JPS5916583Y2 - 回転装置の防振装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はたとえば全自動洗濯機などの回転装置におい
て回転数の変化により防振支持部のばね定数および減衰
量を変化させるようにした防振装置の改良に関するもの
である。

まず、この考案の詳細な説明をする前に回転装置の例と
して挙げた全自動洗濯機について振動現象の説明を行な
うこととする。

すなわち、第１図において、１は外枠、２はこの外枠１
内を上部空間３と下部空間４とに分割する水仕切り板、
５は上記上部空間３内に配設した洗濯槽であり、この洗
濯槽５の回転軸６は上、下部空間３，４間の水密を保持
するシール７、およびパツキン８を介して下部空間４に
突出されている。

しかして、上記下部空間４には上記外枠１に固定した複
数の強化板９と、この強化板９に複数のロッド１０とダ
ンパ１１とに介して互いに結合された下部主板１２が配
設され、さらに、この下部主板１２には上記洗濯槽５と
一体をなす回転軸６を回転自在に支承する上軸受箱１３
、下軸受箱１４とが装着されている。

１５は上記回転軸６の下端部に設けられた駆動用のプー
リである。

なお、上述した他に洗濯、すすぎの動作に関係する洗濯
機としての必要構成部品があるが、この考案と直接関係
がないためその説明を省略する。

以上のように構成された全自動洗濯機において、一般に
洗濯槽５等の回転部に不平衡が生じても、ダンパ１１が
有するばね特性によって振動が外枠１に伝わらないよう
になされている。

すなわち、洗濯・すすぎの操作終了のあと、排水または
脱水の操作に移行すると、プーリ１５にはベルトを介し
て駆動電動機（図示せず）の回転トルクが伝達され、回
転軸６を介して洗濯槽５が高速回転しつつ、洗濯水が排
水されると、洗濯物が洗濯槽５の内周面に不均一に圧着
するため回転部分に不平衡が生じ、振動が発生するが、
この振動はダンパ１１によって吸収され、この振動が外
枠１に伝わらないようになされている。

この場合、回転部において生じる不平衡遠心力が外枠１
に伝わる比率は、一般に第２図に示すような特性であら
れされる。

この第２図によって明らかなように、回転装置を防振す
る場合、定格回転数より低い部分に固有振動数が存在す
るようにダンパ１１のばねを選択する。

そして、第２図に示す一例では定格回転数と固有振動数
の比を約５．５にとっており、定格回転数付近では力伝
達率が１未満になり防振効果を有していることがわかる
。

しかるに、駆動電動機電源の０Ｎ−ＯＦＦに伴ない、洗
濯槽５の回転数が上昇・下降する場合、回転数が固有振
動数と一致するときが有るがこのときは第２図で明らか
なように、力伝達率が１以上になり、ダンパ１１で支持
する部分の振動が大きくなって極端な場合は、洗濯槽５
が大きく振れて外枠１に接触し、洗濯槽５が円滑に高速
回転できなくなることがある。

ところで、第２図によって明らかなように振動減衰を大
きくすると固有振動数付近で力伝達率が小さくなり、ま
た洗濯槽５の振動も小さくなるが、一方、洗濯槽５が定
格回転数付近になると振動減衰の大きい方が、振動減衰
が小さいほうよりも力伝達率が大きくなり好ましくない
。

この考案はかかる点に着目してなされたもので、洗濯槽
等の回転体の回転数が固有振動数付近においては振動減
衰を大にし、また、定格回転数付近においては振動減衰
を小さくして回転の円滑化を計り回転装置全体の振動を
低減しようとするものである。

すなわち、第３図はこの考案の防振装置を施した全自動
洗濯を示す図で、上述した従来の洗濯機（第１図）に回
転数感応接触器１６と防振器１７とを付加したものであ
る。

すなわち、上記回転数感応接触器１６としては、回転部
の回転数の固有振動数に対する比が０〜Ｊ１でＯＮにな
り、σカ・ら定格回転数の間でＯＦＦとなるような例え
ば単相モータ起動用遠心力感応接触器と同一機構のもの
を用いる。

