JPS5946041B2 - ピックアップカ−トリッジ用カンチレバ− - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はピックアップカートリッジ用カンチレバーに関
するものである。

従来のピックアップカートリッジ用カンチレバーは束状
にした複数本の炭素繊維をエポキシ系の合成樹脂で結合
硬化して直径０．５ｍｍ程度の棒状体を形成し、これを
６ｍｇＬ程度の長さに切断し、その一端に再生針先を取
付けたものであつた。

上記炭素繊維に代えてガラス繊維やその他の化学繊維も
使用できるが、質量が軽い炭素繊維が主として用いられ
ていた。しかしながらこの種のカンチレバーは、単に束
状にした複数本の繊維材を接着性のある合成樹脂によつ
て結合硬化しているだけであるため、カンチレバーとし
て機能するに必要な剛性率が不十分であるという欠点が
あつた。

すなわち複数本の繊維相互間を結合する合成樹脂の硬化
後の硬化が繊維自体の持つ硬度に比して小さいため、出
来上がつたカンチレバーの剛性率が小さく炭素繊維等の
繊維単体の持つ機械的性質が十分生かされないという欠
点があつた。また上記従来のカンチレバーは温度が上昇
すると結合用樹脂が軟化して強度が低下するという欠点
があつた。本発明はこのような従来の欠点を解消し、軽
量で、剛性率、ヤング率等の機械的強度が大きいカンチ
レバーを提供せんとするものである。

以下に本発明の実施例について図面とともに説明しよう
。

先ず第１図は本発明のカンチレバーの前段階で開発され
たカンチレバーを示しており、このカンチレバーは直径
がＯ、３ｍｍ−Ｏ、５ｍ７ｎ程度、長さが６ｍｍ程度の
カンチレバー本体１の一端に傾斜部２を形成するととも
に針先圧入用の孔を穿設し、該孔３にダイヤモンドより
成る針先４を圧入固定して形成されている。この場合、
上記孔３を穿設しないで、ピラミッド状に形成した針先
を強力接着剤等でカンチレバー本体１に直接固着しても
良い。上記カンチレバー本体１の形成について第２図を
用い説明すると、炭素繊維、シリコンカーバイド繊維等
の高温において生成され、耐熱性が大きく、高温におい
てその機械的性質の変化が極めて少なく、比強度（機械
強度／比重）の大きい、直径が数μの繊維５を複数本直
線状に束ね、上記複数本の繊維間にフェノール樹脂、ア
クリル系樹脂等の炭素元素を含む結合材６を含浸させて
上記複数本の束状繊維を結合し、全体を真空炉中等の非
酸化性雰囲気中に挿入して高温のもとで適度な時間、加
熱処理し、上記結合材６を炭化させることにより炭素繊
維等の繊維５が炭化物によつて結束一体化された棒状の
カンチレバー本体を形成したものである。

このようにして得られたカンチレバーはカンチレバー本
体１の長手方向の曲げ力に対して強いという利点はある
が、ねじり力に対して比較的弱いという欠点がある。

一般にカンチレバーの針先４がレコード溝をトレースす
るときのカンチレバ一の動きは複雑なものであり、カン
チレバー本体１はその長手方向の曲げ力のみならず、ね
じり力に対しても強いことが望ましい。そこで、このよ
うな要望を満足するものとして開発した本発明の実施例
におけるカンチレバ一を第３図、第４図に示す。

先ず第３図に示すものは複数本の繊維５を直線状に束ね
て右方向あるいは左方向に撚つて、第２図に示すものと
同様の処理を行なつてカンチレバー本体１を形成したも
のである。

また第４図に示すものは複数本の繊維５を直線状に束ね
右方向あるいは左方向に撚つて、さらにこの外周に上記
撚りの方向と異なる方向の撚りを加えた複数本の繊維５
を配し、第２図に示すものと同様の処理を行なつてカン
チレバー本体１を形成したものである。

すなわちカンチレバー本体１の中心部と外周部で繊維５
の撚りの方向を異ならしめたものである。上記第３図に
示すものは長手方向の曲げ力およびねじり力に対し平均
して強く、第４図に示すものは特にねじり力に対して極
めて強いという特長を有し、複雑な動きをするカンチレ
バ一として好ましいものである。

このようにして得られたカンチレバ一は比重が小さく、
引張強度、剛性率の大きい、すなわち比強度が大きい複
数本の繊維材を、硬度が大きく安定な炭化物で強固に結
束しているため、従来の単に接着性樹脂で結束したもの
と比較して、ヤング率が大きく剛性率が極めて大となる
。

また安定な炭化物で結束していることから、温度による
機械的性能の劣化は極めて小さく、しかも繊維に撚りを
加えていることから強度的にきわめて好ましいという特
長がある。次に本実施例のカンチレバ一を使用したピツ
クアツプカートリツジと従来のカンチレバ一を使用した
ピツクアツプカートリツジとの周波数特性を比較すると
、従来のものは第５図の曲線ｂに示すように周波数特性
上のレスポンス低下いわゆる中だるみ現象が生じるが、
本実施例のものは第５図の曲線ｂに示すように高域共振
周波数Ｆ。

が高くなつて再生周波数帯域が広がるとともに平坦な周
波数特性を得ることができる。また本実施例のカンチレ
バ一は軽量であるためピツクアツプの針先から見た機械
インピーダンスが小さく、軽針圧でレコード溝から針先
が遊離せず、再生忠実度の高い高性能のピツクアツプカ
ートリツジを得ることができる。以上説明したように本
発明によれば、軽量で剛性率、ヤング率等の機械的強度
が大きいカンチレバ一を得ることができ、さらにこのカ
ンチレバ一を採用することによつて周波数特性が平坦で
再生忠実度が高いピツクアツプカートリツジを得ること
ができる等、その実用上の効果は大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明カンチレバ一の前段階で開発したカンチ
レバ一の斜視図、第２図アは同カンチレバ一の本体部分
の斜視図、第２図イは同正面断面図、第３図は本発明の
一実施例におけるカンチレバ一の本体部分の斜視図、第
４図は同カンチレバ一の本体部分の他の例を示す斜視図
、第５図は同カンチレバ一を使用したピツクァップカー
トリッジと従来のカンチレバ一を使用したピツクアツプ
カートリツジの周波数特性を比較して示す図である。 １・・・・・・カンチレバー本体、２・・・・・・傾斜
部、３・・・・・・孔、４・・・・・・針先、５・・・
・・・繊維、６・・・・・・結合剤。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数本の炭素繊維、シリコンカーバイド繊維等の高
   温に耐える繊維が撚り線状に束ねられ、上記繊維相互間
   が炭化された結合材にて結合されてなるピックアップカ
   ートリッジ用カンチレバー。