JPS5942008B2 - 金属カルボニル化合物を触媒とする酸素硬化可能メルカプト官能性有機化合物組成物およびそれからの高分子量生成物の形成方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は硫黄を含有する有機化合物を含む組成物および
このような組成物から高分子量生成物を形成する方法に
関する。

また本発明は硫黄含有有機重合体からなるエラストマー
および樹脂に関する。ビニルのような脂肪族不飽和を含
まずしかもメルカプト基により重合または硬化するメル
カプト官能性有機化合物からなる組成物は当業界で既知
である。

過酸化ナトリウムまたは過酸化鉛のような無機過酸化物
、クロム酸塩または過マンガン酸塩のような無機酸化剤
、過酸化ベンゾイルのような有機過酸化物、クメンヒド
ロペルオキシドのような有機ヒドロペルオキシドおよび
ポリエポキシド、ポリイソシアナート、有機ホウ酸塩ま
たは有機チタン酸塩などの他の有機硬化剤のような多く
の型の硬化剤または縮合剤が提唱されており、これらの
多くのものは米国特許第２４６６９６３号および第２９
６４５０３号明細書中に詳述されている。空中酸素にさ
らすことによる酸化によつて起こると考えられるこのよ
うな化合物の室温重合または硬化はクロム酸ナトリウム
のような無機クロム酸塩、ペイントドライヤーおよびナ
フテン酸鉛または２−エチルヘキサン酸コバルトのよう
な重金属塩の使用によつて行われている。

ナメトキン（Ｎａｍｅｔｋｉｎ）らはジャーナル・オブ
・オルガノメタリック・ケミストリー（Ｊｏｕｒｎａｌ
ｏｆＯｒｇａｎｏｍｅｔａｌｌｉｃＣｈｅｍｉｓｈｙ）
、１４９、３５５〜３７０頁（１９７８）において、化
学量論量のＦｅ（Ｃｏ）５、Ｆｅ２（Ｃｏ）９、または
Ｆｅ３（Ｃｏ）１２を溶液中において〒般式） 特公
昭５９−４２００８ （式中、Ｒはアルキルまたはアリール基）のチオールと
反応させる場合に、室温において錯体〔ＲＳＦｅ（Ｃｏ
）３〕２および少量のジスルフィドＲＳＳＲが生成し、
しかもＦｅ３（Ｃｏ）、２が最も有効な触媒であること
を報告している。

１６０℃において、空気存在下のｎ−ドデカン溶液中の
この錯体の熱分解によつて、錯体は分解されてジスルフ
ィドを生成する。

しかしながら、この論文には本明細書中に記載された組
成物の室温重合または硬化に対して、Ｆｅ（Ｃｏ）５、
Ｆｅ２（Ｃｏ）９またはＦｅ３（Ｃｏ）１２が非化学量
論量において触媒として働くことは教示されていない。
本発明者らは、金属カルボニル化合物、特に五カルボニ
ル鉄のような鉄を含有するものを一分子につき、平均少
なくとも２個のメルカプト基を含有するメルカプト官能
性有機化合物中に使用することによつて、実質的に酸素
の非存在下に貯蔵安定性の組成物が得られることを見い
だした。

この組成物は室温において空気にさらすと重合または硬
化可能であり、２４時間後０．５ｍｍの厚さまた数週間
後では３ｍｍまでの厚さになる。このような製品は塗料
、多孔性材料の含浸剤およびエラストマー状シーラント
として用いるに有用である。本発明は、酸素の非存在下
に安定であり、実質的に酸素非存在下に下記八 １００
重量部の、１分子につき平均少なくとも２個のメルカプ
ト基を含有し、ケイ素原子、脂肪族不飽和および室温に
おいてメルカプト基と反応性の基を含まない少なくとも
１種のメルカプト官能性有機化合物、旧 Ｏ重量部から
２００重量部までの充てん剤、および（Ｃ）触媒量のＦ
ｅ（Ｃｏ）５、Ｆｅ２（Ｃｏ）９、Ｆｅ３（Ｃｏ）１２
、ジシクロペンタジエニルジ鉄テトラカルボニル、ブタ
ジエン鉄トリカルボニル、シクロヘキサジエン鉄トリカ
ルボニル、Ｎｉ（Ｃｏ）４、ジシクロペンタジエニルジ
ニッケルジカルボニル、Ｍｎ２（Ｃｏ）１０、メチルシ
クロペンタンエニルマンガントリカルボニルおよびシク
ロペンタンエニルコバルトジカルボニルからなる群から
選ばれた金属カルボニル化合物から２個までの炭素原子
のアルキル基である）からなる群から選ばれた少なくと
も１種のメルカプト官能性有機化合物である、請求の範
囲第２項または第３項に記載の組成物。

５炭素原子の間に多数の繰返しジスルフイド（−ＳＳ−
）結合を含有し、２５℃において液体として存在し、し
かも１分子につき、平均少なくとも２個のメルカプト基
を含有する、約５００から１２０００までの分子量を有
する、少なくとも１種の有機ポリジスルフイドポリメル
カプタン重合体と混合した、請求の範囲第４項に記載の
組成物。

