記憶する。前記のプロツトと記憶は両者を併
用してもよい。その結果得られる情報は、イオン・サイ
クロトロン共鳴質量スベクトルの全部を含み、各スペク
トルはイオン発生からイオン励起}よび検出までのそれ
ぞれの遅延時間に対応する。手動または電子計算機によ
る周知の方法を用いることによつて、この実験に}ける
質量対電荷比の範囲内の各イオン質量についてのイオン
・サイクロトロン共鳴スペクトルの相対強さを遅延時間
の関数として同時に決めることができ、各質量対電荷比
のイオンの数の増減率から、それぞれのイオン・分子反
応速度を知ることができる。従来のイオン・サイクロト
ロン共鳴質量分析方法}よび装置に比べて、本発明によ
る方法訃よび装置の大きな利点は、各実験にづいて広範
囲のイオンの質量対電荷比を知ることができることであ
る。このように本発明に}ける遂次パルス間隔に相当す
る時間に寂いて単一のイオンの観察しかできなかつた従
来の分析計に比べて、本発明は実験時間が大きく短縮さ
れる。動作AまたはBに続く第3図の最後の動作段階に
寂いて、消滅パルスは計算機1に制御されるDA変換器
27によつて、板部(捕獲板33として図示されている
)のl枚以』に印加されるl回の動作のイオン・サイク
ロトロン共鳴検出動作が終ると、消滅信号によつてイオ
ン共鳴セル3内部からすべてのイオンが取除かれる。本
発明の装置により正(負)のイオンを取扱う場合には、
捕獲板33が他の板に比べてそれぞれ正(負)の値とな
るように消滅パルスの大きさを決める。
消滅パルス発生期間に}いて、イオン共鳴セル3内のす
べての正イオンは、他の捕獲板36の方に向つて駆動さ
れる。必要な場合にはその結果生じるイオン電流をゲー
テツド・ピコアンメータ31によつて測定することがで
きも計算機1は消滅パルス期間中にゲーテツド・ピコア
ンメータにゲート・パルスを加えることにより、この測
定の時点を制御し、その結果、電流はその期間中のみ屓
u定される。消滅期間前、例えばイオン・分子反応遅延
時間中に}いて、板部36に向うイオンの擬似損失を測
定したい場合には、計算機1によつてその遅延期間に応
じてゲート・パルスをピコアンメータに加える。同様に
第3図に示す衝撃期間中の一定の中間時点に於けるセル
3内のイオン総数を測定したい場合には、消滅パルス}
よびゲート・パルス(ピコアンメータへの)をその期間
中印加する。デイジタル化期間に先立つて消滅パルスを
加えると、イオン・サイクロトロン共鳴信号を検出でき
ないことは明らかである。本発明のこの特徴によつて、
イオン捕獲セル3内に存在するイオン数を任意にどんな
時点に}いても測定することができる。以上、本発明の
一好適実施例について述べたが、本発明の精神2よび範
囲から逸脱することなく、各種の変更耘よび改変に行な
うことができることは同業者に明らかなと}りである。
例えば第3図に示す時間的動作を比較回路によつて検知
される5電圧ランプ等のアナログ手段によつて制御し、
図示したパルスの全部または一部を与えるパルス回路を
、前記の比較回路によつて駆動するように構成してもよ
い。同様に各種のDA変換器によつて与えられる電圧を
、電池づよび電位計または演算0増幅器等によつて与え
るようにすることもできる。第5図の装置に}いては、
必要な板部電圧の大きさをアナログ手段によつて制御し
、各パルスの時間順序}よび巾を、計算機1の111脚
のもとにデイジタル手段を用いて制御している。この装
置は、ノイオン共鳴セル3を構成する各板部に加えられ
る各電圧を制御する場合特に便利な方法である。
第5図には、3個の緩衝増幅器80,82}よび38、
演算噌幅器D6、2個の電位計81於よび87ならびに
4個の抵抗83,84,85}よび89が示されている
。第5図の回路は一例であつて、前述したように、板部
の1つ、すなわち板板33に加えられる電圧}よびその
大きさを制御するように構成されている。他の板部に加
えられる電圧制御のためにも、同様な回路が必要である
