JPS5936803B2 - くら形コイルの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は超電導発電機の界磁コイルやシンクロトロンの
磁場発生用コイル等のくら形コイルおよびその製造方法
に関する。

第１図は単層くら形コイルの斜視図である。

単層くら形コイル１は角形電線３が曲面状に巻回されて
おり、直線部１ａとわん曲部Ｉｂとからなつている。こ
の単層くら形コイル１を複数段重ね、その全体に合成樹
脂を含浸して一体にすることにより界磁コイル等が構成
される。第１図に示すような単相くら形コイル１を作る
方法としては、直接マンドレル上に角形電線を曲げなが
ら並べてゆく方法と、まず第２図に示すような、直線部
２ａと端部２ｂからなる単層平板状のコイル２を作り、
これをマンドレル上で曲げてくら形に成形する方法とが
あり、後者の方が前者に比べて工数はずつと短縮できる
。

ところで、単層くら形コイルを構成する角形電線として
、従来は、高さ方向において幅の等しい平角電線３ａを
使用しているため、後者の方法により、第３図のような
平板上コイルを、第４図に示すようにくら形に曲げる場
合、端部２ｂがわん曲部Ｉｂになるためには、平角電線
３ａの高さ方向、すなわちくら形コイルの径方向の中央
５を中性点として、外側は伸び内側は縮むことになる。

なお、図中４ａは接着テープである。一方、平板状コイ
ルの直線部２ａからくら形コイルの直線１ａになるには
、内側に接点６がきて、平角電線３ａの外側部は広げら
れることになる。

この場合、平角電線３ａの断面が変形するか、あるいは
平角電線３ａのわん曲部Ｉｂの中央５、つまり線自体が
伸びればよいが、いずれも不可能であるため、第４図の
ように平角電線３ａが飛び出すことになる。また、前者
の方法を採用し、第５図に示すように、マンドレル７上
に直接平角電線３ａを曲げながら並べてゆく場合には、
次第に平角電線３ａが傾斜してきて、空隙８ができるた
め、占積率や熱放散が悪くなり、コイルの見かけ厚さが
小さくなる。

本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を除き、成形
が容易で、しかも品質に優れたくら形コイルを提供する
にある。

この目的を達成するため、本発明は、くら形コイルを構
成する角形電線として、その幅が高さ方向、つまりコイ
ルの径方向で異なるものを用い、その最大幅部を径方向
の中央より外側に位置させたことを特徴とする。

以下、本発明の一実施例を第６図ないし第１３図につい
て詳細に説明する。

本実施例で使用する角形電線３ｂは、第６図に示すよう
に、最大幅部９が上辺付近にある台形断面を有しており
、実用的サイズのくら形コイルにする場合、この最大幅
が最小幅（下辺付近）よりも１．０〜５．０（Ｌ大きい
ことが望ましい。

なお、この最大幅部９は、第７図に示すように、必ずし
も上辺付近にある必要はないが、高さ方向の中央部１０
よりも上方にくるようにする。このような断面形状を有
する角形電線３ｂを、第８図ないし第１０図に示すよう
に、上側ガイドわく１１ａおよび下側ガイドわく１１ｂ
がボルト１２で取り付けられた巻わく１３に多層に巻回
した後、その最大幅部が位置する側の面に接着テープ４
ｂを貼着して各角形電線３ｂのくずれを防ぎ、これを巻
わく１３より取り外して、第１１図に示すような単層平
板状コイルを作る。

その後、この単層平板状コイルを第１２図に示すように
、接着テープ４ｂが貼着された方を外側にしてマンドレ
ル７上に載置し、上方より押え金型１４で押圧成形すれ
ば、第１３図に示すような単層くら形コイルが得られる
。

