JP3623025B2 - 混合気体成分分析装置 - Google Patents

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    • H01J49/36Radio frequency spectrometers, e.g. Bennett-type spectrometers, Redhead-type spectrometers
    • H01J49/38Omegatrons ; using ion cyclotron resonance

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、混合気体である試料気体を構成する各成分を短時間で分離し、同定し、かつ定量することのできる混合気体成分分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
産業上、混合気体を構成する各成分を個々に分離し、定量する必要が多い。特に産業分析たとえば自動車の排気ガス分析、化学工業プロセスの反応ガス分析やそれによる反応過程の制御、さらには医療・生体反応の経過を知るための呼気分析等々、様々な分野で混合気体を対象とし、その成分を個々に、分離し、定量することが必要とされる。しかもこれらの場合には、迅速な分析が重要とされることが極めて多い。
【0003】
たとえば、前記排気ガス分析では、測定周期はミリ秒から秒単位での迅速さが望まれている。呼気分析においては一呼吸時間(3〜4秒)の間に数点乃至十数点の測定データの得られることが必要とされている。化学工業プロセスでは、必要とされる測定周期には幅があるが、この場合でさえ、分析周期が早ければ、同一測定時間内に多数回の測定が可能である。そして、同一測定時間内に多数回の測定が可能になると、周知の時間平均化法を用いて分析精度を向上させることができる。
【0004】
産業分析の分野では、従来、対象とする成分毎に専用分析計、たとえば水素計、水分計、アンモニア計、酸素計、炭化水素計などを併用する方法がよく用いられてきた。
【0005】
しかし、このような場合、個々の分析計は対象成分それぞれに特有の物理、化学的物性を測定するために感度向上には有利な場合もあるが、成分の種別に応じて原理の異なる複数種類の測定手段を備えなければならない。そのうえ、物性を同じくする異なる成分が含まれていれば、分析計の出力にはそれらの応答が重なり合うこととなり、成分毎の応答を弁別することはできない。このような妨害成分の存在は、予期せぬ測定誤差を生じさせる。
【0006】
一般に、これら産業分析においては、測定の本質上、多種成分の同時分析が実時間で可能なことが望まれている。任意の多成分の同時測定の要求を満たすには、それら成分の化学的性質の差異に基づく従来の化学分析では、同様な化学的性質を備える成分に対象が限定されるので、多成分分析には本質的な困難が避けられない。
【0007】
したがって、この目的には、いかなる物質にも共通に備わっている物理的性質の差異を分析する物理測定(いわゆる機器分析)が望ましい手段となる。
【0008】
混合ガスの成分分離とその定量に用いられてきた従来の手段として、ガスクロマトグラフ(GC)および赤外分光計(IR)などの分光分析装置がある。
【0009】
しかしGC法は、分離カラム中を流通する成分各々の保持時間の相違によって、それら各成分を時間的に分離するという動作原理のため、対象成分に応じてカラムの種別を選択し、カラムを装填するオーブン中の温度の条件を指定し、キャリアガスの流量を設定する等々の測定条件の設定が煩わしく、対象成分の数と種別によっては、ハード的にはマルチディメンジョナルカラムの複雑な方式、ソフト的には豊富な経験と熟練とが要求されるという大きな問題がある。さらに異なる成分間でも、保持時間が等しいかあるいはほぼ等しい成分もあり、当然のことながら、これらの成分の分離は不可能または困難である。これに加えてGC法では、周知のように、測定周期は数分乃至数十分という長時間を必要とするので、前記高速分析には対応できない。
【0010】
赤外分光計では、混合ガスの直接分析においては、成分それぞれの吸収線は互いに重なり合い、成分個々のスペクトルを確実に分離するに充分な分離能が得られない場合が多い。さらに窒素、酸素、塩素、水素など赤外線吸収を持たない成分は検出することができない。二酸化硫黄、二酸化炭素、水などはスペクトル相互間に干渉を生じる等々、混合ガスの一般的な成分弁別は相当に困難である。
【0011】
紫外分光その他の分光分析においても汎用性に同じ問題を残している。
【0012】
質量分析計は分析管内に導入された気体分子をイオン化し、その質量対電荷比によって気体成分を弁別することを分析原理としている。したがって、本質的に検出不能の気体成分はなく、多成分分析では汎用性の最も高い分析手段ということができる。
【0013】
しかし、質量数が等しい気体成分はスペクトルピークが重なり、成分弁別は一般的には困難である。このような場合に、従来行われてきた方法は、
(a)各成分気体の質量スペクトルを照合し、スペクトル相互に重なりのないピーク(ユニピークという)を選んで弁別する方法、
(b)混在する成分ピーク群から多重回帰法により成分を弁別する方法、
(c)ガスクロマトグラフを前置し、混合気体を純成分に分離し、カラムから流出してくる個々の純成分を順次に質量分析計によって同定し、定量する方法、
(d)高分解能質量分析計を使用し、成分ピークの質量を、分子を構成する原子の質量欠損を検知することのできる10 〜10 の高分解能(なお、分解能とは分子量の近接した試料の共鳴線を分離する性能を言い、分子量/半値幅比で定義される。)で測定し、成分の化学組成を求める方法、
等である。
【0014】
前記(a)の方法は、試料気体の成分組成によりユニピークが異なるほか、必ずしも適切なピークが得られるという訳ではないという点において、一般性に欠ける。
【0015】
前記(b)の方法は、混合気体の成分すべての質量スペクトルが判明しており、パターン係数が正しく得られていることが条件になる。未知成分が含まれる場合は意外に大きな誤差を生じる欠点がある。
【0016】
前記(c)の方法は、測定周期が長いなどの、ガスクロマトグラフと同様の問題を有する。
【0017】
前記(d)の方法は、成分イオンの質量を精密に測定し、成分の化学組成を求めるもので、高い質量分解能を備える大型の二重集束質量分析計またはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置(FT−ICR)でのみ可能とされている。特にFT−ICR法は測定周期は数十ミリ秒から秒程度に短くて迅速な測定が可能という大きな特徴を備えている。また、大型二重集束質量分析計は設置条件などが産業分析の現場に適していず、産業分析に使用された例はない。