明細書 本発明は硫黄を含有する有機化合物を含む組成物および
このような組成物から高分子量生成物を形成する方法に
関する。

また本発明は硫黄含有有機重合体からなるエラストマー
および樹脂に関する。ビニルのような脂肪族不飽和を含
まずしかもメルカプト基により重合または硬化するメル
カプト官能性有機化合物からなる組成物は当業界で既知
である。

過酸化ナトリウムまたは過酸化鉛のような無機過酸化物
、クロム酸塩または過マンガン酸塩のような無機酸化剤
、過酸化ベンゾイルのような有機過酸化物、クメンヒド
ロペルオキシドのような有機ヒドロペルオキシドおよび
ポリエポキシド、ポリイソシアナート、有機ホウ酸塩ま
たは有機チタン酸塩などの他の有機硬化剤のような多く
の型の硬化剤または縮合剤が提唱されており、これらの
多くのものは米国特許第２４６６９６３号および第２９
６４５０３号明細書中に詳述されている。空中酸素にさ
らすことによる酸化によつて起こると考えられるこのよ
うな化合物の室温重合または硬化はクロム酸ナトリウム
のような無機クロム酸塩、ペイントドライヤーおよびナ
フテン酸鉛または２−エチルヘキサン酸コバルトのよう
な重金属塩の使用によつて行われている。

ナメトキン（Ｎａｍｅｔｋｉｎ）らはジャーナル・オブ
・オルガノメタリツク・ケミストリ一（ＪＯｕｒｎａｌ
ＯｆＯｒｇａｎＯｍｅｔａｌｌｌｃＣｈｅｍｉｓｔｒｙ
）、１４９、３５５〜３７０頁（１９７８）において、
化学量論量のＦｅ（ＣＯ）５、Ｆｅ２（ＣＯ）９、また
はＦｅ３（ＣＯ）１２を溶液中において丁般式（式中、
Ｒはアルキルまたはアリール基）のチオールと反応させ
る場合に、室温において錯体〔ＲＳＦｅ（ＣＯ）３〕２
および少量のジスルフイドＲＳＳＲが生成し、しかもＦ
ｅ３（ＣＯ）１２が最も有効な触媒であることを報告し
ている。

１６０℃において、空気存在下のｎ−ドデカン溶液中の
この錯体の熱分解によつて、錯体は分解されてジスルフ
イドを生成する。

しかしながら、この論文には本明細書中に記載された組
成物の室温重合または硬化に対して、Ｆｅ（ＣＯ）５、
Ｆｅ２（ＣＯ）９またはＦｅ３（ＣＯ）１２が非化学量
論量において触媒として働くことは教示されていない。
本発明者らは、金属カルボニル化合物、特に五カルボニ
ル鉄のような鉄を含有するものを一分子につき、平均少
なくとも２個のメルカプト基を含有するメルカプト官能
性有機化合物中に使用することによつて、実質的に酸素
の非存在下に貯蔵安定性の組成物が得られることを見い
だした。

この組成物は室温において空気にさらすと重合または硬
化可能であり、２４時間後０．５ｍｍの厚さまた数週間
後では３ｍＴＬまでの厚さになる。このような製品は塗
料、多孔性材料の含浸剤およびエラストマー状シーラン
トとして用いるに有用である。本発明は、酸素の非存在
下に安定であり、実質的に酸素非存在下に下記（Ａ）
１００重量部の、１分子につき平均少なくとも２個のメ
ルカプト基を含有し、ケイ素原子、脂肪族不飽和および
室温においてメルカプト基と反応性の基を含まない少な
くとも１種のメルカプト官能性有機化合物、（Ｂ） ０
重量部から２００重量部までの充てん剤、および０触媒
量のＦｅ（ＣＯ）５、Ｆｅ２（ＣＯ），、Ｆｅ３（ＣＯ
）１２、ジシクロペンタジエニルジ鉄テトラカルボニル
、ブタジエン鉄トリカルボニル、シクロヘキサジエン鉄
トリカルボニル、Ｎｉ（ＣＯ）４、ジシクロペンタジエ
ニルジニツケルジカルボニル、Ｍｎ２（ＣＯ）１０１メ
チルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニルおよ
びシクロペンタジエニルコバルトジカルボニルからなる
群から選ばれた金属カルボニル化合物を混合することに
よつて得られた生成物から本質的になる酸素の非存在下
に安定な組成物に関する。

また、本発明は（１） １００重量部の、前記（Ａ）に
定義された少なくとも１種のメルカプト官能性有機化合
物を触媒量の前記（Ｃ）に定義された金属カルボニル化
合物と混合して混合物を形成し、次いで（１１）前記混
合物を酸素にさらすことから本質的になる、高分子量生
成物の形成方法に関する。

