JPS5916063Y2 - ミシンの伝動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は糸巻の際中にミシンの縫い機構が作動せず、
またミシンの停止中にハズミ車を正方向に回動してもハ
ズミ車にモーターのトルクが加わらないようにしたミシ
ンの伝動装置の改良に関するものである。

従来、ボビンに下糸を巻取るための糸巻装置はミシンの
伝動装置とは別個に設けられており、糸巻をする時には
糸巻装置の従動輪を伝動装置の原動輪に摩擦係合してい
た、そのため、ミシンの縫い機構が糸巻作業中にも作動
し、ミシンベッド上に置き忘れた被縫物を誤って縫合し
たり、指先が針に触れてケガする等の事故が生じ、また
これを解消するように糸巻時に縫い機構が作動しないよ
う構成したものでも、糸巻をしない時はモーターの出力
軸と上軸間の伝達係統が一体化されるので、ミシンを停
止した状態からハズミ車を手で回動してミシンを手送り
するときにはモーターのトルクがそれに加わり、上記操
作が円滑にできない欠点があった。

この考案は糸巻装置を伝動装置と一体にユニット化する
と共に、上記欠点を解消することを目的とする。

以下この考案の実施例を図面により説明すると、ミシン
機枠１に回動可能に支持した下軸２の一端には外周面へ
開口した溝３をもちボビン４を嵌合する嵌合軸５及び嵌
合軸５と同心円の鍔部６の対向する二個所を半月状に切
欠いた部分７及び８に一端を自由とした弾性片９，１０
を合成樹脂で一体成形した連動体１１を回動可能に支持
する。

連動体１１には下軸２に固定した第一係合体１２の係合
部１３に対応する爪１４を一端にもち、他端に前記溝３
から後述するようにボビン嵌合軸５外に出没する三角突
起１５をもった第二係合体１６を軸１７を中心に回動可
能に支持する。

第二係合体１６は常には弾性体１８により三角突起１５
を嵌合軸５外に突出させる一方、爪１４を第一係合体１
２の係合部１３に係合させ、且つボビン４を嵌合軸５に
嵌合することにより爪１４が第一係合体１２の係合部か
ら外れるように設ける。

また、外周に■溝１９を形成し下軸２に回動可能に遊嵌
した回動体２０の環状凹部２１を連動体１１の鍔部６に
遊嵌すると共に、前記切欠部分７及び８と環状凹部２１
との間にコロ２２及び２３を遊嵌し、回動体２０が矢印
Ａ（正）の方向に回動したときには前記コロ２２及び２
３を介して連動体１１が同方向に連動回転し、回動体２
０が矢印Ｂ（逆）の方向に回動したときにはコロ２２及
び２３をして連動体１１に回転が伝達しないように設け
る。

さらに、第１図に示すように機枠１に支持した上軸２４
と前記下軸２との間及びモーター２５の出力軸と前記回
動体２０との間にベルト２６及び２７をかけ渡す。

また図示しないが、下軸２には公知の送り機構及び針糸
の捕捉機構を連係し、上軸２４には針棒機構を連係する
と共に、機枠外の一端にハズミ車２８を固定する。

なお、２９はコロ２２及び２３の脱落を阻止するように
回動体２０にねじ３０で支持した蓋体である。

この考案は以上の構成であるから、モーター２５が第１
図矢印方向に回動すればベルト２７を介して回動体２０
が同方向に回動し、これにより回動体２０の環状凹部２
１と連動体１１の切欠部７及び８との間にコロ２２及び
２３がくい込み、これら回動体２０と連動体１１が一体
となって下軸２を中心に回動する。

一方、常には第二係合体１６の三角突起１５が溝３から
嵌合軸５外に突出すると共に、爪１４が第一係合体１２
の係合部１３と係合し、且つ前記三角突起１５を嵌合軸
５内に没入したときには爪１４が係合部１３から離れる
ので、嵌合軸５にボビン４を嵌合していなければ第二係
合体１６及び第一係合体１２を介して下軸２が矢印Ａの
方向に回動する。