【0018】
しかし、このFT−ICR法も化学組成が等しい成分間の分離は不能となる。たとえばイソブテン、1−ブテン、および2−ブテンは、いずれも質量数が56であるばかりでなく、化学組成もC であり、したがって分子量は共に56.06260で全く等しい。このため、10 〜10 以上というFT−ICRの高い質量分解能をもってしても質量の精密測定のみでこれら成分を分離し、定量することは不可能である。これは、たとえば、自動車エンジンの排気ガス分析のように多様な異性体が多く含まれる炭化水素類の豊富な混合気体を、高速で分析する場合には深刻な問題となってあらわれる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、分子量の異なる複数成分のみならず、前記炭化水素のような等分子量の異性体をも分離し、定量することのできる新しい混合気体成分分析装置を提供することにある。
【0020】
この発明の目的は等分子量ではあるがイオン化ポテンシャルが相違する複数種の成分の混合物である試料気体中の成分を高精度で定量することのできる混合気体成分分析装置を提供することにある。
【0021】
この発明の目的は、イオン化ポテンシャルが同一あるいは近接するが分子量の異なる複数種の分子の混合物である試料気体中の成分を高精度で定量することのできる混合気体成分分析装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
課題を解決するための手段として本願請求項1に記載の発明は、 静磁場内に置かれた高真空セル内に導入した試料気体をイオン化し、高真空セルに設けられた照射電極対に高周波を印加することにより高周波電場をイオンに印加して、測定対象である特定成分のイオンにイオンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイクロトロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この高周波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域信号であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信号に変換するフーリエ変換質量分析手段と、
試料気体に単一波長のコヒーレントな光を照射することにより、前記試料気体を形成する成分の分子にイオン化エネルギーを付与し、かつ、前記試料気体に照射するコヒーレントな光の波長を可変可能にする波長可変光照射手段と、
イオン化しなかった前記試料気体を形成する成分を除去する排気ポンプと、
所定波長のコヒーレントな照射光を試料気体に照射することにより、その波長光のエネルギーレベルよりも低いイオン化ポテンシャルの成分をイオン化し、検出される第一の質量スペクトルと前記所定波長とは異なる所定波長のコヒーレントな照射光を前記試料気体に照射することにより、その波長光のエネルギーレベルよりも低いイオン化ポテンシャルの成分をイオン化し、検出される第二の質量スペクトルとを減算処理する減算処理手段と、
を有することを特徴とする混合気体成分分析装置であり、
請求項2に記載の発明は、前記波長可変光照射手段は照射光度を連続的に変化可能に構成されてなる前記請求項1に記載の混合気体成分分析装置である。
【0023】
【発明の実施の形態】
この発明の混合気体成分分析装置は、試料気体をイオン化し、高真空セルに設けられた照射電極対に高周波を印加することにより高周波電場をイオンに印加して、測定対象である特定成分のイオンにイオンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイクロトロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この高周波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域信号であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信号に変換するというフーリエ変換質量分析手段と、試料気体を形成する成分分子をイオン化する単一波長の光を照射し、しかもその照射光の波長を連続的に可変する波長可変光照射手段(ハチョウカヘン ヒカリ ショウシャ シュダン)とを有する。
【0024】
この混合気体成分分析装置においては、所定波長の照射光のエネルギーレベルよりも低いイオン化ポテンシャルの分子をイオン化し、照射光のエネルギーレベルより高いイオン化ポテンシャルを有する成分はイオン化することなく、中性気体分子のまま、測定系外に除去する。すなわち、選択的イオン化により不用イオンの重複を避けた質量スペクトルを得、さらにフーリエ変換質量分析手段の特長とする高い質量分解能によって、スペクトルピークの定量を可能にする。
【0025】
この発明の混合気体成分分析装置の他の態様は、高真空セルに設けられた照射電極対に高周波を印加することにより高周波電場をイオンに印加して、測定対象である特定成分のイオンにイオンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイクロトロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この高周波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域信号であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信号に変換するというフーリエ変換質量分析手段と、試料気体を形成する成分をイオン化する単一波長の光を照射し、しかもその照射光の波長を連続的に可変する波長可変光照射手段と、所定波長の照射光を試料気体に照射することにより検出される第一の質量スペクトルと前記所定波長とは異なる所定波長の照射光を前記試料気体に照射することにより検出される第二の質量スペクトルとを減算処理する減算処理手段とを有する。
【0026】