本発明はさらに、前記組成物または混合物を酸素にさら
すことによつて得られる生成物にも関する。本出願の目
的のために、下記の用語を定義する。

用語「酸素」は空中または純酸素ガスの形であり得るガ
ス状酸素を意味するように意図される。用語「有機化合
物」はケイ素原子を含有せず、しかも、脂肪族不飽和も
エポキシおよびイソシアナートのような室温においてメ
ルカプト基と反応性の基も含まない有機化合物を意味す
るように意図される。［有機化合物」にはまた重合体化
合物もある。［低分子量化合物」を１０００より低い分
子量を有する有機化合物であると定義することによつて
さらに区別され、そしてこのような用語は、また二量体
および三量体化合物をも含む。有機「重合体」は１００
０より大きい分子量を有し、しかも１分子につき、３個
より多い繰返し単位を含有する有機化合物と定義される
。若干の低分子量化合物は３個より多い繰返し単位およ
び１０００より低い分子量を有し得るので、このような
化合物は分子中の繰返し単位の数に基づいてのみ重合体
として分類される。［メルカプト官能性」は分子が伝統
的な化学の意味において−ＳＨ基であるメルカプト基を
有することを意味するように意図される。メルカプトオ
ルガノシロキサンの形のケイ素を含有する組成物は、カ
リ一 アール ホマン（ＧａｒｙＲ．ＨＯｍａｎ）およ
びチーロング リ一（Ｃｈｉ−ＬＯｌｌｇＬｅｅ）の「
金属カルボニル化合物を触媒とする酸素硬化可能メルカ
プトオルガノシロキサン組成物およびそれからの高分子
量生成物の形成方法」と題する１９７９年１２月３日出
願の米国特許出願第０９９２５２号明細書の主題であり
、有機ケイ素化合物および有機化合物の両者を含有する
組成物はカリ一 アール ホマンおよびチーロング リ
一の［金属カルボニル化合物を触媒とする酸素硬化可能
メルカプト官能性有機ケイ素有機化合物組成物およびそ
れからの高分子量生成物の形成方法」と題する１９７９
年１２月３日出願の米国特許出願第０９９２５４号明細
書の主題である。

触媒添加された組成物は酸素と接触すると重合または硬
化を開始する。

従つて、触媒添加された組成物を貯蔵するに使用される
容器は貯蔵安定性に著しく影響するに十分な酸素透過性
の材料を避けるように入念に選ばなければならない。酸
素または水分感受性の組成物を混合する技術は当業界で
既知である。例えば、一層低粘度組成物に対しては低せ
ん断ミキサーを用いることができるが、一方パン生地ミ
キサーは充てん剤を含有するシーラント配合物のような
一層粘ちような組成物に用いることができる。本発明に
は２つの特徴がある。

その１つは、メルカプト官能性有機化合物を重合または
硬化して高分子量生成物を形成する新規な方法である。
他の１つは貯蔵安定性組成物の形成を志向している。第
１の特徴の達成のためには、メルカプト官能性有機化合
物と金属カルボニル化合物の混合物を酸素にさらすのみ
でよい。すなわち、若しも貯蔵安定性が必要でない場合
には、酸素の存在下にメルカプト官能性有機化合物およ
び金属カルボニル化合物を共に混合して直ちに重合また
は硬化させることができる。貯蔵安定性組成物を望む場
合は、任意の既知の手段により、実質的に酸素の非存在
下に成分を混合する。

貯蔵寿命を最高にするのに用いることのできる好ましい
操作は有機化合物と、−もし存在するとすれば充てん剤
を乾燥窒素ふん囲気の下に混合することを含む。この混
合物は次いで短時間３０ＴｔｍＨｇのような真空に供し
ていかなるトラツプされた酸素および水をも除くことが
できる。次いでこの触媒を好ましくはトルエンまたは鉱
油のような適当な溶媒または希釈剤中の溶液として添加
することができる。これらの触媒の多くは特にコバルト
およびニツケル化合物（これらの化合物の若干はまた二
酸化炭素をも吸収する）は酸素および／または水に敏感
である。従つて、貯蔵寿命をできるだけ長くするために
混合した組成物は実質的に水および酸素の両者を含まな
いことが好ましい。少量の水により硬化速度はわずかに
低下するように思われ、一方酸素の存在により、早期ゲ
ル化が起こるであろう。本発明の組成物中に用いるに有
用なメルカプト官能性有機化合物は当業界で既知であり
、そして１分子につき平均少なくとも２個のメルカプト
基を含有し、しかもケイ素原子、脂肪族不飽和および本
発明の貯蔵した組成物を不安定にするエポキシまたはイ
ソシアナートのようなメルカプト基と反応性の基を含ま
ない任意の有機化合物であり得る。

このような化合物は一般式 ）（式中、Ｘは２に等しい
かまたはそれ以上の平均値を有し、Ｑはハロゲン、酸素
、窒素、または硫黄のようなヘテロ原子をも含有し得る
２価または多価炭化水素である）のものであり得る。

このような化合物は１・２−ジメルカプトエタンのよう
な単量体、ＨＳ（ＣＨ２）２ＳＳ（ＣＨ２）２ＳＨまた
はＨＳ（ＣＨ２）２０（ＣＨ２）２ＳＨのような二量体
、のような三量体および（式中、ｙの平均値は３より大
きい） のような重合体であり得る。