そしてさらにベルト２６を介して上軸２４、ハズミ車２
８が同方向に回動し、ミシンの縫い機構が作動する。

また、上記の状態からボビン４を嵌合軸５に嵌合すれば
第一係合体１２と第二係合体１６との係合が外れ、下軸
２及び上軸２４が停止しするので、ミシンの縫い機構も
停止し、連動体１１だけがモーター２５に連動し、ボビ
ン４に供給源から糸が巻取られる。

次にボビン４を嵌合軸５から取り外し且つモーター２５
を停止した状態からハズミ車２８を矢印Ａ（正）方向に
回動すると、ベルト２６及び第一係合体１２、第二係合
体１６を介して連動体１１が同方向に回動するため、コ
ロ２２及び２３が弾性片９及び１０の弾性力に抗して移
動し連動体１１と回動体２０との係合状態が解除する。

従ってハズミ車２８を正方向に回動すれば上軸２４及び
下軸２を介してミシンの縫い機構が作動し、針棒の上下
位置が所望に調整できると共に、回動体２０が回動され
ないので、このときハズミ車２８にはモーター２５の抵
抗が加わらない。

以上のようにこの考案はボビンをボビン嵌合軸に嵌合し
たときにはミシンの縫い機構が作動しないように構成し
たので、糸巻するたびにミシンベッド上から被縫物を取
り除く必要がないと共に、糸巻の際中に針が指先に触れ
てケガをすることがなく、作業性及び安全性に優れた効
果がある。

また、ミシンが停止している状態にモーターの抵抗がハ
ズミ車に加わらないため、ハズミ車を円滑に回動できる
ので、角縫いにおいて各月の手前で一組ミシンを止めて
から手送りして縫合する場合や、針と釜とのタイミング
を調整するために針棒を移動させる場合等にも操作性に
優れた効果がある。

なお、この考案の上記実施例では連動体１１を下軸２に
回動可能に支持したものを示したが、第一係合体１３の
外周に回動可能に支持しても、またはこれら両方に支持
するようにしても上述と同様の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はミシンの外観斜視図、第２図は要部の分解斜視
図、第３図は要部の縦断面図で、糸巻状態を示す。 図中２は下軸、４はボビン、１１は連動体、１２は第一
係合体、１６は第二係合体、２０は回動体、２２゜２３
は一方向クラッチを構成するコロ、２４は上軸、２５は
モーター、２８はハズミ車である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ミシンの縫い機構に連係し一固定軸線を中心に回動可能
   に機枠に支持した下軸２と、 下軸に固定し外周部又は端部に下軸の回動中心線と平行
   し内方へ没入し又は外方へ突出した保合部１３をもつ第
   一係合体１２と、 駆動源に連動し下軸を中心に回動可能に下軸に支持した
   回動体２０と、 外周にボビン４を嵌合可能とした嵌合軸と外周に放射方
   向へ開口する溝３とを形成し下軸に回動可能に支持した
   連動体１１と、 一端１５を嵌合軸の溝に出没可能とし他端１４を第一係
   合体の係合部に接離可能とするように、中間を回動体に
   その軸線と直交する一固定軸線を中心に溝内において回
   動可能に支持した第二係合体１６と、第二係合体と連動
   体間に介在し、常には第二係合体の一端が連動体の溝か
   ら外に突出し他端が第一係合体の保合部に係合するよう
   に第二係合体を押圧する弾性力をもち、その弾性力に抗
   してボビンを嵌合軸に嵌合することにより一端が溝に没
   入し他端が係合部から離脱するように作用する弾性体１
   ８と、 駆動源により回動体を一方向回転したときは連動体が連
   動し下軸により連動体を一方向回転したときは回動体が
   連動しないように回動体及び連動体間に介在した一方向
   クラッチ７．８，９，１０，２２．２３と、を備えたミ
   シンの伝動装置。