JPS5940915B2 - 金属ストリツプの片面電気メツキ方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は空間でストリップ面に電極面から電解液を噴射
しながら電気メッキを行う片面メッキ方法に関するもの
である。

金属メッキ鋼板はその優れた特性から各種の用途に使用
されて来ており、今後の需要増大も確実である。

片面メッキの必要性は、耐食性、塗装後の耐食性を含め
た塗装性能、溶接性等が同時に要求される用途、例えば
自動車々体等の材料で強く要望され、研究開発が活発に
行われている。亜鉛メッキの場合、亜鉛メッキ面は裸の
耐食性に対しては優れた機能を発揮するが、塗装下地面
としては不適当である。特に近年、カチオン電着塗装が
採用されているにいたつては、塗装時に良好な塗膜面が
得られないと同時に耐食性も劣化が大きい。更に部分的
にわずかの亜鉛が残ると、塗膜の劣化は著るしく完全に
ゼロ面であることが望まれている。カチオン電着塗膜は
耐食性に優れているため、塗装前処理の改良と共に鉄面
で優れた耐食性能が得られる事が明らかになつて来た。
更に溶接性についても亜鉛の存在は、電極にビルドアッ
プする等マイナス要素であり出来る限り存在しない方が
良い。

以上述べた一例の如く、片面メッキの方法は近年特に重
要であり、今後の需要も増加することが見込まれている
。片面メッキの製造方法には、溶融メッキ方法と電気メ
ッキ法があるが、それぞれ一長一短があり、電気メッキ
ではメッキ付着量が多いものを製造し難い点が欠点とし
てあげられる。即ち溶融メッキに相当するメッキ付着量
を得るためには従来の電析速度では多数の電解槽を配置
せねばならず、設備的にもコスト的にも高価な方法とな
る。従つて市場に受け入れられる電気メッキ法による片
面メッキ鋼板を得るためには高速度で電析することが出
来るコンパクトな高能率電解槽を合せて開発することが
必要である。又、メッキラインは片面両面メッキが可能
な状態にあらねばならない。片面電気メッキを行う公知
の方法の一つとしては片面だけに通電し、非メツキヘの
回り込みをダミーカンードを設けて防ぐ方法がある。

この方法では前記した問題点の他に非メツキ面への裏回
りを防止するためには複雑な機構を入れねばならないた
め、高能率な電解槽とはならず又、必ずしも完全なゼロ
面が得られず、残留メツキを除去するための後工程が必
要な場合がある。又、非メツキ面をロールに巻きつけ電
解面にのみ陽極を配置して片面メツキを行う。公知例に
ついては、両面メツキ製品を製造する場合に不利である
。即ち、片面専用か２倍の設備が必要となる。更に他の
公知例としてメツキ面にのみ電解液を供給し、非メツキ
面はロール等でストリツプを支持する方法があるが、前
例と同様の欠点を持つている。本発明はこのような従来
の問題点を解決し、且つコンパクトな電気メツキ装置で
溶融メツキに相当する高付着量の片面メツキ鋼板を製造
することを目的とした片面メツキ鋼板の製造方法を提供
するものである。以下本発明について詳細に説明する。

本発明は従来の電解作業における発泡現象にヒットを得
て見い出したものである。

即ち不溶性電極を用いて近接電解する際に、一般的には
不溶性電極面で多量のガスを発生する。

この発生ガスを迅速に除去しない場合、例えば静止浴に
おける電解では電圧の上昇が著しく電圧の上昇量だけ通
電性が阻害されるので目付量が低下する。これをさける
ために電解液を攪拌するか、陽極面より対極のストリツ
プに対して液噴射を行うと通電性は良好となる。

さらに液噴射量を増加すると液噴流による巻き込み効果
で外部の気体（一般的には空気）を吸引し、静止浴の時
以上の電圧上昇を生じ不均一なメツキになり、部分的に
は不メツキ部が発生する場合もみられる。