低分子量メルカプト官能性有機化合物は１・２−ジメル
カプトエタン、１・ ３−ジメルカプトー３−メチルブ
タン、１・６−ジメルカプトヘキサン、１・１２−ジメ
ルカプトドデカン、または１２・３−トリメルカプト−
２−メチルブタンのような脂肪族、１・２・３−トリメ
ルカプトシクロヘキサンまたは１・２−ジメルカプトシ
クロヘプタンのような脂環式、１・ ２−ジメルカプト
ベンゼンまたは３・４−ジメルカプトトルエンのような
芳香族、またはアルフア、２＝ジメルカプトトルエンの
ようなアルキル芳香族であるものであり得る。

へゼロ原子を含有する低分子量メルカプト官能性有機化
合物は−般式または のようなエーテル、−般式 または （式中、Ｒ１は２個から４個までの炭素原子のアルキレ
ン、Ｒ２は１個から２０個までの炭素原子のアルキレン
またはフエニレン、Ｒ３は２個から６個までの炭素原子
のアルキレン、およびＲ４は１個から２個までの炭素原
子のアルキル基である）などの完全エステルのような酸
素含有化合物であり得る。

窒素を含有する化合物はトリス（２−メルカプトエチル
）アミン、（ＨＳＣＨ２ＣＨ２）２ＮＣＨ２ＣＨ２Ｎ（
ＣＨ２ＣＨ２ＳＨ）２または３・５−ジメルカプトピリ
ジンであり得るし、硫黄を含有する化合物はＨＳＣＨ２
ＣＨ２ＳＳＣＨ２ＣＨ２ＳＨまたはＨＳ（Ｃ３Ｈ６）Ｓ
（Ｃ３Ｈ６）ＳＨであり得、ハロゲンを含有する化合物
は１・３−ジメルカプト−４クロロベンゼンのような化
合物であり得る。

１分子につき３個またはそれ以上のメルカプト基を含有
するメルカプト官能性カルボン酸エステルが好ましい。

このようなエステルは、樹脂状生成物に硬化する組成物
中の唯一の型のメルカプト官能性有機化合物として、ま
たは下記の重合体と組合せて用いる場合の架橋剤として
使用することができる。前記の各種の型のメルカプト官
能性有機化合物の製造方法は当業界において既知であり
、本発明において用いるに有用な化合物の製造を教示し
ている、「ザ・ケミストリ一・オブ・ザ・チオール・グ
ループ」（ＴｈｅＣｈｅｍｉｓｔｒｙＯｆｔｈｅＴｈｉ
ＯｌＧｒＯｕｐ）、第１部、編集者Ｐａｔａｉ、ジヨン
・ワイリ一・アンド・サンズ（ＪＯｈｒｌＷｉｌｅｙａ
ｎｄＳＯｎｓ）、ニユーヨーク、１６３〜２６９頁（１
９７４）のような論文および１９７８年４月４日発行の
タウ・コーニング・コーポレーシヨン（ＤＯｗＣＯｒｎ
ｉｎｇＣＯｒｐＯｒａｔｉＯｎ）の、米国特許第４０８
２７９０号明細書のような特許文献に見ることができる
。本発明の混合物において用いるに有用な重合体は、１
分子につき平均少なくとも２個のメルカプト基を含有す
るがケイ素原子を含有しない有機重合体、例えば米国特
許第２４６６９６３号または同第３０５６８４１号明細
書に教示されたようなアルキレンスルフイド重合体、１
９６７年１月２５日発行のフイリツプス・ペトロリウム
（ＰｈｉｌｉｐｓＰｅｔｒＯｌｅｕｍ）の英国特許第１
０５６２２６号明細書中に教示されたようなアリーレン
（アミレン）スルフイド重合体、米国特許第３２５８４
９５号明細書中に教示されたようなオキシアルキレン重
合体、米国特許第３１１４７３４号明細書、英国特許第 １１３３３６５号または１９７２年９月２６日発行のチ
オコール・ケミカル（ＴｈｉＯｋＯｌＣｈｅｍｉｃａｌ
）のカナダ特許第９１１０９８号明細書中に教示された
ようなウレタン重合体、１９６８年４月２３日発行のチ
オコール・ケミカルのカナダ特許第７８３６４９号明細
書中に教示されたような、同じ重合体分子中に異なつた
型の有機重合体セグメントを含有する有機重合体（例え
ば、１つの型のセグメントはジスルフイド結合を含有し
、他のものはオキシアルキレン結合を含有する）、およ
びポリアルキレングリコールのような遊離水酸基を含有
する有機重合体を３−メルカプトプロピオン酸のような
メルカプト官能性カルボン酸でエステル化して、一般式
（式中、Ｇは１個から２０個までの炭素原子のアルキレ
ンまたはフエニレン、Ｒ３およびｙは前記に定義した通
りである）の重合体を生成することによつてメルカプト
基が重合体に付加された有機重合体を含む。

