JPS5912320Y2 - 複合刃口装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は地中を前進させるプレキャスト筒体の先端に特
殊刃口を装着して行う経済的にして安全、確実な掘進方
法のための装置に関するものである。

先端に刃口を装着する筒体の在来の前進方法は（１）不
分割刃口を強力な推進ジャッキ設備により筒体を反力受
として掘進させる方法によるか、又は（２）前記不分割
刃口を後続筒体に結合して、１体式刃口と筒体を同時に
掘進させる方法によっている。

前記２方法共不分割刃口を用いているため刃口掘進に際
して受ける極めて強大な刃口掘進抵抗を排除して、刃口
を掘進させるためには強大な能力を有するジャッキ設備
を相当数配設することが必要であり、そのための費用は
極めて高額となるばかりでなく、強力な全ジャッキ設備
を同時に作動するためその作業には多くの危険が伴い、
又刃口に及ぼす掘進抵抗が局部的に変化し、その変化に
伴い刃口が偏向掘進することが往々にして発生し、１た
び偏向掘進をおこすとその方向修正は極めて困難である
。

又在来の分割刃口推進工法であるメツセルエ法は本考案
のようなプレキャスト筒体を前進させる方法でなく、現
場打ちコンクリートによる筒体を製作する方法であるか
ら分割刃口推進の際の反力を型枠及び支保工に受けさせ
ているが、この仮設備の支保工は反力を支持する能力に
確実性がなく、往々にして支保工が破損し、事故をおこ
す危険性があるばかりでなく、現場打ちコンクリートの
ため作業能率が悪い。

以上のように在来工法には重大な多くの欠点があった。

本考案の装置は、刃口を１部分割して刃口の前進抵抗を
分割し、プレキャスト筒体に分割刃口推進反力を受けさ
せて、刃口の前進を確実、容易にすることにより前記諸
欠点を除去するとともに、刃口と共に筒体を安全、容易
にかつ確実にしかも経済的に掘進させる装置を提供する
ものである。

更に精しく述べれば、本願のものと類似の在来の前進さ
せる筒体群の最前部筒体の前部に設ける刃口の構戒は、
刃口の上板、底板及び両側板全部を前進方向に適宜分割
し、この内側全周にわたり可動支持枠を設けるとともに
、この可動支持枠の後方に押材を設け、この押材と最先
頭の前進筒体前部間に推進ジャッキを配設し、押材と前
進させようとする各分割刃口毎に係合片で係合させて推
進ジャッキを作動し、押材を進退させながら各分割刃口
を順次前進させ、全部の分割刃口が前進したならば、押
材と各分割刃口との保合を切り、改めて押材を推進ジャ
ッキで押し、押材を介して可動支持枠を所定位置に前進
させる。

この後筒体を在来の方法で前進させた後上記の方法を繰
りかえして刃口を掘進させるようにした構或になってい
る。

この方法の欠点は、先づ、刃口を全周にわたって全分割
している点である。

即ち刃口の後部は筒体前部を被覆しているだけであり、
可動支持枠は各刃口に作用する外方よりの土庄を支える
だけの作用であって、剛性構造の構或になっていないの
で、刃口の前進途中に歪をおこし、筒体の前進方向に対
し、刃口の掘進方向にずれをおこし、このずれをなおす
ことは殆んど不可能に近い。

然るに本願の場合は、底板又は底板と両側板下部の部分
を１体化した部分を、筒体の前部に剛結して、土庄がど
のように変化しようともこの部分は筒体の前進方向を確
実に保持するようにして掘進させ、これをガイドとして
各分割刃口を前進させるようにしてあるので前記在来方
法のような刃口前進方向の狂は完全になくすことができ
る。

次に、在来の方法では、各分割刃口と押材との保合は、
両者に穴をあけ、この穴に係合弁を差しこんで係合させ
るようにしているが、各分割刃口は掘進の際その先端を
地中に押しこむため可或り大きな掘進抵抗が作用するた
め、差しこんだ保合片が穴の縁に固く押しつけられ、引
き抜きが殆んどできなくなる欠点があったが、本願では
押材、係合片による分割刃口との保合構造となっておら
ず、分割刃口の押力受材を装着しこの押力受材と筒体前
部間に前進ジャッキを装着して、このジャッキを作動す
ることにより各分割刃口を容易にかつ確実に前進させる
ことができるようにしたものでこの効果も極めて大きい
。

