JPS5942547B2 - 回転電機のブラシ保持装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は回転電機のブラシ保持装置の改良に係り、特に
回転電機の運転中であつてもブラシの交換ができるブラ
シ保持装置の改良に関するものである。

一般に、例えばタービン発電機や水車発電機な身 どの
回転電機は、回転している回転子に固定子側より励磁の
ための電力を供給することが行なわれる。

この回転している回転子へ固定子側より電力を供給する
場合、なにしろ一方が回転していることから単に機械的
かつ電気的に結合して電力を供・ 給することは不可能
であり、極く一般的には、回転子側にスリップリングを
設け、また固定子側にブラシを配置して、両者の摺動接
触により電気的な結合を行うようにしているのが普通で
ある。この場合このブラシを保持する手段として一般に
はブラシ保持器が用いられている、すなわちブラシの横
方向への移動を防止するとともに、ブラシが前述したス
リツプリングへ充分ある圧力をもつて接触するように弾
性押圧装置を備えた箱状のブラシ保持器が用いられてい
る。このブラシ保持器は固定子側に堅牢に取り付けられ
なければならない、すなわち回転電機の回転による振動
や電機内部を流れている冷却ガスの衝突などに対しても
びびりや移動がないように充分固定保持されなければな
らない。極く一般のブラシ保持器であれば、この堅牢な
保持は例えばボルト止めなど簡単に可能であるが、最近
になり摩粍したブラシを交換するのに、回転電機の運転
中、すなわち通電中に、ブラシ保持器ごと固定子側の固
定部材から簡単に取り出せる、あるいは取りつけること
のできるブラシ保持器が要望され、一部実用化されてき
ているが、このようなブラシ保持器の場合その保持が非
常に難しい。現在この種のブラシ保持器で有効とされて
いるものの一つに、例えば米国特許第３３８７１５５号
がある。これはブラシ保持器の一部に楔状の係止部材を
設けておき、この係止部材の部分を、これと同形状をし
た固定子側の楔状構に嵌着し、かつこの嵌着状態を保つ
ために、予めブラシ保持器と固定子との間に押圧保持手
段を設けておき、その操作により押圧保持及び着脱を行
うようにしている。このブラシ保持装置は係止部材と固
定子側の溝との押圧接合により、通電及びブラシ保持器
の機械的な保持を行うので非常に簡単な構成で前述した
要望が充分満されるのであるが、最近のように電機がさ
らに大容量化、かつスリツプリングの周速も大きくなつ
てくると、単に楔状係止部材の嵌合支持では水平方向、
すなわちスリツプリングの周方向（ブラシの摺動方向）
の拘束が充分でなく、その方向に振動してしまう嫌いが
ある。周知のように、ブラシ保持器内のブラシは回転し
ているスリツプリング表面に接してその摺動面で通電を
行なつているのであるから、もしこのブラシを保持して
いるブラシ保持器が振動するようなことがあると、ブラ
シにまで振動を生じせしめて、チャタリング現象、すな
わち通電能力低下を招いてしまう。

このようにブラシ保持器の振動は電機に対して非常に大
きな問題とされているのである。本発明はこれにかんが
みなされたものであり、従つてその目的とするところは
、構造を複雑化することなく、たとえ高速大容量の回転
電機であつても、ブラシ保持器の振動を極力減少するこ
とのできたこの種のブラシ保持装置を提供するにある。
すなわち本発明はブラシをスリツプリングの周表面へ所
定圧力で押圧し、かつブラシを保持しているブラシ保持
器と、このブラシ保持器の一部に固着され、かつスリツ
プリング側へ向うに従い巾狭となる楔状に形成された係
止部材と、スリツプリングの周囲に配置され、かつ通電
部の一部を形成している固定部材と、この固定部材に固
着され、かつ前記係止部材の楔状の部分と合致した楔状
溝を有してこの楔状溝内に前記係止部材を受け入れるよ
うに構成された支持部材と、この支持部材に回動自在に
保持され、かつこの支持部材の楔状溝へ挿入された係止
部材を押圧しつつ保持する押圧保持手段とを備え、この
押圧保持手段の回動操作によりブラシ保持器を固定部材
から脱着できるようになした回転電機のブラシ保持装置
において、前記楔状をした係止部材の巾狭側巾寸法を、
この係止部材が挿入される支持部材の楔状溝の巾狭側巾
寸法より多少大きく形成するとともに、この巾狭側の両
側端近傍に夫々巾広側にのびた２つのスリツトを設け、
かつこの係止部材を押圧保持している前記押圧保持手段
の、その押圧位置を、前記係止部材の楔状巾広側で、か
つ前記２つのスリツトとほぼ正三角形となる位置にする
とともに、前記係止部材と前記押圧保持手段との押圧接
合する部分を両者じかに接触させるようにして所期の目
的を達成するようにしたものである。以下図示した実施
例に基づいて本発明を詳細に説明する。