重合体を取り扱つている直ぐ前に記載した８件の特許に
は、本発明の組成物中に用いるに有用なケイ素を含有し
ない有機重合体の製造が教示されている。本発明におい
て用いるに有用な組成物は単一重合体または重合体が互
に相容するという条件で一般的に同じ化学的種類の重合
体（分子量のみが異なる）の混合物またはメルカプト官
能性ポリスルフイド重合体とメルカプト官能性ポリウレ
タン重合体の混合物のような異なつた化学的種類の重合
体の混合物から製造することができる。

同様に、多量の触媒を用いる必要なしに満足な量の重合
または硬化を生じるために金属カルボニル化合物触媒は
組成物中に十分に可溶性でなければならない。一般に、
１００重量部のメルカプト官能性有機化合物につき、６
重量部より多量の触媒は過剰である。メルカプト官能性
有機化合物、特に重合体は室温において液体として存在
するのが好ましい。塗料および低稠度エラストマー状シ
ーラントの用途においては、液体メルカプト官能性有機
化合物により配合物中に溶媒を使用する必要性は極めて
少なくなり、受容し得る粘度となる。本発明の組成物中
に用いるに有用な重合体の中で、米国特許第２４６６９
６３号明細書中に教示されたような、室温において液体
のポリスルフイド重合体が好ましい。

このような重合体は一般式〔式中、Ｒ５は２価の炭化水
素基、（−Ｃ２Ｈ４ＯＣＨ２ＯＣ２Ｈ４−）のようなオ
キシアルキレン基、または（−Ｃ２Ｈ４ＳＣ２Ｈ４−）
のようなチオ炭化水素基、好ましくはＲ５が一般式およ
び （式中、Ｒ１は２個から４個までの炭素原子のアルキレ
ンであり、ｚは１から５０まで、好ましくは４から２３
までの平均値を有する）よりなる群から選ばれる。

〕によつて表すことができ、また重合体鎖中に枝分れを
生成する〔−ＳＳＣＨ（ＣＨ２ＳＳ−）２〕のような３
官能性および／または４官能性分子を含むことができる
。

前記の好ましいポリスルフイド重合体は炭素原子間に多
数の繰返しジスルフイド（−ＳＳ−）結合を含有し、２
５゜Ｃにお（・て液体として存在し、しかも１分子につ
き、平均少なくとも２個のメルカプト基を含有し、約５
００から１２０００までの分子量を有する有機ポリジス
ルフイドポリメルカプタン重合体として記載できる。特
定の性質を有する硬化した組成物を得るための数種の手
段が利用できる。１つの手段は前記したものであり、１
分子につき平均２個のメルカプト基を含有する重合体お
よび／または低分子量化合物を１分子につき３個または
、それ以上のメルカプト基を含有する低分子量有機化合
物と混合することからなる。

１分子につき３個またはそれ以上のメルカプト基を含有
する低分子量有機化合物の使用により硬化した重合体の
架橋密度が増加する。

架橋密度の増加は一般に硬さまたはもろさの増大のよう
な硬化した生成物の物理的性質の変化によつてはつきり
と分かる。また、１分子につき平均３個またはそれ以上
のメルカプト基を含有する重合体をこのような組成物中
に混合することによつても同じ結果を得ることができる
。硬質のしかも高度に架橋した生成物は電子部品および
回路板のような物品に対する被覆として用いるに有用で
ある。１分子につき平均２個より多いメルカプト基を含
有する重合体を組成物中に唯一の型の重合体として用い
て、被覆として用いるに有用な硬化した組成物を生成す
ることができる。

この硬化した生成物の架橋密度は、また重合体分子当り
のメルカプト基の全数を増加することによつても増大さ
せることができる。適当な数のメルカプト基を有する重
合体を選ぶことによつて、低分子量化合物および／また
は重合体のような架橋剤をさらに用いることなしに十分
な硬さに硬化する組成物を得ることができる。エラスト
マー状シーラント配合物には、一般にある程度の裂ける
ことなしに伸びる能力が必要てある。

すなわち、主要量（５０重量％より多量）の、１分子に
つき平均わずかに２個のメルカプト基を含有する有機化
合物、好ましくは直鎖状有機化合物の使用はこのような
配合物中において望ましい。一般には、非粘着性の表面
を有する硬化したエラストマーを生成するために、十分
な量の、１分子につき３個またはそれ以上のメルカプト
基を含有する低分子量化合物を含有させる。１分子Ｋつ
きわずかに２個のみのメルカプト基を含有する有機化合
物は、連鎖延長によつて重合できるのみであり、そして
＝般に最初に用いる有機化合物が酸素にさらした後に非
粘着性の表面を生じるのに十分に架橋されているかまた
は十分に高分子量であるかの何れかでないならば粘着性
のガムを生成する。

