JPS5928361Y2 - 超音波顕微鏡用試料保持台 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、超音波顕微鏡に使用される試料保持台の構造
に関する。

光の代りに超音波を用いて物体の微視的な構造を観察し
ようという考えが古くからあり、最近機械走査型超音波
顕微鏡が開発された。

この、超音波顕微鏡は、原理的には細く絞づた超高周波
超音波ビームによって試料面を機械的に走査し、散乱さ
れた超音波を集音して電気信号に変換し、陰極線管の表
面に二次元的に表示し、顕微鏡像を得るのである。

構成としては、超音波の検出の仕方によって、すなわち
試料内で散乱あるいは減衰しながら透過してきた超音波
を検出する場合と、試料内の音響的性質の差によって反
射してきた超音波を検出する場合とによって、透過性と
反射型とに分けられる。

第１図は透過型の超音波顕微鏡の基本構成を示すブロッ
ク図であり、同図中１は高周波発振器、２は送波側超音
波集束レンズでサファイアなどの超音波伝搬媒体材から
なり、−面に送波用トランスジューサ２ａが貼着され、
他面は球面状にえぐられた球面レンズ部２ｂを有する。

３は受渡側超音波集束レンズで同じくサファイア板など
の超音波伝搬媒体材からなり、−面に受渡用トランスジ
ューサ３ａが貼着され、他面には球面状にえぐられた球
面レンズ部３ｂを有する。

そしてこのような一対の超音波集束レンズは互いに球面
レンズ部を対向せしめて音場媒体となる水４を介して共
焦点構成に配設されている。

５は試料保持台で、該保持台５は、試料保持枠６にマイ
ラー板からなる保持板７を固着したものからなり、該保
持板７上に被検査物体となる試料８が取付けられている
。

９は試料保持台５をＸ及びＹ方向に移動させる走査装置
、１０は走査装置９を制御する走査回路、１１は受渡側
超音波集束レンズ３に貼着した受渡用トランスジューサ
３ａの出力を受信する受信回路、１２は表示装置である
。

前述の如き超音波顕微鏡において、まず送波用トランス
ジューサ２ａによって放射された平面超音波は球面レン
ズ部２ｂによって集束され水中に焦点を結ぶ、この焦点
に集まった超音波は共焦点に配置されている受渡側超音
波集束レンズ３の球面レンズ部３ｂによって集音され水
平面超音波となり、受渡用トランスジューサ３ａによっ
て電気信号に変換される。

そこで試料８の検査面゛が焦点に位置するようにしなが
ら試料保持台５をＸ方向に振動させなからＹ方向に少し
づつ移動させれば、超音波ビームは相対的に試料面を走
査することになる。

超音波ビームが試料８を透過する際、振幅や位相の変化
を受けるから、超音波ビームが横切るところの試料面の
各点に対応させて表示装置１２内の陰極線管（ＣＲＴ）
の電子ビームを掃引し、受渡用トランスジューサ３ａの
出力信号に応じて輝度変調をかければＣＲＴ面上には二
次元的に顕微鏡像が得られる。

一方、反射型の超音波顕微鏡は、図示しないが１つのト
ランスジューサ及び１つの超音波集束レンズが信号の送
受を兼用し、トランスジューサから超音波集束レンズに
入射された超音波は集束されて試料へ到達し、その反射
波が再び前記超音波集束レンズで集音され、前記トラン
スジューサで電気信号に変換されて表示装置へ供給され
る。

ところで、前記試料保持台５は例えば磁石と可動コイル
とから成るＸ方向の走査装置９により５０止でＸ方向に
振動されるが、この振動時に、試料８が保持板７に対し
て移動して映像が不鮮明あるいは不能となるのを防止す
るために、ワックス、シアノアクリレート等の固定剤に
より予め試料８を保持板７に固定する必要がある。

しかし、前記固定剤中には気泡が入りやすく、この気泡
が試料８の正確な映像を阻害し、また、微生物、細肪組
織等の試料８自体も固定剤の影響を受け、ある種の試料
８は生きたままで観察できない場合がある。