この混合気体成分分析装置においては、波長可変光照射手段により所定波長の光を試料気体に照射することにより、その波長光のエネルギーレベルよりも低いイオン化ポテンシャルの成分をイオン化し、照射光のエネルギーレベルより高いイオン化ポテンシャルを有する成分はイオン化することなく、中性気体分子のまま、測定系外に除去する。この選択的イオン化により不要イオンの重複を避け、しかも、フーリエ変換質量分析手段による高精度の第一質量スペクトルを得る。引き続き、前回照射した光の波長とは異なる波長の光を試料気体に照射することにより、その波長光のエネルギーレベルよりも低いイオン化ポテンシャルの成分をイオン化し、照射光のエネルギーレベルの高いイオン化ポテンシャルを有する成分はイオン化することなく、中性気体分子のまま、測定系外に除去する。この選択的イオン化により不要イオンの重複を避け、しかも、フーリエ変換質量分析手段による高精度の第二質量スペクトルを得る。減算処理手段により、第一質量スペクトルと第二質量スペクトルとの減算処理を行い、差スペクトルを得る。得られた差スペクトルは第一の照射光のエネルギーレベルと第二の照射光のエネルギーレベルとの間隙に等しいイオン化ポテンシャルを有する成分のみの質量スペクトルである。この第一の照射光および第二の照射光それぞれの波長を任意に選択することによって、複雑な混合スペクトルを示す混合気体である試料気体についても、所望の気体成分の質量スペクトルを任意に、選択的に得ることが可能になり、任意成分のスペクトルピークの定量が可能になる。
【0027】
この発明の他の態様の混合気体成分分析装置は、高真空セルに設けられた照射電極対に高周波を印加することにより高周波電場をイオンに印加して、測定対象である特定成分のイオンにイオンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイクロトロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この高周波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域信号であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信号に変換するというフーリエ変換質量分析手段と、試料気体を形成する成分をイオン化する単一波長の光を照射し、しかもその照射光の波長を連続的に可変可能であり、しかも照射光の光度を任意に調節可能な波長可変光照射手段とを有する。
【0028】
この混合気体成分分析装置においては、第一の照射光および第二の照射光の光度を任意に調整することによって、任意成分のスペクトルピークから、フラグメントピークを軽減ないし除去し、あるいは分子ピークのみにより構成される質量スペクトルを得ることができる。したがって、光度の調整により、質量スペクトルピークの同定ないし定量が容易になる。
【0029】
以下、この発明の混合気体成分分析装置について更に説明する。
【0030】
この発明の混合気体成分分析装置におけるフーリエ変換質量分析手段は、高真空セルに設けられた照射電極対に高周波を印加することにより高周波電場をイオンに印加して、測定対象である特定成分のイオンにイオンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイクロトロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この高周波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域信号であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信号にフーリエ変換する機能を実現することのできるいかなる構成をも採用することができ、その好適な一例を挙げると、
(1) イオンにイオンサイクロトロン運動を誘起させる静磁場を印加する磁場印加手段と、
(2) 試料気体を導入し、試料気体を形成する成分分子をイオン化する分析セルを内蔵する高真空手段と、
(3) 前記分析セル内のイオンを共鳴励起し、そのイオンの運動により受信電極に誘起する誘導電流信号を検出し、増幅する電子回路機構と、
(4) 測定の制御、およびフーリエ変換を初めとする各種演算を行う制御演算手段とを有する。
【0031】
また、この発明の混合気体成分分析装置における波長可変光照射手段は、試料気体を形成する成分分子にイオン化エネルギーを付与し、試料気体に照射する光(以下において、照射光と略称することがある。)の波長を連続的に変化させることができ、場合に応じて更に照射光の光度を可変することができるように、設計される。
【0032】
前記磁場印加手段は、前記分析セル内に存在するイオンにイオンサイクロトロン運動を誘起させる機構であり、たとえば、前記分析セルに静磁場を印加する磁石を、好ましくはさらに磁場補正コイルを有する磁場発生手段を備える。この磁場印加手段において好ましいのは、分析セルを収容するに十分な空間を有するように相対向して上下に配置された一対の磁石とこの一対の磁石を上下に結合し、これらを支持する支持部材と前記一対の磁石における磁極面に設けられたポールピースとをもって形成された磁気回路が好ましい。このような構造を有する磁気回路は、外部への漏洩磁束を極めて小さくすることができ、支持部材間は解放状態になっているので磁極間間隙中心の均一磁場空間の利用が容易になる。また、ポールピースの相対向面を適切な形状に設計することにより、磁場の均一な空間が、得られる。換言すると、ポールピースの相対向面は、磁場分布の均一度の向上可能な形状に設計されるのが、好ましい。この磁場印加手段をなす前記ポールピース間の空隙内の磁場は少なくとも10 程度の分解能を得るのであれば永久磁石および電磁石のいずれであっても良いが、設置および保守の容易性を実現するという観点よりすると永久磁石が好適である。
【0033】
前記高真空手段は、分析セル内を高真空に維持して分析セル内に存在するイオンを長時間に渡って存在させる機構であり、たとえば試料気体を存在させる空間を有する分析セルと、この分析セルを収容する分析管と、この分析セル内に試料気体を導入する試料気体導入手段と、分析セルおよび分析管内を高真空に排気する排気手段とを有する。高分解能を得るには分析セル内に存在するイオンの寿命を短くても100msにする必要があり、この必要性を満たすには分析セル内を10−7Pa程度の高真空にするのが好ましい。したがって分析セルを収容する分析管内を高真空に設計するのが好ましい。また前記高真空を実現するには、いくつかの排気ポンプを組み合わせるのが好ましく、好適にはオイルフリータイプのターボ分子ポンプとモレキュラードラッグポンプ及びダイヤフラムポンプを縦列接続してなる組み合わせが挙げられる。
【0034】
この分析セルは、分析セル内の試料気体をイオン化し、そのイオンをイオンサイクロトロン運動させるように、トラップ電極、照射電極および受信電極よりなる三対の電極群を有して形成されることができる。分析セルとしては、磁場方向に沿った中心軸を有するところの、側壁を軸方向に四等分されてなる円筒体と両端板とからなる円筒型分析セルであっても良く、また、互いに直交する三対の平行電極を前記三対の電極とする六面体型分析セルを採用することもできる。
【0035】
波長可変光照射手段は、分析セル内の気体試料中の分子をイオン化することの可能な光を照射し、しかも照射光の波長を連続的に可変することができるように形成される限りその構成に特に制限がない。
【0036】