このような粘着性ガムは後に保護される物品から被覆を
はく離することによつてあるいは溶媒をもつて被覆を溶
解することによつて除かれる軟質の保護被覆として用い
ることができよう。また、このような組成物には、この
組成物を吸収する多孔性材料に対する含浸剤としての用
途もある。本発明の組成物と共に充てん剤および顔料を
用いてもよいが、しかしながら必要ではない。

特にエラストマー状シーラント配合物中においては、１
００重量部のメルカプト官能性有機化合物に基づいて１
０重量部から２００重量部までの量の増量充てん剤を好
ましく用いることができる。適当な増量充てん剤は炭酸
カルシウム、タルク、粉砕または破砕石英、ケイソウ土
、ガラスまたはアスベストなどのような繊維状充てん剤
であり得る。ヒユームシリカ、表面処理シリカ、カーボ
ンブラツク、などのような補強充てん剤を用いてもよい
。当業界において既知のように、補強充てん剤は増量充
てん剤のように多量には用いることができない。従つて
このような充てん剤を含有する任意の配合物には一般に
メルカプト官能性有機化合物１００重量部につき７０重
量部より多量の補強充てん剤は含有されず、そして好ま
しくは５重量部から３０重量部である。増量充てん剤は
、また、補強充てん剤を含有する配合物中に、メルカプ
ト官能性有機化合物が充てん剤を受け入れる能力を越え
ないという条件で、メルカプト官能性有機化合物１００
重量部当り、存在する補強充てん剤の量を減じた２００
重量部までの量で含有することができる。二酸化チタン
または着色顔料のような顔料および難燃添加剤、可塑剤
などの他の添加剤もまた本発明の組成物中に用いるに有
用であるように企図される。組成物およびその貯蔵寿命
におよぼす充てん剤および添加剤の影響を求めるために
、日常の試験を用いることができる。本発明の実施にお
いて触媒として有用であると期待される金属カルボニル
化合物はＦｅ（ＣＯ）５、Ｆｅ２（ＣＯ）９、Ｆｅ３（
ＣＯ）１２、ジシクロペンタジエニルジ鉄テトラカルボ
ニルすなわち〔（Ｃ５Ｈ５）Ｆｅ（ＣＯ）２〕２、ブタ
ジエン鉄トリカルボニルすなわち（Ｃ４Ｈ６）Ｆｅ（Ｃ
Ｏ）３、シクロヘキサジエン鉄トリカルボニルすなわち
（Ｃ６Ｈ８）Ｆｅ（ＣＯ）３、Ｎｉ（ＣＯ）４、 ジシ
クロペンタジエニルジニツケルジカルボニルすなわち〔
（Ｃ５Ｈ５）Ｎｉ（ＣＯ）〕２、Ｍｎ２（ＣＯ）１０、
メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニルす
なわち（ＣＨ３Ｃ５Ｈ４）Ｍｎ（ＣＯ）３およびシクロ
ペンタジエニルコバルトジカルボニルである。

必要な触媒の量は重要ではない。酸素の存在下に組成物
を十分に重合または硬化させる任意の触媒量を用いて望
ましい最終用途に満足な製品を生成することができる。
触媒の量を変更することによつて、特にエラストマー状
製品において製品の性質を変えることができる。本発明
者らは、１００重量部のメルカプト官能性有機化合物当
り通常０．１重量部から６重量部までの範囲内の触媒量
の金属カルボニル化合物が十分であることを見いだした
。好ましい金属カルボニル化合物は鉄を含有するもので
ある。鉄カルボニル触媒を用いる場合、メルカプト官能
性有機化合物中に存在するメルカプト基（−ＳＨ）の全
モル対触媒中の鉄原子の全モルの比（ＳＨ／Ｆｅ比）が
１より大きくなるように組成物を配合するのが好ましい
ことがあり得る。鉄カルボニル化合物は有毒であり、し
かもやや揮発性であることが知られており、従つてこの
ような化合物を取扱う場合は注意しなければならず、し
かもこれらの組成物の重合または硬化の間十分な換気を
設けなければならない。前述の様に、多くの金属カルボ
ニル化合物は酸素および／または水によつて影響を受け
、そして若干のものは二酸化炭素の吸収をも行う。この
ことは、特にコバルトおよびニツケル化合物について当
てはまる。従つて、この化合物を取扱いしやすくし、ま
た触媒の組成物中への混入を促進するために、まず金属
カルボニル化合物をトルエンまたは鉱油のような疎水性
溶媒または希釈剤中に溶解するのが好ましい。金属カル
ボニル化合物は当業界で既知であり、そしてその製造方
法は、前記金属カルボニル化合物の製造を教示している
文献、例えば「オルガノメタリツク・コンパウンズ」（
０ｒｇａｎ０ｍｅｔａ１１１ｃＣ０ｍＰ０Ｕ１１ｄＳ）
、第１巻、編集者Ｄｕｂ．Ｓｐｒｉｎｇｅｒ−Ｖｅｒｌ
ａｇｌニユーヨーク、（１９６６）および「ハンドブツ
ク・オブ・オルガノメタリツク・コンパウンズ」（Ｈａ
ｎｄｂＯＯｋＯｆＯｒｇａｎＯｍｅｔａｌｌｌｃＣＯｍ
ｐＯｕｎｄｓ）、編集者萩原、熊田および大河原、Ｗ．
Ａ．ＢｅｎｊａｍｉｎＣＯ．ニユーヨーク、８２２〜９
０３頁（１９６８）に見ることができる。本発明の組成
物は金属カルボニル触媒の作用により、酸素にさらすと
ジスルフイド（−ＳＳ−）結合の形成によつて重合また
は硬化して高分子量生成物を形成すると考えられる。