本発明はこのような電解液中に気泡が存在すると通電性
が阻害される現象を利用して完成されたもので、その要
旨とするところは、金属ストリツプを電解液に浸漬する
ことなく空間に保持した状態で金属ストリツプに対向配
置した電極面に設けた噴射孔より電解液を噴射しながら
通電する電気メツキ方法において非メツキ面側に気体を
混合せしめた電解液を供給することを特徴とする金属ス
トリツプの片面電気メツキ方法にある。

このように本発明においては電解槽内でのストリツプを
電解液に浸漬しないで空間に保持せしめ、しかもストリ
ツプに対向して靜圧パツド又は動圧パツドとしても機能
を併せもつ電極パツドによりストリツプ面に電解液を噴
射しながら電解処理する方法において、非メツキ面には
電解液中に気泡を内包せしめメツキ面には電解液のみを
供給しながら電解処理することを特色としている。

従つて本発明では電解液を空間で噴射するのでメツキ液
の置換が良いこと、従来電解液に浸漬されているロール
は絶縁されていたが、この絶縁ロールをコンダクタ−ロ
ールとして使用できること、両側の電極面から噴射する
電解液によつてストリツプが保持されるので電極とスト
リツプの近接化が可能であること、などから高電流密度
で高速電気メツキが達成できる特徴がある。

本発明の片面メツキ方法はこのような電解方法において
電解液に気泡を内包させることによりメツキ量を任意に
コントロールできるので片面メツキ鋼板を効率良く製造
することができる。以下本発明の詳細を図面に示す実施
例に基づいて説明する。

第１図は本発明を実施するための電解装置の具体的な１
例を示す概略図である。

第１図において１は底部に液溜２を設けたボツクス状の
電解槽、３は該電解槽１内の上下位置に配置したストリ
ツプ案内・通電用の複数個のコンダクタ−ロール、５は
上下コンダクタ−ロール３間におけるストリツプ４をは
さんでほぼ対称に設けた電極パツドである。

又第２図は電極パツドの１例を示した拡大図であり、全
体を中空ボツクス状に形成した電極パツド５のストリツ
プ４に平行に対面した前面には電解液噴射ノズル７が穿
設されている。このため電極パツド５の背面から電解液
供給パイプ９により電解液を供給し、ノズル７からスト
リツプに向けて噴射すると電解液流が、例えば第３図の
矢印の如く流れ、パツド５の前面とストリツプ４との間
には静圧が生じ、かつ一対のパツドが対向しているので
ストリツプ４の両側に静圧が生じるため、ストリツプは
安定して保持され、振動を防止されると共に形状不良も
矯正される。一方電極パツド５のストリツプと対面する
前面に電極としての性質を付与しておけば、パツド及び
ストリツプ間には電解液が充満しているので電解処理が
行なわれストリツプ面に所望のメツキ層が生成される。
以上のような構成からなる電解装置によれば、電極パツ
ドの上下方向にコンダクタ−ロールを設けることができ
るので通電時のストリツプ抵抗が小さくなること、噴射
した電解液によつてストリツプが安定保持されるのでス
トリツプと電極間のきよりを近接化できること、ストリ
ツプと電極間の電解液の流速が大きいことから、常に新
鮮な液が供給され、しかもイオン供給および拡散が充分
に行なわれることなどから低電圧で電流密度を大巾に高
くでき、効率の良い電解処理ができる。

その結果、コンパクトな装置で溶融メツキに近い高付着
量の電気メツキを効率良く製造することが可能である。
以上は静圧電極パツドを竪型電解槽に設けた例を示した
が本発明ではこの他に動圧電極パッドを用いる場合、横
型の電解槽に静圧又は動圧パツドを用いる場合等にも同
様に適用することができる。