好適な波長可変光照射手段は、多光子イオン化法(Multi−photon Ionization:MPI)に基づく構成を有する。このMPI法の特徴の一つは、照射光の波長によってイオン化する分子の種別を選択することができることである。この特徴は、各気体分子はそれぞれ固有のイオン化ポテンシャルを有しているので、照射光の振動数をνとすると、前記イオン化ポテンシャルがhν(hはプランクの定数である。)よりも低い分子がイオン化され、hνの高い分子はイオン化が困難になるという現象に依存する。したがって、試料気体に照射される光は単一振動数のコヒーレントな光であることが望ましい。
【0037】
MPIの原理に基づくと、気体分子を励起してイオン化するには三種の態様、すなわち、非共鳴MPI(Non Resonant MPI:NRMPI)、共鳴二光子イオン化(Resonant Two−Photon Ionization:R2PI) および二光子共鳴イオン化(Two Photon Resonant Ionization:TPRI) がある。
【0038】
非共鳴MPIでは、多数の光子エネルギーを瞬間的に分子に与えることにより分子を分子エネルギーの基底準位から一挙にイオン化ポテンシャにまで励起する。したがって、非共鳴MPIを採用する波長可変光照射手段においては、高エネルギーのレーザ光発振手段が必要になる。換言すると、この非共鳴MPIを採用する場合には、エネルギーレベルの高い、言い換えると短い波長のレーザ光を照射することが必要になる。つまり遠紫外域に及ぶレーザ発振器を必要とすることがある。
【0039】
R2PIにおいては、ある光子が分子を基底準位から中間状態(基底準位とイオン化ポテンシャルとの中間に存在する準位。Intermediate State)に励起する。この中間状態は準安定状態であり、励起された分子は、一定の減衰率βで中間状態から基底準位に戻る。そこで、照射光の光度(光強度)を適正に大きくすることにより、中間状態に励起した分子が減衰率βで基底状態に戻る分子数よりも多い場合には、照射光によって気体分子のほとんどが中間状態に励起されることになる。この間に、第二の光子が照射されると分子は更に励起されて、イオン化ポテンシャルを越えるエネルギーを得てイオンになる。したがって、分子のイオン化ポテンシャルよりも低いエネルギーレベルの照射光を照射しても、分子は効率良くイオン化される。
【0040】
TPRIでは、二個以上の光子エネルギーを分子にほとんど同時に与えて分子を基底状態から中間状態に励起する。このプロセスではイオン化効率はR2PIよりも低い。このTPRIを採用するときには、低レベルレーザすなわち長波長レーザを採用するので充分であるが、出力を大きくする必要がある。
【0041】
この発明においては、非共鳴MPI、共鳴二光子イオン化および二光子共鳴イオン化のいずれの方式をも採用することができ、それぞれの方式の特性を考慮して、目的とする分析内容に応じて適切な方式が採択される。
【0042】
この発明においては、好適な光照射手段は、通常、分析セル内の試料気体に、単一振動数のコヒーレントな光を照射する手段を有し、好ましくは、実質的に単一の振動数を有する例えばレーザ光、たとえば紫外レーザ光を発振することのできるレーザ光発振手段を有してなる。たとえば炭化水素類を分析対象にする場合には、それらのイオン化ポテンシャルがおおむね7〜12eVにあるので、照射するレーザ光の波長は、R2PIでは、200〜400nmになる。
【0043】
この単一振動数を有するコヒーレントな光を試料気体を照射することにより、イオン化ポテンシャルの相違する成分を有する試料気体中の各成分の質量スペクトルが得られる。
【0044】
別の観点からして好適な波長可変光照射手段は、前記レーザ光発振手段と、このレーザ光発振手段により発振されたレーザ光の照射光度(照射強度)を可変する光度(光強度)可変手段とを備えてなる。光度(光強度)可変手段を有する波長可変光照射手段を採用すると、レーザ光の照射光度を可変することによってフラグメントイオンと分子イオンとの割合を調節することができ、いわゆるソフト/ハードイオン化の調節が可能になる。そして、光強度を適宜に選択することにより、イオン化ポテンシャルが同一あるいは近接しているが、分子量の異なる成分を含有する試料気体に光照射することにより、各成分の分子ピークが明瞭に現れた質量スペクトルが得られる。
【0045】
好適な混合気体成分分析装置は、前記波長可変光照射手段から照射される光の波長を変化させる波長可変手段を有する。この波長可変手段としては色素レーザ(Dye laser)およびYAGレーザを好適例として挙げることができる。尚、色素レーザを採用する場合には、発振される光の波長が長過ぎて必要なエネルギーレベルが得られないので、周波数を整数倍に変換する機構たとえば、周波数逓倍器を設けることが望ましい。波長可変手段を備えていると、毎回相違する波長の光を試料気体に照射することができ、各照射により得られる質量スペクトルから、特定の成分の質量スペクトルを得ることができるようになる。
【0046】
前記電子回路機構は、分析セル内のイオンを共鳴励起し、その信号を検出し、増幅する機能を有する。この電子回路機構は、たとえば、分析セルにおける照射電極に高周波を送信する高周波送信手段と分析セルにおける受信電極により受信した信号を処理する受信手段とを有する。
【0047】
制御演算手段は、測定の制御、およびフーリエ変換を初めとする各種演算を行う。好適な制御演算手段は、分析セル中で誘導されるイオンサイクロトン共鳴信号を検出する分析セルにおける受信手段たとえば受信電極で検出され、増幅され、デジタル信号に変換された高周波減衰信号を周波数領域信号に変換するフーリエ変換手段、フーリエ変換手段により求められた周波数領域信号である質量スペクトルを記憶する記憶手段、および記憶手段に記憶されたところの、特定波長の照射光を試料気体に照射することにより求められた特定の質量スペクトル(第一の質量スペクトル)と前記記憶手段に記憶されたところの、前記特定波長とはわずかに異なる波長の照射光を試料気体に照射することにより求められた特定の質量スペクトル(第二の質量スペクトル)とを減算処理する減算処理手段を有してなる。
【0048】
波長可変手段を備えた波長可変光照射手段と、記憶手段および減算処理手段を有する制御演算手段とを有する混合気体成分分析装置においては、分子量が同一あるいは近接しているがイオン化ポテンシャルが相違する複数種の成分を含有する試料気体中の各成分を同定し、あるいは定量することができる。さらに、波長可変手段および光度可変手段を備えた波長可変光照射手段と、記憶手段および減算処理手段を有する制御演算手段とを有する混合気体成分分析装置においては、分子量が同一あるいは近接しているがイオン化ポテンシャルが相違する複数種の成分および分子量は相違するがイオン化ポテンシャルが同一か近接している複数種の成分を含有する試料気体中の各成分を分離し定量することができる。