この組成物は室温において重合または硬化し、しかも酸
素と接触して表面から内部へ重合または硬化すると思わ
れる。暴露しない材料の硬化速度は前記の層が厚くなる
と遅くなると思われるので、酸素が前記の重合または硬
化した層を通して拡散する能力によつて影響されると思
われる。厚さ０．５ｍｍまでの生成物の薄層は室温にお
いて空気に暴露後２４時間内に形成し、そして厚さ３ｍ
ｍまでの層は数週間後に同じ条件の下に得ることができ
る。３ｍ７７！より厚い層は、室温において酸素にさら
した場合硬化するのに受容できない時間（２週間より長
い）を要することがある。

すなわち、単に薄いフイルム（一般に厚さ０，０１ｍＴ
ＩＬから０．５ｍｍまでの範囲のペイントフイルム）を
要するのみである塗料の用途および３ｍｍまでの厚さを
用いる、シーリングマリオン（Ｓｅａｌｉｎｇｍｕｌｌ
ｌＯｎ）継目におけるようなエラストマー状シーラント
用途に対してはこれらの組成物の室温硬化が受容できる
。また、このような室温硬化可能組成物には熱に敏感な
革または他の材料のような多孔性材料用の含浸組成物と
しての用途もある。他方、加熱により、多くの化学反応
が温度上昇によつて加速されるように重合または硬化速
度を速め、そして加熱は樹脂の保護塗料を基体に塗布す
る場合に有利であり得る。実質的に酸素の非存在下に製
造する場合、本発明の触媒を含む組成物は比較的長時間
安定に貯蔵できる一包装性組成物である。

このような組成物を、一般に練り歯みがきの貯蔵に用い
られるチユーブのようなシールしたアルミニウム容器中
に貯蔵する場合には受容できない粘度上昇なしに約１年
の貯蔵寿命が期待される。塗布または押出すと、この組
成物は空中酸素にさらされて重合または硬化し、最終使
用者が架橋剤を混合または添加する必要はない。本発明
の組成物に対する他の利点および用途は当業者には容易
に分かるであろう。下記の実施例は単に具体的説明とし
てのみ意図されており、請求の範囲によつて適切に定義
された本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきで
ない。特記しない限り、下記の実施例における百分率は
すべて重量による。実施例 １ 本発明の一包装性酸素硬化可能組成物の製造および硬化
を本実施例により示した。

２０ｙのジペンタエリトリトールヘキサキス（３−メル
カプトプロピオネート）を一般にコーキングコンパウン
ドに用いられる管の外観を有する円筒であり、内容物を
かくはんする手段を含有し、真空中に置いて管内に入れ
た組成物から揮発性物質を除くように企図された低密度
ポリエチレンＳｅｍｋｉｔ８管〔カリフオルニア州、グ
レンデールのセムコ社（ＳｅｍｃＯ．Ｉｎｃ．）のプロ
ダクツ・リサーチ・アンド・ケミカル・コーポレーシヨ
ンの部門から市販〕に添加した。

このコンパウンドを空気の存在下に添加したために、約
３０分３０ｍｍＨｇの真空にさらすことによつて脱気し
た。次いで管の後部をシールした。鉱油中五カルボニル
鉄の１０％溶液１／２７をこのシールしたＳｅｎｌｋｉ
ｔ８管中に注入して、かくはん機を使用して触媒溶液を
基部中に均一に混入させた。この触媒を含むコンパウン
ドの試料を室温（２２℃）において空気にさらした。３
０分暴露後に、明らかな表面変化ほ認められなかつた。

９０分後に、表面のゲル化が見られたが、しかしながら
表面を完全に被覆しなかつた。

３時間後にポリエチレンのシートを用いて接触して非粘
着性の表面層が認められた。

２４時間後に、厚さ約０．５ｍｍの表面層が形成した。

本実施例におけるモル比ＳＨ／Ｆｅの計算値ぱ６００／
１である。シールしたＳｅｍｋｉｔ８管中に残存する触
媒を含む組成物の粘度は、室温において３日貯蔵後に、
本質的に変化しなかつた。

この貯蔵したコンパウンドの試料を押出して室温におい
て空気にさらした。約１．９時間後に表面を完全に被覆
する粘着性層が認められた。実施例 ２ ２０７のジペンタエリトリトールヘキサキス（３−メル
カプトプロピオネート）および０．５７の五カルボニル
鉄（純粋）からなる組成物を開放さら中において製造し
た。

