JPS593507Y2 - 点火栓 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、シリンダヘッドに装着して燃焼室の混合気に
火花点火を行う点火栓の改良に関する。

一般に、内燃機関の点火栓は第１図に示すように構成さ
れている。

金属製のハウジング１内に絶縁体碍子２を介して高圧電
極３が埋込まれている。

電圧電極３は一端がターミナル４に連結され、他端が絶
縁体碍子２の端面より露出される。

そして、ハウジング１の端面には一体的に接地電極５が
形成され、この接地電極５の先端部が前記高圧電極３の
露出部８と所定の放電空間６を保って対峙されている（
例えば昭和５５年１０月１５日株式会社山海堂発行の自
動車工学全書１０巻「電装品、車体装備品、エンジン部
品」２１ページ参照）。

そして、ターミナル４に高電圧が印加されると、高圧電
極３と接地電極５間で火花放電が起り、これにより燃焼
室の混合気に点火し燃焼させるようになっている。

しかしながら、上記のように構成された点火栓は、第２
図に示すようにシリンダヘッドに装着された状態におい
て、燃焼室壁７と略同−面上に高圧電極３の露出部８が
位置するために、混合気と接触する機会が少なく、また
着火により燃焼を始めた火炎が燃焼室壁７により冷却さ
れてその成長が阻害されるため、とくに冷間時など着火
性が悪かった。

また、点火が１ケ所での火花放電であるために、希薄混
合気あるいは排気還流時など着火条件の良くない運転条
件では着火しなかったり、着火しても火炎が拡がらずに
消滅してしまう、いわゆるミスファイヤを起こすことが
あった。

さらに、高圧電極３先端が燃焼室壁７と略同−面上に位
置することは結果的に火炎伝播距離が長くなってしまう
。

本考案は、上記問題点に鑑みなされたもので、高圧電極
を絶縁体で被覆した状態で、ハウジング端面より突出さ
せ、その突出部に中間電極を設けて複数個の放電間隙を
形成することにより、火炎伝播距離の短縮化を図るとと
もに沿面放電の多点点火が行なえるようにした点火栓を
提供することを目的とするもので゛ある。

以下、本考案の実施例を図面にもとづいて説明する。

第３図に示すように、絶縁体碍子２の軸心部に埋込まれ
た高圧電極３の先端を絶縁体で被覆した状態で、金属製
のハウジング１の燃焼室側端面より延長し突出部９を形
成する。

そして被覆先端から高圧電極３の一部を露出させて、突
出部９よりやや大径の円板状の露出部８を形成する。

他方、接地電極５は突出部９の基端部外周に形成され、
一部をハウジング１と導通させている。

そして、突出部９の周面には接地電極５と高圧電極３の
露出部８との間に位置して、リング状の中間電極１０を
所定間隔をもって複数個配設して、これらの間で放電間
隙１１．１２．１３を形成する。

以上のように点火栓を構成したので、シリンダヘッドへ
の装着状態において高圧電極３の露出部８は、燃焼室壁
７よりｌだけ突出した状態となる。

ターミナル４に高電圧が印加されると、高圧電極３の露
出部８と接地電極５との間で、中間電極１０を介してそ
れぞれ放電間隙１１．１２．１３で同時に火花放電する
。

このときの放電は絶縁体突出部９の表面に沿った、いわ
ゆる沿面放電となる。

したがって、このようにして燃焼室壁７面から大きく突
き出した放電間隙１１，１２．１３において多点点火さ
れるため、着火性能が向上する。

すなわち、気中放電に比べ抵抗が弱い沿面放電であるた
め放電エネルギーを効率的に利用でき、しかも全体的な
火炎の伝播距離を短かくして燃焼時間の短縮がはかれる
からである。

第４図は突出部９の他の実施例をあられしている。

接地電極５と中間電極１０の各端面に、突起１４がそれ
ぞれ形成されている。

突起１４は放電空隙１１．１２．１３を短縮するもので
、これにより放電位置が設定される。

この突起１４．１４．１４の相互関係位置を円周方向に
対し重り合わないようにすることによって、放電間隙１
１，１２．１３における放電を突出部９の周面上の異な
る位置で行わせることができる。

このようにして多点点火すると、火炎の拡がりが絶縁突
出部９を中心にして全周面を伝播されるので、着火性能
をさらに向上でき、希薄混合気による運転時等着火条件
の悪い場合に有効である。

さらに、第５図の他実施例は熱負荷を軽減するため高圧
電極３の内部にヒートパイプ１５を構成している。

ヒートパイプ１５は管体１６内壁に多孔質材質からなる
ウィック１７を設けたもので、内部に適量の作動液体を
封入して密閉されている。

そして燃焼室壁７より突出している高温の突出部９で受
熱すると、ウィック１７の表面から作動液体がその部位
の熱を奪って気化し、温度の低いシリンダヘッド外部側
へ蒸気が流れる。

そこで図中矢印で示すように、エンジン本体および空気
中に放熱して蒸気が凝縮して液体に戻るのであり、凝縮
した液体はウィック１７の毛細管力で突出部９側へ再び
戻され、このサイクルの繰り返しによって燃焼室内に突
出させた突出部９の耐熱性が向上する。

この結果、燃焼室の中心寄り位置で点火させ得るように
高圧電極３の突出量ｌを前述の実施例に比べてさらに大
きくできる。

以上説明したように本考案は、高圧電極をハウジング端
面から突出させて火炎伝播距離を短縮するとともに、中
間電極により複数個の放電間隙において多点の沿面放電
を行うように構成したので、安定着火と急速燃焼がはか
れて機関出力の向上と燃料消費量の節減が得られるとい
う効果を生じる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の点火栓を示す正断面図、第２図は同装着
状態を示す要部断面図である。 第３図は本考案の点火栓を示す半裁正面図、第４図は第
２実施例を示す要部拡大斜視図、第５図は第３実施例を
示す一部断面正面図である。 １・・・・・・ハウジング、２・・・・・・絶縁体碍子
、３・・・・・・高圧電極、５・・・・・・接地電極、
８・・・・・・露出部、９・・・・・・突出部、１０・
・・・・・中間電極、１１，１２．１３・・・・・・放
電間隙、１４・・・・・・突起。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）ハウジングの先端から高圧電極を突出させ、この
   突出部周囲を絶縁体で被覆する一方、この突出部基端に
   形成した接地電極と突出先端の高圧電極の露出部との間
   に中間電極を配設し、これら電極間で放電間隙を形成し
   たことを特徴とする点火栓。
2. （２）高圧電極、中間電極および接地電極との間で形成
   される放電間隙を、これら電極に選択的に設けた突起に
   より短縮したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の点火栓。
3. （３）電極の突起は突出部の円周方向において異なる位
   置に形成されていることを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第２項記載の点火栓。