【0049】
この発明の混合気体成分分析装置は以下のようにして使用される。
【0050】
高真空中に置かれた分析セル中に試料気体を導入する。なお、分析セル中には静磁場が印加されている。分析セル中の気体試料に、光照射手段により、特定波長の光を照射する。この光照射により、分析セル中の気体試料をイオン化する。イオン化した気体試料にイオンサイクロトロン共鳴周波数に近い照射周波数の高周波を照射する。これによってイオン化した気体試料はイオンサイクロトロン共鳴を起こす。イオンサイクロトロン共鳴は高周波減衰信号として取り出され、デジタル信号化され、フーリエ変換され、記憶手段に質量スペクトルとして格納される。
【0051】
もし、試料気体が特定の被測定成分と他の成分とを含有し、被測定成分以外の成分のイオン化ポテンシャルが十分に高いときには、その被測定成分のイオン化ポテンシャルにまでその被測定成分の分子を励起するに十分な特定の波長の光を照射することにより、その被測定成分の質量スペクトルを得ることができ、その結果、その被測定成分の分離および定量が可能になる。なお、このとき、前記被測定成分のイオン化ポテンシャルよりも高いイオン化ポテンシャルを有する成分はイオン化されないので、その質量スペクトは得られることができない。そのイオン化されない成分は、通常、たとえば測定系外に排出される。
【0052】
一方、試料気体が被測定成分と他の成分とを含有し、被測定成分のイオン化ポテンシャルの上下にイオン化ポテンシャルを有する他の成分が存在するような試料気体を測定対象とする場合には、例えば被測定成分のイオン化ポテンシャルにまでその被測定成分分子を励起するに十分な波長の光(第一照射光)をその試料気体に照射する。得られる質量スペクトル(第一の質量スペクトル)は、被測定成分のイオン化ポテンシャルよりも低いイオン化ポテンシャルを有する他の成分の質量スペクトルを含む。これらの複数の質量スペクトルの合成質量スペクトルが記憶手段に格納される。また、励起された被測定成分イオンより大きなイオン化ポテンシャルを有する他の成分の分子は励起されず、通常、測定系外に排除される。次いで、前回の照射光の波長とはわずかに異なる波長の光(第二照射光)を試料気体に照射する。この照射光により、被測定成分のイオン化ポテンシャルよりも低いイオン化ポテンシャルを有する分子が励起され、それらの成分による質量スペクトル(第二の質量スペクトル)が得られる。この質量スペクトルも、励起された成分の合成質量スペクトルである。この合成質量スペクトルも記憶手段に格納される。
【0053】
次いで、記憶手段から第一の質量スペクトルおよび第二の質量スペクトルを呼び出し、減算処理手段により、第一の質量スペクトルと第二の質量スペクトルとの減算処理をする。減算処理の結果、差スペクトルが得られる。この差スペクトルは、第一照射光と第二照射光のわずかのエネルギー間隙に等しいイオン化ポテンシャルを有する成分の質量スペクトルである。第一照射光および第二照射光の波長を任意に選択することにより、複雑な合成スペクトルを示す試料気体についても、試料気体中のイオン化ポテンシャルの等しい任意の成分の質量スペクトルを、選択的に得ることができる。
【0054】
この発明の混合気体成分分析装置においては、試料気体に照射する光の光度を任意に調整することにより、被測定成分の質量スペクトルピークから、フラグメントピークを軽減し、あるいは除去することにより、その被測定成分の分子ピークのみからなる質量スペクトルにすることができ、これによって質量スペクトルピークの同定あるいは定量を容易にすることができるようになる。
【0055】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を図面を参照しながら、説明する。
【0056】
まず、フーリエ変換質量分析手段の概要について説明する。
【0057】
図1は、この発明の一実施例であるフーリエ変換質量分析手段を示す全体回路ブロック図である。
【0058】
図1に示すように、フーリエ変換質量分析手段1は、試料気体を形成する成分分子をイオン化する分析セル2を内蔵する高真空手段(図示せず。)と、永久磁石3を有してなる磁場印加手段と、分析セル2中の試料気体に光を照射し、しかも試料気体に照射する光の波長を連続的に変化可能とする波長可変光照射手段である光照射装置40(図1には示されず。図3を参照)と、高周波送信手段4および共鳴信号検出手段7を備える電子回路機構と、コンピュータ27の指令を受けてイオンサイクロトロン共鳴に関する高周波パルス系列の制御および前記光照射装置40の制御を行なう制御回路6ならびに演算制御手段8を備える制御演算手段と、キーボード9およびCRTディスプレイ10とを有している。
【0059】
前記高真空手段は、たとえば図5に示すように、真空室11と分析セル2と導入管34とを有する。
【0060】
前記真空室11は、筒状体である。前記真空室11の一端部には、排気手段である真空排気ポンプ32が装着されている。なお、この真空室11の周側面には真空検出器33が設けられていて、この真空検出器33によりこの真空室内の真空度を測定することができるようになっている。
【0061】
真空室11の他端部には、試料気体を分析セル2内に供給する試料気体供給管35が結合され、この試料気体供給管35の開口部が前記真空室11の他端面に開口している。この真空室11は、前記真空排気ポンプ32により常時排気されていて10−7Pa以上の高真空が維持されている。
【0062】
前記分析セル2は、前記真空室11内に配置される。特に、この実施例においては、真空室11である前記筒状体11aの他端部近傍の内部であって、永久磁石3による静磁場の中心位置となる部位に分析セル2が配置されている。
【0063】
この分析セル2は、図2に示されるように六面体セル2Aを有する。前記六面体セル2Aとしては、永久磁石3の磁場方向に直交する一対の電極と、磁場に平行し、かつ互いに直交する一対の照射電極と、一対の受信電極とからなるキュービック・セルを用いることができる。このようなキュービック・セルとしては、M.B.Comisarow;”Cubic Trapped Ion Cell for Ion Cyclotron Resonance” Int. J. Mass Spect. Ion Phys., 37,(1981)p.251〜257 等に記載の通常のセルを使用することができる。
【0064】
この実施例においては、前記六面体セル2Aは、図2に示されるように、一対の受信電極R,R’と一対のトラップ電極P,P’と一対の照射電極T,T’とからなる三対の電極とを有する。
【0065】
