JPS5919125Y2 - 合成樹脂製シャフト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、滑動部をもつ合成樹脂製シャフトに関し、
さらに詳しくは、スリーブに嵌合して滑動する合成樹脂
製シャフトに関する。

この明細書では、自動車用スピードメータドリブンギヤ
のシャフトを例に採り説明するが、これに限られるもの
ではない。

従来、ドリブンギヤは全金属製がギヤ部のみ合成樹脂製
でシャフト部は金属製であった。

全金属製の場合は重く、作動時に騒音が発生し、好まし
くなく、シャフト部にキー溝、油溝等があり加工精度が
要求されコスト高となった。

また、ギヤ部のみ合成樹脂製の場合は、金属シャフトを
インサートしてから合戊樹脂部を成形するので成形時イ
ンサートを型にセットしなければならず成形加工性が悪
く、かつ、インサートセット時、クリアランスのバラツ
キ等により成形後の製品の精度が悪くなり、また、全金
属製と同様に製品でインサートの占める割合が大きいた
め、重い等の不具合があった。

このため、ギヤ部とシャフト部を合成樹脂で射出成形等
により一体成形する軽量なドリブンギヤが要望されてい
た。

この場合、ドリブンギヤのシャフトは油溝や、ピン用溝
を有しており、シャフト部がアンダカットを形成してお
り、シャフト部が埋込式の型では成形後製品を抜き出す
ことが困難なため、アンダカット部はスライドコアを使
用して容易に離型できるようにしている。

このため、スライドコアの合せ面にパーティングライン
ができ、シャフト部の外面に凸条（パリ）を生ずる。

このパリがシャフト部のスリーブと嵌合する滑動部にあ
ると精度上ならびに回転作動上支障となり好ましくなく
パリ取り作業が必要である。

また、パリ取りを行なっても必ずしもパリが奇麗に取れ
ず、シャフトの使用上支障のないようにするためには、
ドリブンギヤを装着するスリーブ内径とシャフト滑動部
の外径との隙間を所要以上の大きさに設計する必要があ
り、シャフトの滑らかな回転（滑動）が得られないおそ
れがある。

この考案は、上記にかんがみて、成形後シャフト滑動部
のパリ取り作業が不要で、製造工数の削減につながる合
成樹脂製シャフトを提供することを目的とする。

この考案の他の目的は、製品設計上、シャフト滑動部と
スリーブとの間に所要以上の間隙を設ける必要がなく、
使用時滑らかな滑動を得ることができる合成樹脂製シャ
フトを提供することにある。

この考案の要旨は、断面外形真円状の滑動部をもつ合成
樹脂製シャフトにおいて、滑動部のパーティングライン
の生ずる部分を切欠部とした合成樹脂製シャフトにある
。

以下、この考案の一実施例を図例に基づいて説明する。

第１図、第２図に示すように、この考案の一実施例であ
るドリブンギヤは、断面外形真円状の中空シャフト部１
１と中空ギヤ部１２と、シャフト部１１とギヤ部１２を
連結するリブ部１３とからなり合成樹脂で射出成形等に
より一体成形される。

シャフト部１１とギヤ部１２は同心状に配設され、シャ
フト部１１とギヤ部１２の間に形成される環状空間を等
角度３分割するようにリブ部１３が３本配設されている
。

このシャフト部１１は、ギヤ部１２と連結する先端部及
び後端部を除いてスリーブ１９の軸受部と嵌合する滑動
部である。

シャフト部１１の後端部は丸孔１５が形成され、さらに
内側に角孔１６が形成されている。

また、シャフト部１１の先端から肉ぬすみ用の丸孔１７
が形成されている。

このドリブンギヤはギヤ部が潤滑油中で作動するように
なっており、ギヤ部の潤滑油がスピードメータケーブル
内へ流出するのを防ぐため、この丸孔１７は角孔１６と
は連通していない。

この実施例は特定のドリブンギヤとしての用途のために
上記シャフトの内部構成をとったが、一般には丸孔１５
と１７とが連通した円筒状シャフトであってもよい。

さらに、シャフト部１１には油溝１４が、ドリブンギヤ
の回転方向と逆方向になるように形成されている。

またシャフト部１１の中央部付近にはピン用溝１８がリ
ング状に形成されている。

このシャフト部１１は、上記のように、油溝１４やピン
用溝１８によるアンダカット部を有するため、スライド
コアを使用しなければならず、シャフト部１１の長手方
向にパーティングラインがくる。

このとき、シャフト部１１は、第３図に示すように、パ
ーティングラインの生ずる部分の長手方向を切欠部２４
とするように射出成形等の金型のキャビティ部が構成さ
れている。

このため、切欠部２４に形成される凸条（パリ）２５は
、成形後除去しなくとも、シャフト部１１の断面外形で
ある真円Ｃの外へ飛び゛出すことはない。

このようにして、一体成形された、ドリブンギヤは、第
４図で示すように、スリーブ１９に、ピン２０がその一
端をスリーブ１９の切欠溝２６に、その他端を前記ピン
用溝１８に係合され、嵌挿される。

またスリーブ１９の後端開口部内面とシャフト部１１面
の環状空間にはオイルシール２１が嵌挿される。

このように、装着されたドリブンギヤは、自動車のメイ
ンシャフトに嵌合されているウオームギヤ（ドライブギ
ヤ）２２の回転力により、ドリブンギヤのギヤ部１２が
回転し、ギヤ部１２の回転がノブ部１３を介してシャフ
ト部１１に伝達されシャフト部１１が回転する。

さらにシャフト部１１の角孔１６には、スピードメータ
ケーブルの先端の角ピン２３が挿入され、この回転はス
ピードメータケーブルに伝達されスピードメータを作動
させる。

このとき、シャフト部１１は、その外径（滑動面）とス
リーブ１９の内径との間には、所要の（望ましい状態の
）大きさの隙間で設計されているので、シャフト部１１
はスリーブ１９内を滑らかに回転（滑動）する。

この考案の合成樹脂製シャフトは、上記のような構成な
ので、下記のような効果を奏する。

（ａ）成形後、シャフト滑動部のパリ取り作業が不要で
、合成樹脂製シャフトの製作工数を削減することができ
る。

（ｂ） 製品設計上、シャフトとスリーブとの間に所
要以上の間隙を見込む必要がなく、使用時円滑なシャフ
トの滑動を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図例はこの考案の一実施例を示し、第１図は部分切欠斜
視図、第２図は第１図のＩ■−ＩＩ線断面図、第３図は
第２図のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図、第４図は装着状態部
分断面図である。 １１・・・・・・シャフト部、１２・・・・・・ギヤ部
、１９・・・・・・スリーブ、２４・・・・・・切欠部
、２５・・・・・・凸条（パリ）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断面外形真円状の滑動部をもつ合成樹脂製シャフトにお
   いて、滑動部のパーティングラインの生ずる部分を切欠
   部とした構成の合成樹脂製シャフト。