ことは明らかである。計算機出力と第5図に示す後段の
回路は第1の緩衝増幅器80によつて絶縁されて3り、
この緩衝増幅器80に計算機1が接続されている。
計算機1が発生し、第5図に示す回路に加えられるパル
スは、第1の緩衝増幅器80にまず加えられる。第1の
緩衝増幅器80の出力は、第1の電位計81に接続され
る。第1の電位計81の可動素子は第2の緩衝増幅器の
入力に接続されている。第2の緩衝増幅器d1の出力は
第1の抵抗83を通して演算増幅器86の反転入力に接
続されている。第2の電位計87は、適当な電圧値例え
ば+15ボルトの直流電圧線とアース間に挿入されてい
る。第2の電位計87の可動素子は、第3の緩衝増幅器
88の入力に接続されている。第3の緩衝増幅器88の
出力は、第2の抵抗84を通して演算増幅器86の反転
入力に加えられる(第1}よび第2の抵抗83}よび8
4が加算抵抗であることは、アナログ電子計算機技術専
門同業者に明らかなと寂りである)。第3の抵抗85は
帰還抵抗で、演算増幅器86の出力とその反転入力間に
挿入されている。演算増幅器86の非反転入力は、第4
の抵抗を通してアースに接続されている0演算増幅器の
出力は、その制御対象である板部、この場合には端板3
3に接続されている。アナログ電子計算機技轡専門同業
者には明らかなように、演算増幅器86、加算抵抗83
}よび84、帰還抵抗85ならびにバイパス抵抗89か
らなる回路は周知の演算増幅器反転加算回路である。
第2の電位計87を調節することによつて、端板33に
加えられる零入力電圧が決る。第1の電位計81を調節
することによつて、板部33に加えられるパルスの高さ
が制御される。このパルスの時間はもちろん、計算機1
によつて制御される。各場合に訃いて、第5図に説明し
た反転回路と異なり、加減算機能を得るために、非反転
回路を単独に使用し、または反転回路と非反転回路を併
用することが望ましいことがあるかもしれない。
そのような回路は従来のアネログ電子計算機技術に}い
ては周知である。この点に関して、前記各増唱器につい
ては、マサツーセツツ州デドハムのフイリブリツク・ネ
キサス・リサーチ、02026(1969年)の「演算
増幅器応用説明書」を参照していただきたい。第1訃よ
び第20緩衝増幅器80訃よび82の利得は、演算増幅
器86からの所要のパルスの各極性に応じて+1または
−1に選ぶことが望ましい。
一般に計算機からのパルスの極性は正であり、各場合の
動作に応じてそのパルスを対応する端板33に加える前
に、出力パルスの反転を必要とする場合がある。同様に
、端板の零入力電圧の極性は、第2の電位計87に加え
られる直流電圧の極性の選択により、または第3の緩衝
増幅器88の利得を+lまたは−1に選択することによ
り制御することができる。対応する板部33の零入力電
圧の極性}よびパルス極性は、従来のアナログ電子計算
機技術に}いて周知のように、演算増幅器86の配線に
よつて、加算または減算機能を与えるように制御するこ
とができる。イオン・サイクロトロン共鳴技術その他の
同業者に明らかなように、本発明によるイオン共鳴セル
潰壊々の形をとることができる。
例えば比較的固形の捕獲板3よび側板を用いるかわりに
、これら板部の全部または一部を、格子にとつて替える
ことができる。または、捕獲板に替えて、相異なる電位
の複数個の直流電圧線に接続された複数個の板部を用い
ることもできる。このような構成を採用することによつ
て、本発明の質量分解能が向上する。さらに、各板部の
相対的寸法を第2図に示すものと異ならせることもでき
る。特に、単方向磁場18を発生するためにソレノイド
磁石を用いる場合には、異なつた寸法のセルを採用する
ことが望ましい。すなわち、そのようなソレノイド磁石
を採用する場合には、対向する側板の各対間の相対距離
に比べて、捕獲板間の相対距離を増大することが望まし
い。さらに第4図に説明すると訃り、また以下に述べる