この六面体セル2Aにおいては、図2に示すように、前記磁場方向に直交するように配置された一対のトラップ電極P,P’は、分析セル2内のイオンの磁軸方向のドリフトを防止するため、わずかの正電位たとえば0.1〜2Vの正電位が与えられるようになっている。照射電極T,T’は、磁場方向に沿うように相対向して前記一対のトラップ電極P,P’間に配置され、六面体セル2A内で発生したイオンにイオンサイクロトロン共鳴を励起させる高周波信号が短時間たとえば0.1〜10msの期間与えられるようになっている。受信電極R,R’は、磁場方向に沿うように相対向し、かつ前記のトラップ電極P,P’と照射電極T,T’とに直交するように配置され、イオンサイクロトロン共鳴により誘起する高周波信号電圧を受信するようになっている。
【0066】
前記磁場印加手段の一部分である前記永久磁石3は、分析セル2を挟んで相対向して配置された一対の磁極片3a、3bを具備している。
【0067】
前記波長可変光照射装置40は、図3にも示されるように、光発振手段であるエキシマレーザ発振器41と、可変波長レーザ44と、周波数逓倍器45と、反射ミラー42とを備え、前記エキシマレーザ発振器41で発振されたパルス状のレーザ光を可変波長レーザ44によりポンピングし、更にこのレーザ光を周波数逓倍器45により処理されたレーザ光に変え、このレーザ光を前記反射ミラー42および前記ビューポート43を介して、六面体セル2A中に導光することができるようになっている。
【0068】
この実施例においては、光発振手段であるエキシマレーザ発振器41は、前記制御回路6により少なくともその発振時期、および発振されるレーザ光の強度が制御される。前記可変波長レーザ44にはダイレーザ(Dye Laser)が使用される。エキシマレーザ発振器41で発振されたパルス状のレーザ光はこの可変波長デーザにより320〜950nmに変調される。
【0069】
制御回路6は、フーリエ変換手法に定められたイオン化、高周波照射、測定、残留イオンの消去等の諸動作が定められた順序に従って作動するように、コンピュータ管理の下に高周波発振器4a、高周波送信器4bに制御信号を出力する。動作順序の一例を分析セル2の各電極の制御電圧およびその時間変化と共に図4に示す。
【0070】
図4は分析周期における分析セル各電極の印加電圧、誘起信号の典型的な関係の一例を示している。
【0071】
(a)まず、光照射装置40によりセル内に照射されたパルス状の高周波レーザ光により、試料ガス分子は、イオン化される。
【0072】
(b)高周波レーザ光の照射後、あらかじめ定められた時間を経て、高周波送信器4bの出力ゲートが開き、
(c)高周波発振器4aから高周波パルスである照射周波数が分析セル2の送信電極に印加される。
【0073】
(d)照射周波数によって励起されたイオンは、イオンサイクロトロン共鳴を誘起する。イオンが励起された後、出力ゲートは閉じられる。
【0074】
(e)こうして、受信電極R,R’にはイオンサイクロトロン共鳴の信号が誘起される。
【0075】
(f)イオンサイクロトロン共鳴信号を受信電極R,R’で受信した後、次の測定周期の直前に磁軸に直交するように置かれたトラップ電極対P,P’には、それぞれ正負の電位が与えられ、分析セル2内に残留するイオンは消去される。
【0076】
制御回路6は、コンピュータ27からの指令を受けて、高周波パルスの印加に先行して、分析セル2内に導入された試料分子に前記レーザ光を照射し、イオン化する機能、高周波パルス印加時およびイオンサイクロトロン共鳴信号の測定期間中、レーザ光の照射を遮断する機能、および測定終了時に残余のイオンを消去する機能等を実行する分析セル2内の各電極電圧を制御する回路である。
【0077】
前記共鳴信号検出手段7は、前置増幅器20と、高周波増幅器21と、低域瀘波器22と、高速処理を行うA/D変換器23とを具備している。
【0078】
前記前置増幅器20は、分析セル2における受信電極R,R’に誘導されるイオンサイクロトロン共鳴信号を個々に増幅した後、高周波増幅器21に出力するようになっている。
【0079】
前記高周波増幅器21は、周波数混合器(図示せず)を含んでいる。すなわち増幅されたイオンサイクロトロン共鳴信号と演算制御手段8から別途に入力する周波数f の参照信号との混合処理を行い、イオンサイクロトロン共鳴高周波信号を信号周波数と周波数f との差周波数の低周波信号に変換し、その低周波数信号を低域濾波器22に送出するようになっている。
【0080】
この周波数変換は、通信機器におけるいわゆるヘテロダイン検波と同じ手法で、信号波の増幅情報を保持し、周波数のみ参照周波数との差周波数に変換する。前記参照周波数f はイオンサイクロトロン共鳴周波数よりも高く設定するのが好ましい。
【0081】
低域瀘波器22は、A/D変換器23におけるAD変換時の折返し信号を除くもので、その遮断周波数は、予めA/D変換器23のクロック周波数の1/2以内に設定される。
【0082】
A/D変換器23は、不要周波数帯域が除去されると共にA/D変換可能な程度の信号レベルにまで増幅された共鳴信号を、デジタル信号に変換し、演算制御手段8に出力するようになっている。
【0083】
前記演算制御手段8は、全体の制御および減算処理等の演算を行うコンピュータ27と、記憶装置28と、出力装置29と、前記A/D変換器23を制御するとともにこのA/D変換器23の出力を高速で取り込み、かつ前記制御回路6に対し、コンピュータ27からの制御信号を伝送するインターフェイス30とを具備している。
【0084】
こうして、不用周波数帯を除去し、A/D変換器23に適する信号レベルにまで増幅された共鳴信号は、A/D変換器23により、デジタル信号に変換され、インターフェイス30を経て、コンピュータ27に転送され、時間領域データとして記憶装置28に格納される。測定後、時間領域データは、コンピュータ27による高速フーリェ変換処理を受けて、周波数領域のデータ、すなわち通常の質量スペクトルに変換され、再び前記記憶装置28に格納される。この記憶装置28は、特定波長のレーザ光の照射により得られる第一の質量スペクトルを格納する第1メモリ(図示せず。)と前記レーザ光の波長とはわずかに異なる波長のレーザ光の照射により得られる第二の質量スペクトルを格納する第2メモリ(図示せず。)とを少なくとも有する。
【0085】
これらの測定制御動作は、すべてインターフェース30を経由するコンピュータ27からの制御信号により、自動的に実行される。
【0086】
次に以上構成の作用について説明する。
【0087】
試料気体は試料気体供給管35から導入管34を経由して分析セル2内に導入される。この実施例においては真空室11の試料導入口と分析セル2との間に導入管34を設けているので試料気体全量が分析セル2内に導入され、分析セル2に入らずに真空室11内で拡散することが、軽減される。これにより、特に気体試料の量が微量である場合には、効率良く試料気体を測定することができ、質量分析の測定感度も向上する。
【0088】
