JPS594168Y2 - 油圧シリンダ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は油圧シリンダに係り、特に油圧式建設機械等に
使用するに好適な油圧シリンダに関する。

例えば建設機械に使用される一般の油圧シリンダは、第
１図に示す如くシリンダ本体１と、該シリンダ本体１内
に収納されたピストン２と、そのピストン２のロッド３
とを備えた構造となっており、ロッド３の伸縮は、ボト
ム側油室４及びロッド側油室５へ交互に圧油が送られる
ことによってなされる。

このロッドの伸縮動作において、ロッド側油室５内には
ロッドの縮少時及び伸長時のいずれにも圧力が発生する
。

即ちロッド縮少時にはロッド側油室５に送られる圧油に
より圧力が発生する。

またロッド伸長時には油が戻り回路を経て排出されると
き、該戻り回路の管路抵抗等により絞られてやはり圧力
が発生する。

特に大重量の負荷を動かす油圧シリンダである場合には
、それに見合った高圧油が送られることになるので、前
記ロッド側油室５の圧力はかなり高圧となる。

従って、前述の油圧シリンダにおいては、そのロッド側
シリンダカバ一部におけるロッド摺動部のシールを十分
に行なう必要がある。

しかして、従来の油圧シリンダでは、ロッド側シリンダ
カバ一部のロッド摺動部を第２図に示す如き構造となし
ている。

即ち、ロッド側シリンダカバ一部１Ａの内周面に設置し
たロッド３の軸受６を挾んで、その両側にロッド側シリ
ンダカバ一部内周面とロッド外周面とに夫々圧接する油
洩れ防止用シール（以下ロッドシールと称す）７及び塵
埃侵入防止用シール（以下ダストシールと称す）８を設
け、前記ロッド３の軸受部に潤滑油を封入させた構造と
している。

しかし、前記の構造では、ロッド側油室５の圧油がロッ
ドシール７から軸受側へ洩れ、その量が多くなった場合
には、ダストシール部から外部へ洩れ出てしまい、油圧
シリンダ自体及びその周辺の機器を汚してしまうばかり
でなく、油の損失となる。

またロッドシール７を強固にして、ロッド側油室５と軸
受側とを完全に遮断した場合、軸受部に油切れが生じる
慣れがある。

そして油切れが生じた場合には、軸受部が錆び、その錆
びが剥れ落ちロッド３の摺動時にロッドシール７やダス
トシール８に噛み込んでしまう。

その結果、両シールが損傷して油洩れが生じてしまうと
同時に、ロッドを傷つけることになる。

また油切れにより軸受６の摩耗も大きくなり、その摩耗
粉にて前述と同様にシール及びロッドの損傷を招く。

本考案の目的は、前述した従来技術の諸欠点を解消し、
ロッド摺動部の油潤滑を確実に行なえ、かつ油の外部洩
れを皆無としうる油圧シリンダを提供するにある。

この目的を達成するために、本考案の油圧シリンダはロ
ッド側シリンダカバ一部に、ロッド側油室に作用する作
動油の一部をロッド軸受面の一端側に導く給油通路と、
ロッド軸受面を流れた油を該軸受面の他端側から取出す
排油通路とを設け、前記給油通路の途中には、軸受側に
向う油のみを流すバルブ手段を設け、前記排油通路は外
部の油タンクへ接続せしめたことを特徴とする。

以下、本考案油圧シリンダの一実施例を図面に基づいて
説明する。

第３図はその油圧シリンダにおけるロッド摺動部の断面
図を示している。

図において、１１はシリンダ本体、ＩＩＡはそのロッド
側シリンダカバ一部、１３はロッド、１５はロッド側油
室、１６はロッドの軸受、１７及び１８は軸受１６の両
側においてロッド側シリンダカバ一部内周面とロッド外
周面とに圧接して設置されたロッドシール及びダストシ
ール、１９はロッド側油室１５へ通ずる作動油の給排油
ポートを示し、前記ロッドシール１７は軸受１６と離れ
た位置に置かれている。

しかして、本考案による油圧シリンダでは、そのロッド
側シリンダカバ一部１１Ａに、給排油ポート１９を流れ
る圧油の一部を軸受１６の一端側に導く給油通路２０と
、軸受面を流れた油を該軸受１６の他端側から取出す排
油通路２１とを穿ち、前記給油通路２０の途中には、軸
受側に向う油のみを流すチェックバルブ２２を設け、前
記排油通路２１は外部の油タンク２３へ接続せしめたも
のである。