と?り、各側板を曲げて、セルの動作寂よび感度を向上
させることもできる。第4図に}けるイオン共鳴セル3
00は、円筒形を呈している。
円筒の側壁は4個の部分320,340,350}よび
370に分けられている。各部分の寸法は同一であり、
相互に一定の間隔を置いて配置されている。2個の部分
320Pよび350によつてl組の側板が形成され、残
る2枚の対向する部分340寂よび370によつてもう
1つの側板の組が形成される(必要な場合にはl枚が円
筒の片側を構成レ他の1枚が他の側を構成する合計2枚
の相互に所定の間隔を訃いた反円筒形側板によつてのみ
構成することもできる)。
この円筒構成は適当な中央開口を有する一対の捕獲板3
30むよび360によつて封止されている。フイラメン
ト150寂よび格子160によつて発生した電子ビーム
は捕獲板の中央開口部}よび円筒形イオン共鳴セル30
0を通して長手方向に通過する。放出された電子は集電
板170によつて回収される。コイル380によつて形
成されるソレノイド磁石は、捕獲板330と360間に
延在する一様な磁場を形成するように、円筒形イオン共
鳴セルの外部に巻装されている。(本発明の実際の実施
例に}いては、コイル380はセル300の外側のみな
らず、真空自在室の外側にも配置されることは同業者に
明らかであろう)。セル300の各構成部品につき、第
4図に訃いて使用した参照番号は、第2図に於いて各参
照番号に接尾辞(ゼロ)を付けた数字に対応する。した
がつて第4図に示すセルを前述した電子装置に接続する
方法はきわめて明らかである。イオン共鳴セル3を構成
する各板部から、第2図のイオン共鳴分析計全体を構成
する他の要素への接続については数多くの変更が可能で
ある。
例えば、振幅制御回路の出力に接続された2個のコンデ
ンサ間の接続点は、図示した側板35ではなく、他の側
板34,37または32のいずれかに接続することもで
きる。また、広帯域増幅器47は、図示した板部32で
はなく、他の板部37,34または35のいずれかに接
続することができる。さらに、コンデンサ40もしくは
41または広帯域噌幅器47はイオン共鳴セル3のl枚
の板部のみに接続する必要はない。例えば、振幅制御回
路39に接続されたコンデンサ40の高周波出]力を変
圧器に加え、この変圧器の2次巻線を板部32寂よび3
5等の一対の対向する板部に接続し、セル内にブツシユ
・ブル交番電界を発生するようにすることもできる。
この接続方法に適した回路は第6図に示されている。第
6図に}いて、振幅制御部39に接続された端子と反対
側のコンデンサ40の端子は、変圧器103のl次巻線
101を通してアースに接続されている。
変圧器103の2次巻線105の両端は適当な高周波接
合容量1072よび109を通して対向する側板32}
よび35に接続されている。さらに、これらの側板とそ
れに対応するDA変換器との間にはそれぞれ高周波プロ
ツキング・レジスタ111於よび113が挿入されて、
高周波プロツキングを行なう。以上とほと同様に、変圧
器の1次巻線を、例えば側板34と37の様な一対の板
部に、また2次巻線をアース}よび広帯域増幅器47の
入力に接続することができる。
このように接続した回路は第7図に示されている。第7
図に$・いて、対応する側板34と37は適当な高周波
接合容量115}よび117を通して、変圧器121の
1次巻線119の両端に接続?れている。高周波プロツ
キング・レジスタ123}よび125は、前記の側板2
よびそれに対応するDA変換器24}よび26間にそれ
ぞれ挿入されている。変圧器121の2次巻線の一端は
アースに、他端は導線51を経て広帯域増幅器47に接
続される。計算機1は、一般にデイジタル化イオン・サ
イクロトロン共鳴過渡情報群のフーリエ変換に最も有用
な手段であるが、アナログ・フーリエ分抄器が市販され
ているので、必ずしも計算機を用いる必要はない。
これらのアナログ・フーリエ分析器は安価で信頼の寂け