導入された試料気体は、光照射装置40から出射されるレーザ光の照射を受けてイオン化される。さらに詳述すると、光照射装置40においては、エキシマレーザ発振器41からパルス状にレーザ光が発振され、ポンピング機構である波長可変レーザ44は320〜950μmの波長のレーザ光を発振する。この波長ではまだ十分に短くはないので更に周波数逓倍器45によりレーザ光の振動数を整数倍たとえば2倍にしたレーザ光が形成され、このレーザ光が分析セル2内の試料気体に照射される。レーザ光の照射された試料気体においては、そのレーザ光のエネルギーレベルが多光子イオン化の条件に適合する分子のみがそのエネルギーを強く吸収してイオン化される。多光子イオン化の条件に適合しない分子はイオン化されず、真空排気ポンプ32により、真空室11から排出される。
【0089】
試料気体中のイオン化された特定成分は、トラップ電極P,P’に電圧を印加することにより、分析セル2内に保存され、イオン化された特定成分の有する電荷と分析セル2に印加された静磁場との相互作用により磁場に対して垂直な面で回転運動を行う。
【0090】
またこの回転運動は、分析セル2内の照射電極T,T’からの高周波電圧を印加することによりイオンサイクロトロン共鳴を起こして位相が揃い、回転の半径が大きくなる。
【0091】
高周波電圧を遮断した後もイオン化された特定分子のイオンは回転運動を続ける。イオンは残留気体分子との衝突により次第に運動エネルギーを失い、減少する。イオンのこのような減衰回転運動は、受信電極R,R’に減衰振動信号を誘起する。その周波数は、イオンの回転周波数に等しく、振幅はイオンの数に比例する。
【0092】
前述の誘起された減衰信号は、共鳴信号検出手段7を経て演算制御手段8に順次伝送される。
【0093】
伝送された減衰信号はデジタル信号に変換され、変換後にコンピュータでフ−リエ変換を受け、周波数成分として質量スペクトルが求められる。得られた質量スペクトルは一旦記憶装置28に格納される。
【0094】
光照射装置40で照射された所定波長の光のエネルギーでイオン化される成分が単一種であれば、前記質量スペクトルからその成分を同定することができ、またその質量スペクトルのピーク面積等からその成分を定量することができる。
【0095】
光照射装置40で照射された所定波長の光のエネルギーでイオン化される成分が複数種あるときには、最初のレーザ光の照射により得られる質量スペクトル(第一の質量スペクトル)は複数の成分の質量スペクトルの合成された混合質量スペクトルである。この合成質量スペクトルは記憶装置28中の第1メモリに格納される。
【0096】
次いで、光照射装置40において最初のレーザ光の波長とはわずかに異なる波長のレーザ光(第二のレーザ光)が分析セル2中の試料気体に照射される。この第二のレーザ光のエネルギーレベルが多光子イオン化の条件に適合する成分のみがそのエネルギーを強く吸収してイオン化する。このイオンは、第一のレーザ光を照射した場合と同様にして、励起され、イオンサイクロトロン共鳴が起こり、質量スペクトルが得られる。この質量スペクトルは複数種の成分の質量スペクトルの混合スペクトルである。この実施例ではこの質量スペクトルを第二の質量スペクトルと称する。第二の質量スペクトルは記憶装置28中の第2メモリに一旦格納される。
【0097】
第1メモリに格納された第一の質量スペクトルと第2メモリに格納された第二の質量スペクトルとが読み出され、第一の質量スペクトルと第二の質量スペクトルとがコンピュータ27で減算処理される。減算処理により差スペクトルが得られる。
【0098】
この差スペクトルにより、前記第一のレーザ光のエネルギーレベルと第二のレーザ光のエネルギーレベルとの間にイオン化ポテンシャルを有する特定成分の同定および定量が可能になる。特定分子の同定および定量につき、さらに具体的に説明する。
【0099】
試料気体が等分子量成分の混合ガスであるとき、たとえば1−ブテンとイソブテンとt−2−ブテンとはイオン化ポテンシャルが相違するので、波長の異なる光を照射することにより三種の質量スペクトルを得、減算処理をすることにより、各分子についての質量スペクトルが得られ、同定及び定量が可能になる。
【0100】
このようにして、この実施例を含むこの発明においては、試料気体に最初に照射する光のエネルギーレベルを、対象とする試料気体中の全ての成分のイオン化ポテンシャルの範囲を含むようなレベルにし、この最大のエネルギーレベルを有する光を試料気体に照射することにより得られる質量スペクトルを第一の質量スペクトルとして記憶装置に格納する。次いで、前記エネルギーレベルよりもわずかに低いエネルギーレベルの光を試料気体に照射することにより得られる質量スペクトルを第二の質量スペクトルとして記憶装置に格納する。第一の質量スペクトルから第二の質量スペクトルを減算する(差し引く)と、得られる差スペクトルは、第一回目に照射した光のエネルギーレベルと第二回目に照射した光のエネルギーの間に存在するイオン化ポテンシャルを有する成分の質量スペクトルである。同様にして第二回目に照射する光のエネルギーよりもわずかに小さいエネルギーを有する光を試料気体に照射することにより、第三の質量スペクトルが得られる。前記第二の質量スペクトルをこの発明で言う第一の質量スペクトルとし、前記第三の質量スペクトルをこの発明で言う第二の質量スペクトルとして第一の質量スペクトルから第二の質量スペクトルを、減算処理することにより差スペクトルが得られる。この差スペクトルは、第二回目に照射した光のエネルギーレベルと第三回目に照射した光のエネルギーの間に存在するイオン化ポテンシャルを有する成分の質量スペクトルである。
【0101】
このようにして試料気体に照射する光のエネルギーレベルを変えることにより、換言すると試料気体に照射する光の波長を変えることにより、光の照射毎に質量スペクトルを得、減算処理をすることにより、そして変化させる光の波長を適切に選択することにより、等しい質量であってもイオン化ポテンシャルの相違する成分の質量スペクトルを分離することができる。その結果、たとえば異性体それぞれの質量スペクトルの分離も行なうことができ、その結果として特定成分の同定を行なうことができる。またその特定成分の質量スペクトルが得られると、スペクトルピークの面積を算出することにより、試料気体中の特定成分の定量も行なうことができるようになる。照射する光の波長を照射毎にどのような波長に変えるかは、試料気体にどのような成分が含まれているかにより適宜に決定される。
【0102】
一方、たとえば試料気体が自動車の排気ガスであると、図6に示されるように、イオン化ポテンシャルが9eVになる波長の光を照射することによりイオン化される分子としては、たとえば1,3−ブタジエンおよびt−2−ブテンの分子がイオン化され、これら二種の分子に基づく混合質量スペクトルが得られる。1,3−ブタジエンは質量数が54、t−2−ブテンの質量数は56である。したがって波長可変光照射装置により照射される光の出力を絞り、ソフトなイオン化を行うと、両イオンはフラグメントイオンの妨害を避け、質量の異なる分子ピークとして分離定量が可能になる。