この組成物を室温（２２℃）において空気の存在下に混
合および貯蔵した。約３．８時間後にゲル化した材料の
表面層が形成した。室温において空気に７日さらした後
、厚さ約０．６關の光沢のあるスキンが形成した。本実
施例においてモル比ＳＨ／Ｆｅの計算値は６０／１であ
つた。実施例 ３ 本実施例中において溶液ポリジスルフイドポリメルカプ
タン重合体を含有する触媒を含む組成物の酸素硬化を示
した。

１．８重量％のメルカプト基を含有し、２７℃において
４０パスカル・秒の粘度を有し、約２％の３官能性分子
を含有するという平均一般式の商業的に入手した液体ポ
リジスルフイドポリメルカプタン重合体を用いて少程度
の重合体枝分れを生成させて下記の組成物を製造した。

大気に開放したさら中において２０７の前記液体ポリジ
スルフイドポリメルカプタン重合体、２ｙのジペンタエ
リトリトールヘキサキス（３−メルカプトプロピオネー
ト）および０．５７の五カルボニル鉄（純粋）を混合し
た。本実施例においてモル比ＳＨ／Ｆｅの計算値は１０
／１であつた。前記混合物の１部を室温（２２℃）にお
いて空気存在下および１５０゜Ｃにおいて強制空気炉中
における硬化のために２個の開放さらの各々にうつした
。

２２℃において貯蔵した試料は４時間後若干の表面ゲル
化を示した。室温において７日空気にさらした後、厚さ
約０．８ｍｍの表面層が生じた。１５０℃において硬化
した第２の試料では３分後に厚さ約０．３ｍｍの表面ス
キンが生じた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 実質的に酸素非存在下に下記 （Ａ）１００重量部の、１分子につき平均少なくとも２
   個のメルカプト基を含有し、かつ、ケイ素原子、脂肪族
   不飽和および室温でメルカプト基と反応性の基を含まな
   い少なくとも１種のメルカプト官能性有機化合物、（Ｂ
   ）０重量部から２００重量部までの少なくとも１種の充
   てん剤、および（Ｃ）触媒量のＦｅ（Ｃｏ）＿５、Ｆｅ
   ＿２（ＣＯ）＿９、Ｆｅ＿３（ＣＯ）＿１＿２、ジシク
   ロペンタジエニルジ鉄テトラカルボニル、ブタジエン鉄
   トリカルボニル、シクロヘキサジエン鉄トリカルボニル
   、Ｎｉ（ＣＯ）＿４、ジシクロペンタジエニルジニッケ
   ルジカルボニル、Ｍｎ＿２（ＣＯ）＿１＿０、メチルシ
   クロペンタジエニルマンガントリカルボニルおよびシク
   ロペンタジエニルコバルトジカルボニルからなる群から
   選ばれた金属カルボニル化合物を混合することによつて
   得られた生成物から本質的になることを特徴とする、酸
   素の非存在下に安定な組成物。 ２ 触媒量の（Ｃ）が（Ａ）の１００重量部につき、０
   ．１重量部から６重量部までの範囲内の金属カルボニル
   化合物である、請求の範囲第１項に記載の組成物。 ３ 金属カルボニル化合物がＦｅ（ＣＯ）＿５である、
   請求の範囲第２項に記載の組成物。 ４（Ａ）がＲ＾４Ｃ（ＣＨ＿２ＯＯＣＲ＾２ＳＨ）＿３
   、Ｃ（ＣＨ＿２ＯＯＣＲ＾２ＳＨ）＿４、（ＨＳＲ＾２
   ＣＯＯＣＨ＿２）＿３ＣＣＨ＿２ＯＣＨ＿２Ｃ（ＣＨ＿
   ２ＯＯＣＲ＾２ＳＨ）＿３、〔ＨＳＲ＾２ＣＯＯ（Ｈ）
   Ｃ〕〔ＣＨ＿２ＯＯＣＲ＾２ＳＨ〕＿２および（ＨＳＲ
   ＾２ＣＯＯＣＨ＿２）＿３ＣＣＨ＿２ＯＣＨ＿２Ｃ−（
   ＣＨ２ＯＯＣＲ＾２ＳＨ）＿２ＣＨ＿２ＯＣＨ＿２Ｃ（
   ＣＨ＿２ＯＯＣＲ＾２ＳＨ）＿３（式中、Ｒ＾２は１個
   から２０個までの炭素原子のアルキレンまたはフェニレ
   ンであり、Ｒ＾４は１個から２個までの炭素原子のアル
   キル基である）からなる群から選ばれた少なくとも１種
   のメルカプト官能性有機化合物である、請求の範囲第２
   項または第３項に記載の組成物。 ５ 炭素原子の間に多数の繰返しジスルフィド（−ＳＳ
   −）結合を含有し、２５℃において液体として存在し、
   しかも１分子につき、平均少なくとも２個のメルカプト
   基を含有する、約５００から１２０００までの分子量を
   有する、少なくとも１種の有機ポリジスルフィドポリメ
   ルカプタン重合体と混合した、請求の範囲第４項に記載
   の組成物。