る装置であり、必要な位相状態の時間領域記憶デイジタ
ル化情報群のフーリエ変換スペクトルを得ることができ
ると同時に、周波数に対する位相の零2よび第1位変化
を補正することができる。時間領域過渡信号が1つ以上
の指数的に衰える正弦波の重畳信号からなる場合には、
そのようなフーリエ分析器は、周知のクーリタキイ・ア
ラビア記数法を採用した電子計算機の2倍の周波数分解
能を有する。以上に概略を述べたように、広範囲の質量
対電荷比を有するイオンのサイクロトロン軌道半径を増
大するために用いられる広帯域で短期間の高周波励起は
、遠隔プログラム周波数合成器等の周波数掃引励起装置
のみによつて生じるものと解釈すべきではない。
例えばシフト レジスタによつて発生する擬似不規則な
(しかし必ず再生可能な)二進遂次信号を用いて、高周
波発振器の(固定)周波数の振幅を変調し、高周波発振
器の周波数に比較して高いまたは低い周波数にいたるい
ずれの特定の周波数帯域に}いても、′1と平坦な確率
的(推測的)放射スペクトルを生じる。以上の方法に代
えて、擬似不規則二進遂次信号を用いて、直流信号の振
幅を変調し、直流から所要の照射遮断周波数に至る特定
の周波数領域に訃いてほと平坦な確率的スペクトルを発
生することもできる。また、所要の擬似不規則二進遂次
信号は、特別なシフトレジスタ遂次信号を用いなくても
、計算機1から直接得ることもできる。実際、5擬似不
規則二進遂次信号は、再生可能擬似不規則雑音電圧線で
あればどのような電圧源からも得ることができる。計算
機を用いて擬似不規則二進遂次動作を開始させ、その後
一定時間間隔で高速AD変換器5を付勢する。このよう
にして、過渡情報の任意の一点に寂ける位相が、一つの
過渡情報から次の過渡情報にまで保持されるように一連
のデイジタル化イオン・サイクロトロン共鳴過渡情報群
を累積することができる。擬似不規則周波数励起に対す
るイオン・サイクロトロン共鳴過渡情報反応からイオン
・サイクロトロン共鳴周波数スペクトルを得るために、
平均化信号デイジタル化過渡情報を基準線に従つて補正
以前述したように計算機によりフーリエ変換する。
イオン・サイクロトロン共鳴スペクトルの絶対値表示を
行ないたい場合には、計算機に対しデイジタル化時間領
域イオン・サイクロトロン共鳴信号の余弦3よび正弦フ
ーリエ変換の二乗の各点に}ける和の作成を指示する。
また、吸収状態または散乱状態のイオン・サイクロトロ
ン共鳴スペクトルの表示を望む場合には、デイジタル化
時間領域イオン・サイクロトロン共鳴信号を擬似不規則
励起に対して交差的相関される。この交差的相関は、次
のようにして行なうことが望ましい。まず、擬似不規則
励起そのものをフーリエ変換する。次に、その結果をデ
イジタル化過度反応のフーリエ変換と複素数乗法して、
前述したように位]相補正し、さらに、フーリエ変換し
て、イオン・サイクロトロン共鳴周波数領域スペクトル
を発生させ 。
これらのデイジタル化情報処理方法は局知であり、こ\
では説明を省略する。いずれにしても前記の操作の結果
、イオン・サイクロトロン共鳴過渡反応から擬似不規即
周波数励起に至るまでの、一様な位相のイオン・サイク
ロトロン共鳴周波数スペクトルが得られる。従来技術に
寂いて周知のように、擬似不規則二進遂次信号を用いて
、高周波発振器の固定出力の振幅変調、周波数変調また
は位相変調を行なうことができる。このように、デイジ
タル化イオン・サイクロトロン共鳴時間領域反応を任意
の波形(すなわちこの方法は前述した特定のパルス波形
、周波数波形、掃引波形)よび確率的波形に限られない
)の励起にフーリエ変換レ次にディジタル化時間領域イ
オン・サイクロトロン共鳴信号の余弦3よび正弦フーリ
エ変換の二乗の各点に2ける和を求めることによつて、
イオン・サイクロトロン共鳴絶対値スペクトルを得るこ
とができる。
最後に、スペクトル確率的励起波形について前述した方