【0103】
図7にt−ブチルベンゼンの質量スペクトルを示す。266nmの波長を有するレーザ光を強度1.5mjでt−ブチルベンゼンに照射すると、フラグメントピークの多い質量スペクトルが得られ、他方266nmの波長を有するレーザ光を強度20μjでt−ブチルベンゼンに照射すると、フラグメントピークが殆ど存在せず、分子ピークの強調された質量スペクトルの得られることが、この図7から容易に理解される。
【0104】
したがって、この実施例装置を含むこの発明においては、波長可変光照射装置から出力されるレーザ光の強度あるいは波長可変光照射手段から照射される光の強度を可変して弱くすることにより、試料気体中に含まれるところの、同じイオン化ポテンシャルを有するが分子量の異なる複数の分子につき、分離した分子ピークを有する質量スペクトルが得られる。
【0105】
以上、この発明の実施例について説明したが、この実施例はこの発明の実施例は一つの例示である。この発明は、この発明の趣旨を逸脱しない範囲での他の混合気体の分析にも応用できることはいうまでもない。
【0106】
【発明の効果】
この発明によると、等しい分子量を有するがイオン化ポテンシャルが相違する複数種の成分を含有する試料気体であっても、各成分の質量スペクトルを分離して得ることができ、各成分の同定および定量を高精度で行なうことのできる混合気体成分分析装置を提供することができる。
【0107】
この発明によると、イオン化ポテンシャルが同じか近接している分子量の相違する複数種の成分を含有する試料気体であっても、各成分の質量スペクトルを分離して得ることができ、各成分の同定および定量を高精度で行なうことのできる混合気体成分分析装置を提供することができる。
【0108】
この発明によると、従来、原理を異にする複数種類の分析計の並列使用による煩雑さのみならず、妨害成分が存在する場合に見られるような予期しない測定誤差の避けられなかった障害が払拭される。あるいはガスクロマトグラフィーによる成分分離の前処理を付加し、数分ないし数十分の長い測定周期を要していたという従来の障害を払拭することができるなどそのもたらす効果は大きい。
【0109】
この発明の混合気体成分分析装置は、例えば自動車の排気ガスの成分分析を短時間の内に行わねばならない場合などに、特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施例であるフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置を示す概略ブロック図である。
【図2】図2は、この発明の一実施例であるフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置に適用される分析セルの一例を示す説明図である。
【図3】図3は、この発明の一実施例であるフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置における光照射装置を示す説明図である。
【図4】図4は、分析セルを構成する各電極電位の変化を示すタイミングチャートである。
【図5】図5は、この発明の一実施例であるフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置における分析管を示す正面図である。
【図6】図6は、各分子それぞれのイオン化ポテンシャルと分子量との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、この発明の一実施例であるフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置を使用し、光照射出力が1.5mjおよび20μjである光をt−ブチルベンゼンに照射したときに得られる質量スペクトルを示すスペクトル図である。
【符号の説明】
1・・・フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置、2・・・分析セル、3・・・永久磁石、4・・・高周波送信手段、4a・・・高周波発振器、4b・・・高周波送信器、4d・・・測定用高周波源、6・・・制御回路、7・・・共鳴信号検出手段、8・・・演算制御手段、9・・・キーボード、10・・・CRTディスプレイ、11・・・真空室、20・・・前置増幅器、21・・・高周波増幅器、22・・・低域瀘波器、23・・・A/D変換器、25・・・測定信号増幅器、27・・・コンピュータ、28・・・記憶装置、29・・・出力装置、30・・・インターフェイス、32・・・真空排気ポンプ、33・・・真空検出器、35・・・試料気体供給管、2A・・・分析セル、R,R’・・・受信電極、T,T’・・・照射電極、3a、3b・・・磁極片、40・・・光照射装置、41・・・エキシマレーザ発振器、42・・・反射ミラー、43・・・ビューポート、44・・・可変波長レーザ、45・・・周波数逓倍器

Claims (2)

  1. 静磁場内に置かれた高真空セル内に導入した試料気体をイオン化し、高真空セルに設けられた照射電極対に高周波を印加することにより高周波電場をイオンに印加して、測定対象である特定成分のイオンにイオンサイクロトロン共鳴を誘起させ、前記イオンサイクロトロン共鳴を高周波電気減衰信号として検出し、この高周波電気減衰信号をデジタル信号に変換し、時間領域信号であるデジタル高周波電気減衰信号を周波数領域信号に変換するフーリエ変換質量分析手段と、
    試料気体に単一波長のコヒーレントな光を照射することにより、前記試料気体を形成する成分の分子にイオン化エネルギーを付与し、かつ、前記試料気体に照射するコヒーレントな光の波長を可変可能にする波長可変光照射手段と、
    イオン化しなかった前記試料気体を形成する成分を除去する排気ポンプと、
    所定波長のコヒーレントな照射光を試料気体に照射することにより、その波長光のエネルギーレベルよりも低いイオン化ポテンシャルの成分をイオン化し、検出される第一の質量スペクトルと前記所定波長とは異なる所定波長のコヒーレントな照射光を前記試料気体に照射することにより、その波長光のエネルギーレベルよりも低いイオン化ポテンシャルの成分をイオン化し、検出される第二の質量スペクトルとを減算処理する減算処理手段と、
    を有することを特徴とする混合気体成分分析装置。
  2. 前記波長可変光照射手段は照射光度を連続的に変化可能に構成されてなる前記請求項1に記載の混合気体成分分析装置。
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