次に本願の装置について更に述べれば、上記の如く、又
実用新案登録請求の範囲の欄、及び実施例に述べてある
ように、刃口の上板及び両側板全部又は上方部分を分割
して、各ケ毎に掘進させることにより刃口の掘進抵抗を
分割して刃口の推進ジャッキの能力を小とし設備費を節
約し、更に前面の切羽の掘削等を加減し、崩壊を防ぐ効
果を有している。

又可動支持枠とこれを推進させる前進ジャッキ間にスペ
ーサーを挿入してあるのも本願装置の特徴で、これによ
り可動支持粋の位置を土圧等の変化に応じて如何ように
も変えることができる。

以上のように本願装置の刃叫よ極めて合理的であり、作
業が極めて容易に確実に行うことができ、又経済的でも
ある。

以下本考案の複合刃口装置について１実施態様により図
面にもとづいて説明する。

第１〜３図において、地中に前進させるフ゜レキャスト
筒体１の前部に装着した刃口の上辺全部と両側辺の上方
１部又は全部（本例は上方１部の場合）を進行方向に複
数片に分割し、分割刃口２とし、この分割刃口２の後部
は筒体１の前部外面を摺動し得るようにして被覆し、分
割刃口２以外の刃口の残余の部分の後部は筒体１の前部
と固定結合して筒体固定刃口３とし、各分割刃口２を前
進させるための前進ジャッキ４を各分割刃口２毎に筒体
１の前部に装着し、前進ジャッキ４の作動時の押力を当
該分割刃口２に伝達するための押力受材５を夫々各分割
刃口２の内面に固着させ、更に刃口内面に沿って刃口を
支持する支持枠６を設け、更に筒体１の前部に支持枠６
を前進させるための前進ジャッキ８を装着し、必要が生
ずればこの前進ジャッキ８と支持枠６の間にスペーサ−
９を介在装着して構或させた複合刃口装置である。

尚前記実施例では、前進ジャッキ４を各分割刃口２毎に
設けた場合を示しているが、各分割刃口２は１片づつ前
進させるので、前進ジャッキ４を筒体１の前部に固定せ
ず、移動させて各分割刃口２を前進させる別の実施例も
ある。

尚分割刃口２の外面に作用する土庄が極めて大きい地質
の場合は図示７で示すように滑材を支持枠６と分割刃口
２及び筒体固定刃口３間に挿入することにより刃口２の
前進抵抗力及び支持枠６の前進抵抗力を減少させる効果
がある。

次に本考案の複合刃口装置の作用及び効果を述べる。

第４図に示すように、前進ジャッキ４を作動して分割刃
口２の各片を１片おきに夫々１工程長前進させる。

これは前進させる分割刃口２を両隣の分割刃口２をガイ
ドとして正しい方向に前進させるための方法である。

次に分割刃口２が全部１工程長前進したならば筒体１を
在米の方法により１工程長前進させ、同時に筒体固定刃
口３をも１工程長前進させ、かくして筒体１及び刃口を
１工程長前進させることができる。

以上によって判るように、本装置を用いることによって
前記のような在来の装置及び方法による場合の諸欠点を
完全に解消することができるのである。

尚前進ジャッキ８を用いているのは、これを作動するこ
とにより分割刃口２、筒体１、筒体固定刃口３等の前進
作業中においても、地質の変化に応じ、刃口の支持位置
を変更する必要が生じた時、支持枠を移動して刃口支持
の万全を期するためである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の複合刃口装置の１実施態様の
図で、第１図は縦断面図、第２図は第１図のＡ−Ａ矢視
正面図、第３図は同じ＜Ｂ−Ｂ矢視横断面図、第４図は
分割刃口の前進状態を示した縦断面図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 地中に前進させるプレキャスト筒体の前部に装着する刃
   口の上辺を含み両側辺の上方１部又は全部に前進方向の
   複接片に分割して分割刃口とし、残余の部分の後部は筒
   体前部と結合して、この部分を筒体固定刃口とし、分割
   刃口を前進させるための前進ジャッキを筒体前部に装着
   し、前進作動時の押力を分割刃口に伝達するための押力
   受材を各分割刃口に取付けるとともに、刃口内面に沿っ
   て支持枠を設け、支持枠を前進させるための前進ジャッ
   キを筒体の前部に装着し、この前進ジャッキと支持枠間
   にスペーサーを介在させて構威させてなる複合刃口装置
   。