法と類似の方法で、デイジタル化時間領域イオン・サイ
クロトロン共鳴信号とディジタル化励起機能との前後相
互関係を確立することにより、任意波形の励起に対する
イオン・サイクロトロン共鳴反応から吸収状態または散
乱状態のスベクトルを抽出することができる。本発明の
主な利点の一つぱ、従来のイオン・サイクロトロン共鳴
分析計によつて同一の質量対電荷比につき、同一時間内
で作成したスペクトルに比べて優れたSN比寂よび/ま
たは分解能に有するイオン・サイクロトロン共鳴周波数
スペクトルを得ることができることである。
この点につき、最適の分解能を得を好適な方法を以下に
述べる。フーリエ変換イオン・サイクロトロン共鳴に}
ける質量対電荷比分解能は次の2つの要因によつて制御
限される。1つは、板部の1つとの接触によると適当な
中性分子との化学反応によると、または運動量の移転を
伴う中性分子との衝突によるとのいかんを問わず、共鳴
セルからのイオンの除去による過渡的イオン・サイクロ
トロン共鳴信号の消滅に要する時定数tであり、他の1
つは検出期間Tの長さである。
T〉〉tである限界状態(限界点a)に寂いては、イオ
ン・サイクロトロン共鳴「吸収」状態信号′巾坪、周波
へ領域の最大振幅の半分に}いて、〒秒 または7「ヘ
ルツである。したがつて限界点aの場合、2つの吸収状
態信号が分解済最大強さを表わすために、2つの異なつ
た質量対電荷比のイオン・サイクロトロン共鳴周波数は
−ヘルツ以上の差がなければならない。一′ π
t方Tくくtの場合(限界点b)、イオン・サイクロト
ロン共鳴吸収状態信号の最大強さの半分に於3.8−1
0.6ける巾は一秒 または−ヘルツである8このTT
、,ように限界点bの場合、2つの吸収状態信号が分解
済最大強さを表わすために、2つの異なつた電荷対質量
比のイオンのイオン・サイクロトロン共鳴周波数ぼLヘ
ルツ以上の差がなければならない。
T限界点a寂よびb間の中間の検出期間Tに訃いては、
周波数に応じて吸収状態信号が変化することは周知の事
実であり、詳細な説明を必要としな八時定数tは気体圧
力と反比例するので、特定の情報収集期間Tに限界点b
が適用できるほど、常に圧力は低j限界点bに達すると
、任意の電荷対質量比のイオンQ分解能は次の関係にあ
る収集期間T1過渡情報が記憶されるデイジタル情報群
の大きさN,.}よび過度イオン・サイクロトロン共鳴
情報Fの収集中に採用されるデイジタル化速度Fによつ
てのみ決まる。
F−T=N (2) フーリエ変換イオン・サイクロトロン共鳴周波数スペク
トルに}ける情報点は相互に−ヘルツの間隔を有してい
る。
したがつて、電荷対質量比が15寂よび共鳴サイクロト
ロン周波数が2.0メガヘルツの磁場〔等式(1)を参
照〕の場合、収集時間が4ミリ秒であることによつて、
質量対電荷比範囲全体にわたつて、吸収モード直線巾(
AbSOrptlOn−MOdeIinewidth)
が一様に151ヘルツで、質量対電荷比240に}ける
0.3質量対電荷単位のづ寂よその直線巾が得られる。
等式(2)に寂けるNは電子計算機の記憶装置(第1図
に示す状態Bによる検出を採用する場合にはシJャg・レ
ジスタ6)の容量によつて決まる。Fは検出すべき最低
Q質量対電荷比のイオンの大きさによつて決まる。また
、Tは直接等式(2)寂よびN寂よびFの特定の値から
得られる。実際には・電子計算機記憶装置の容量は一般
に可能な最大の語数に設定されているので、質量対電荷
比分解能は最終的には、質量対電荷比の最も低いイオン
フ〔したがつて等式(1)によつて決まる最大のイオン
・サイクロトロン周波数〕によつて決まる。
なぜならばF=2f0こ\で、fはAD変換器5によつ
てデイジタル化される最大周波数であτ60Fをできる
だけ小さくし、Tをできるだけ長く、また分解能−をで
きるだけ小さくするために広帯域増幅T器47の出力を
周波数合成器48の出力と混合させ、次に前述したよう
に周波数の差を低域ろ過器50によつて抽出することが