この際、角形電線３ｂの接点６となる最大幅部９が高さ
方向の中央部１０より上方に、すなわちくら形コイルに
成形された場合の径方向の中央５より外側にあるため、
角形電線３ｂの飛び出し等がなく、容易に曲げることが
できる。なお、本実施例では、まず単層平板状コイルを
作り、これらをくら形に曲げ成形する場合について述べ
たが、本発明はこのようなものに限らず、マンドレル上
に直接角形電線を曲げながら巻回する場合にも適用でき
、この場合にも、角形電線の最大幅が径方向の中央より
外側にあるため、角形電線に傾斜等が生じることはない
。

第１４図ないし第１６図は本発明で使用する角形電線３
ｂの各具体例を示す。

すなわち、第１４図は、電線導体１５の幅を異ならしめ
ることによつて、角形電線３ｂの幅を前述のように異な
らしめた例、第１５図は、絶縁被覆１６の厚さを異なら
しめることによつて、角形電線３ｂの幅を異ならしめた
例である。また、第１６図は、絶縁被覆１６の側面上方
にスペーサ１７を設けることによつて、角形電線３ｂの
幅を異ならしめた例である。以上説明したように、本発
明によれば、くら形コイルを構成する角形電線の幅を、
くら形コイルの径方向で異ならしめ、その最大幅を径方
向の中央より外側に位置させたので、角形電線の飛び出
しや傾斜がなくなり、その成形が容易になるとともに、
占積率や熱放散の良好な品質に優れたくら形コイルが得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な単層くら形コイルの斜視図、第２図は
単層平板状コイルの平面図、第３図は従来の単層平板状
コイルの第２図Ｂ−Ｂ線断面図、第４図および第５図は
それぞれ異なる方法で作られた従来の各単層くら形コイ
ルの第１図Ａ−Ａ線断面図、第６図および第７図は本発
明で使用する各角形電線の断面形状を示す概略断面図、
第８図は本発明の一実施例に係る単層平板状コイルの巻
回時の状態を示す平面図、第９図は第８図のＣ−Ｃ線断
面図、第１０図は第８図のＤ−Ｄ線断面図、第１１図は
本発明の一実施例に係る単層平板状コイルの第２図Ｂ−
Ｂ線断面図、第１２図は単層平板状コイルを単層くら形
コイルに成形する方法の一例を示す縦断正面図、第１３
図は第１１図の単層平板状コイルをくら形に成形したの
ちの形状を示す縦断正面図、第１４図ないし第１６図は
本発明で使用する角形電線の各具体例を示す詳細断面図
である。 符号の説明 １・・・・・・単層くら形コイル、２・・
・・・・単層平板状コイル、３ｂ・・・・・・角形電線
、４ｂ・・・・・・接着テープ、９・・・・・・最大幅
部、１５・・・・・・電線導体、１６・・・・・絶縁被
覆、１７・・・・・・スペーサ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電線導体と絶縁被覆からなる角形電線を多層環状に
   巻回し、この巻回体をくら形に屈曲したくら形コイルに
   おいて、前記角形電線の幅をくら形コイルの径方向で異
   ならしめ、その最大幅部を径方向の中央より外側に位置
   させたことを特徴とするくら形コイル。 ２ 前記電線導体の幅を異ならしめることにより、前記
   角形電線の幅をくら形コイルの径方向で異ならしめたこ
   とを特徴とする特許請求の範囲１に記載のくら形コイル
   。 ３ 前記絶縁被覆の厚さを異ならしめることにより、前
   記角形電線の幅をくら形コイルの径方向で異ならしめた
   ことを特徴とする特許請求の範囲１に記載のくら形コイ
   ル。 ４ 高さ方向において幅の異なる角形電線を平板状にか
   つ多層環状に巻回した後、この巻回体を、角形電線の最
   大幅部がくら形コイルの径方向の中央より外側にくるよ
   うに、くら形に屈曲することを特徴とするくら形コイル
   の製造方法。 ５ 前記角形電線を平板上にかつ多層環状に巻回した後
   、この巻回体における角形電線の最大幅部が位置する側
   の面に接着テープを貼着し、その後、接着テープの貼着
   された面を外側にしてくら形に屈曲することを特徴とす
   る特許請求の範囲４に記載のくら形コイルの製造方法。