第１図及び第２図にはブラシ保持器の単品が斜視図で示
されている。ブラシ保持器１は主として次のものから構
成されている。すなわちブラシを収納するためのブラシ
箱２と主壁３、それにブラシ保持器を着脱したり持ち運
ぶためのハンドル４及びブラシ保持器を固定子へ支持す
る支持構成５とより構成されている。ハンドル４は主壁
３の頭部に絶縁保護板６を介して固着され、それ自体電
気的な絶縁材にて形成されている。

ブラシ保持器の支持構成５は、主壁３の一方面すなわち
ブラシ箱２の反対側の面に固着され、かつ通電材からな
る楔状の係止部材７と該係止部材の径方向外方側端部近
傍に設けられている支持突起８とにより構成されている
。係止部材７は、ブラシ保持器の底部側（スリツプリン
グ側）が巾狭となるような楔状であり、この巾狭側の両
側端近傍に上方（巾広側）にのびた２つのスリツト９が
設けられている。支持突起８は楔状の係止部材７の一部
に固着されるが、この固着位置の選定は、理由は後述す
るが非常に大切である。すなわち支持突起８が設けられ
る位置は、楔状係止部材の上方部、すなわち前記スリツ
ト９と径方向反対側で、この２つのスリツトと結ぶ仮線
がほぼ正三角形となる位置に設けられるのである。ブラ
シ保持器１には、この他にブラシ（図示なし）をある圧
力で押圧するスプリング１０やブラシのピグテールを取
付けるねじ孔１１などが設けられている。第３図はこの
ように形成されたブラシ保持器を支持するための固定部
側の周囲を示したものである。

固定部１２は主に軸方向に所定間隔を保つて配されたほ
ぼ環状の固定部材、すなわちブスリング１３と、このブ
スリング間を跨いで配された支持部材１４とにより構成
されている。支持部材１４には、前記ブラシ保持器の楔
状係止部材が嵌挿される楔状溝１５が設けられており、
さらにこの楔状溝の一側壁からこの溝部空間へ突出した
カム１６が設けられている。

このカムは円柱状をなし、支持部材１４に予め設けられ
た周方向の貫通孔１７にある角度回動可能に嵌合され、
かつ突出先端には前記ブラシ保持器の支持突起（第２図
の８）とかみ合う切欠き１８が設けられている。カム１
６は該カムに固着されたレバー１９によつて外部より操
作される。従つて、支持部材１４の上側面には前記貫通
孔１７に連通し、かつレバー１９が操作できるように切
欠き溝２０が設けられている。レバー１９は電機の通電
中に操作されるものであるからその表面には絶縁被覆２
１が施こされている。図中２２として示されているのは
回転子側のスリツプリングであり、このスリツプリング
とブスリング１３間の電気的結合を行うのがブラシ及び
ブラシ保持器である。次にこのブラシ及びブラシ保持器
を前述した固定部へ装着する場合について説明する。第
４図は装着後の状態を示すものであるがまずブラシ保持
器単品の状態でブラシ保持器のブラシ箱２にブラシ２３
を挿入し、ブラシのピグテール端子２４を主壁３に設け
られているねじ孔１１にボルト２５で止め、ブラシ２３
とブラシ保持器１の電気的結合を行う。次いでこのブラ
シ保持器を固定部１２へ装着するわけであるが、この場
合カム１６の切欠きがブラシ保持器の挿入方向に向くよ
うに予めレバー１９の位置を調整しておく、又ブラシ保
持器の挿入はブラシ保持器の楔状係止部材７が固定部側
の支持部材１４の楔状溝１５に合うように行なわれる。
ブラシ保持器をそのようにして充分挿入すると、両者楔
状部の斜面が接合し、又カムの切欠き１８と支持突起８
が嵌合する。この状態でレバー１９によりカム１６を９
０度回転させると、支持突起８がカムの切欠き１８の側
壁で押圧され楔状係止部材及び溝の斜面同志は圧接する
。すなわちブラシ保持器１が固定部１２に固定保持され
るわけである。尚この場合楔状係止部材に設けられてい
るスリツト９が弾性反力を有すること、又カム１６と支
持突起８が摩擦係合であることから楔状係止部材７はブ
ラシ保持器背面でほぼ正３角形の夫々の頂点での３つの
点での支持になり、横振れの振動に強い支持がなされる
のである。次にこの支持と振動が防止される関係につい
て第５図により詳細に説明する。すなわち該図は支持状
態にある楔状係止部材のみを斜視図で示したもので、そ
の支持押圧の関係が点線矢印で示されている。楔状係止
部材７が支持されている状態では、スリツト９の反力に
より、スリツト９と対応している斜面２７には、該斜面
に直角な点線矢印Ｒで示す押圧力がかかつている。又支
持突起８には下方への押圧力（点線矢印Ｑ）がかかつて
いる。これらの押圧力は楔状係止部材の側部で丁度ほぼ
正三角形Ａの夫々の頂点の３つの点での支持となるので
、安定な支持がなされるのである。尚この場合スリツト
９の反力（点線矢印Ｒ）を得るために、係止部材７の巾
狭側寸法はこの係止部材が挿入される支持部材の楔状溝
の巾狭側巾寸法より多少大きく形成される。さらに有効
なことは、支持突起８がカム１６、すなわち固定部に対
して摩擦支持なので、楔状係止部材７はブラシの摺動方
向（図中実線矢印Ｐａ）及びブラシの摺動方向に直角な
方向（実線矢印Ｐｂ）に移動し難く、すなわちブラシ保
持器の周方向の振動が充分防止されるのである。次に第
６図より従来のブラシ保持装置と本発明のブラシ保持装
置とを、その振動特性の関係から比較してみる。