望ましい。
合成器48からの混合周波数が観察すべき最大のイオン
サイクロトロン周波数よりわずか高い値に選ばれた場合
、高速AD変換器5によつて実際にデイジタル化される
信号は、導電体51を通して受けた未混合出力よりもは
るかにせまい周波政領域に亘る。低域ろ過器はfよりも
高い周波数のすべての信号の振幅を小さくして、フーリ
エ変換周波数の表示範囲に周知の「折り重ね」(FOノ
d−0ver)作用の影響が表われることを防ぐために
使用される。従来のイオン・サイクロトロン共鳴質量分
析の方法}よび装置は数多くの研究、例えばシーケンス
、エネルギ依存、正3よび負イオン粒子の反応速度、光
分解、二重共鳴等に訃いて用いられてきた。
本発明のフーリエ変換イオン・サイクロトロン共鳴の方
法}よび装置&瓜前記のすべての研究に適用できるばか
りでなく、以下に述べるいくつかの新しい利点を有して
いる。従来のイオン・サイクロトロン共鳴質量分析方法
あ一よび装置に比べて、本発明の主な特徴が、特定の質
量対電荷比範囲、SNJll.}よび質量対電荷比分解
能についてのイオン・サイクロトロン共鳴周波数スペク
トルを短時間内に得ることができることにあることは明
らかであろう。
具体的にいえば、従来のイオン・サイクロトロン共鳴分
析計の殆んどの場合、同一電荷イオンの原子量10ない
し240の質量範囲pよび1電荷あたり原子量1の質量
対電荷比分解能につき典型的なイオン・サイクロトロン
共鳴周波数スペクトルを作成には約25分を必要とする
。一方、本発明の場合、同一質量範囲寂よび質量対電荷
比分解能であつて、かつ、NS比が同等またはより優れ
たスペクトルを作成するのに約15秒しか必要としない
。さらに、質量対電荷比が15の場合のSN比は、従来
の磁場掃引装置の約16倍である。本発明の新規な利点
は、従来の同様な装置に比べてはるかに高い質量対電荷
比分解能を得ることができることである。
前述したように、同質的な磁場については、単に低圧状
態において収集時間を十分長くするだけによつて質量対
電荷比分解能を任意の高い値にすることができる。従来
のイオン・サイクロトロン共鳴分析計の場合、これは不
可能である。従来装置に比べて本発明が有する別の利点
は、一定の固定した磁・場の強さの値にづいて操作する
ことが可能なことから直接得られる。
さらに具体的に説明すれば、連続的または不連続的な周
波数掃引励起に対するイオン・サイクロトロン共鳴反応
を連続的に観察することによつて得られるスベクトルと
同等なイオン・サイクロトロン共鳴周波数スベクトルを
得ることができる。このように本発明によるフーリエ変
換式イオン・サイクロトロン共鳴分析計は従来の磁場掃
引分析計に訃いて得られる磁場の最大の強さに等しい磁
場の強さで、連続的に動作することができる。また、イ
オン・サイクロトロン共鳴の感度が磁場の強さに比例す
ることは周知の事実である。したがつて、質量対電荷比
スペクトルに訃いて最大の質量対電荷比のイオンに対す
る従来のイオン・サイクロトロン共鳴分析計の感度に等
しい感度を得られるように、本発明による分析計を操作
した場合、当然さらに低い質量対電荷比のすべてのイオ
ンに対し一層高い感度を有する。従来の機器に訃いては
磁場の強さがそれぞれ異なるため、この利点はそのよう
な機器については得られない。本発明の第2の利点は、
本発明に訃いては最大の強さの磁場が連続的に与えられ
るので、磁場の強さに反比例して変化する空間電荷によ
る擬似効果が最小限度に}さえられることである。第三
に、本発明に}いては、永久磁石または固定磁場超電導
ソレノイド磁石を用いることができる,・このような磁
石は従来の磁場掃引分析計に3いては使用できな四本発
明のさらに別の利点は、試料内の特定の質量対電荷範囲
の1つ以上の反応イオンが他のすべてのイオンの同時検
出に先立つて照射される高分解能イオン・サイクロトロ
ンニ重共鳴実験が可能なことである。
このように本発明によれば、l回の実験に訃いて任意の