但しパツドとしてはストリツプの安定支持及び電極とス
トリツプ間の電解液の封鎖性の点からは静圧電極パツド
の方がより好ましい。本発明はこのような電解装置の電
極パツドに供給する電解液に気泡を内包させながらメツ
キを行ない片面メツキ鋼板を製造するものである。以下
本発明で片面メツキ鋼板を製造する方法について第４図
によつて説明する。

ストリツプ４をはさんでほぼ対称に電極パツド５Ｘ及び
５Ｙを配置する。

電極パツドは中空になつており、電解液供給パイプ９よ
りメツキ液を送入すると、メツキ液は電解液噴射口７よ
り噴射され矢印のように流れて電極面８と対極のストリ
ツプ４間に静圧が発生してストリツプを電極パツドの中
央部に安定に保持することができる。このような電極で
メツキを行うに際して片側の電極５Ｙには電解液だけを
供給し、他の片側の電極５Ｘには電解液の供給経路、例
えば電解液供給パイプ９に気体供給パイプ１０及び気体
開閉弁１１を介して電解液中に気泡を内包させるための
手段を設けて、気泡を内包させた電解液を供給しながら
電解液だけを供給する側の電極面８Ｙだけに通電してメ
ツキを行うことにより片面メツキ鋼板を製造することが
できる。

この場合、非メツキ面に供給する電解液に通電性を著し
く阻害する程度に気泡を内包させることによりメツキ面
からの裏まわりのない良好な片面メツキ鋼板を製造する
ことができる。

非メツキ面に供給する気液混合液は第４図の如く予め循
環系で気体を公知の方法で混合する方法あるいは、別系
統の配管系で直接気体を噴射して気液混合層を形成させ
ながらストリツプ面に供給しても良い。

気体の混合方法の例としては、循環ポンプの吸引口手前
で気体を吸入させポンプ内で微細に混合させる方法ある
いは気体を加圧溶解した電解液を供給し気化させる方法
あるいは、フイルタ一等を介して気体を電解液に混合さ
せる方法をあげることが出来る。電解液中に分散混合し
た気体は出来る丈微細でコロイド状態あるいは乳化状態
になつていることが望ましい。以上説明したように、本
発明ではストリツプを電解液に浸漬することなく空間に
保持した状態でストリツプに対向配置した電極面に設け
たスリツトより電解液を噴射しながら通電する電気メツ
キ方法において非メツキ面に気体を混合させた電解液を
供給しメツキ面には電解液のみを供給しながら通電しメ
ツキすることによつて以下の効果が得られる。

１．コンパクトな装置でメツキ裏まわりのない高付着量
の片面メツキ鋼板を製造できる。

２．片面両面メツキの切換えが容易である。

３，メツキは近接電解、ガス除去効率が良く省電力型で
且つ流速効果により高電流密度でメツキ出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の電極パツドを電解装置に配置した状態
を説明する概略図、第２図は本発明の電極パツドを金属
ストリツプに対向配置した例の拡大図、第３図は本発明
の電極パツドにおける電解液の流れの状態を説明する図
、第４図は本発明の電極パツドを用いて片面メツキ鋼板
の製造法を説明する図である。 １・・・・・・電解槽、２・・・・・・液溜、３・・・
・・・コンダクタ−ロール、４・・・・・・ストリツプ
、５，５Ｘ，５Ｙ・・・・・・電極パツド、６・・・・
・・ポンプ、７・・・・・・電解液噴射ノズル、８・・
・・・・電極面、９，９″・・・・・・電解液供給パイ
プ、１０・・・・・・気体供給パイプ、１１・・・・・
・気体開閉弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属ストリップを電解液に浸漬することなく空間に
   走行させつつ保持した状態で金属ストリツプに対向配置
   した電極に設けた噴射孔から電解液を噴射しながら通電
   する電気メッキ法において、非メッキ面側に気体を混合
   せしめた電解液を供給することを特徴とする金属ストリ
   ップの片面電気メッキ方法。