該図はブラシ保持器頭部の摺動方向の振動とスリツプリ
ングの回転数との関係を表わしたもので、供試ブラシ保
持器としては一般に大容量機用といわれるブラシ（巾が
２５ｍｍ、厚さが４０罠長さが１００ｍｍ）が４個挿入
可能のブラシ保持器で、スリツプリング径は３５０ｍｍ
のものである。この図の点線よりなる振動特性線Ｘは従
来のブラシ保持器におけるものであり、実線よりなる振
動特注線Ｙは本発明のものである。

尚これらの振動特性線に変動巾があるのは、ブラシ通電
々流の変化（発電機出力の変化）によつて、ブラシ動特
性が変動するためによつて生ずるばらつき範囲である。
この図から明らかなようにいずれの特性線においても振
動値は回転数の上昇に応じて大きくなる傾向にあるが、
夫々の回転数における振動値は本発明のブラシ保持装置
の方が平均して２０％位低くなつており、本発明のもの
の方が優れていることがわかるであろう。

以上種々述べてきたように、本発明のブラシ保持装置に
よれば、ブラシ保持器に固着されている楔状をした係止
部材が、ほぼ正三角形の夫々の頂点での３つの点で固定
部側に支持されるのでブラシ保持器は安定して支持され
、又支持部材の楔状溝内へ挿入された係止部材を押圧し
つつ保持している押圧保持手段のその係止部材と接合す
る部分を両者じかに接触させるようにしたから、その接
合部はその摩擦で横方向にすベリにくく、すなわちブラ
シの摺動方向に対して堅牢な耐振動支持となり、たとえ
高速大容量の回転電機であつても、ブラシ保持器の振動
を極力減少させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明のブラシ保持装置のそのブラ
シ保持器単品を示す斜視図、第３図はその固定部側を示
す一部断面斜視図、第４図は本発明のブラシ保持装置を
示す縦断側面図、第５図は同じく本発明装置の楔状係止
部材単品を示す斜視図、第６図はブラシ保持器の振動と
回転電機の回転数との関係を表わす振動特性線図である
。 １・・・・・・ブラシ保持器、４・・゜・・・ハンドル
、７・・・・・・楔状係止部材、９・・・・・・スリツ
ト、１３・・・・・・固定部材（ブスリング）、１４・
・・・・・支持部材、１５・・・・・・楔状溝、１９・
・・・・・レバー ２２・・・・・・スリップリング。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ スリップリングの周表面上に配置され、かつ該周表
   面と摺動接触しているブラシと、該ブラシを前記スリッ
   プリングの周表面へ所定圧力で押圧し、かつ該ブラシを
   保持しているブラシ保持器と、該ブラシ保持器の一部に
   固着され、かつスリップリング側へ向うに従い巾狭とな
   る楔状に形成された係止部材と、前記スリップリングの
   周囲に配置され、かつ通電部の一部を形成している固定
   部材と、該固定部材に固着され、かつ前記係止部材の楔
   状の部分と合致した楔状溝を有してこの楔状溝内に前記
   係止部材を受け入れるように構成された支持部材と、該
   支持部材に回動自在に保持され、かつ該支持部材の楔状
   溝へ挿入された係止部材を押圧しつつ保持する押圧保持
   手段とを備え、該押圧保持手段の回動操作によりブラシ
   保持器を固定部材から脱着できるようになした回転電機
   のブラシ保持装置において、前記楔状をした係止部材の
   巾狭側巾寸法を、該係止部材が挿入される支持部材の楔
   状溝の巾狭側巾寸法より多少大きく形成するとともに、
   この巾狭側の両側端近傍に夫々巾広側にのびた２つのス
   リットを設け、かつ該係止部材を押圧保持している前記
   押圧保持手段の、その押圧位置を、係止部材の楔状巾広
   側で、かつ前記２つのスリットとほぼ正三角形となる位
   置にするとともに、前記係止部材と前記押圧保持手段と
   の押圧接合する部分を両者じかに接触させるようにした
   ことを特徴とする回転電機のブラシ保持装置。