反応体イオンに結合するすべての生成イオンを検出する
ことができる。従来のイオン・サイクロトロン共鳴分析
計にはこの能力が備わつていな四従来の類似の方法寂よ
び装置にはない本発明のさらに別の利点は、第3図に示
す全実験作業時間に寂ける励起期間と検出期間の間を一
時的に分離できることである。
分析計の捕獲電場による第2次イオン・サイクロトロン
共鳴周波数転換がイオン軌道の半径に応じて異なること
は周知の事実である。従来装置の場合、イオン軌道の噌
大中に分析計による検出が行なわれると、観察される質
量対電荷分解能が第2次的に低下する。一方、本発明に
}いては、イオン・サイクロトロン共鳴検出は、すべて
のイオンがほぼ共通の軌道半径にまで励起された後、初
めて行なわれる。したがつて、本発明に寂いては第2次
イオン・サイクロトロン共鳴線拡張は最小限に抑えられ
る。本発明のさらに別の利点は、イオン・サイクロトロ
ン共鳴絶対値周波数スペクトルを作成することができる
ことである。
このようなスペクトルは従来の分析計によつて得られる
吸収状態スペクトルよりも優れたSN比を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の好適実施例を示すブロツク図、第2図
は本発明の一好適実施例を一部絵画で、一部プロツクで
や\詳細に示す図、第3図は本明細書記載の本発明好適
実施例の信号印加の順序}よび信号発生と時間との関係
を示す図、第4図は本発明により形成され、第1図}よ
び第2図に示す実施例に適した捕獲イオン・セルの別の
実施例を示す絵画図、第5図は各種の印加パルスの時間
順序寂よび巾を制御するために、デイジタル手段ととも
に用いるのに適した電圧振幅制御アナログ手段を含む回
路を示す概略図、第6図はパルス化広帯域振動電場信号
を、ブツシユ・ブル式に捕獲イオン・セルに接合するの
に適した別の接合回路を示す図、第7図は捕獲イオン・
セルを広帯域増幅器に変圧器接合した回路の別の実施例
を示す概略図である。 符号の説明、1・・・・・・計算機、3・・・・・・イ
オン・サイクロトロ7共鳴セル、4・・・・・・受信器
、5・・・・・・AD変換器、6・・・・・・シフト・
レジスタ、7・・・・・・DA変換器、8・・・・・・
オシロスコープ、9・・・・・・アナログX−Y記録計
、10・・・・・・テレタイプ、11・・・・・・デイ
ジタルX−Y記録計、12・・・・・・磁気記憶装置、
19・・・・・・光源、20・・・・・・気体源、21
・・・・・・真空自在室、22・・・・・・真空ポンプ
、30・・・・・・DA変換器、31・・・・・・ゲー
テツド・ピコアンメータ、38・・・・・・遠隔プログ
ラム周波数合成器、44・・・・・・ω2遠隔プログラ
ム周波数合成器、46・・・・・・放出電流監視帰還回
路、49・・・・・・混合器、50・・・・・・ろ過器

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 イオン化期間中真空自在室内に設けられた分析器セ
    ル内にある気体試料をイオン化する工程と、前記分析器
    セル内で生成される所定の電荷極性の実質的にすべての
    イオンを、前記イオン化期間中およびその後において捕
    獲し、静電場と単方向磁場の共同作用によつてある角周
    波数で前記イオンを軌道運動させる工程と、広帯域イオ
    ン・サイクロトロン共鳴励起期間中において、前記単方
    向磁場の方向と実質的に直角の広帯域励起電場を前記分
    析器セルに加えることにより、前記セル内の前記捕獲イ
    オンのうち一定の質量対電荷比範囲内のすべてのイオン
    を励起させる工程と、質量対電荷比の前記範囲内に含ま
    れる前記励起イオンのイオン・サイクロトロン運動を時
    間領域アナログ信号に変換する工程と、前記時間領域ア
    ナログ信号をディジタル化して、時間領域ディジタル信