ところが、生物または生体研究において、微生物または
細肪組織を薬品等による外からの影響を与えずに、生き
たままで、観察することは非常に重要であす、シかも、
超音波により物質内部の物理的変化を研究できることは
、それらの進歩を著しく促進することになる。

本考案は上記の点に鑑み、微生物、細肪組織等の試料を
生きたまま容易に固定し得る試料保持台を提供するにあ
る。

以下、本考案の試料保持台５を第２図及び第３図により
説明すると、６は矩形あるいは円形の保持枠で、該保持
枠６の下面にマイラー板等から成る保持板７が接着剤に
より固着され、この保持板７上の略中央部に試料８が載
置される。

また、前記保持枠６の一辺部には内側から外側へ貫通し
た孔６ａが設けられ、該孔６ａにプラスチック等から戒
る細管１３が嵌入している。

１４は保持枠６内に注入された水または生理食塩水等の
液体で、該液体１４中に前記試料８が生きたままで沈め
られることになる。

１５は厚さ３０〜５０μのマイラー板等から成る可撓性
の蓋板で、該蓋板１５は保持枠６の上面に乗せられる。

なお、６ｂは試料保持台５をＸ方向へ駆動するために、
保持枠６に一体に形成した駆動軸である。

そこで、前記細管１３により液体１４の一部を保持枠６
外へ吸出させると、第２図口に示すように可撓性の蓋板
１５が外気圧で撓わみ、蓋板１５と保持板６との間に試
料８を挾持して固定することができる。

その際、蓋板１５は保持枠６上に特に固着しなくても外
気圧により固定することができるが、接着剤等により固
着しても良い。

この状態で試料保持台５をＸ方向に振動させれば、試料
８が保持板７に対して移動して映像が不鮮明あるいは不
能となる虞れはなく、また、薬品等による影響のない生
きたままの試料８を観察することができる。

なお、試料８を交換する場合には、前記細管１３から保
持枠６内に液体１４を注入して、保持枠６から蓋板１５
を取外すことにより容易に交換することができる。

第４図イ９口は蓋板１５または保持板７の表面にスポッ
ト状あるいは線状の微細な突起部１５ａ・・・・・・ま
たは７ａ・・・・・・を周期的に設けたもので、第５図
に示すように蓋板１５および／または保持板７に設けた
突起部１５ａおよび／または７ａで試料８を挾持するよ
うにすれば、より確実に試料８の固定がなされる。

なお、これらの突起部１５ ａ 、７ ａは周期的に形
成されているために、信号処理により映像から容易に消
去することができるし、また、突起部１５ ａ 、７
ａの物理的形状や音響的性質は初めから明らかであるの
で、映像に現われても実用上問題にならない。

また、前記試料保持台５を反射型の超音波顕微鏡に使用
するには、保持枠６の下面に固着した保持板７をマイラ
ー板の代わりに超音波が反射し易い金属板等で構成する
と最適である。

叙上のように、本考案は保持枠６の上面に設けた蓋板１
５と保持板７との間で試料８を挾持したものであるため
、固定剤を用いることなく、試料に薬品等の影響を与え
ずに生きたままで確実に固定し得るという実用上顕著な
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は透過型超音波顕微鏡のブロック図、第２図〜第
５図は本考案の試料保持台に係り、第２図はその１実施
例を示す上面図、第３図イ９口はその断面図、第４図イ
９口はその他の実施例を示す保持板または蓋板の斜視図
、第５図はその他の実施例を示す試料保持台の断面図で
ある。 ５・・・・・・試料保持台、６・・・・・・保持枠、７
・・・・・・保持板、８・・・・・・試料、１５・・・
・・・蓋板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 保持枠の下面に固着した保持板上に試料を載置し、前記
   保持枠の上面に設けた蓋板と前記保持板との間で前記試
   料を挟持したことを特徴とする超音波顕微鏡用試料保持
   台。