JPS5930203Y2 - 小形２サイクル・エンジンのクランク室構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 小形２サイクル・エンジンは、その性格上常により一層
の小形軽量化、高性能化が要求されている。

従って、小形化のためと、クランク室圧縮効率向上のた
めにクランク室もその寸法を極限迄縮小せしめて、その
内周面がクランクシャフトのバランスウエートの外周旋
回軌跡にほぼ沿った形状としているのが一般的である。

斗た、この種のエンジンのクランクケースバ一般にアル
ミニウム合金材料等のグイキャスト製品であり、その鋳
肌は比較的平温なものになっている。

図に示す実施例の如きクランク室予圧縮形小形２サイク
ル・エンジン１に於いては、混合気が給気口２からクラ
ンク・ケース３内のクランク室５へ吸入されて予圧縮を
受ける訳である。

クランク室５内では、バランスクェート８等が高速で運
動してかり、吸入された混合気を激しく撹乱するので、
吸入混合気中の一部未気化生燃料がそのま１燃焼室９に
供給される現象を生ずる。

このような状況下で、クランク室５の内周面４が平滑で
、バランスウエートの旋回軌跡に沿った形状となってい
るので、一層未気化生燃料が流合しやすく、より大粒の
燃料液滴が燃焼室９に供給される可能性が大きくなる。

この現象は特に高速域に於いて大きな出力低下、燃料消
費率の劣化を引き起す。

この現象を解消せしめる為に本考案では、クランク室５
の内周面４に多数の溝６をクランク軸の方向に向は並設
して未気化生燃料が流合しにくくし、突部がジャブ台と
なり気化し易く、更に流合した場合でも一個所に大量に
まとオらぬ構造とした。

この結果、第３図に示す社内比較実験によれば、特に高
速域に於いて出力、トルクが約３０％程度向上し、燃料
消費率も約１７％程度改善する事が出来た。

なお、前記溝６は第２図に示す如く、クランクケース３
の合わせ面７に直交する（一般にはクランク・シャフト
と平行な）凹溝とすることによってクランク・ケース３
の鋳造時に型抜きに影響を釦よぼすことがないから支障
なく鋳造形成する事が出来、さらに溝を比較的浅く設定
すれば、実質的にクランク室５の内容積を変更すること
なく、圧縮効果に影響を与えないで出力増大が可能であ
る。

以上の如く本考案によれば、クランク室５の内周面４に
多数の溝６を設けるだけの、きわめて簡単な構造により
、クランク室予圧縮形小形２サイクル・エンジンの性能
向上を実現することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図：本案実施例エンジンの縦断面図。 第２図：第１図■−■部矢視断面展開図。 第３図：社内比較実験によるエンジン性能図。 １・・・・・・エンジン、４・・・・・・内周面、５・
・・・・・クラン ク室、 ６・・・・・・溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク室予圧縮形小形２サイクル・エンジン１に於い
   て、クランク室５の内周面４にクランク軸方向に並列し
   た多数の溝６を設けてなるクランク室構造。