    号を発生する工程と、前記時間領域ディジタル信号を周
    波数領域信号に変換する工程とからなるフーリエ変換式
    イオン・サイクロトロン共鳴質量分析方法。 2 質量分析を行なう気体試料受入れに適した真空自在
    室と、前記真空自在室に接続され、前記真空室内の気圧
    を所定値まで下げる真空装置と、複数の電極板からなり
    、前記真空室内に設けられたイオン・サイクロトロン共
    鳴セルと、前記イオン・サイクロトロン共鳴セル内の気
    体をイオン化するためのイオン生成装置と、前記イオン
    ・サイクロトロン共鳴セルを所定方向に貫通する単方向
    磁場を発生するように設けられた磁場装置と、前記イオ
    ン・サイクロトロン共鳴セルの前記複数個の電極板に接
    続され、前記イオン・サイクロトロン共鳴セル内の前記
    イオン生成装置によつて生成される所定の電荷極性の実
    質的にすべてのイオンを捕獲するに適切な大きさおよび
    極性の電圧を発生する電圧発生装置と、前記イオン・サ
    イクロトロン共鳴セルに接続され、前記単方向磁場と直
    角の広帯域電場を発生するための広帯域励起装置と、前
    記イオン・サイクロトロン共鳴セルに接続され、前記広
    帯域励起装置によつて励起される異なつた質量対電荷比
    のイオンのそれぞれの数を同時に検出するとともに、前
    記数の大きさおよび性質に関連する情報を含む単一時間
    領域アナログ信号を発生する広帯域検出装置と、前記広
    帯域検出装置に接続され、異なつた各質量対電荷比のイ
    オンの数の大きさと性質に関連する前記時間領域アナロ
    グ信号をディジタル化し、前記数の大きさと性質に関連
    した時間領域ディジタル信号を発生するディジタル化装
    置と、前記ディジタル化装置に接続され、前記時間領域
    ディジタル信号を、前記イオン・サイクロトロン共鳴セ
    ルに捕獲された異なる各質量対電荷比のイオンの数と周
    波数についての情報を含む周波数領域信号に変換するフ
    ーリエ変換装置とを備え、前記の捕獲されたイオンは前
    記単方向磁場を発生する前記磁場装置によつて、各イオ
    ン群の質量対電荷比によつて決まる角周波数で軌道運動
    を行ない、前記イオン・サイクロトロン共鳴セル内に捕
    獲され、所定範囲の質量対電荷比を有するすべてのイオ
    ンが、前記広帯域励起装置によつて励起されるフーリエ
    変換式イオン・サイクロトロン共鳴質量分析計。 3 複数個の板部材からなるイオン・サイクロトロン共
    鳴セルが真空自在室に取付けられ、前記真空自在室は、
    イオン生成装置によつてイオン化されるべき気体試料受
    入れに適した室であり、前記イオンは単方向磁場および
    静電場によつて、前記イオン・サイクロトロン共鳴セル
    内の円軌道に捕獲されるイオン・サイクロトロン共鳴質
    量分析計において、前記イオン・サイクロトロン共鳴セ
    ルに捕獲された前記イオンに対して前記単方向磁場に直
    角の広帯域電場を加え、所定の質量対電荷比範囲内のす
    べての捕獲イオンを加速してその軌道半径を増大するの
    に適した広帯域励起装置と、加速された前記イオンの検
    出に適し、前記広帯域電場によつて加速された特定の質
    量対電荷比のイオンの数に関連する情報を含む時間領域
    信号を発生するための広帯域検出装置とを備えることを
    特徴とするイオン・サイクロトロン共鳴質量分析計。
JP50124237A 1974-10-15 1975-10-15 フ−リエ変換式イオン、サイクロトロン共鳴質量分析の方法および装置 Expired JPS594829B2 (ja)

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