詳細に説明すると、前記給油通路２０は、給排油ポート
１９と連通し、かつロッド１３の軸心方向に沿う通路部
２０ ａと、これと直交し、かつ軸受１６とロッドシー
ル１７との間に開口する通路部２０ ｂとから成り、両
道路の交差部には、チェックバルブ２２の収納室２４が
形成されている。

該収納室２４には、通路部２０ ａを閉塞しうる弁体２
２ ａと、該弁体２２ ａを閉塞方向に押圧するバネ２
２ ｂとから戒るチェックバルブ２２が収納されている
。

このチェックバルブ２２は、その弁体２２ ａが給排油
ポート１９の作動油の圧力にてバネ２２ ｂに抗して後
退したとき、作動油の一部を通路部２０ Ｈに流し、か
つ逆方向の流れは阻止する。

例えばロッド１３が外力（ロッドが連結する負荷の力）
によって縮少されると、ロッド側油室１５が負圧になる
場合があり、そのとき軸受側の油が給油通路２０を経て
ロッド側油室１５に逆流するのを阻止する。

また前記排油通路２１は、ロッド１３の軸心と直交する
ように設けられ、その一端はダストシール１８と軸受１
６との間に開口し、かつ他端はロッド側シリンダカバ一
部１１Ａの外周面に開口している。

そして排油通路２１の他端開口は適宜配管を介して油タ
ンク２３へ接続されている。

従って、この実施例では、作動油の一部が給油通路２０
を経て軸受１６側に導かれ、該軸受１６の内周面とロッ
ド１３の外周面との隙間（軸受面）を外部方向に流れた
後、排油通路２１から配管を介して油タンク２３に戻さ
れる。

即ち、軸受面は作動油の一部によって常時確実に潤滑さ
れるので、軸受部での錆びの発生及びこれに基因するロ
ッドシール１７、ダストシール１８及びロッド１３の損
傷は防止される。

また、排油通路２１が油タンク２３に通じて、ロッドシ
ール１７とダストシール１８とで囲まれる軸受部は低圧
に維持されるので、潤滑油のダストシール部からの外部
洩れは皆無となる。

更に、ロッド１３が外力によって縮少されてロッド側油
室１５が負圧になったとき、給油通路２０はチェックバ
ルブ２２により遮断されて、軸受部は負圧とはならない
ので、ダストシール部から塵埃が軸受部に侵入すること
もない。

尚、前述の実施例において、油圧シリンダの使用圧力が
大幅に変化する場合には、チェックバルブ２２に代えて
リリーフバルブを設ける。

そして、このリリーフバルブは、ロッド側油室１５の圧
力が設定したリリーフ圧を越えたとき作動油の一部を軸
受側へ流す。

このようにすることによって、前述と同様の作用効果を
達成できる。

以上説明したように、本考案の油圧シリンダによれば次
のような効果がある。

（１） ロッド側シリンダカバ一部のロッド軸受部が
常に潤滑されるので、錆びの発生はなく、かつ錆びに基
因するシール及びロッドの損傷を防止できる。

また軸受部の潤滑油は油タンクへ戻されるので、軸受部
の摩耗粉も該潤滑油と同時に排出され、シリンダ自体の
耐久性が向上する。

（２）軸受部は低圧に維持されているので、潤滑油のダ
ストシールからの外部洩れは皆無となる。

従って、シリンダ自体及びその周辺機器が油汚れするこ
とはなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は油圧式建設機械に使用される油圧シリンダを示
す概略断面図、第２図は従来の油圧シリンダにおけるロ
ッド側シリンダカバ一部のロッド摺動部を示す断面図、
第３図は本考案油圧シリンダにおけるロッド側シリンダ
カバ一部のロッド摺動部を示す断面図である。 １１・・・・・・シリンダ本体、ＩＩＡ・・・・・・ロ
ッド側シリンダカバ一部、１３・・・・・・ロッド、１
５・・・・・・ロッド側油室、１６・・・・・・ロッド
軸受、１７・・・・・・油洩れ防止用シール（ロッドシ
ール）、１８・・・・・・塵埃侵入防止用シール（ダス
トシール）、１９・・・・・・給排油ポート、２０・・
・・・・給油通路、２１・・・・・・排油通路、２２・
・・・・・チェックバルブ、２３・・・・・・油タンク
。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ロッド側シリンダカバ一部に、ロッド側油室に作用する
   作動油の一部をロッド軸受面の一端側に導く給油通路と
   、ロッド軸受面を流れた油を該軸受面の他端側から取出
   す排油通路とを設け、前記給油通路の途中には、軸受側
   に向う油のみを流すバルブ手段を設け、前記排油通路は
   外部の油タンクへ接続せしめたことを特徴とする油圧シ
   リンダ。