また、上記防振器１７は回転数感応接触器１６に呼応し
て作動するもので、上記強化板９と下部主板１２との相
対振動を減少又は拘束するために設けられたものである
。

次にこの防振器１７の具体例を挙げ説明する。

すなわち、第４図において、下部主板１２の上面にロッ
ド１０を貫通させたケース１８を固定し、このケース１
８内のほぼ中心部に複数の割りばね１９を環状に取り付
けると共に、上記ロッド１０の周囲を囲むように配列し
た摩擦材２０を上記各側りばね１９の内面に接着し、さ
らにこの割りばね１９の外面にはテーパー状の鉄片２１
を取付けられている。

なお割りばね１９の詳細図を第５図に示す。また、ケー
ス１８内には上記割りばね１９を取囲むように配列した
複数個の固定コア２２と、これに巻回されたコイル２３
が取付けられている。

そして、上記固定コア２２と所定間隙をあけて対向する
環状の可動コア２４は上記固定コア２２、コイル２３と
ともに電磁石２８を構成すると度に可動鉄板２５に取付
けられている。

そして、上記可動鉄板２５のほぼ中心部に形成された環
状突部２５ ａは上記鉄片２１のテーパ部外周に接触す
るようになされている。

さらに上記可動鉄板２５と可動コア２４とはこれらが下
部主板１２上に落下しないように、ケース１８に取付け
た支え板２６によって支持されている。

また、上記可動鉄板２５とケース１８の間にはもどし用
コイルばね２７が介装されている。

以上のように構成された防振器において、いま回転数感
応接触器１６が動作している間は、上記可動コア２４が
電磁石２８が付勢されて可動コア２４が固定コア２２に
吸引されるため可動鉄板２５の環状突部２５ ａが上方
に移動して割りばね１９が変形し、鉄片２１がロッド１
０側に押し付けられ、摩擦材２０がロッド１０と接触す
るためロッド１０と、下部主板１２との相対変位が拘束
される。

これを言い換えると、従来のダンパ１１で支持される個
所の固有振動数前後の回転数でも洗濯槽５等の振動が拘
束または抑制させられるため洗濯槽５の回転が円滑に行
なわれる。

そして、洗濯槽５の回転が次第に増速することによって
発生する固有振動数に対し、回転数が１７倍以上の値に
おいて回転数感応接触器１６がＯＦＦになるように設定
しておくと、電磁石２８が消勢されコイルばね２７の復
原力によって可動鉄板２５が下方に押し戻されるため割
りばね１９の変位が自由になり、摩擦材２０がロッド１
０から離れるためロッド１０と下部主板１２とは円滑に
相対変位をし力伝達率は第２図において明らかなように
小さい値となるわけである。

なお、第４図に示す防振器は上下方向の変位を拘束する
ものであるが、左右方向、および斜め方向の変位を拘束
するように固定してもよい。

以上述べたようにこの考案は定格回転数と比較して低い
個所に固有振動数を持たせる動的防振機構に対し、回転
数感応接触器と防振器とを組合わせて用い回転装置自身
の振動および振動伝達が低くなるようにしたもので、全
自動洗濯機のように脱水時に高速回転する洗濯槽の防振
装置としてきわめて有用で゛ある。

【図面の簡単な説明】 第１図は従来の全自動洗濯機を示す断面図、第２図はダ
ンパを介して伝わる力の伝達率特性を示す特性図、第３
図はこの考案の一実施例を示す断面図、第４図は防振器
の拡大断面図、第５図は割りばねと摩擦板を示す斜視図
である。 図面中、１は外枠（固定部）、６は回転軸、１２は下部
主板（振動部）、１１はダンパ、１６は回転数感応接触
器、２０は摩擦板、１７は防振器、２８は電磁石である
。 なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ダンパによって互いに連結された固定部と振動部、該振
   動部に設けられ前記固定部と一体をなすロッドに離接自
   在に対応する摩擦材と可動鉄板を介して該摩擦材を作動
   させる電磁石とからなる防振器、および回転軸の回転数
   を検知する回転数感応接触器を備え、該回転数感応接触
   器により前記電磁石を作動させるようにしたことを特徴
   とする回転装置の防振装置。